外壁アスベストの見分け方を解説!張り替えや塗装工事時にアスベスト調査が必要なケースは?

外壁工事や塗装、解体を検討している中で「この外壁にアスベストが使われているのでは…?」と不安に感じたことがあるかと思います。

アスベストは、かつて耐火性・耐久性に優れた建材として広く使用されていましたが、現在では健康被害の恐れがある有害物質として厳しく規制されています。

特に2006年以前に建てられた建物では、外壁材にもアスベストが含まれている可能性があり、工事の前には事前調査が義務づけられているケースがほとんどです。

しかし、「どこに使われているのか」「見た目で判断できるのか」など、外壁に関する情報は意外と少なく、どう対応すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、外壁材にアスベストが含まれているかを見分けるためのポイントや注意点を中心に、調査方法、専門業者への依頼のタイミング、安全な対応策まで詳しく解説します。

外壁にアスベストが使われているか不安な方、これから工事や補修を予定している方にとって判断材料となる実用的な情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

【安い・即日対応可・全国対応可】アスベスト定性分析 5営業日 当サイト経由なら11,400円(税抜)

アスベスト分析・事前調査なら食環境衛生研究所にお任せください。 定性分析5万件以上の実績(大手ハウスメーカー で分析実績あり)・アスベスト事前調査2000件現場以上(官公庁や自衛隊 アスベスト調査実績多数)

アスベスト分析NAVI経由限定で通常価格よりも5%OFF

アスベスト分析・事前調査なら食環境衛生研究所にお任せください。お客様のおかげ弊社は設立し、26年間経ちました。そこで感謝の気持ちを込めて、このたび期間限定でアスベスト分析NAVI経由限定で通常価格よりも5%OFFを開催させていただく運びとなりました。 金額は以下のとおりです。
スクロールできます
検査項目・期間 料金(税抜)
【JIS規格】定性分析 JIS A1481-1 5営業日 11,400円
【JIS規格】定性分析 JIS A1481-1 3営業日 12,350円
【JIS規格】定性分析 JIS A1481-1 特急 19,000円
調査・採取 5万円〜※1
※1 は建物の規模や調査難度・調査方法・アスベストレベルなどよって金額が変動します。 まずは以下のボタンからお問合せください。 見積もりの際に5%値引きさせていただきます。 2025年1月6日報告分から上記の価格になります。 アスベスト分析NAVI経由でなければ5%OFFにはなりません※お電話・お問合せの際は必ずアスベスト分析NAVI経由からとお伝えください※ お気軽にご相談ください。 お見逃しがなきようお願い申し上げますとともに、ご利用を心よりお待ちしております。 ご依頼の希望の方はこちらからお問い合わせください。 必ず、新規・既存の方も含め、アスベスト分析NAVI専用の依頼書をダウンロードし、アスベスト分析NAVI 食環境衛生研究所宛までご郵送ください。 依頼書の金額が違う場合は「アスベスト分析NAVI経由」と備考欄に書いていただければ、上記の金額が適用されます。
目次

一戸建ての外壁にアスベストが使われることはある?

一戸建て アスベスト

一戸建て住宅の外壁材には過去アスベストが使用されていたことがあります。

アスベストの安価な割に優れた耐火性・耐久性・断熱性があることが評価され、補強材や繊維成分として1970年代から1990年代初頭までは幅広い建材に使用されていました。

アスベストの健康被害が出始めた1990年代から法規制と法整備がされ、現在ではアスベスト含有建材の製造・使用は全面的に禁止されていますが、築年数が古い建物にはアスベストがそのまま使用されているケースがあり、解体・リフォーム時には事前調査が必要な場合があります。

アスベスト含有外壁材とアスベストの種類

アスベストを含んだ外壁材として代表的なものは、窯業系サイディング、建材複合金属系サイディング、押出成形セメント板、けい酸カルシウム板第1種、スレートボード、スレート波板などがあります。

