味に関わるおいしい話④ 遊離アミノ酸と味について

~グルタミン酸以外の遊離アミノ酸の味~

 うま味の代表物質として「(遊離)グルタミン酸」を挙げましたが、それ以外の(遊離)アミノ酸も、一般的に甘味・苦味・うま味を中心とした複雑な味を持っています。

 タンパク質構成アミノ酸は一般的には無味ですが、タンパク質が分解されて生じる遊離のアミノ酸は味を呈するようになります。遊離アミノ酸のうち、グリシン、アラニン、トレオニン、プロリン、セリンは甘味、フェニルアラニン、チロシン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン、リジンは苦味、グルタミン酸とアスパラギン酸はうま味と酸味を呈します。また、遊離アミノ酸の種類によって味を感じる濃度(閾値)は異なります。

 さらに、アミノ酸単体の味は、濃度によって感じ方が異なるものもあります。例えば、セリンは低濃度では甘味を感じて、高濃度では甘味とうま味を感じます。グリシン、アラニン、セリンも高濃度でうま味を呈します。


~うまみの相乗効果~

代表的なうま味物質として、アミノ酸系のグルタミン酸と核酸系のイノシン酸やグアニル酸が挙げられましたが、これらはそれぞれ単独よりも、グルタミン酸と核酸系のうま味物質を組み合わせることで、うま味が強く感じられることが科学的に証明されており、これを「うま味の相乗効果」と言います。

うま味の相乗効果は、昔から世界中のさまざまな料理に活用されています。例えば、グルタミン酸を多く含む野菜とイノシン酸を多く含む肉や魚を組み合わせた煮だし汁、グルタミン酸の多い昆布とイノシン酸の多いかつお節からとった合わせだしなどが挙げられます。
 また、グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果によるうま味の強さは、配合比によって変化すると言われています。全体のうま味物質の濃度が一定になるようにし、グルタミン酸とイノシン酸の配合比を少しずつ変化させた水溶液を用いて官能評価を実施した場合、グルタミン酸とイノシン酸が1:1のときに最もうま味が強くなり、単独で味わうときよりもおよそ7〜8倍うまみが強くなることが報告されています。
 さらに、高濃度でうま味を呈するグリシン、アラニン、セリンもイノシン酸とうま味の相乗効果を示すことが確認されています。


~遊離アミノ酸分析~

 弊社では、うま味成分である(遊離)グルタミン酸の分析を行っております。
 相談等も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
 → 「遊離グルタミン酸検査


<まとめ>

・タンパク質は一般的には無味ですが、遊離のアミノ酸は味を呈します。
・アミノ酸系のうま味成分と核酸系のうま味成分は、それぞれ単独よりも、それぞれを組み合わせることで、うま味が強く感じられます。

参考資料

うま味の文化・UMAMIの科学 山口静子監修  丸善株式会社

特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター
https://www.umamiinfo.jp/what/use/

シリーズ “アミノ酸” No.9 アミノ酸の味
http://shokoagri.com/tech/11/11-40.pdf


『うまみ成分検査』については、こちらをご確認ください。
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