米コーネル大学は、今月17日の科学雑誌『the International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology』にて、米国全土の農業土壌におけるリステリア属菌の分布を調査した際に、5つの新種のリステリア属の菌を確認できたことを発表しました。また、このリステリア属の菌は、同属では共通としてみられた細胞の運動性が無いことから、リステリア属菌を同定する方法を見直す必要が考えられました。
食中毒の原因菌としてリステリア・モノサイトゲネスが知られていますが、米国では毎年約1,600人が本病原菌による食中毒にかかり、そのうち260人近くが死亡していると推定されております(抗生物質を投与しても致死率は高い)。類縁のリステリア属の菌は、本病原菌と似たような性質を持ち、本病原菌の生育にも影響することから、類縁のリステリア属の菌が食品を取り扱う環境に存在するかどうかをモニタリングすることは重要です。実際、米食品安全強化法(FSMA)のPCHF規則において、環境モニタリング項目として、リステリア菌のふき取り検査が例示されており、重要な管理指標として用いられています。
そのため、今回の発見は、リステリア属の菌の見逃しを防ぐことで、衛生状態の新たな判断材料となり、食品汚染防止等のリスク管理対策につながるものとして期待されます。
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