【マイクロプラスチック検査】について

現在、マスコミ等で取り扱っている「マイクロプラスチック」は環境中に放出された5mm以下のプラスチックごみとされています。

マイクロというと1000分の1mm(0.001mm)を想像してしまいますが、「マイクロプラスチック」のマイクロは「とても小さな」という意味で使用されています。

マイクロプラスチックが問題とされているのは、直接的な被害を受けている海洋生物や海鳥などだけではなく、プラスチックに吸着しやすい有害な化学物質(DDTやPCBなど)で汚染された魚介類を食べることによりヒトの健康に影響がでる可能性もあるからです。

弊社の「マイクロプラスチック検査」(簡易顕微鏡検査)は、前処理と顕微鏡観察により飲料水や食塩、魚介類の消化管等にマイクロプラスチックが含まれているかどうか、マイクロプラスチックの大きさ、形状、数量を簡易的に判断できる検査です。
また、「マイクロプラスチック検査」(FT-IR分析による物質同定検査)は、検体に含まれるマイクロプラスチックの観察結果のみでなく、プラスチックの種類などの詳細な検査データをご報告いたします。

※ 検体により納期、価格は変動する場合がございます。あらかじめご了承ください。

 

詳しくは弊社HP→「マイクロプラスチック検査

日本マイコトキシン学会 第83回学術講演会 ポスター発表

サンピアンかわさきにて開催された日本マイコトキシン学会 第83回学術講演会に参加させて頂き、ポスター発表を行いました。

題目は「LCMSMSを用いた飼料中のトリコテセン系カビ毒分析に関する検討」で分離が難しいとされている15-AcDON,3-AcDONを含めたトリコテセン系カビ毒一斉分析についての内容を発表致しました。
とうもろこしや麦類を汚染するデオキシニバレノール、ニバレノール、デオキシニバレノールの代謝物である13-AcDON、3-AcDONの同時分析法について検討し、分離が難しいとされる13-AcDON、3-AcDONについての発表も行いました。
弊社ではこの分析技術により飼料の安全確認のための検査へ活用しています。


ポスター発表が始まると、実際にカビ毒の分析を行っている方やこれから分析を検討する方等から様々なご質問を頂きました。
発表を通じて、意見交換をすることが出来たため今後の検討課題や分析についても勉強させて頂きました。
沢山の方がポスターを見に来てくださり、誠にありがとうございました。

マイコトキシンや自然毒は毒性が高い上に管理が難しい事から、食品の安全を考える上で非常に重要な管理項目となっています。
今後ますます注目されていく事と思いますので、弊社でも食の安全に貢献出来るよう様々な取り組みを行って参ります。
検査についてのお問い合わせもお気軽にご相談ください。

走査電子顕微鏡[JSM-IT100]のご紹介

食環境衛生研究所に導入されている「走査電子顕微鏡 JSM-IT100」について紹介いたします。

走査電子顕微鏡(SEM)は医学、生物学、素材開発、金属材料、半導体関連などの分野で利用されおり、金属部品、めっき、電気部品、食品、化粧品、医薬品等、各種工業製品などの材質確認、異物・不良解析に幅広く利用できます。

食環境衛生研究所では、現在までのところ細菌類や昆虫類、毛髪の鑑定などに使用しています。生物試料では前処理を施すことにより20000倍程度まで拡大観察が可能になっています。

今後は昆虫類の亜種などの判別、蜂蜜の中にある花粉の種類、汚染菌の付着状況の観察などにも利用可能と考えてます。

観察例①:酵母菌(20000倍)

観察例②:イヌの毛髄質(1000倍)

さらに、走査電子顕微鏡(SEM)の電子線により発生する特性X線を利用したEDS分析により、観察領域の元素組成の定性、定量分析および元素マッピングが可能です。

現在までのところ、岩石表面の元素組成の観察や食材に混入した金属粉の材質の判別などに使用しています。衣類に付着したPM2.52.5μm)程度の物質についても元素分析が可能と考えられます。

分析例:岩石破断面のEDS分析

    岩石破断面の元素マッピング

走査電子顕微鏡(SEM)を使用した解析について、お気軽にお問い合わせください。

食品検査室(イワザキ)

LC-TOFMS

LC-TOFMS(Bruker社製ImpactHD)が分析センターに導入されました。


高さ3m弱、天井に着きそうな勢いの大型の機器になります。

今まで分析センターに無かったタイプの機器なので、K田先輩を中心に

この新入りの装置との付き合い方を試行錯誤している最中ですが、

今後も末永く、愛着を持って一緒に仕事ができるように、

この子に愛称名(あだ名)をつけてくれる人を募集します。

思いついた方は分析センターまで。。

〇橋

国産農産物中のカドミウムの実態調査の結果について

農林水産省から、「国産農産物中のカドミウムの実態調査」の結果について、プレスリリースがありました。
弊社もご協力させていただいた調査事業であるため、ご連絡させていただきます。

→農林水産省のプレスリリース

国内のカドミウム摂取量の低減対策の効果検証です。
なかなか大きく低減というわけにはいかないようです。

(イワザキ)

デジタルマイクロメーター

今回は弊社で使用しているデジタルマイクロメーターのご紹介です。

デジマチック標準外側マイクロメータ(Mitutoyo)