それぞれどのような外壁材なのか、簡単に説明します。

スクロールできます
アスベスト外壁の主な種類
窯業系サイディング(アスベスト含有品) 1980年代から1990年代初期の製品の一部にアスベストが含有されています。特に初期の窯業系サイディングは補強繊維としてアスベストが使われていました。
スレート板(波板・平板) スレート波板やスレート平板もアスベスト含有製品が多く使用されていました。外壁だけでなく屋根材としても多く見られます。
押出成形セメント板(押出板、押出し板とも呼ばれる) セメントとアスベストを混ぜて成形された板材で、耐水性・耐久性が高く、外壁材として使用されていました。
ラスモルタル下地材の防水紙や下地材 ラスモルタル工法の下地に使用された防水紙やボードにもアスベスト含有品があるケースがあります。

サイディングやボードなどを中心にアスベストが使われてきました。飛散性は吹付材と比べると高くはありませんが、見分けが特につきにくいなどの特徴があるため知らずにアスベストを飛散させてしまう危険性などがあります。

参照:目で見るアスベスト建材|国土交通省

外壁材に含まれるアスベストの種類

アスベスト 白石綿 茶石綿 青石綿

外壁材(仕上塗材や下地調整塗材)に含まれているアスベストは主にクリソタイルなどの白石綿と、アモサイトなどの茶石綿です。

特に白石綿に関してはアスベスト含有建材のほとんどの製品に使用されていました。世界で使われたアスベストの9割以上を占めるともいわれています。

その理由として、白石綿はアスベストの中でも蛇紋石(じゃもんせき)系の種類に分類され柔らかくしなやかな特性を持っており、加工などがしやすい特徴があったためです。

一方の茶石綿は角閃石(かくせんせき)系で針状に尖った繊維のため加工がしにくく、一部の製品にのみ使用されていました。

ちなみにもっとも危険度が高い青石綿も角閃石系に分類され、主に吹付材として使われました。過去、青石綿は外壁材に使用されたことはこれまで確認できていません。

あわせて読みたい
外壁や仕上塗材のアスベスト分析調査は層別分析で対応!外壁の石綿除去工法なども解説 築年数が経っている住宅やビルでは、外壁にアスベストが含まれている可能性があり、リフォームや解体工事の際には資格保有者による適切な調査と対処が必要です。 また、...

外壁アスベストの危険性やレベルはどのくらい?

サイディング

一戸建てや住宅の外壁に使用されていたアスベスト含有建材の多くは「アスベストレベル3の建材」に分類されます。

これは、アスベストが外壁材に使われるセメントなどの固形材料と強く結合しており、通常の状態では粉じんが飛散しにくい非飛散性建材とされているためです。

建材が割れたり削られたりしない限り、アスベスト繊維が空気中に飛散することはほとんどないため、危険性は比較的低いです。

ただし、解体や改修工事などで切断・削孔・破砕といった作業を行う場合には、アスベスト粉じんが飛散するリスクが生じます。

そのため、作業前には必ず事前調査を実施し、含有の有無を確認した上で、必要に応じた粉じん対策や作業届出を行うことが法律で義務付けられています。

外壁のアスベストを見分ける方法

外壁にアスベストが含まれているかどうかを正確に見分けるには、建物に関する資料の確認と、必要に応じた専門家による現地調査が欠かせません。

ぱっと見の外観や手触りだけで判断することは極めて困難であり、誤った自己判断は健康被害や法令違反のリスクにもつながるため注意が必要です。

建物の設計図書や使用建材資料を確認する

外壁にアスベストが含まれているかどうかを知るために、最初に確認すべきは設計図書や建築仕様書などの建物に関する書面資料です。

外壁材として使用された建材名や型番が記載されている場合、それを手がかりに「アスベスト含有建材データベース」にてアスベストの含有有無を調べることができます。

使用建材が判明したらメーカーのホームページや国土交通省の「アスベスト含有建材データベース」で検索調査

建材名や型番が明らかになった場合は、その情報をもとに、製造メーカーの公式サイトや国土交通省が提供する「アスベスト含有建材データベース」で検索を行います。

データベースには、過去に流通していた多くの建材のアスベスト含有状況が登録されているので検索すると上記画像のように、アスベスト含有の詳細情報が一覧で表示されます。

もし建材名や商品名が判明しているのにも関わらず、データベースでヒットしない場合は建材のメーカーへ直接問い合わせてみると過去のアスベスト使用状況における情報が得られる場合があります。

