LC-TOFMS

LC-TOFMS(Bruker社製ImpactHD)が分析センターに導入されました。


高さ3m弱、天井に着きそうな勢いの大型の機器になります。

今まで分析センターに無かったタイプの機器なので、K田先輩を中心に

この新入りの装置との付き合い方を試行錯誤している最中ですが、

今後も末永く、愛着を持って一緒に仕事ができるように、

この子に愛称名(あだ名)をつけてくれる人を募集します。

思いついた方は分析センターまで。。

〇橋

国産農産物中のカドミウムの実態調査の結果について

農林水産省から、「国産農産物中のカドミウムの実態調査」の結果について、プレスリリースがありました。
弊社もご協力させていただいた調査事業であるため、ご連絡させていただきます。

→農林水産省のプレスリリース

国内のカドミウム摂取量の低減対策の効果検証です。
なかなか大きく低減というわけにはいかないようです。

(イワザキ)

デジタルマイクロメーター

今回は弊社で使用しているデジタルマイクロメーターのご紹介です。

デジマチック標準外側マイクロメータ(Mitutoyo)

観察検査の基本である外観形状について、厚み測定用にデジタルマイクロメーターを購入しました。
異物混入サンプル(フィルムなど)の材質が同じ場合の判別において、厚みの測定許容誤差は0.01mm程度だと思いますので、マイクロメーターは必需品です。
外形などの大きさについては、既にご紹介したデジタルマイクロスコープ(KEYENCE)が毎日活躍しています。

ノギスやマイクロメーターの取扱いについては技能検定を取得していますが、デジタルは簡単便利で安心感があります。(イワザキ)

EDX-8000 (SHIMADZU)

エネルギー分散型蛍光X線分析装置:EDX-8000

おもに異物鑑別で効率的に稼働しているEDX分析装置をご紹介します。

はじめに蛍光X線分析装置の原理とは
試料にX線を照射すると、試料に含まれる原子から固有のX線が放出されます。
このX線は蛍光X線と呼ばれ、各元素で特有のエネルギーを持っていることから、試料中に含まれる元素の組成が定性的に分析できます。
また、蛍光X線の強度を濃度に換算することにより定量的に測定できることになります。

簡単に説明すると、試料の元素組成が分析できる機械ということです。

通常の試験では、試料を目的とした測定に適した状態に処理してからになりますが、今回は500円玉を簡単に測定してみました。

コンパクトな分析装置ですが、試料室は大きいです。
蓋を開けた装置の中央(X線の照射口)に500玉をセットします。

蓋を閉めて分析を開始します。

測定結果は、おもに銅が74%、亜鉛が16%、ニッケルが8%でした。
規格値の組成とほぼ同様の結果が得られました。

実際の異物鑑別では、0.1mm程度の金属粉でも高精度に測定出来ています。
その他、おもちゃや筆記用具の重金属スクリーニング試験等も行っています。
コンパクトで高性能なEDX-8000を今後とも活用していきたいと思います。
(イワザキ)

デジタルマイクロスコープ VHX-5000

徐々に異物検査などで活躍し始めたデジタルマイクロスコープVHX-5000(KEYENCE)。

寸法測定のサンプル画像をご紹介します。
ステージ上で撮影できる大きさは、×5レンズで約70mmほど。
(500円玉、100円玉、10円玉を並べたくらいです)

レンズ交換して最大倍率×1000で0.2mmほど。
(10円玉の平等院の鳳凰の頭くらいです)

焦点位置をずらしながら合成撮影できるので、凹凸面などもすべてにピントの合った画像が撮影できます。
また、撮影画像から寸法測定が高精度にできるので、異物や組織の形状確認に役立っています。
特に昆虫の観察では高精度に観察できるのですが、リアル感がものすごいので、ここでのご紹介は控えさせていただきます。
また、いいサンプル画像がありましたらご紹介したいと思います。
次回は、効率的な測定に活躍し始めたEDX-8000をご紹介したいと思います。

(イワザキ)

脂肪酸のはなし2

前回は、『脂肪酸』ってどういうもの?というはなしを
すごーく簡単にしました。

脂肪酸は脂質をつくる成分の一つで、
炭素の数や炭素のつながり方によって
種類や性質が変わる、という話でした。

脂肪酸の例についてはこちらのサイトがわかりやすいです
農林水産省『脂肪酸』

脂肪酸の中には、生命の維持に不可欠な
「必須脂肪酸」というものがあります。

これは体内では作ることができず、食事から取る必要があるため
「必須脂肪酸」と呼ばれています。
その「必須脂肪酸」の一つにリノール酸があります。
リノール酸は大豆油、コーン油、サンフラワー油などの
植物油に多く含まれています。

