カビ毒の危ない健康被害 自然界最強の発がん性物質!アフラトキシン

【自然界最強の発がん性物質!アフラトキシン】カビ毒の危ない健康被害

 

カビは糸状構造を持つ菌類の一部で高温多湿な環境でよく育ち、日本の様な湿気の多い環境はカビが発生し易い条件と言えます。

 

食品に取り付いたカビは必要なエネルギーを生み出すために有機物を分解し、副産物(代謝物)を産生しますが、カビの種類によってその副産物が人間にとって良いものである場合や有害である場合があります。

 

カビは約10万種以上あると言われ、さまざまな種類や色のものがあります。
下記は食品に生える主なカビとその色です。
◍クラドスポリウム属   (暗緑色~黒色)
◍ペニシリウム属     (青緑色)
◍アスペルギウス属 (黒・緑・黄など)
◍フザリウム属 (灰白色~深紅)
◍ワレミア属 (チョコレート色)

 

【食品に生えたカビ】
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私たちが普段口にする、味噌や醤油、みりんなどの発酵食品はカビの力が利用されています。
食品以外でも医薬の発展や環境浄化、物質循環など様々な場面でカビは貢献しています。
その一方で、人体・家畜にとって悪影響を及ぼすものが「カビ毒」であり、マイコトキシンともよばれます。
カビ毒には非常に強い毒性を持ったものがあります。

 

 

〇●〇 〖自然界最強の発がん性物質〗*アフラトキシン 〇●〇
アフラトキシンとは?
*「アスペルギルス・フラバス」、「アスペルギルス・パラジチカス」、「アスペルギルス・ノミウス」
とよばれるカビが産生するカビ毒
→これらのカビは穀類、落花生、ナッツ類、とうもろこし、乾燥果実といった食品、ほこり、土壌など環境中に広く分布

 

*カビは高温多湿状態で増殖
*安定性が極めて高く、通常の加熱調理条件等ではほとんど分解されない。

 

◎ハンバーガー用パンに生えた緑のカビ(アスペルギルス・フラバス)

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出典:東京都福祉保健局

 

アフラトキシンによる健康被害
アフラトキシンB1は自然界最強の発がん性物質
*アフラトキシンはヒトや動物に急性の肝障害を引き起こすことや、遺伝毒性及び発がん性物質であることが知られる。

 

アフラトキシンによる汚染が確認される主な食品
*ピーナッツやピスタチオなどのナッツ類、穀類、乾燥果実、牛乳

〇●〇 〖悪心・嘔吐・腹痛・下痢を引き起こす〗*トリコテセン系カビ毒 〇●〇
(デオキシニバレノール・ニバレノール・T-2トキシン・HT-2トキシンなど)
トリコテセン系カビ毒とは?
*「フザリウム属のカビ」が麦類や豆類、農作物に付着し産生されるカビ毒
*フザリウム属のカビは、灰白色から深紅

 

◎かぼちゃに生えたフザリウム属のカビ
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◎小麦に付着したフザリウム属のカビ
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出典:東京都福祉保健局

 

トリコテセン系カビ毒による健康被害
*悪心、嘔吐、腹痛、下痢、造血機能障害、免疫機能抑制作用
*1950年代、赤かびに汚染された麦類を原料とした食品を食べたことによる急性食中毒が発生しており、これらはトリコテセン系カビ毒が原因とされる。

 

トリコテセン系カビ毒による汚染が確認される主な食品
*麦、米、トウモロコシ(穀類、豆類)

〇●〇 〖腎毒性・発がん性が報告〗*オクラトキシンA 〇●〇
オクラトキシンAとは?
*「アスペルギルス・オクラセウス」、「ペニシリウム・ビリディカータム」等が産生するカビ毒
*ペニシリウム属のカビは、青緑色

 

◎レモンに生えたペニシリウム属のカビ

出典:東京都福祉保健局

 

オクラトキシンAによる健康被害
*動物試験では、腎毒性及び発がん性が認められている。
*マウスにオクラトキシンを食べさせると、肝臓と腎臓にガンを発生させることが報告されている。

 

オクラトキシンAによる汚染が確認される主な食品
*麦類、とうもろこし、コーヒー豆、カカオ豆、香辛料、乾燥果実

 

≪カビ毒による健康被害を受けないために≫
カビ毒は食品などに生えるカビとは異なり見た目では分からず、また比較的熱に強いことから通常の加工や調理では十分に減少しないため、一度カビ毒に汚染された食品からカビ毒を取り除くことは困難となります。
そのため、カビ毒を産生させないよう食品や農作物にカビが生えないよう管理することが重要となります。
食品を保存する際は、それぞれの食品に合った正しい保存方法(冷蔵・冷凍等)を守るようにしましょう。
また、カビが生えやすい条件を把握し、対策をしましょう。

 

〈カビが生えやすい条件〉 ※例外もあります。
・カビの生育最適温度25℃~28℃(生育可能温度領域は0℃~40℃)
・湿気が多い
(可能な限り乾燥状態を保つようにしましょう。)
・酸素がある
(可能な限り酸素を抜き、お菓子などに入っている脱酸素剤は捨てないようにしましょう。)

食環境衛生研究所では、「カビ毒」に関する検査を行っております。
検査をご希望のお客様はぜひご依頼ください!

 

◎カビ毒検査はこちら◎
https://www.shokukanken.com/kensa_cat/foods/safety/mycotoxin/

【参考文献】
東京都福祉保健局 「カビとカビ毒について」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kabi/kabi0.html

 

農林水産省 「かびとかび毒についての基本的な情報」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/kiso.html

 

文部科学省 「カビ対策マニュアル 基礎編」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/003/houkoku/08111918/002.htm

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