その胃のムカつき大丈夫?幼少期の頃に胃がんのリスクが高い!?胃がんの99%は、ピロリ菌が原因。

ピロリ菌の感染経路

主なピロリ菌の感染は、乳幼児期に家族から感染すると言われています。ピロリ菌の感染経路は、はっきりとわかっていませんが、経口感染と言われています。現在の日本では、環境衛生が良いため、汚染された水を飲んで感染することはほとんどありません。しかし、現在の主な感染経路は、免疫力の弱い乳幼児期に保菌者からの口移しや保菌者が使用した箸やスプーンを介して感染し、ピロリ菌の保菌者になります。

ピロリ菌とは

ピロリ菌(Helicobacter pylori)とは、らせん状の形をした細菌で人の胃の粘膜に感染し、慢性的な感染から胃がん・萎縮性胃炎・MALTリンパ腫などを引き起こす起因菌と言われています。ピロリ菌の発見は、西オーストラリアのウォーレン医師とマーシャル医師により発見され、ピロリ菌が胃炎や胃がんに関与することを証明し、2005年にノーベル賞を受賞しました。ピロリ菌に感染すると、すぐには胃がんにはなりません。ほとんどの場合無症状感染が持続し、胃の慢性的な炎症から胃粘膜に萎縮などをもたらし、数十年かけて胃がんが発生します。
ピロリ菌の治療は、抗菌薬の経口投与により行われ、ピロリ菌の除菌治療を行い除菌に成功すると胃がんの発症が抑制されることが明らかになり、萎縮が進まないうちに除菌する方が胃がんの予防効果が高いことも判明しています。これらの研究成果から2014年にはWHOの国際癌研究機関は胃がん予防としてピロリ除菌を行なうことを勧告しました。

ピロリ菌の感染率(年代別感染率の年次推移より)

以下のグラフは、年代別にピロリ菌の感染率を示したものになります。年代別で保菌率が異なり、40代から70代では、40%~70%が保菌しているとされ、保菌率の高い傾向にあります。一方10代から20代の保菌率は、10%くらいと低い傾向にあります。また、1974年と2014年の各年代の感染率を比較すると、減少傾向にあります。減少した原因は、水道管の整備などの衛生環境の向上とここ20年でピロリ菌除菌治療の保険適用がされ感染率が下がったとされます。

 

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若年者へのピロリ菌検査の高まり

日本ヘリコバクター学会では、ピロリ菌感染の診断と治療のガイドラインに、2016年の改定で「胃がん予防」が新たに加えられ、胃がん予防を目的として中学生以上でのピロリ菌の診断と除菌が推奨されています。最近では、中学生を対象としたピロリ菌の検査を行う自治体も増えてきているため、2022年7月に「中学生ピロリ菌検査と除菌治療 自治体向けマニュアル」が作成され、若年者へのピロリ菌検査の関心が高まっています。
弊社では、ピロリ菌検査を行っています。弊社のピロリ菌検査は、便で検査を行います。ピロリ菌の感染の有無を調べる検査は多くあり、 その中には痛みを伴う検査もありますが、自宅で採便をして送るだけでピロリ菌の感染の有無を調べることができます。そのため、医療機関で検査を受ける時間がない方や痛みを伴う検査が苦手な方におすすめです。是非、ご利用ください。

 

参考文献
・厚生労働省「ヘリコバクターピロリ菌除菌の保険適用による胃がん減少効果について」
・日本へリコバクタ―学会「ピロリ菌感染の診断と治療のガイドライン」
・日本へリコバクタ―学会「中学生ピロリ菌検査と除菌治療 自治体向けマニュアル」

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