リキッドフィードと糞尿処理について

リキッドフィードの導入を考えておられる方の参考になれば

導入時の設備費などまだまだ課題があり、全ての農場が取り組めるシステムではないと思いますが、近年、リキッドフィードシステムを取り入れた肥育舎や子豚舎を建築される農場も見られています。
リキッドフィードシステムを採用した農場では”今までよりも糞尿処理が楽”になると思っていたところも多いのですがそれがあまり楽になっていない現状もあるようです。
今回は新しい飼養形態として注目されているリキッドフィードシステムに視点を変えて糞尿処理側から考えてみたいと思います。


現状(一例)

  • (1) 液餌飼料のため食い込みが良く(過食ぎみ)、糞が緩くなりやすい。
  • (2) 飲水摂取量も追加されるため糞便が緩くなりやすい。
  • (3) 餌槽の数や大きさ、制限給餌か不断給餌かなど、選定したシステムによっても体調や糞便性状が変化。
  • (4) 現状の畜舎システム(ドライフィードやウエットフィードを念頭に置いた糞尿分離型豚舎)では固形物と尿の分離が上手くいかない。
  • (5) 水分を含んだ糞便が堆肥舎に入り込む。
  • (6) 堆肥の発酵が今までのようにいかない。
  • (7) 糞濃度の高い尿が浄化槽に入り込む。
  • (8) 処理量は減少するが浄化槽の負荷が増加。
  • (9) 尿処理のトラブルが増加。処理が上手くいかなくなった。


取り組まれている対応

  • (1) 前処理の強化。固液分離機の設置と追加設備。
  • (2) 前処理の強化。原尿槽(調整槽)の追加設備。
  • (3) 制限給餌への変更。(導入設備によって異なる)
  • (4) 塩分濃度や脂肪濃度が高くならない飼料設計。(食品廃棄物利用の場合)
  • (5) 飼料中へのサプリメント製剤の利用。(ミネラル製剤など)

これからリキッドフィードシステムの導入を検討されていたり、今現在建設中の方は、長所とされる飼料比率、出荷日齢、要求率などの改善ばかりではなく、あまり目にされない糞尿処理の部分も考慮した方が良いかと思います。

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