これまでの度重なる法改正により、現在はアスベストの事前調査をおこなうためには専門資格が必要となっています。
ではアスベストの専門資格とは具体的にどのような資格なのか、資格を所有することでどのようなことができるのか、気になる人も多いかと思います。
この記事では、アスベストの事前調査をするために必要な資格について詳しく解説していきます。
これからアスベスト専門資格を取得したいと思っている人や、事前調査を行おうとしている人にとっては特に参考となる情報ですので、ぜひ最後までお読みください。
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アスベスト調査に必要な資格はどんな資格?
まず、建物解体や改修工事でアスベスト(石綿)の飛散を防ぐため、事前調査は資格保有者のみが実施できる、ということが法令で義務付けられています。
またアスベストの事前調査自体においても義務付けられているので、アスベスト調査において必須の専門資格となります。
その資格ですが、事前調査が可能となる資格は以下3つとなります。
- 石綿含有建材調査者(国家資格)
- 工作物石綿事前調査者(国家資格)
- アスベスト診断士(民間資格)
もう一つ「石綿作業主任者(国家資格)」という資格もありますが、この資格は「アスベストの解体工事などにおいて指示・監督する役割」のための資格なので、事前調査はできません。
上記のうち「アスベスト診断士」のみは民間資格となっています。
代表的な3つのアスベストの資格について、それぞれ詳しく解説していきます。
【資格①】石綿含有建材調査者
石綿含有建材調査者は、建築物やその付属施設に使用されている建材にアスベストが含まれているかを調査する上で必要となる資格です。
石綿含有建材調査者は調査できる建築物の種類に応じて、「①一般」「②特定」「③一戸建て」の3つに分類されます。
それぞれの資格について詳しく解説していきます。
①一般建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有建材調査者は全ての建築物と構造物のアスベスト含有調査をおこなえます。
主に住宅や小規模な建築物を含む一般建築物を対象とする資格ですが、行える業務は次で解説する「特定建築物石綿含有建材調査者」と相違ありません。
一般と特定の違いは「資格取得の講習内容」などです。
講義時間:11時間
筆記試験:有
参考:石綿総合情報ポータルサイト「一般建築物石綿含有建材調査者講習」|厚生労働省
一般建築物石綿含有建材調査者の試験難易度や合格率
一般建築物石綿含有建材調査者には筆記試験がありますが、その合格率はおおよそ70%前後といわれています。
比較的高い合格率で、講習をしっかりと受けて試験に臨めば合格できる難易度なので安心して勉強すると良いでしょう。
アスベストとはどういう鉱物でどんな種類があるのか、建材ごとのアスベストレベルどれに該当するのかなどアスベスト自体の基礎知識、石綿障害予防規則などの省令の内容など、アスベスト問題の基盤となる知識は繰り返し頭に叩き込んでおくことが大切です。
②特定建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有調査者と同様の業務が行えるのが、この「特定建築物石綿含有調査者」です。
主に公共施設や大型商業施設などの特定建築物のを対象にアスベスト含有調査をおこないます。
前項の「一般」と違う部分は資格取得のための講習内容です。
講義と筆記試験に加え、実地研修や口述試験もあります。
受験資格も若干の違いがあり、特定建築物石綿含有建材調査者の資格はどちらかといえば熟練者向けの資格だといえます。
講義時間:11時間
筆記試験:有
実地研修:有(実際の建物を使用)
口述試験:有
- 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識1(1時間)
- 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識2(1時間)
- 石綿含有建材の建築図面調査(4時間)
- 現場調査の実際と留意点(4時間)
- 建築物石綿含有建材調査報告書の作成(1時間)
参考:石綿総合情報ポータルサイト「特定建築物石綿含有建材調査者講習」|厚生労働省
特定建築物石綿含有建材調査者の試験難易度や合格率
特定建築物石綿含有建材調査者の試験難易度や合格率は一般と同じく70%前後といわれますが、特定の場合は口述試験もあります。
口述試験とは、正解のある面接形式の試験で説明能力や適正を考査される試験となっているので、知識を覚えた上でしっかりと説明できなくてはいけません。
アスベストやそれを取り巻く省令などの基礎知識はきちんと理解した上で他人に説明できるよう、言葉として口に出す練習もして試験に臨むと良いでしょう。
③一戸建て等石綿含有建材調査者
「一戸建て等石綿含有建材調査者」は名前の通り一戸建て住宅や個人所有物件のみを対象にアスベスト含有調査を行える資格です。
一般や特定よりも業務範囲に制限があり、戸建住宅・共同住宅の住居部分のみ限定的な調査ができるよう定められています
講習内容は講義と筆記試験となっています
講義時間:7時間
筆記試験:有
