食品中の脂肪酸のはなし【序】

前回に引き続きカビ毒について書こうかと思いましたが、
今年度から食品表示法が新しくなったことを受けて
今回はタイムリィな「脂肪酸」について簡単にかいてみようと
思います。

食品表示法の新しい変更点の一つに
“推奨表示(将来的に義務化を目指す項目)として
飽和脂肪酸、食物繊維の2項目を追加、
表示する場合は様式に沿った記載が必要”と
なっています。

記載方法の例の一つに、飽和脂肪酸及び任意表示のn-3系脂肪酸、
n-6系脂肪酸が脂質に含まれていることがわかるように行を変えて記載し、
コレステロールは脂質の下に記載する、となっています。

最近のブームでココナッツオイルや食品中のオメガ3など
脂肪酸に関するニュースをよく耳にします。

私は脂肪酸についての知識がまだまだなため、
今回ブログを通して脂肪酸について勉強し
わかりやすくまとめていこうかと思っています。

次回は、「そもそも脂肪酸とは?」について
まとめてみようかと思います。

研究検査部 山田

食品のカビ毒について②

新年度がスタートしました。
前橋は桜前線がピークを迎えていますね。
菜の花も満開で、景色が色鮮やかです。

それでは前回に引き続き
今回はカビ毒の種類とその特徴について、
ということで「アフラトキシン」というカビ毒ついて
紹介します。

1. アフラトキシン類 
アフラトキシンは熱帯から亜熱帯地域にかけて
生息するアスペルギウス属等が生産するカビ毒です。
主な汚染食品は、トウモロコシ、落花生、豆類、香辛料、木の実類です。

食品から検出される主要なものに4種類(B1, B2, G1, G2)があり、
動物の体内に入った場合、B1及びB2が代謝されM1, M2となり、
乳中に含まれることが確認されています。

アフラトキシンを人が摂取した場合、
肝臓に発がん性があるとされ、
特にアフラトキシンB1が最も発がん性が高いとされています。
また動物が飼料中に含まれるアフラトキシンを摂取することで
肝障害を引き起すことがあります。

アフラトキシンの特徴は非常に熱に強く、
一旦作られると、通常の加工調理過程では
ほとんど分解はされず除去が難しい点です。

食品衛生法では
総アフラトキシン(アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和)を
10 μg/kgを基準値とし、
基準値を超過する食品は取り扱いできないことになっています。
最近の輸入食品等の違反事例として、
先月にアメリカ合衆国産の生鮮アーモンドから
13 μg/kgが検出されています。

次回も、その他カビ毒をご紹介します。

研究検査部 山田

食品のカビ毒について①

今回は食品の「カビ毒」について。

このカビ毒は、度々輸入品の胡椒やピーナッツ、米等から
検出され、メディアにも取り上げられています。
また日本でも2011年に国産の米が毒性の強いカビ毒である
アフラトキシン類という毒素によって汚染された
事例があります。

先ず、「カビ毒(マイコトキシン)」とは
その名の通り“かび”が産生する化学物質で、
人や家畜の健康に悪影響を及ぼします。
カビ毒の特徴は、①通常の調理や加工温度や時間では
分解が難しく、②非常に毒性が強い点があります。
そのため、一度できてしまうと取り除くことが
非常に難しいのです。

また、カビの場合は繁殖すると肉眼で観測することが
可能ですが、カビ毒の場合は見た目ではわかりません。

カビ毒は、気温と湿度が高い場所で長い間貯蔵や、
不衛生な環境に乾燥・貯蔵することで
農作物にかびを生育するため産生されます。
そのため、かびを発生させない管理が大切です。

しかし、上記にもあるようにカビ毒は肉眼で見ることは
できないため、基準値における機器分析等による測定が
必要になっています。
農林水産省では2002年度から毎年度、カビ毒による
国産農産物の汚染実態の把握のための調査を実施しており、
国内におけるリスク管理も進められています。

次回は、カビ毒の種類とどのような健康被害があるかについて
ご紹介しようと思います。

研究検査部 山田

食品中のアクリルアミドについて

今回は食品中の化学物質「アクリルアミド」について。

今年の10月、食品中の化学物質アクリルアミドの発がん性について
新聞やニュースで大きく取り上げられました。

これは、食品安全委員会化学物質・汚染物質専門調査会が
食品の加熱で生じるアクリルアミドについて、
正式に遺伝毒性を有する発がん物質であると評価ためです。

では、どのような食品にアクリルアミドが含まれているのでしょうか。

記事にも大きく取り上げられたのは高濃度で含まれるポテトチップスや
フライドポテトなどの馬鈴薯を原料としたスナック菓子でした。

その他、個人的に驚いたのは
ほうじ茶や麦茶、インスタントコーヒーや
野菜の炒めもの・素揚げです。

意図せず高温で調理することによりできてしまう物質を
”ゼロ”にすることはなかなか難しいことです。
しかし、かと言って過度に高濃度のアクリルアミドを摂取することは
健康に悪影響のため、低減する取り組みは今後ますます
進められていくと思います。

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アクリルアミド分析の測定には、前の記事にも紹介しました
LC/MS/MS4000QTRAPを使用しています。

アクリルアミドは、さまざまな食品に含まれています。
(人間が火を使って食べ物を料理する頃からの付き合いですかね?)