観察検査の基本である外観形状について、厚み測定用にデジタルマイクロメーターを購入しました。
異物混入サンプル(フィルムなど)の材質が同じ場合の判別において、厚みの測定許容誤差は0.01mm程度だと思いますので、マイクロメーターは必需品です。
外形などの大きさについては、既にご紹介したデジタルマイクロスコープ(KEYENCE)が毎日活躍しています。

ノギスやマイクロメーターの取扱いについては技能検定を取得していますが、デジタルは簡単便利で安心感があります。(イワザキ)

EDX-8000 (SHIMADZU)

エネルギー分散型蛍光X線分析装置:EDX-8000

おもに異物鑑別で効率的に稼働しているEDX分析装置をご紹介します。

はじめに蛍光X線分析装置の原理とは
試料にX線を照射すると、試料に含まれる原子から固有のX線が放出されます。
このX線は蛍光X線と呼ばれ、各元素で特有のエネルギーを持っていることから、試料中に含まれる元素の組成が定性的に分析できます。
また、蛍光X線の強度を濃度に換算することにより定量的に測定できることになります。

簡単に説明すると、試料の元素組成が分析できる機械ということです。

通常の試験では、試料を目的とした測定に適した状態に処理してからになりますが、今回は500円玉を簡単に測定してみました。

コンパクトな分析装置ですが、試料室は大きいです。
蓋を開けた装置の中央(X線の照射口)に500玉をセットします。

蓋を閉めて分析を開始します。

測定結果は、おもに銅が74%、亜鉛が16%、ニッケルが8%でした。
規格値の組成とほぼ同様の結果が得られました。

実際の異物鑑別では、0.1mm程度の金属粉でも高精度に測定出来ています。
その他、おもちゃや筆記用具の重金属スクリーニング試験等も行っています。
コンパクトで高性能なEDX-8000を今後とも活用していきたいと思います。
(イワザキ)

デジタルマイクロスコープ VHX-5000

徐々に異物検査などで活躍し始めたデジタルマイクロスコープVHX-5000(KEYENCE)。

寸法測定のサンプル画像をご紹介します。
ステージ上で撮影できる大きさは、×5レンズで約70mmほど。
(500円玉、100円玉、10円玉を並べたくらいです)

レンズ交換して最大倍率×1000で0.2mmほど。
(10円玉の平等院の鳳凰の頭くらいです)

焦点位置をずらしながら合成撮影できるので、凹凸面などもすべてにピントの合った画像が撮影できます。
また、撮影画像から寸法測定が高精度にできるので、異物や組織の形状確認に役立っています。
特に昆虫の観察では高精度に観察できるのですが、リアル感がものすごいので、ここでのご紹介は控えさせていただきます。
また、いいサンプル画像がありましたらご紹介したいと思います。
次回は、効率的な測定に活躍し始めたEDX-8000をご紹介したいと思います。

(イワザキ)

脂肪酸のはなし2

前回は、『脂肪酸』ってどういうもの?というはなしを
すごーく簡単にしました。

脂肪酸は脂質をつくる成分の一つで、
炭素の数や炭素のつながり方によって
種類や性質が変わる、という話でした。

脂肪酸の例についてはこちらのサイトがわかりやすいです
農林水産省『脂肪酸』

脂肪酸の中には、生命の維持に不可欠な
「必須脂肪酸」というものがあります。

これは体内では作ることができず、食事から取る必要があるため
「必須脂肪酸」と呼ばれています。
その「必須脂肪酸」の一つにリノール酸があります。
リノール酸は大豆油、コーン油、サンフラワー油などの
植物油に多く含まれています。

また「必須脂肪酸」であるα-リノレイン酸はえごま油、シソ油、
キャノラー油、大豆油などの調理油に含まれています。
α-リノレイン酸は二重結合をもった「不飽和脂肪酸」であり、
オメガ3系脂肪酸(通称オメガ3)として分類されます。
ちなみにリノール酸はオメガ6系脂肪酸(オメガ6)に分類されます。

オメガ3系脂肪酸といえば、最近では亜麻仁油で
よく耳にするのではないでしょうか。
亜麻仁油は必須脂肪酸であるα-リノレイン酸の含有量が多く、
オメガ3が動脈硬化や不整脈等を予防する効果があると
されているため今大注目されているようです。

厚生労働省では、オメガ3及びオメガ6の
食事摂取基準の概要(2015年版)を
策定しています(年齢別で一日の推奨摂取量が記載されています)。
ご興味のある方はぜひ見てみてください。
『厚生労働省ホームページ』

研究検査部 山田

デジタルマイクロスコープ VHX-5000

いつの間にか、食品検査室にキーエンス社製のデジタルマイクロスコープVHX-5000が導入されています。

微細な組織の表面構造や、大きさの測定ができるため、異物検査等で積極的に活用しています。
SEM、実体顕微鏡、金属顕微鏡、測定顕微鏡が一つになった0~5000倍の拡大観察ができるため、精密電子部品メーカーなど工業機器メーカーで多く利用されているようです。

VHXの一番の特徴は、3D画像が撮影できるところです。
通常の高倍率の実体顕微鏡や生物顕微鏡では、焦点が浅い画像しか撮影できませんが、VHXでは深度合成した画像が撮影できるため、焦点が全て合焦した画像が撮影できます。

透過像も撮影できるので、カビや動植物の組織撮影にも利用しています。
光学顕微鏡の方が優れている点もあるので、使い分けながら、より納得いただける検査報告が出来るようにしていきたいと思います。

次回は、サンプル画像などを報告したいと思います。
(イワザキ)