「住宅にアスベストが使われているか見たらわかる?」
「管理している物件でアスベストのような素材が使われているけど、本当にアスベスト?」
古い家屋などを所有している人は建物にアスベスト(石綿)が使われていないか、不安に思う時があるかと思います。
解体業を営む人にとってもアスベストの有害性を理解しているため、知らずに接触しないよう目視で判断できるようになっておきたい人もいることでしょう。
まず、アスベストが使われている建築物を発見した場合は大気汚染防止法に基づき、石綿の飛散防止措置のうえで適切に除去する必要があります。
そのため、アスベストの特徴を知って目視確認できるようになっておくことは、健康被害を最小限に抑えて処理するためにも重要なことといえるでしょう。
この記事では、アスベストの特徴を写真付きで解説。
アスベスト分析調査を行う当社「食環境衛生研究所」の知見も基に、アスベストを見分ける方法を詳しく説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 当記事で紹介する情報はアスベスト判定を保証するものではありません。
- アスベスト調査は専門資格保有者か同等の知識を有する専門家の立会いのもと行ってください。
- アスベスト分析調査が必要な際は、石綿分析技術評価事業認定技術者、一般建築物石綿含有建材調査者の資格保有者が在籍し分析を行っている当社食環境衛生研究所までご相談ください。
アスベストの見た目の特徴から見分けられる?
アスベストは基本的にそのまま使用されることはなく、何かしらの素材に混ぜ込まれて使用されます。
通常では見た目で判断することが難しいといえますが、建材が劣化すると混合されらアスベストの特徴が浮き出てくるケースもあります。
そういったケースでは、見た目の特徴でアスベストが使われているのか推測は可能です。
まずは、どの建材にアスベストが混ぜられていて、どんな見た目の特徴が出るのかを知っておきましょう。
アスベスト建材には大きく分けて以下があります。
- 「吹付け材」
- 「断熱・保湿材」
- 「成型板(繊維プレートのようなもの)」
また、これらのアスベスト建材には飛散・発じん性のレベルがあり、1〜3まで区分されています。(1が最高レベルで危険性が高い)
以下の表はアスベスト含有建材と区分です。
レベル/飛散性 | 見た目 | 大気汚染防止法の区分 | アスベスト含有建材の例 |
---|---|---|---|
レベル1/高 | 綿状、垂れ下がりやすい | 吹付け石綿 | 吹付けアスベスト、乾式吹付けロックウール、半乾式吹付けロックウール、湿式吹付けロックウール、軽量塗材(吹付けバーミキュライト(ひる石))、軽量塗材(吹付けパーライト) |
レベル2/中 | シート状、ある程度の固まりがある | 石綿含有断熱材 | 煙突用断熱材、屋根用折板断熱材、石綿含有保温材(配管等保温材)、石綿含有耐火被覆材(けい酸カルシウム板第2種) |
レベル3/低 | 固形、プレート状 | 石綿含有仕上塗材 | 薄塗材C(セメントリシン)、内装薄塗材E(じゅらく)、厚塗材C(セメントスタッコ)、石綿含有成形品等、けい酸カルシウム板第1種、建築用下地調整塗材、ビニル床タイル、スレート波板 |
吹付けアスベスト(レベル1)
アスベストにセメントを混合して吹付ける建材で、断熱や吸音の用途で使用されていました。
吹付けアスベストの見た目の特徴は「固まりの綿」のような状態で柔らかく、劣化すると埃のように垂れ下がってきます。そのため、かなり飛散しやすい建材です。
また、吹付けアスベストはアスベスト濃度が非常に高いということもあり、レベル1の区分で最も厳しい調査・除去対策が必要とされます。
昭和30年代〜50年代初頭あたりで住宅以外の建造物を中心に使用されていました。
【主な商品名】
ブロベスト、おぱベスト、サーモテックスA、トムレックス、リンペット、野沢コーベックス、平和レックス、スターレックス、防湿モルベルト
石綿含有断熱材・保湿材(レベル2)
アスベストを繊維状にした断熱・保湿材です。
建材に裏打ちする形で使用されるアスベストフェルトなどが代表例として挙げられます。