設計図書等に記載が無い場合は、過去の工事履歴を確認する

建物の設計図書や仕様書にアスベスト含有建材に関する記載が見当たらないケースも少なくありません。

特に古い建物や、途中で工事が行われた建物では、当初の図面が不完全だったり、内容が現状と一致していないことがあります。

そのような場合は、過去に実施された改修工事や補修工事の履歴書類(工事報告書、仕様書、使用材料リストなど)などの住宅履歴情報を確認することが重要です。

住宅履歴情報
画像引用:国土交通省「住宅履歴情報」

理由としては、外壁材や内装材が後から張り替えられているケースも多く、当初使用されていなかったアスベスト含有建材が後の工事で使われている可能性もあるためです。

特に1990年代中頃までの建材にはアスベストが含まれている可能性があり、当時の工事で使用された製品の種類や製造年によって、リスクの有無を判断する大きな手がかりとなります。

調査対象箇所の施工時期や工事内容、使用材料が記録されている書類があれば、専門業者による判断もより正確になります。

もしも過去の工事履歴等の書類も残っていない場合には、現地調査によって施工の痕跡や材料の確認が必要になることもあるため、可能な限り関係資料を収集しておくことが調査の精度向上につながります。

建物の築年数を確認して年代を特定する

2006年(平成18年)9月1日以降に着工された建物では、原則としてアスベスト含有建材は使用されていないとされています。

この日の労働安全衛生法施行令の改正を境に、国内ではアスベストを含む建材の新規使用が大幅に制限され、建設現場での使用は基本的に認められなくなりました。

つまり、アスベストを含有するすべての建材の製造・使用が原則禁止された後、通常であれば建設時にアスベスト建材が使用されることはないということになります。

ただし、完全にゼロとは言い切れず、一部の建材には猶予期間が設けられていたほか、2006年以前に製造されたアスベスト含有建材の在庫品が流通・使用されたケースもあります。

そのため着工日だけで判断せず、設計図書や建材の製品名、仕入れ時期などの確認もあわせて行うことが望ましいでしょう。

築年数を確認できる書類

登記簿謄本(登記事項証明書)や、売買契約書、重要事項説明書などで確認できます。

登記簿では「新築年月日」として記載されていることが多いです。また、建築確認済証や確認通知書に竣工日が記載されている場合もあります。

見分けるのが難しい場合はアスベストの調査専門業者へ依頼する

設計図書や仕様書、施工記録などを確認してもアスベスト含有の有無が明確でない場合には、アスベスト調査・分析の専門業者による現地調査・分析を依頼するのが最も確実な方法です。

専門業者は過去の事例や建材知識に基づき、図面の読み解きや現地での目視調査を行い、アスベスト含有の可能性がある建材を的確に特定します。

もしそれでもアスベスト含有の判別が困難な場合には、対象建材をサンプリングし、定性分析や定量分析といった専門的な検査手法により、アスベスト含有の有無を科学的に調査します。

アスベスト調査 除去

建物の解体や改修を予定している場合には、石綿障害予防規則(石綿則)および大気汚染防止法に基づき、「事前調査の実施および結果の報告」が法的に義務付けられているため、専門業者による調査を早期に行っておくことで、法令遵守だけでなく、作業員や周辺住民の安全確保にもつながります。

アスベストのリスクを正確に把握し、安全かつ適切な対応を進めるためにも、自己判断に頼らず、信頼できる専門業者へ調査を依頼しましょう。

当社食環境衛生研究所では、石綿分析技術評価事業認定技術者並びに、一般建築物石綿含有建材調査者の資格を保有する者が分析・調査を行っており、お客様からのアスベストに関する不安や質問に対応すべく、準備を整えております。

早急な分析が必要な場合でもご相談可能です。信頼性のある的確な分析調査をおこない、お客様のご希望に最大限対応いたします。

アスベストの調査・分析を検討している方はぜひ当社までお問い合わせください。

外壁のアスベスト調査にかかる費用

外壁材にアスベストが含まれているかを調べるには、書面調査・目視調査・分析調査の3つの工程を踏むのが一般的です。それぞれの費用は建物の規模や調査範囲、必要な検体数によって大きく変動します。

一般的な住宅リフォームにおけるアスベスト調査費用の相場は、総額で10万円〜20万円かかると見て良いでしょう。

以下は主な調査の内訳です。

スクロールできます
アスベスト調査費用の相場目安(※案件により異なります)
書面調査(図面・仕様書等の確認) 20,000~30,000円
目視調査(現地での建材確認) 20,000~50,000円
分析調査(検体の採取および専門機関での分析) 30,000~50,000円/数検体含む