- 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識1(1時間)
- 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識2(1時間)
- 一戸建て住宅等における石綿含有建材の調査(1時間)
- 現場調査の実際と留意点(3時間)
- 建築物石綿含有建材調査報告書の作成(1時間)
一戸建て等石綿含有建材調査者の試験難易度や合格率
一戸建て等石綿含有建材調査者の合格率は90%以上と、一般や特定よりもさらに高い合格率となっているようです。(独自調べによると)
限定的な調査のみがおこなえる資格ということから、出題レベルもやや低めなのでしっかりとアスベストの基礎を押さえておけば合格できる難易度といえます。
ただし、合格率だけを見て手を抜くのではなく、アスベストにおける基礎知識部分は資格取得後の業務に大きく関わってくるので何度も予習しておくことが大切です。
【資格②】工作物石綿事前調査者
工作物石綿事前調査者とは、アスベスト含有が疑われる特定工作物の調査をおこなうために必要な資格です。
工作物とは、建築物そのものではなくそれに設置されているボイラーや発電設備、焼却設備、配管、その他特定工作物(厚生労働省によって定められているもの)に係るアスベストを専門とする調査者となります。
ちなみに令和8年1月1日より、工作物においては工作物石綿事前調査者によるアスベスト調査が義務付けられます。
参考:工作物の解体等に係る事前調査者について(令和8年1月1日施行)|厚生労働省 千葉労働局
講義時間:11時間
筆記試験:有
- 工作物石綿事前調査に関する基礎知識1(1時間)
- 工作物石綿事前調査に関する基礎知識2(1時間)
- 石綿使用に係る工作物図面調査(4時間)
- 現場調査の実際と留意点(4時間)
- 工作物石綿事前調査報告書の作成(1時間)
工作物石綿事前調査者の試験難易度や合格率
工作物石綿事前調査者の合格率は70%〜90%といわれています。基本的に講習を受けていれば合格する難易度の資格なので、安心して試験に臨むと良いでしょう。
ただし、合格率に関しては明示されているわけではないのであくまで参考程度に。
事前調査の対象になるものや、工作物の特性と絡めた調査の方法などアスベスト以外の予備知識も必要となるので、予習は欠かさずにおこなうことが大切です。
【資格③】石綿作業主任者
石綿作業主任者はアスベスト除去作業の現場指揮や計画立案をする監督役をするための国家資格です。
この資格は名前の通り除去作業における監督、作業環境の整備が主な業務なので、アスベストの事前調査などは行えません。
石綿作業主任者は、保護具の知識や健康被害などについての知見も必要となり、実際に作業者の命を現場で預かる大事な役割を担っています。
資格取得方法は石綿作業主任者技能講習と修了試験を受けることで取得でき、受講資格などはありません。誰でも資格取得できます。(業務できるのは18歳以上)
講義時間:約10時間程度
筆記試験:有
- 石綿による障害とその予防措置(2時間)
- 作業環境の改善方法(4時間)
- 労働衛生保護具(2時間)
- 関係法令(2時間)
石綿作業主任者の試験難易度や合格率
石綿作業主任者の合格率は90%以上と高く、講習をしっかりと理解していれば合格できるといえます。
試験に関しても設問25問の三者択一式で、引っ掛け問題などもないため解きやすい内容になっているようです。
難しい解釈がありそうな法令周りを重点的に学んでおくと良さそうです。
【その他】アスベスト診断士
アスベスト診断士は、建築物に使用されている建材にアスベスト(石綿)が含まれているかどうかを調査・診断し、適切な管理や除去に関する助言を行うための専門資格です。
この資格は主に予備診断やコンサルティングを行うことが目的であり、建築物の解体・改修時に法令に基づいた事前調査を行う「石綿含有建材調査者」とは異なります。
国家資格ではなく、民間資格という点も違いがあります。
また、建材のアスベスト含有の可能性を判断し、除去の必要性やリスク管理についてアドバイスを提供するため、アスベストの基礎知識や建材の種類に関する知識が必要になります。
資格取得方法は、一般社団法人 日本アスベスト調査診断協会(JATI)の実施する講習を受講し、修了試験に合格することで取得できます。特に受講資格の制限はありませんが、建築・環境分野の知識があると合格しやすいです。
講義時間: 約10時間程度(3日間)
筆記試験: 有
- 石綿の基礎知識
- 石綿の健康影響
- 関係法令
- 建築物に関する基礎知識
- 調査の手順および調査方法(実習含む)
- 報告書の作成方法(実習含む)
- 分析に関する基礎知識(実習含む)
- 飛散防止対策
- 廃棄物の処理方法
- 保護具の正しい使い方
- 建築リサイクルに関する知識
アスベスト診断士の試験難易度や合格率
アスベスト診断士の受講資格は、一級建築士や施工管理技士の有資格者、石綿作業主任技能講習などを修了した人や実務経験のある人に限定されるので、合格率は高めといわれています。(明確な数字はありません)
既にアスベストや施工作業などに精通した人が取得する資格なので、基礎知識等の復習をして講義を受ければ問題なく取得できる難易度でしょう。
アスベスト調査に必要な資格はどのくらいの期間で取得できる?
