交配後および妊娠84日のIgA、乳質、血液生化学的、微生物学的、子豚の発育に対するプロバイオティクスの子豚や母豚への効能

(ピッグジャーナル2014年8月号掲載)


交配後および妊娠84日のIgA、乳質、血液生化学的、微生物学的、子豚の発育に対するプロバイオティクスの子豚や母豚への効能

EFFECT OF PROBIOTIC SUPPLEMENT TO PIGLET AND SOW FROM AFTER SERVICE ,84DAYS OF GESTATION ON IgA AND MILK QUALITY , BIOCHEMICAL,MICROBIAL,PIGLET PERFORMANCE

1.序論

 薬剤耐性菌の出現や動物製品への薬物残留の懸念または腸内細菌叢の不均衡から成長促進剤として抗生剤を使用することはいくつかの国では禁止されている。プロバイオティクスは成長促進剤としての抗生剤使用にとって代わる効果的なものであり、母豚や子豚の発育促進効果を示す。また、妊娠期や泌乳期の母豚に使用することで子豚の出生率や離乳率に良い影響を与えることがわかっている。
 本研究はプロバイオティクス(BACTOSAC)を飼料添加することによる交配84日後においてのIgA濃度、乳質、血液生化学的検査、糞便内微生物学的検査や母豚や子豚の発育への影響およびプロバイオティクスを液体サプリメントとして子豚に与えることによる子豚の発育への影響を評価することを目的とした。

2.方法

 母豚120頭を無作為抽出し3つのグループに分けた。

  ① 対照群

  ② 分娩前から離乳までの1か月間プロバイオティクスを添加
  ③ 交配から離乳までプロバイオティクス添加
  ②と③には妊娠中は0.05%、泌乳中は0.1%プロバイオティクスを飼料添加した。
 

 さらに試験群ごとにプロバイオティクスを液体サプリメントとして子豚に与える群と与えない群に分けた。液体サプリメントの与え方は、1日齢および3日齢時に1mL/L頭で経口投与し、離乳時まで5mL/同腹/日となるように餌に混ぜて投与した。

 糞便は母豚30頭から分娩日と分娩1週間後に採材し、乳酸菌数および大腸菌数を数えた。母乳と血液は分娩1週間後に採材しIgA濃度、乳質及び血液生化学検査を行った。
離乳前死亡率と出生時および離乳時体重を測定した。

3.結果と考察

 プロバイオティクスを飼料添加することにより母豚の分娩時におけるストレスの指標となる糞便内大腸菌数が減少した(図1)。
 
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また、飼料添加群において総タンパクとIgA濃度が有意に増加し、乳中タンパク質も増加傾向を示した(図2、3)。
 
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 プロバイオティクスを母豚に飼料添加することにより離乳体重の増加、一日増体重の増加および生存率上昇を示した。また、プロバイオティクスを液体サプリメントとして子豚に給餌すると子豚の発育がさらによくなった(図4)。
 
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 以上のことからプロバイオティクスを母豚と子豚の両方に使用することで家畜の生産性の向上に効果を示すと考えられる。 

4.一言

 本論文よりプロバイオティクスを母豚と子豚の両方に使用すると増体効果が認められた。プロバイオティクスは解明されていない点も多いが、こういった利益となりうる発表の動向をみて、今後の生産向上の1つの材料として考えてみてはどうだろうか。

Winai Thongmak et al The 6th Asian Pig Veterinary Society Congress Ho Chi Minh City Vietnam
September 23-25.2013 OR21

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