子豚の初乳摂取量に影響を与える因子

(ピッグジャーナル2014年3月号掲載)
子豚の初乳摂取量に影響を与える因子

FACTORS INFLUENCING INDIVIDUAL PIGLET’S COLOSTRUM INTAKE

1.序論
 初乳摂取量の低下は、子豚の離乳前死亡の主要な原因の一つである。初乳は主要な栄養源であり、新生子豚への受動免疫に寄与する。初乳の生産は、子豚の乳房への刺激に依存する。
本研究は、タイの野外条件下での初乳摂取量に影響を与える因子を確認することを目的とした。

2.方法
 2013年の3~4月にタイの中央部地域にある養豚場で実施した。供試した頭数は母豚15頭とその母豚から生まれた151頭の子豚であった。試験期間中、母豚は開放豚舎で飼育し、外気温の平均は30.0±0.6℃で湿度の平均は64.2%であった。母豚は妊娠中及び授乳中は個別のペンで飼育し、分娩1週間前に分娩舎に移動した。子豚の出生の順番を記録し、分娩時及び分娩24時間後の子豚の体重を測定し、出生時から分娩24時間までの増体重を初乳摂取量とした。


 
観察項目
  子豚の初乳摂取量
  妊娠期間
  出生時体重
  出生順番
  一腹あたりの出生子豚数

3.結果・考察
 平均分娩時間は281±213分で一腹あたりの子豚数は10.1±2.74頭(7~15頭)であり、各子豚の出生までの間隔は平均30.7分であった。
 母豚の妊娠期間116.5±1.2日(113~118日)であり、子豚の出生時平均体重は1.71±0.32㎏(1.0~2.6㎏)、初乳摂取量平均は65.8ml(0~340ml)であった。
 それぞれの子豚の初乳摂取量と妊娠期間、出生時体重、出生順番および一腹あたりの子豚数との相関関係を表1に示した。

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 子豚の初乳摂取量は出生時体重、出生順番および1腹あたりの子豚数に相関する結果が得られた。
 出生時体重が重い子豚は、軽い子豚に比べて初乳摂取量が多かった。
 さらに、早く生まれた子豚は、遅く生まれた子豚に比べて初乳摂取量が多く、一腹あたりの子豚数が多いほうが少ない群よりも初乳摂取量が少なかった。
 子豚の初乳摂取に特別なケアが必要になるのは、出生時体重の低い豚、同腹中で生まれが遅い豚、一腹あたりの子豚数が多い群の豚であることがわかった。

5.一言
 今回の研究は、初乳摂取量の影響を確認するために実施されているが、出生が遅く、小さい子豚ほど初乳は摂取しにくいという知見が得られた。小さい子豚や一腹あたりの子豚数が多く競争で負けている個体に対しては人の手で初乳が十分に飲めるように里子を行うなど一手間が必要になることをより科学的に裏付けたものである。

Morakot.N.and Padet.T.
The 6th Asian Pig Veterinary Society Congress Ho Chi Minh City Vietnam September 23-25.2013 PO113

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