アスベスト調査に必要な資格、「石綿含有建材調査者」の取得には、通常として数日の講習や実務を受け、所定の試験に合格することで資格取得できます。
具体的な期間は、受講する研修の内容や開催状況によって異なります。
一般的には、「講習期間が通常3日〜5日間程度」「試験が1日」「合格後は数日以内に通知され資格証が交付」という流れとなります。
再試験を受ける場合などは資格取得までの期間が少し伸びますが1か月以内には資格が取得できるといえます。
アスベスト調査には資格が必要?
2023年10月1日から、建築物のアスベスト事前調査をするためには「石綿含有建材調査者」等の資格が必要となっています。
アスベストの健康被害が年々明らかになっていくにつれ、適切な対処を専門家が行う必要性も強まっていることが理由の一つです。
工作物におけるアスベスト調査もそうですが、アスベストの法令・省令などについては、現在進行形で変わっていく部分もあるため、将来的に前述した資格以外の資格も新設される可能性もあります。
参考:解体・改修・各種設備工事を行う事業者の皆様へ 令和5年10月から、建築物等の事前調査には資格が必要です!|厚生労働省 山形労働局
資格が不要な調査はある?
まず工作物に係るアスベスト事前調査については、令和5年(2023年)10月1日以降も上記の資格は不要ですが、令和8年1月1日からは工作物の解体工事なども専門の調査者資格が必要となります。
他には、過去にアスベスト調査が行われており、その結果を確認するだけのものなど。新たに詳細な調査を実施しないケースでは資格者は不要となります。
つまり、アスベストの事前調査に該当しない軽微な調査は、基本的に資格が無くても問題なく行えます。

アスベスト調査に実務経験は必要?
まず、アスベストの調査は資格を所有した人が行わなければならないという決まりがあります。
そして、調査が可能となる資格「石綿含有建材調査者」などの資格取得条件には実務経験、職務経験がある者という条件があります。
このことから結論として、アスベスト調査には実務経験が必要だといえます。
また、経験・知識を有する者という条件もありますが、実情として実務経験がないと同程度の知識を有する者とは認められにくいので実務経験は必要と認識しておきましょう。
アスベストの資格が必要のない作業や調査まとめ
アスベストに関わる資格が不要となる作業や軽微な調査があります。
理解しやすいように端的に伝えると、健康被害のおそれがない作業や調査はアスベスト調査者等の資格は不要です。
例に挙げると、書面調査や報告、既にアスベストが対処された建築物における調査などは資格が無くても行えます。
一つずつ解説していきます。
書面による事前調査(設計図書などの確認)
建築物のアスベスト調査を行う際、過去の設計図書や施工記録などの書面を基にアスベストの使用有無を確認する作業です。
これは、実際に現地調査を行うのではなく、建築物の情報が記載された書面に基づいてアスベストが使用されているかどうかを確認するだけのため、資格が不要です。
石綿事前調査結果の報告
過去に行われたアスベスト事前調査の結果を報告する作業です。
この場合、実際に調査を実施するわけではなく、既存の調査データをまとめて報告するだけなので、資格が必要ありません。
ちなみにこの報告は「石綿事前調査結果報告システム」から報告します。
事前調査が過去すべて完了かつ記録変更がない建築物の調査
過去にアスベスト調査が完全に行われ、調査結果が記録として残っており、その後の建材変更やリフォームがない建物については、新たに事前調査を行う必要がない場合があります。
そのため、このような建物の調査ではアスベストが既に対処された建築物としてみなされるので、資格が不要となります。
平成18年(2006年)9月1日以降に着工された建築物の工事
原則として2006年9月1日以降に着工された建物には、アスベストが使用されていないことが明らかになっています。
そのため、前述した日以降に建築された建物についてはアスベスト含有建材を使っていないと判断できるため、アスベスト調査自体が基本的に不要となります。
まとめ
アスベスト調査には専門の資格が必要となり、その資格にもいくつか種類がありますので、どの資格を取得するのか最初に迷うことでしょう。
この記事で紹介した資格の中で、最も業務の幅が広い「石綿含有建材調査者」を取得するのがおすすめです。
工作物石綿事前調査者やアスベスト診断士(民間資格)もありますが、限定的な範囲での業務しか行えないので、石綿含有建材調査者の一般もしくは特定を取得しておくと幅広い現場に対応できそうです。
資格取得にはアスベストに関する基礎知識はもちろん、法令や省令なども覚える必要があるので合格率が高めといえど、しっかりと講習を受け勉強しておくことが大切です。
講習会や研修会などを開催している場に参加してみるのも、資格取得の助けになるかと思いますので、申し込んでみるのも良いでしょう。