HACCP制度化

今年2月、立川市の学校給食共同調理場で調理された給食を食した7小学校の児童、教師合わせて1098人が犠牲となったノロウイルス食中毒事故は、改めてノロウイルスの怖さを知る食中毒事故となりました。原因となった親子丼に使用された「刻み海苔」と食した患者と「刻み海苔」の製造工場の裁断機やトイレから同一遺伝子のノロウイルスが検出されたことから、「刻み海苔」が原因食品であると断定されました。東京都の担当者によると、「ウイルスが海苔を乾燥させる段階で付着したのか、製造過程で汚染したのかは現段階では不明であるが、今後は製造元の衛生面やスタッフの健康管理などについてもチェック体制が必要になる」と話していました。今や食中毒発生要因の第一位であるノロウイルス。そのノロウイルスが冬季の寒い環境であれば、2ヶ月近く生存できるというのは、食品会社にとって大変脅威となります。

 食品製造を工程毎に分解し、各工程の危害を要因別に分析し、管理の徹底を図るHACCPですが、最近は義務化で話題となっています。この高度な管理方式であるHACCPですが、義務化(最近、厚生労働省では制度化と言い直していますが・・・)が話題に上がり、HACCP導入規格にも様々な顔があることが判りました。ISO22000版のHACCPは、ベースのISO9001に「顧客満足の一致」というテーマがあることから商いの顔が見受けられます。(安く、美味しく、安全に!といった感じでしょうか)FSSC22000は、ISO22000+PAS220ですので、ISOとイメージは変わらないのですが、各国間の衛生管理のバラつきの調和内容が加わった高圧的な顔です。CODEXが定めるHACCPは、皆さんが良く知る顔であり、FAO/WHOのHACCPは、イージー(喫茶店や飲食店でも導入しやすい形式)で受け入れやすい顔です。HACCP制度化は、我が国で製造される食品の安全性の向上が目的であることには違いないのでしょうが、ジャパンブランドを輸出する上で各先進国に足並みを揃える(現状、HACCPを義務化していない日本はアメリカに輸出する際、アメリカ側から監査を受けます)貿易上の問題解決という目的が大きいと感じられます。HACCP制度化は大変なことですが、制度化することによって経済的な恩恵もあるということです。

 では、HACCPが制度化されたら、群馬県食品自主衛生管理認証制度(以下、認証制度)は必要なくなるのでしょうか?恐らく、Noであると言えます。それは、最初に記したノロウイルス食中毒事故は、形だけのHACCP導入では防げないからです。東京都の担当者にも述べていた通り、現状の食中毒(特にノロウイルス)は、製造元の衛生面やスタッフの健康管理などについてもチェック体制が必須となります。これは、一般的衛生管理の範囲であり、その強化版が認証制度です。私は食中毒事故の予防は、一般的衛生管理の徹底が一番重要であると考えています。一般的衛生管理の徹底によりHACCPが活きます。よって、HACCPが制度化しても認証制度は益々重要になると思っております。

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