新型コロナウイルスワクチンについて② 新型コロナ開発中のワクチンについて
前回、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発に用いられている技術、
また世界各国で承認されているCOVID-19ワクチンを紹介しました。
今回は、ワクチンの承認や治験、国内で開発中のCOVID-19ワクチンについてご紹介いたします。
【ワクチンが承認されるまで・治験について】
COVID-19ワクチンについては、現在も世界中様々な会社で開発が行われていますが、
実際にワクチンとして販売・使用できるようにするには各国の規制当局(日本の場合は厚生労働省)から
承認を得なければなりません。
承認を得るためには、ワクチンがまず問題なく使用できるかどうかについて、
治験(臨床試験)を行って確認します。
以下に、COVID-19ワクチンを例にして治験(臨床試験)の種類をまとめました。
非臨床試験 | ワクチン候補となるものを細胞やマウス等の実験動物を用いて、免疫源となるかどうかを確認します。 |
第I相臨床試験(フェーズ1) | 少人数に対してワクチンを接種し、免疫反応が起こるかどうかを確認すると同時に、ワクチンの安全性と適切な容量を確認する試験です。 |
第II相臨床試験(フェーズ2) | 年齢等が異なるグループに分けた数百人規模の集団に対してワクチンを接種し、 グループごとにワクチンの働きが異なっていないかを確認します。 安全性についてもフェーズ1に続けて確認をします。 |
第III相臨床試験(フェーズ3) | 大人数にワクチンを接種し、プラセボ群に対しての感染率を確認する試験です。 大きな集団に対してワクチンを接種するため、 ワクチンの有効率を確認すると同時にまれに起こる副作用が明らかになることもあります。 |
参考:PMDA 「感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン」、
The New York Times. c2021. Carl Zimmer, Jonathan Corum and Sui-Lee Wee: Coronavirus Vaccine Tracker;
[accessed 2021 Apr 28].
https://www.nytimes.com/interactive/2020/science/coronavirus-vaccine-tracker.html
今回のCOVID-19ワクチンにみられるように、
急いで開発を行わなければならない場合は治験のフェーズを併せて実施することもあります。
急いで開発を行わなければならない場合は治験のフェーズを併せて実施することもあります。
【開発中のCOVID-19ワクチン】
実際に現在国内外で開発中のCOVID-19ワクチンの一部を紹介いたします。
会社名 | ワクチンの種類 | 生産・供給の見通し | 公表されている接種回数 | 接種方法 | 治験フェーズ | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
アンジェス | DNA | 実用化時期が22年以降にずれ込む見通し | 2回 | 筋肉内注射 | Phase 2/3 | 製造はタカラバイオ/AGC Biologics/シオノギファーマ/Kaneka Eurogentecに委託 |
第一三共 | mRNA | 2回 | 筋肉内注射 | Phase 1/2 | ||
KMバイオロジクス | 不活化 | 2回 | 筋肉内注射 | Phase 1/2 | ||
塩野義製薬 | 組換えタンパク | 2回 | 筋肉内注射 | Phase 1/2 | ||
サノフィ | 組換えタンパク | 上手くいけば2021年第四半期に実用化見込み | 1回または2回 | 筋肉内注射 | Phase 2b | |
mRNA | 1回または2回 | 非臨床では筋肉内注射 | Phase 1/2 | |||
ノババックス | 組換えタンパク | 海外で2020年遅くに1億回分/年の生産が目標、国内で2.5億回分超生産予定 | 2回 | 筋肉内注射 | Phase 3、国内治験を2021年2月から実施中 | 武田薬品が原薬から製造販売予定 |
メディカーゴ | 組換えタンパク | 24年頃に年産10億回分/今年は8000万回以上の供給を目指す | 2回 | 筋肉内注射 | Phase 3 | 今夏から国内で治験開始か |
参考:厚生労働省、各社HP
各社製品とも接種方法は筋肉内注射、接種回数は2回となっています。(サノフィ製品のみ1回または2回接種の予定)
上記の他、世界各国で多くの会社がワクチンの開発を行っています。
基本的には各臨床試験フェーズをすべて終了して初めてワクチンを使用できるようになるのですが、
既に承認されているワクチンがあることを考えると、如何に治験フェーズを乗り切るかが各社にとっての
キーとなりそうです。
また、様々な変異株が日本を含む世界各地で確認されているため、
これらに対してどう対応していくかも大切になります。
次回は新型コロナウイルス感染症に対するワクチンについて、接種後に確認された有害事象についてご紹介いたします。
基本的には各臨床試験フェーズをすべて終了して初めてワクチンを使用できるようになるのですが、
既に承認されているワクチンがあることを考えると、如何に治験フェーズを乗り切るかが各社にとっての
キーとなりそうです。
また、様々な変異株が日本を含む世界各地で確認されているため、
これらに対してどう対応していくかも大切になります。
次回は新型コロナウイルス感染症に対するワクチンについて、接種後に確認された有害事象についてご紹介いたします。
拭き取り検査はこちら → 【新型コロナウイルスPCR検査(ふき取り)】