ガスマグロって新種のマグロ?!

皆さんは「ガスマグロ」という言葉を聞いたことはあるだろうか。この言葉をはじめて聞いた人は、ガスマグロ?ガスをため込んでいるマグロ?そんな風な印象をもたれるのではないだろか。しかしそうではないのだ。ガスが入ったマグロではあるが、実はガスは人間が入れているのだ。いったいなんのこっちゃと思われるかもしれない。

詳しく説明するとこういうことだ。例えば、Aというお寿司屋さんがあるとする。そこではマグロも扱っていて、日によっては腐りはじめて表面が黒みかかり調理に使えないものもでてくる。そういったマグロはA店側で廃棄処分するべきだ。しかしもったいないからといって廃棄せず「新鮮なマグロ」と称してお客にだそうとする。もちろんそんなマグロを、お客が食べたいとは思わない。そこで使われるのが、一酸化炭素ガスなのだ。一酸化炭素ガスをマグロに注入すると1週間たっても変色が起きず、それをだされたお客は、疑うことなく「やっぱり新鮮なマグロはおいしいな」とたべてしまうのだ。「日本」では、当然このような暴挙が許されるわけがなく、法律で厳しく取り締められている。

しかし、最近このようなことが、ロシア国内の日本料理店、とくにお寿司屋さんで実際に行われているというのだ。そして現在それらは、食中毒の原因となっているという。ロシアでは現在日本食ブームが起きていて、日本食レストランは、ロシアでも海外レストランとしてはイタリアンに次ぐ人気で、モスクワだけでも 600店舗はあるという。
しかし実際に調理にかかわっている人の大半は、見様見真似の現地人。当然ながら日本料理の修業経験も無く、調理方法や食材の管理方法のイロハを精通しているわけでもない。それだけではない。ロシア全体の食品安全管理が制度的にも施設的にもまだまだ未整備な点が多く、魚の保存が利かないのに、売れるならよいという低いモラルがある。そういったものを背景として、「ガスマグロ」のような偽り食品が「日本料理」として出回っている現状がある。そしてそれらは、食中毒という最悪のギフトをつけている。

日本料理は日本文化を表現できる芸術であり、もし今後もこのような芸術が最悪の贈り物になり続ければ、日本に対するイメージにも大きく影響してくるのではないだろうか。異国のレストランのほんの小さな裏側から、今日も多くの偽り日本料理が作られていることを想像すると、大変危機感を感じてならない。

youtube