測定させて頂いている側としては、
他にもどんな食品に含まれているか非常に興味があります。

次回も時事的なニュースに沿って書いてみようと思います。

研究検査部 山田

新兵器

asnmです

食品検査の部屋に、新兵器が登場しました!

Agilent Technologies社製のICP-MS、7700xです!

ICPはすでに所有しているのですが、既存のICPより高感度に、より多くの種類の元素を、より効率的に検出することができるようになります
さらに、多変量解析用のソフトウェアも導入したため、今後は今まで当社ではできなかった野菜の産地判別などもできるようになるかもしれません

まだやってきたばかりなので、実際の業務に使っていけるようになるまではもう少し時間がかかってしまうかもしれませんが、早く使いこなせるようになりたいです

微生物検査機械紹介

微生物検査で使用機械を簡易的に紹介します。

今回紹介する機械は、超音波洗浄機の紹介です。

品名:ASU CLEANER
形式:ASU-20
外形寸法:586×397×340
漕内寸法:506×303×150
漕材質:ステンレス(SUS304)
発振方法:他励発振方式PLL自動追尾
高周波出力:360w
発振周波数:40kHz

この機械で試験管などを洗浄します。

簡易的な原理
超音波の振動で、水中に目に見えない細かい気泡が無数に発生し、その気泡のはじける瞬間の衝撃波が微細なすき間の汚れを粉砕して、布やブラシ、水流では落ちない汚れを取り除きます!
この機械により洗浄作業時間が手洗い作業から比べると大幅に短縮することができました。

新しい微生物検査室

こんにちは。
K村です。

ついに新社屋の微生物検査室が完成しました!

明日からは新しい微生物検査室で頑張りたいと思います。

微生物検査機械紹介

今回新しく食品微生物検査で購入した機械を簡易的に紹介します。

今回購入した機械は、エクスナイザー 400という機械です。
この機械は、細菌検査や臨床検査の前処理に必要な抽出・懸濁化作業のためのホモジナイザーです。

サンプルを使い捨てのポリ袋に入れて密封し、ポリ袋の外側から力を加えることによって抽出・懸濁化する機構のため、サンプルと機械が接触せずに衛生的で迅速な作業を行うことができる機械です。

K村

分析機器紹介 その3(LC/MS/MS4000)

弊社で活躍している分析機器の紹介、第三弾です。

今回“も”LC/MS/MSをご紹介させて頂きます。
と、いうのも分析センターには『その1』と『その2』で紹介された機器の他に、さらに2機のLC/MS/MSがあります。

先ず、下の写真がLC/MS/MS4000です。

・検出器(MS/MS部):写真右側
・メーカー:ABSCIEX
・機種名:QTRAP4000
・HPLC:写真左側
・メーカー:SHIMADZU

そしてもう一つが、LC/MS/MS3200です。
こちらは『その2』で紹介された機種と同様のものです。

LC/MS/MSは選択性が非常に高く、サンプル由来の共存物質(マトリックス)が複雑な試料の分析に非常に優れています。また食品分析分野でも分析例が多く報告されており、農薬や動物医薬品の公定試験法にも採用されています。
弊社では、より信頼性の高い分析結果を提供できるようにISO/IEC17025を取得しております。検査のご依頼・ご相談は、弊社ホームページからお気軽にお問い合わせください。

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去年からLC/MS/MSを使用した分析に携わっています。
最近は段々とLC/MS/MSに愛着がわいてきて、装置の調子が少しずつわかるようになってきました。
大学ではLC/MS/MSが高級すぎて(メンテナンス費や維持費等)使用させてもらえなかったため、今は使用するときに少し緊張しますが、とても新鮮な気持ちで分析業務に取り組んでいます。

研究検査部 山d

分析機器紹介 その2 (LC/MS/MS API3200)

弊社で活躍している分析機器の紹介第二弾になります。
今回はLC/MS/MS API3200についての紹介です。

検出器(MS/MS部):写真右側

メーカー:ABSCIEX

機種名:API3200

質量分離部:トリプル四重極

HPLC: QTRAP4500と同系装置

機器定価: 62,590,300円 (一式)

このAPI3200は先に紹介したQTRAP4500と比較すると
感度(低濃度まで検査できる能力)こそ劣りますが、その高い堅牢性から、
ルーチンの検査等、第一線で活躍している機種になります。

現在、弊社では上記検出器を2台所有しております。
一台の機器の価格でも住宅が購入できるような金額ですが、それでも、コストパフォーマンスという言葉を用いるならば、このAPI3200は他の分析機器と比較しても優秀な分析機器であると感じています。

残留する農薬成分、動物用医薬品成分の検査をご希望であれば、
上記装置にて、丁寧に検査させていただきたいと思っておりますので、
お気軽にご相談・ご質問等、お問い合わせください。

検査の詳細はHPへ → 食環境衛生研究所