見た目の特徴は、やや繊維がまとまりシート状になっています。主にダクトや配管の曲がり、またはL型配管継ぎ手表面に使われていました。
基本はアスベスト保湿材の上からカバーや養生で覆われてしまうため、劣化して内部が見えている状態でないと見た目で判断できません。
アスベストをシート状にした繊維製品なので吹付け材よりも飛散レベルは低いですが、アスベスト含有率90%と非常に高い製品(煙突使用の製品など)もあるため、徹底したばく露対策が必要となります。
昭和30年代〜平成3年あたりまで使用されていました。
【主な商品名】
フェルトン、ブルーフェルトン、レアフォームなど
石綿含有成形品(レベル3)
アスベストをセメントなどと混ぜボードやプレートにした建材です。アスベストを含んだケイ酸カルシウム板やスレートなどが有名です。
主に耐火性、耐水性に優れ、水場周りに使われていることが多いです。
見た目の特徴は、固形でプレート状。砕いたりしない限り、飛散する可能性は低いです。一般的なセメントに混ぜられているため、見た目だけでの判断が最も難しいともいえます。
スレートにおいては屋根や外壁などによく使われており、基本は固まっているため劣化や損傷がなければ飛散しないのでレベルは最も低いです。
劣化が見られない場合は急いで除去する必要がないものとされていますが、ポロポロと劣化が見られる場合は囲い込み・封じ込め等をしておく必要があります。
キャスライト、サイネックス、ケイカライトなど
アスベスト含有の石膏ボードは製造番号で見分けられる
よく建材としても使われる石膏ボードには過去、アスベストを含むものもありました。
「一般社団法人 石膏ボード工業会」の公表によると、主に昭和45年〜昭和61年あたりに製造されていた一部の石膏ボードにアスベストが使われていたとされています。
ただし、割合としては非常に少なく「1%弱」と推定されているため、明確な調査方法がなく、製造番号で判断するのが慣例となっています。
以下がアスベスト含有の可能性がある石膏ボードと製造番号です。
№ | 製品名 | 厚さ | 防火材料認定番号 |
---|---|---|---|
① | 9㎜厚 準不燃石膏吸音ボード | 9mm | 第 2006 号、第 2019 号 |
② | 9㎜厚 化粧石膏吸音ボード | 9mm | 第 2014 号、第 2010 号 |
③ | 7㎜厚 アスベスト石膏積層板 | 7mm | 第 1012 号 |
④ | 9㎜厚 アスベスト石膏積層板 | 9mm | 第 1013 号 |
⑤ | 9㎜厚 グラスウール石膏積層板 | 9mm | 第 1014 号 |
⑥ | 9㎜厚 不燃石膏積層板 | 9mm | 第 1004 号 |
⑦ | 7㎜厚 準不燃アスベスト石膏積層板 | 7mm | 第 2008 号 |
※1 | 15 ㎜厚 ガラス繊維網入り石膏ボード | 15mm | - |
※2 | 12 ㎜厚 化粧石膏板(個別認定) | 12mm | (個)第 1425 号 |
アスベストの有無はこれらの製造番号等を確認することで推定できますが、厳密に調査したい場合は分析調査に出すことも検討すべきだといえるでしょう。
アスベスト素材の色で見分ける
アスベストは基本的に他の素材と混ぜられて使用されるため、見た目だけで判断することが難しいです。
とは言いつつも、アスベストの種類ごとに色の特徴が明確にあり、混合建材にもその特徴が表れる場合があります。そういった場合ではアスベスト使用の推測が可能です。(あくまで推測であり、特定するには専門家の調査が必要となります。)
代表的なアスベストは3種類で「クリソタイル(白石綿)」「クロシドライト(青石綿)」「アモサイト(茶石綿)」があり、それぞれ白、青、茶という色の特徴を持ち合わせています。
画像引用:鉱物及び石綿含有材料等に関する基礎的な知識|厚生労働省
アスベストの種類 | 色の特徴 | 特徴 |
---|---|---|
クリソタイル(白石綿) | 白色、灰白色 | 白石綿、温石綿と呼ばれ、繊維が柔らかく「白っぽい外観」が特徴です。石膏ボードや床材に多く使用されました。 |
クロシドライト(青石綿) | 青色、青みがかった灰色 | 角閃石群の青石綿で酸にもアルカリにも強い。最も毒性が高いのが特徴です。駐車場の天井や船舶、化学工場で使用されました。 |
