コラム: 食中毒予防のポイント 〜食中毒を如何に防ぐか〜
1.主な病原菌による食中毒
食中毒の原因となる細菌は、とても多種類が存在します。はじめに、その主なものについて説明します。
- Ⅰ サルモネラ
-
現在日本でもっとも頻度が高く発生する食中毒のうちの1つです。
最近では、卵や牛乳が感染源と疑われるSE(サルモネラ・エンテリティディス;Salmonella enteritidis)という種のサルモネラによる食中毒が発生しています。
SEは卵を例にしますと、卵の殻に付着している場合(On egg )と卵の中に含まれる場合( In egg )があります。通常、In egg の場合で卵中のサルモネラの数は2〜3個位と言われています。一般に、人間のサルモネラ感染による発症(食中毒)はその人の健康状態にもよりますが、サルモネラを1.0×105個(つまり、10,000個)以上体内に取り込んだときに起こります。
2〜3個のサルモネラが発症する数にまで増えることがあるのは、卵の保存・取り扱いに問題があるからだと言えるでしょう。それはSEに限らず、サルモネラ全体において、もしくは食中毒全体において言えることなのかもしれません。
サルモネラは自然界で広範囲に分布しており、その伝播や侵入経路も多様です。そのことからも最近、急激に増大しているサルモネラ食中毒を防止するには、感染源として疑われる食品の保存・取り扱いに十分気を配る事が必要と言えます。
( 感 染 源 ) 肉類、卵、乳製品等
(潜伏期間 ) 4〜48時間
( 症 状 ) 急な発熱、吐き気、嘔吐、腹痛、激しい下痢
( 予 防 法 ) 十分に加熱して調理する、卵などの低温保存、ネズミ・ゴキブリなどの駆除
- Ⅱ 病原大腸菌O157 (腸管出血性大腸菌O157)
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平成8年5月に岡山県で発生した例を皮切りに、病原大腸菌O157による食中毒は日本中でますます広がりを見せ、世間の注目を集めています。
O157という名称は、O抗原と呼ばれる「菌体抗原を持つ大腸菌の体の部分」のうちの157番目という意味を持っています(ちなみに、O-157と表記されることもありますが、学術的にはO157の方が一般的です)。法定伝染病である赤痢に近い感染力を持っています。
通常の細菌性食中毒は細菌を100万個単位で摂取しないと感染しませんが、O157は約100個の菌量で症状が出るといわれています。
( 感 染 源 ) 肉類、乳製品等
(潜伏期間 ) 2〜72時間
( 症 状 ) 腹痛、水様性の下痢、血便、固形物のない血性下痢(典型的な症状)、
吐き気、嘔吐、発熱を伴うこともある
( 予 防 法 ) 食品は衛生的な取り扱いをする、十分に加熱して調理する、手を十分に洗う、
調理器具類は十分に消毒をする、感染者との混浴はしない、感染者の糞便に注意する
- Ⅲ 腸炎ビブリオ
- 腸炎ビブリオによる食中毒は、菌に汚染された魚介類を生で食べることによって起こります。
( 感 染 源 ) 生の魚介類
(潜伏期間 ) 6〜24時間
( 症 状 ) 発熱、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢
( 予 防 法 ) 原因菌は真水に弱いので十分に水洗いする、食品の低温保存、十分に加熱して調理する
- Ⅳ 黄色ブドウ球菌
- 黄色ブドウ球菌は、切り傷・擦り傷にごく普通に繁殖します。調理する人の手などの傷口から、それが食品に入ることによって起こります。産出する毒は熱に強く、加熱してもなかなか失活(活動出来なくなること)しません。
( 感 染 源 ) 調理人の手指の化膿性炎症等
(潜伏期間 ) 3時間前後
( 症 状 ) 吐き気、嘔吐、下痢、短期間の発熱
( 予 防 法 ) 調理人の手指に化膿性炎症がある場合には直接食品に触れない、食品の低温保存
- Ⅴ ボツリヌス菌
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頻度は少ないのですが、菌が猛毒を産出するため、細菌性食中毒の中でもっとも恐ろしいといわれています。
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、大型の偏性嫌気性桿菌です。菌体の一端近くに卵円形の芽胞を形成します。産生する毒素タンパク質の免疫学的な違いによって、A〜Gの7型に分類されています。A型およびB型ボツリヌス菌は、発芽の型で世界各地の土壌に分布しているます。海底や湖沼にはE型菌が棲息し、魚からも高い確率でE型菌が検出されます。
( 感 染 源 ) いずし、ハム、ソーセージ、辛子レンコン、真空パックの食品等
(潜伏期間 ) 4〜36時間
( 症 状 ) 嘔吐、めまい、複視、呼吸困難、運動麻痺
( 予 防 法 ) 十分な手洗い、食品の低温保存、十分な加熱
- Ⅵ ウェルシュ菌
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ウェルシュ菌による食中毒は、大量調理施設を中心に、大規模な発生を引き起こす場合があります。
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は、健康な人の大便の100%近くで検出されるありふれた菌です。家畜、家禽や魚の腸管内にも常在し、土壌、下水などの自然界にも分布しています。 ウェルシュ菌は、人の腸管内で食中毒の原因物質であるエンテロトキシンという毒素を産生します。ウェルシュ菌が食品内で1.0×106個(つまり、100,000個)以上に増殖し、それを人が摂取してしまうと食中毒となります。
( 感 染 源 ) スープ、カレー、シチュー、煮物、真空パックの食品等
(潜伏期間 ) 4〜12時間
( 症 状 ) 腹痛、下痢
( 予 防 法 ) 調理後早めに食べること、食品の低温保存と再加熱
- Ⅶ セレウス菌
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セレウス菌(Bacillus cereus)は土壌細菌の一種で、人の生活環境をはじめ、塵埃・汚水・河川などの自然界に広く分布し、各種食品からも多数分離されます。食物を汚染して腐敗・変敗を起こすことが古くから知られていましたが、1950年代以降、食中毒細菌とされるようになりました。
セレウス菌食中毒は下痢型と嘔吐型が認められています。セレウス菌食中毒の原因食品は、下痢型では調理肉・ソーセージなどの肉類加工食品や、各種スープ・バニラソースなどで、一方の嘔吐型では米飯や焼飯等の米飯類によるものが最も多いです。
セレウス菌の増殖を阻止するには、その性状・特性を十分把握しておくことが必要です。セレウス菌は芽胞を形成し、その芽胞は、1〜59℃、pH4.35〜9.30、水分活性(Aw)0.99以上で発芽し、熱抵抗性はD100値(100℃で菌数が1/10になる時間)1.2〜8.0分で、缶詰食品中でも残存します。また、5〜50℃、pH4.35〜9.35、Aw0.912〜0.95の範囲で発育し、ソルビン酸(0.2%濃度、pH6.6)で発芽は阻止され、次亜塩素酸ナトリウム(150µg/ml)で芽胞の90%は不活化されることも知られています。
続いて、食中毒の予防について説明します。 「2.食中毒を予防するには?」→
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食中毒予防の
ポイント
1.主な病原菌に
│ よる食中毒
┝Ⅰ サルモネラ
┝Ⅱ 病原大腸菌O157
┝Ⅲ 腸炎ビブリオ
┝Ⅳ 黄色ブドウ球菌
┝Ⅴ ボツリヌス菌
┝Ⅵ ウェルシュ菌
└Ⅶ セレウス菌


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