発がん物質と食品について(その1)

日常生活で身の回りには沢山の物質があり、恩恵や反対に被害を受けています。
その中で発がん物質と聞くと、非常に危険なものであまり関わりが無いイメージを持たれる方も少なくないと思いますが、身近にも発がん性物質は多く存在します。
もちろん発がん物質は無いに越したことはありませんが、どの様に我々と関わりがあるのか興味を持つきっかけになれば幸いです。

発がん物質とは

発がんとは人間の正常な細胞にある遺伝子が、発がん物質等の様々な原因により傷つき突然変異を起こし、増殖を繰り返して自身の組織等を破壊する性質を持つ腫瘍が出来る病気です。がんを誘発するか、またはその発生率を増加させる物質を発がん性物質としています。

発がん物質の種類

発がん物質は遺伝毒性発がん物質と非遺伝毒性発がん物質の2種類が存在します。
DNAに結合する化学物質は、遺伝子の突然変異を起こしやすく遺伝毒性発がん性があります。農薬や食品添加物などの意図的に食品に用いる化学物質に遺伝毒性発がん性の疑いがある場合には、その使用を禁止しています。一方で非遺伝性発がん物質については使用が認められています。

食品に含まれる発がん物質

食品に含まれる発がん物質は、国際的に汚染物質の基準値作成の基本となっている、食品中の汚染物質を”無理なく到達可能な範囲でできるだけ低くすべき(ALARA: As Low As Reasonably Achievable)”であるという考え方に基づいて低減の措置が取られています。
また、非遺伝性発がん性物質に関してはリスク評価を行い、一日摂取許容量(ADI)を設定し、食品中の曝露量を危険濃度以下に設定するよう規制されます。

発ガン物質実例

世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC)では発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動をおこなっています。
その中で人に対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、4段階に分類しています。なお、これは発がん性の強さではなく、「証拠の強さ」を示しているものです。
各グループについてと代表的な物質について下表に記載します。

グループ1(121種類※) ヒトに対して発がん性がある。
例)アフラトキシン、アルコール飲料、アスベスト、カドミウム、ホルムアルデヒド、ベンゼン
グループ2A(90種類※) ヒトに対しておそらく発がん性がある。
例)アクリルアミド、DDT、ダイアジノン、グリホサート、無機鉛化合物
グループ2B(322種類※) ヒトに対して発がん性がある可能性がある。
クロロホルム、フモニシン、ガソリン
グループ3(498種類※) ヒトに対する発がん性について分類できない。

使用が禁止されているような物質から日常で見かける可能性もある物質も存在している事がわかります。

最後に

普段口にしている食品にも様々な物質が含まれており、その中にも危険と評価されているような物も存在します。ただし、その危険性は摂取量とも深い関係があり、総合的に考える必要があります。現状で全ての危険な要素を把握出来ている訳ではありませんが、可能な限り知識を身に付け、明らかに危険性が知られているものを避けることも重要と考えます。また、偏った食事よりも多様な食事をまんべんなく食べるという事もリスクを減らすための方法です。

youtube