今さら聞けない?意外に多い養豚管理の基本について!(1)

全体体的な雇用不振の中、農畜産分野への関心も高まり、養豚の現場でも新たな人材である新人さんが活躍し始めています。農場に伺うと不安と期待にいっぱいの新人さんが頑張っていますが、どうにも忙しさと作業量の多さが目立ち、ゆっくりと教えていく事が出来ないのが現状の様です。今回はそんな新人さんだけではなく、諸先輩の方々からも意外に多い質問である、豚を飼育、管理する上での基本について、今回から3回に分けてこのテーマでお話をさせていただきたいと思っています。

ポイント(1)

豚の生態と生理について飼料、飲水のチェック

<豚の生態>

雑食性で食性が広い。
 嗅覚はきわめて敏感。
 聴覚は発達し音に驚く。
 視力は弱く盲目。
 汗腺は少なく暑さに弱い

<豚の生理>

体温 1〜100kg 40〜39℃、成豚 39〜38.5℃
 呼吸数 気温18℃ 20〜30回/分(若令豚50以上、母豚13〜15)
 脈拍 安静時 70〜80回/分(新生子豚200〜280)

ポイント(2)

分娩舎内での管理。
同一豚房内に適正環境の異なる母豚、哺乳子豚がいるため、両者を同時に満足させる環境管理が重要です。
新生子豚の適温は生時で約36℃、母豚の適温は約18℃です。
特に新生子豚や哺乳子豚へ、風が当たる行為は絶対に避けなければなりません。
子豚の様子を観察しながら(重なり合ってはいないか、母豚の腹の上に寝てはいないか等)、体温低下を防ぐ熱源管理(ブルーダー、コルツヒーター、床暖房、ゴムマットや敷材等)を行います。
下腹部を冷やさないことが下痢の発生を防ぎます。

ポイント(3)

飼養環境における疾病対策の基本概念について。−5つの基本−
この5つをしっかり管理することにより、豚への無駄なストレスが減り、生産性の向上を図ることができます。

<(1)飼料と(2)飲水の管理について>
飼料と飲水の管理が不十分であると疾病の散発や増加、消化不良、発育不良、肉質低下など、生産性に悪影響を与えます。よって、飼料と飲水に無駄が少なく、各ステージでバランスよく摂取されていると、必ず出荷日齢の短縮と飼料要求率の改善に繋がっていきます。特に哺乳子豚の餌付け、水付けは重要です。そのためには、日々の確認を行っていく『観察眼』と『クセ』が必要になります。これらがないと、「飼料は飼料タンクからラインで運ばれ給餌器に入るので十分食べているはず。」「飲水は給水器が付いてるし、水も出ているし、死亡してもいないから十分に飲んでいるはず。」と豚の状態や行動に対し疑問に思うことがなく、確認をほとんど行わないので、成績悪化の大きな要因になってしまいます。
水は最大の「餌」であり、餌1に対して水3位の量は与えることが重要です。

<(3)光の管理について>
豚房内の明るさも重要であり、点灯管理が必要になります。豚房内が暗いと、豚の食下量(食欲)が下がり、また作業者にとっても作業がしにくくなります。
台所程度の明るさ(300ルクス)を1日16〜18時間点灯する事で(ただし、6〜8時間は薄暗さか暗さを与えることが必要)、1母豚当りの生産子数が増加することが期待できると言われています。
また、発情再起も良くなるといわれているので、未経産にも有効です。

<(4)空気と(5)温度、湿度の管理について>
体感温度を維持できるように換気、断熱、暖房、散水で環境を管理しなければなりません。
また、空気の衛生環境(粉塵、空中浮遊細菌、ガス)についても管理しなければなりません。

<(4)その他の管理技術について>
実際に下痢や肺炎などの疾病が発生してしまった時の治療や予防のために薬剤投与がありますが、これらの行為も豚にとっては、ストレスになってしまいます。
また、無意味な豚房内への入り込みも強いストレスになります。
薬剤接種やワクチン接種は、使用目的、使用症状、使用量と回数、使用効果を十分に確認、把握することが必要です。

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