アモサイト(茶石綿) | 茶色、灰色 | 茶石綿、褐石綿と呼ばれ、硬く耐久性があるのが特徴です。スレート材、断熱材や防火材に使用されました。 |
上記3つの代表的なアスベストですが、毒性の強い順に並べると以下のようになります。(上から順に強い毒性を持つ)
- クロシドライト(青石綿)
- アモサイト(茶石綿)
- クリソタイル(白石綿)
ちなみに、代表的なアスベスト3つの中で一番強い毒性を持つのがクロシドライト(青石綿)となります。
全てのタイプのアスベストで石綿(アスベスト)症、胸膜の変化や腫瘍性病変を生じることが知られているが、実験結果及び疫学研究結果から異なるタイプのアスベスト間で呼吸器疾患を生じる能力に差があり、クロシドライトが最大、クリソタイルが最小で、アモサイトが中間と考えられている(ACGIH(7th, 2001))。
アスベストにおける色の特徴を説明しましたが、ロックウールなどの建材はアスベストと同じ色合いのため判別は難しいとされます。また、含有量の割合によっては色の特徴がみられないケースもあるため、色の特徴だけでアスベストの有無は判断できないといえるでしょう。
確実にアスベストを特定したい場合は、アスベストの分析調査に出すことをおすすめします。
アスベストの見分ける方法まとめ
アスベストは素材特有の特徴があります。
別の建材にアスベストが混ぜられている場合は見た目だけで判断することは難しいですが、推測は可能です。
また、早急な対応が迫られる際には、防護服着用のうえアスベストの一部を採取して調べる方法もあります。
アスベストを見分ける・確認する方法をまとめると、主に以下が考えられます。
確実にアスベストを判定するためには当社「食環境衛生研究所」のようなアスベスト分析調査機関による分析調査が必要ですが、分析には時間がかかります。
早急な対応が必要とされるケースでは、前述した方法でアスベストを暫定し「アスベスト含有みなし判定」を進める手段をとることもあります。
そのため、実際の解体現場や中間処理場で作業する人などはアスベストの見分け方や確認方法を頭に入れておくことも大切です。
同時に、アスベストの見分け方や使用確認の方法を少しでも知っておくことで健康被害を防ぐ手助けにもなるでしょう。
アスベストの見分け方・確認方法を一つずつ解説していきます。
建物の設計図・仕様書を確認する
建設着工日がアスベスト全面禁止となる法改正前の場合、具体的なアスベスト建材と使用されている場所を特定しなくてはなりません。
その際には設計図や仕様書などから、建材を洗い出して調査を進める必要があります。
具体的には設計図などから読み取った使用建材を「石綿含有建材データベース」で検索して、アスベスト建材に該当するかどうかを調べることで分かります。
アスベストの建材名や使用場所から見分ける
アスベスト建材ですが、建築物で使用される部位がある程度決まっているため、使用場所の予測を立てやすいです。
後の項目で詳しいアスベスト建材の種類を解説しますが、主に以下の表でまとめたような場所に使用されていることが多いです。
住宅やマンションにアスベストが使われているのか見分ける参考になります。
建物の種類 | 使用場所 | 主なアスベスト含有建材 |
---|---|---|
一戸建て | 屋根 | 石綿含有住宅屋根用化粧スレート、石綿含有ルーフィング |
外壁 | 石綿含有窯業系サイディング、石綿含有建材複合金属系サイディング | |
煙突 | 石綿セメント円筒 | |
内壁 | 石綿含有石膏ボード(壁紙) | |
水回りの床 | 石綿含有ビニル床タイル(シート) | |
RC/S造 | 駐車場 | 石綿含有けい酸カルシウム板第2種、石綿含有耐火被覆板 |
ボイラー室 | 石綿含有けいそう土保湿材、石綿保湿材、吹付け石綿、石綿吹付けロックウール、湿式石綿含有吹付け材など | |
エレベーター | 吹付け石綿、石綿吹付けロックウール、湿式石綿含有吹付け材 | |
配管周り | 石綿含有けいそう土保湿材、石綿保湿材 | |
トイレや洗面台 | 石綿含有けい酸カルシウム板第2種、石綿含有耐火被覆板、石綿含有スレートボード・フレキシブル板 | |
天井、内壁 | 石綿含有吹付けバーライト(バーミキュライト) | |