また、検体数が多くなるとその分費用は高くなります。

1検体あたりの分析費用は約15,000~30,000円〜が目安の相場といわれます。外壁材の一部だけでなく、吹付塗料、せっこうボード、柱や梁の耐火被覆材など、さまざまな部位が調査対象になる可能性があるため、工事やリフォームの規模が大きいほど費用も増加する傾向にあります。

なお、アスベスト調査の費用には「これが正解」という明確な定価は存在せず、業者ごと・建物ごとにばらつきがあるのが実情です。そのため、複数社から見積もりを取り、調査内容と費用をよく比較・確認することが重要です。

あわせて読みたい
アスベスト分析・調査費用の目安はいくら?補助金や料金表などわかりやすく紹介 建物の解体やリフォームを検討している際に欠かせないのが「アスベスト(石綿)」の事前調査や分析です。2022年の法改正以降、一定の工事ではアスベストの有無を専門資...
自治体の補助金制度を活用できる場合も

調査費用の一部を補助してくれる自治体の制度が存在する場合があります。たとえば、東京都文京区では、アスベスト調査費用に対し以下のような助成制度が設けられています。

スクロールできます
東京都文京区のアスベスト補助金制度概要
対象建物 平成18年8月31日以前に建築された戸建住宅、集合住宅、店舗、工場など
対象建材 吹付け材、耐火被覆材、保温材、断熱材、外壁塗材など
補助対象者 建物所有者・管理組合・区内の中小企業者
補助額の上限 ・戸建住宅:10万円
・集合住宅や事業所等:20万円
※分析費用の1/2が上限

参考:東京都文京区ホームページ「アスベスト分析調査費の助成について」
参考:東京都都市整備局「アスベスト調査・分析補助制度一覧」

こうした補助制度は自治体ごとに要件・補助額が異なるため、お住まいの地域で該当する制度があるかどうかを、事前に市区町村や自治体のホームページで確認するのがおすすめです。

外壁アスベストの調査が必要になるケース

外壁工事や建物の改修を計画する際には、使用されている建材のアスベスト含有の有無に注意を払う必要があります。

ここでは、外壁アスベストの調査が必要になる代表的な5つのケースをご紹介します。

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

外壁の張り替え工事を行う時

スレート板、窯業系サイディング、波形スレートなど、既存の外壁材を撤去・切断して新しい外壁材に張り替える工事では、アスベスト含有建材を破砕・破断する可能性があります。

これにより微細なアスベスト粉じんが空中に飛散し、施工者や周辺環境へのリスクが発生する恐れがあります。

また古い建物では、アスベストが断熱や耐火目的で外壁材に含まれていたケースが多いため、工事前には必ず専門的なアスベスト調査を実施し、安全性が確保された施工計画を立てる必要があります。

外壁塗装工事を行う時

外壁塗装の工事では、旧塗膜の除去や下地処理の工程(ケレン、高圧洗浄、研磨など)を伴います。

これらの作業により塗膜や下地材が削られると、そこにアスベストが含まれていた場合、有害な粉じんが発生する危険性があります。

またアスベストは塗料の下地処理材(パテやシーラー)や、古い塗膜自体に含まれている場合もあるためこういったケースにおいても「ただの塗装工事」と油断せず、事前調査を行いましょう。

アスベストの事前調査を行うことで、安全対策と法令遵守の両面でリスクを抑えることができます。

外壁の部分解体や全面解体を行う時

建物の外壁を含む構造部分を解体する場合には、対象の建材にアスベストが含まれているかどうかを事前に把握する必要があります。

原則として解体工事においては石綿障害予防規則(石綿則)大気汚染防止法により、調査・報告が義務付けられています。

令和4年4月1日から、建築物などの解体・改修工事を行う施工業者(元請け事業者)は、該当する工事で石綿含有有無の事前調査結果を労働基準監督署に報告することが義務づけられます。報告は、環境省が所管する大気汚染防止法に基づき、地方公共団体にも行う必要があります。
 この報告は、原則として電子システム「石綿事前調査結果報告システム」から行っていただきます。パソコン、タブレット、スマートフォンから24時間オンラインで行うことができ、1回の操作で労働基準監督署と地方公共団体の両方に報告することができます。

引用:4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします|厚生労働省ホームページ

また大気汚染防止法に基づくと、作業開始の14日前までに自治体への届出が必要となる点も押さえておきたいポイントです。

事前調査の結果は、作業開始前(届出対象特定工事の場合は工事開始の14日前まで)に書面で元請業者等から発注者に説明する必要があります。

万が一外壁にアスベスト含有が判明した場合には、アスベスト除去作業計画、防塵設備、隔離処置などが必要となるため、無調査のまま工事を進めると重大な違法行為に繋がってしまうので必ず調査を忘れずにおこないましょう。

外壁に吹き付け材が使われている箇所を処理・補修する時

吹き付けアスベスト(吹付け石綿)は、他の建材に比べても飛散性が極めて高く、健康被害のリスクが大きいため特に注意が必要で、補修や処理を行う前には必ず専門業者による調査・分析が必要となります。

仮に吹き付けアスベストが使用されていた場合は、通常の工事とは異なる厳格な除去作業や隔離措置が必要になり、無届や無対策での処理は大きな法令違反になります

外壁の高圧洗浄や研磨作業を行う時

外壁のメンテナンスのために行う高圧洗浄やサンダーを使った研磨作業では、建材表面の塗膜や下地が削られることがあります。

この際、もし対象部分にアスベストが含まれていた場合、粉じんが広範囲に拡散し近隣や作業員の健康被害につながる恐れがあります。

特に、塗装の劣化が進んだ古い建物や、補修履歴が不明な物件については、予想外の箇所からアスベストが検出されることもあるため、洗浄や研磨を行う前には必ずアスベスト事前調査をおこないましょう。

外壁のアスベストを除去する費用目安

外壁材に含まれるアスベストの除去費用は、以下の要因によって大きく変動します。

  • 建物の構造(木造・鉄骨造・RC造など)
  • 外壁材の種類とアスベストの含有率
  • 除去面積・工事の範囲
  • 必要な養生面積や飛散防止対策の内容
  • 立地条件(市街地・密集地など)

一般的な目安として、外壁アスベスト除去の費用は1平方メートルあたり15,000円~30,000円程度が相場です。

これに加え、養生費用や廃棄物の処理費、各種届出にかかる書類作成費などを含めると、外壁一面の除去でも総額で数十万円~100万円以上になるケースもあります。

例えば、古い工場や倉庫の全面改修の場合、除去+処理費用だけで300万円を超える事例も珍しくありません。

アスベストの除去作業自体、専門性がかなり高く、安全対策や行政への届け出等の手続きが義務付けられているため、一般的な解体工事に比べてアスベスト除去費用も高額になりやすいです。

外壁のアスベスト解体工事には事前調査と届出が必要

アスベストを含む外壁材を除去・解体する工事を行う場合、まず前提として石綿障害予防規則(石綿則)および大気汚染防止法に基づき、事前調査と所轄の自治体への届出が必要です。

具体的には以下の手順が求められます。

  1. 事前調査(設計図書・現地・分析によるアスベスト含有の有無の確認)
  2. 分析結果に基づく報告書の作成
  3. 工事の14日前までに「アスベスト含有建材除去作業届出書」などを提出
  4. 除去作業時には適切な養生・負圧除塵設備・飛散防止措置を実施
  5. 作業後は廃棄物の飛散・流出がないよう適切に処理

これらの工程は、国家資格保有者や専門業者でなければ対応できない内容であり、無届け・無対策での施工は法律違反となるだけでなく、周辺への健康被害を引き起こす重大なリスクを伴います。

補助金や助成制度を活用できる場合もある

アスベストの除去費用は高額になる傾向がありますが、自治体によっては調査・除去工事に対して補助金を支給している場合があります。

たとえば東京都文京区では、分析調査費用に加えて、アスベストの除去工事費用の一部(1/2・最大40万円など)を助成する制度があります(※制度内容は変更される可能性があるため、要確認)。

補助金の対象となるのは主に以下のようなケースです。

  • 平成18年(2006年)以前に建築された建物
  • 吹付け材や耐火被覆材、断熱材などが対象建材に含まれる場合
  • 戸建住宅、集合住宅、事業所、工場などが対象物件
  • 所有者や管理組合など、明確な申請者がいること

補助制度の有無は自治体ごとに異なるため、まずはお住まいの市区町村の環境課や建築課に問い合わせることをおすすめします。

外壁アスベストのよくある質問

外壁工事や調査に関してアスベストへの不安を抱く方は少なくありません。

特に「アスベストは自分で調べられるのか?」「アスベスト事前調査の進め方は?」といった実務的な疑問が多く寄せられます。

この項目では、外壁のアスベストに関してよくある質問とその回答をご紹介します。

外壁工事等でアスベストの検査を依頼する際に採取する検体はどのくらいの大きさが必要?