煙突 | 煙突用石綿断熱材 |
建材の製品名や製造番号を「石綿総合情報ポータルサイト」で照合する
アスベスト含有の疑いのある建材を国土交通省が提供する「石綿総合情報ポータルサイト」で調べることができます。
データベースには建材メーカーが過去に製造した石綿(アスベスト)含有建材の種類、名称、製造時期、石綿(アスベスト)の種類・含有率等の情報が登録されており、建材の製品名などを照合することで、アスベスト含有建材かどうかを簡易的に判断できます。
画像参考:石綿含有建材データベース|国土交通省
検索窓に商品名などを入れて検索すると、アスベスト含有建材名や製造期間、含有率などが表示されます。
検索してヒットした場合は、どのような建材なのかを調べて的確にアスベストを除去する必要があります。
建築物の製造年や築年数を調べる
アスベストは主に昭和45年~平成2年代頃まで多くの場所で使用されており、平成18年9月1日に全面的な使用禁止となりました。
上記のように明確に使用・製造が禁止された日というものがあるため、築年数を目安に建築着工日を確認できればアスベスト建材が禁止される前なのか、後なのか分かります。
それと同時に、設計図書による使用建材と照らし合わせればより正確な使用有無が推測できます。
段階的に法改正が行われてきたアスベストですが、特に見るべきポイントは前述した平成18年9月1日施行(2006年)の労働安全衛生法施行令改正。
この改正では「石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての物の 製造、輸入、譲渡、提供、 使用が禁止」されました。
つまり、着工日によってアスベスト使用の判断ができるともいえます。
- 着工日が平成18年9月1日以降であれば「アスベスト使用が無いと判断」
- 着工日が平成18年9月1日以前であれば「アスベスト使用の可能性あり」
過去のアスベスト事前調査結果から判定する
過去にアスベスト除去・解体工事をおこなっているかどうかを調べると、現在の建築物にアスベストが残っているのかを判定することができます。
過去の事前調査結果で石綿有りとの判定があるにもかかわらず、着工履歴が確認できない場合はアスベストが残されている可能性があります。
特に分析調査まで行っていない場合はアスベストレベルも調査しきれていないケースがあるため、要確認です。
石綿なしという判定結果が残されている場合は、過去の図面と現在の図面等に相違がないかを確認して判断すると安心です。
過去調査した建築物と同一であることと、アスベスト分析が規定通り行われたことを確認できれば「石綿なし」として判定できるかと思います。
石綿含有なしと判断する場合には、以下の事項に留意して慎重に判定する。
分析で判定した石綿の種類・含有率(なし判断については含有率が 0.1%以下と判定して
いるか、6種類すべての石綿を対象に分析しているか確認。)
調査対象建材について同一建材と判断する範囲(裏面情報や採取した試料の結果により、
どこまでの建材を同一と判断して石綿含有なしとするか)
当該過去の調査範囲(具体的な調査範囲について記録がない場合は、調査範囲がわから
ないため石綿含有なしの判断には直接使えない。)
酢酸を使って見分ける
吹付けアスベストに似た建材としてロックウールがありますが、見た目で見分けるのはまず困難です。
しかし、緊急性を要する現場などでアスベストか否かの判断材料の一つが欲しいといったケースもあるかと思います。
そういったケースにおいて活用できる方法が「アスベストの疑いのある建材の一部を採取して酢に浸ける判別方法」があります。
これは「アスベストが酸に強い」「ロックウールが酸に弱い」という両素材の特徴を活かした判別方法です。
該当の吹付け材を少量採取し、お酢に浸します。しばらくして、白い綿が溶けたらロックウール、溶けなかったらアスベストの可能性があります。
ただし、この方法はあくまで現場での簡易的な調査方法だということを頭に入れておきましょう。
指触で見分ける
アスベストは天然鉱物で結晶質のため指で擦っても繊維状に近い物質が残ります。
アスベストとよく似たロックウールやグラスウールは粉状になるという違いがあるため、指で擦ったときの状態でアスベストなのか見分けることもできる可能性があります。