アスベストの分析に用いる検体は、おおよそ5cm角(25平方センチメートル)程度のサイズが必要とされています。サンプルが小さすぎたり不適切な部位から採取された場合、正確な分析結果が得られないケースがあります。

ただ、建材の種類や層の構造によっては、より多くのサンプルや複数箇所からの採取が求められる場合もあります。

重要なのは、アスベストが混入している可能性の高い層まで含めてサンプリングされているかどうかです。

断面構造が複雑なサイディング材や複数の塗膜層がある場合は、経験豊富なアスベスト専門調査員によって適切な箇所からの採取が必要になります。

外壁のアスベスト調査時に検体は自分で採取する必要があるのか、調査員が採取するのかどっち?

アスベスト調査 除去

原則として、アスベストの検体採取はアスベスト調査の専門業者が現地で行います。

理由としては、採取時に建材の破断や粉じんの飛散を伴う可能性があり、防じんマスクや養生などの安全対策を講じたうえで実施しなくてはならない作業だからです。

誤った方法で自分で検体を採取しようとすると、アスベストの微細な粉じんを吸い込んでしまったり、周囲に飛散させてしまう恐れがあります。

アスベストの調査は「分析」だけでなく「採取」も含めた一連の専門作業であるため、アスベスト専門の調査業者に依頼することが基本です。

外壁のアスベストは素人判断で見分けることができる?

外見だけでアスベストの含有を素人が判断することは極めて困難です。

アスベストはスレート板、窯業系サイディング、吹付け材、下地処理材など、見た目は一般建材とほとんど区別がつかない状態で使用されていることが多いので、分析調査までしてみないと含有の判定ができません。

また、建材自体に製造年月やロット番号などが刻印されていない場合も多く、使用されていた年代や製造元の情報などを総合的に判断する必要があります。

ちなみに、アスベスト含有の有無は、専門の分析機関による分析調査(定性・定量分析)でのみ確定することができます。

見た目や感触、色などで判断するのは予測をする分には良いですが、断定して工事計画を進める場合はしっかりと専門業者に調査をしてもらいましょう。

アスベストが含まれるかもしれない外壁の上から新たに塗装をすればアスベストを除去する必要は無い?

新たに塗装を施すことは「アスベストを封じ込める」対処の一つではありますが、それだけでアスベストの除去が不要になるわけではありません。

アスベストを適切に除去しないと今後、塗り替えや高圧洗浄、建材の破損、補修時などに再び粉じんが発生するリスクが残ります。

また、アスベストを封じ込める工法(囲い込み・封じ込め)は、厚生労働省が定める石綿作業指針に従った措置が必要であり、適切な施工と長期的な維持管理が前提です。

無策での上塗りでは安全確保にならず、将来的な法的トラブルや健康リスクを回避するには、事前にアスベスト調査を行った上で方針を決めることが重要です。

まとめ

外壁材にアスベストが含まれているかどうかは、仕上げ塗装や劣化の影響もあり、見た目だけで判断するのは非常に困難です。

そのため、建築年や工事履歴などの情報をもとに含有の可能性を慎重に見極め、必要に応じて事前調査を行うことが重要です。

アスベストの疑いがある状態で外壁を剥がすなどの行為は、飛散のリスクがあるため絶対に避け、必ず専門資格を持つ調査者に依頼しましょう。

また、建物の状態や築年数に応じて適切な対処方法や工事のタイミングも異なり、アスベストを完全に除去するには専門的な知識と高い技術が求められます。

外壁アスベストの見分け方に不安がある方や、調査・分析を検討している方は、実績豊富なアスベスト業者である当社までお気軽にご相談ください

  • URLをコピーしました!

執筆者

目次