この方法の注意点は、アスベストを飛散させるリスクが高いため徹底した防塵対策をした上で試す必要があることと、必ずしも繊維状のものがアスベストだとは限らないと認識しておくことです。
下記は当社「食環境衛生研究所」が採取したアスベスト含有建材の写真です。アモサイト(茶石綿)とグラスウールが混ざっていますが、どちらも外見は繊維状にみえます。
あくまで、早急な判断が必要とされる場合のみ行う見分け方なので、できる限りアスベストの専門家・分析機関に調査や分析を依頼する方が安全です。
アスベストマークの有無で見分ける
アスベストマークは、建材メーカーがアスベスト含有製品の取り扱い注意を喚起するためのマークです。
アスベスト含有建材などには稀に「“a”マーク(アスベストマーク)」が押印されており、その場合においてはアスベスト建材の判定が容易に可能です。
主にアスベスト成形板に20cm×20cmの寸法で表示されるようになっています。
画像引用:石綿含有建材の見分け方|埼玉県
アスベストマークを見つけた場合は、アスベストが飛散しないよう適切な対策を取り、除去することが重要です。
携帯型アスベストアナライザーで見分ける
携帯型アスベストアナライザーは、アスベストの存在を現場で迅速に判定するためのツールです。
画像引用:携帯型アスベストアナライザー microPHAZIR-AS|株式会社レックス
モノによってはアスベストの有無、含有量、場合によっては種類も確認でき、「含有あり」「含有なし」などの判定が出るので、その結果に基づいて次の対策を講じることができます。
持ち運べるサイズなので現場で迅速に判定できることから、解体作業時や災害現場でのアスベスト判定に携帯型アスベストアナライザーは非常に有効活用できます。
ただし、検出精度や調査の信頼性は機種や条件によって異なります。アスベストが含まれる量が多くない場合や、複雑な素材の場合は確実な判定が難しいことがあります。
アスベストを見つけたらどうする?
アスベストを見つけても、直ちに除去しなければならないわけではありません。
まず、見つけたアスベストが飛散する危険性があるかどうかを冷静に観察する必要があります。
もちろん触れたりするのはNGで、アスベストの専門資格を持つ人に対処方法などをまず確認することが大事です。
また、いかにも飛散リスクのある劣化が進んだアスベスト建材らしきものがある場合は、すぐに専門家へ調査依頼をおこないましょう。
当社「食環境衛生研究所」でも分析調査をおこなっております。「アスベストを見つけたけど判別できない」などアスベストに関するお悩みや疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
調査をしたのち、アスベストを「除去」「封じ込め」「囲い込み」のいずれかの方法で飛散防止措置を講じる必要があります。(石綿障害予防規則の規定に従い)
除去
リムーバル工法ともいわれ、アスベスト建材をすべて除去し非アスベスト建材へと入れ替える工法です。
アスベスト建材を除去するため、徹底した飛散防塵対策等が必要となり、工事費用も割高になります。
アスベスト自体が綺麗さっぱり取り除かれるので、他2つの工法のような点検が必要なくなります。
封じ込め
エンカプスレーション工法と呼ばれ、飛散リスクのあるアスベストを溶剤等を用いて吹きかけ固定する工法です。
名前の通り、アスベストを上から封じ込めるので、作業時の飛散リスクなども低いです。
しかし、アスベスト自体を除去するわけではないので、継続的な点検管理が必要とされます。
主に改修工事にて用いられることが多いといえるでしょう。解体時には前述した除去作業が必要となります。
囲い込み
カバーリング工法と呼ばれ、アスベスト建材を非アスベスト建材で密封する工法です。
飛散を防ぐための一時的措置として用いられることが多く、短時間での作業が可能です。
天井や梁などのアスベスト建材に対して用いられることが多いです。
処理後の維持管理が必要となることや、高度な密封技術が必要とされる点が留意すべき点です。
アスベストと見た目が似ている建材に注意
アスベスト建材と見た目が似ている建材も多く存在します。
目視だけではアスベストの判断ができないとされる理由の一つでもありますね。
その中でも特に紛らわしいとされるのが「ロックウール」と「グラスウール」の2つ。
見た目上は似ていますが、アスベストは天然繊維、上記2つは人工繊維という大きな違いがまずあります。
これら2つとアスベストの違い、見分けるヒントをこの項目では詳しく解説します。
ロックウール(岩綿)
ロックウールは名前の通り岩石が原料で、高熱で溶解して繊維状に加工した建材です。
アスベストも繊維状なので似ているということもありますが、過去ロックウールとアスベストを混合し吹付け材として使用していたことも紛らわしさの一つです。
吹付けアスベストが禁止されてからも平成2年頃までは、混ぜて使用されていました。
「吹付けアスベスト」と「吹付けロックウール」はほぼ同じ特徴をした見た目になっているので目視判断はできず、基本的には分析調査に出します。
【ロックウールとアスベストの違い】
■繊維の太さや形状
ロックウール:単繊維径は3〜10μ(ミクロン)で非結晶質
アスベスト:単繊維径は0.02〜0.35μで結晶質
■体内滞留と発がん性の有無
ロックウール:マクロファージによって分解される、発がん性はない
アスベスト:滞留しやすく発がん性が確認されている
アスベストは非常に繊維が細かく、肺の中にも入り込みやすいです。
対して、ロックウールは繊維径が太いため体内に入りづらく、細胞による分解もされるという違いがあります。
また、結晶質のアスベストは指などで擦っても粉々にならないのが特徴です。
【見分けるヒント】
- 顕微鏡による繊維質の確認
- 指で揉み解して粉々になればロックウール(要飛散対策)
参考:石綿含有建材の石綿含有率測定に係る講習会. テキスト|厚生労働省
グラスウール
グラスウールはガラスを原料とし、ロックウールと同じような製法で作られる建材です。
リサイクルガラスなどを再利用して材料にできるため、環境にやさしい建材でもあります。
【アスベストとグラスウールの違い】
■繊維の太さや形状
グラスウール:単繊維径は4〜8μ(ミクロン)で非結晶質
アスベスト:単繊維径は0.02〜0.35μで結晶質
■体内滞留と発がん性の有無
グラスウール:マクロファージによって分解される、発がん性はない
アスベスト:滞留しやすく発がん性が確認されている
ロックウールとほぼ同じといえる建材なので、アスベストとの違いも繊維の太さが違うだけです。
そのため、見分けるヒントもロックウールと同様と思って良いでしょう。
アスベストを見分けるのが難しい場合は分析調査をしよう
アスベストは他の建材と混合されて使用されることが多いので見た目の特徴だけで判断することは難しいです。
そのため、アスベストは有資格者による書面調査や分析調査なども合わせて総合的に判断する必要があります。
当記事で紹介した方法はあくまで簡易的な見分け方ですが、もしアスベストの疑いがあるということでしたら、アスベスト専門の分析を行っている専門機関に調査依頼をしましょう。
アスベスト分析調査を行っている当社「食環境衛生研究所」では、一般建築物石綿含有建材調査者の資格を保有する専門家が迅速な分析・調査をおこなっております。
最短翌営業日の対応も可能なので、もしアスベストでお悩みの事があれば、ずぐにご相談ください。
まとめ
アスベストを見分けるヒントはこの記事で解説した通りですが、特定するにはアスベスト分析調査が必要となります。
もしも解体工事中などにアスベストのようなものを見つけたら、早めにアスベストの調査・分析専門業者へ相談することが大切です。
アスベストの事前調査と報告は、現在ほぼ全ての工事において義務化されていますので、独自判断をしたり調査を怠ることのないようにしましょう。
当社食環境衛生研究所では、石綿分析技術評価事業認定技術者並びに、一般建築物石綿含有建材調査者の資格を保有する者が分析・調査を行っており、お客様からのアスベストに関する不安や質問に対応すべく、準備を整えております。
早急な分析が必要な場合でもご相談可能です。信頼性のある的確な分析調査をおこない、お客様のご希望に最大限対応いたします。
アスベストの調査・分析を検討している方はぜひ当社までお問い合わせください。