また「必須脂肪酸」であるα-リノレイン酸はえごま油、シソ油、
キャノラー油、大豆油などの調理油に含まれています。
α-リノレイン酸は二重結合をもった「不飽和脂肪酸」であり、
オメガ3系脂肪酸(通称オメガ3)として分類されます。
ちなみにリノール酸はオメガ6系脂肪酸(オメガ6)に分類されます。

オメガ3系脂肪酸といえば、最近では亜麻仁油で
よく耳にするのではないでしょうか。
亜麻仁油は必須脂肪酸であるα-リノレイン酸の含有量が多く、
オメガ3が動脈硬化や不整脈等を予防する効果があると
されているため今大注目されているようです。

厚生労働省では、オメガ3及びオメガ6の
食事摂取基準の概要(2015年版)を
策定しています(年齢別で一日の推奨摂取量が記載されています)。
ご興味のある方はぜひ見てみてください。
『厚生労働省ホームページ』

研究検査部 山田

デジタルマイクロスコープ VHX-5000

いつの間にか、食品検査室にキーエンス社製のデジタルマイクロスコープVHX-5000が導入されています。

微細な組織の表面構造や、大きさの測定ができるため、異物検査等で積極的に活用しています。
SEM、実体顕微鏡、金属顕微鏡、測定顕微鏡が一つになった0~5000倍の拡大観察ができるため、精密電子部品メーカーなど工業機器メーカーで多く利用されているようです。

VHXの一番の特徴は、3D画像が撮影できるところです。
通常の高倍率の実体顕微鏡や生物顕微鏡では、焦点が浅い画像しか撮影できませんが、VHXでは深度合成した画像が撮影できるため、焦点が全て合焦した画像が撮影できます。

透過像も撮影できるので、カビや動植物の組織撮影にも利用しています。
光学顕微鏡の方が優れている点もあるので、使い分けながら、より納得いただける検査報告が出来るようにしていきたいと思います。

次回は、サンプル画像などを報告したいと思います。
(イワザキ)

食品中の脂肪酸のはなし1

今回は前回の食品中の脂肪酸のはなしに続きまして
脂肪酸について書いてみようと思います。

脂肪酸とは、脂質を構成する重要な成分で
炭素元素(C)が鎖のように長くつながったものが
土台になっています。
食品中の脂肪の約9割が脂肪酸でできており、
肉の脂肪や牛乳の脂肪、魚の脂などのほとんどが
「脂肪酸」にあたります。

脂肪酸は、炭素(C)と水素(H)、酸素(O)で構成されています。
グリセリンは脂肪酸と結合するための手を3つもっており、
脂肪酸の炭素(C)の数や、炭素(C)と炭素(C)のつながり方の
違いで脂肪酸の種類や性質が決まります。

炭素(C)と炭素(C)のつながり方で、一本の手でつながっているもの(C-C)を
「飽和脂肪酸」といい、二本の手でつながっているもの(C=C)、
つまり二重結合のものを「不飽和脂肪酸」といいます。

次回は、今回の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸のはなしから
食品中の脂肪酸について例を挙げてかいていこうと
思います。

研究検査部 山田

食品中の脂肪酸のはなし【序】

前回に引き続きカビ毒について書こうかと思いましたが、
今年度から食品表示法が新しくなったことを受けて
今回はタイムリィな「脂肪酸」について簡単にかいてみようと
思います。

食品表示法の新しい変更点の一つに
“推奨表示(将来的に義務化を目指す項目)として
飽和脂肪酸、食物繊維の2項目を追加、
表示する場合は様式に沿った記載が必要”と
なっています。

記載方法の例の一つに、飽和脂肪酸及び任意表示のn-3系脂肪酸、
n-6系脂肪酸が脂質に含まれていることがわかるように行を変えて記載し、
コレステロールは脂質の下に記載する、となっています。

最近のブームでココナッツオイルや食品中のオメガ3など
脂肪酸に関するニュースをよく耳にします。

私は脂肪酸についての知識がまだまだなため、
今回ブログを通して脂肪酸について勉強し
わかりやすくまとめていこうかと思っています。

次回は、「そもそも脂肪酸とは?」について
まとめてみようかと思います。

研究検査部 山田

食品のカビ毒について②

新年度がスタートしました。
前橋は桜前線がピークを迎えていますね。
菜の花も満開で、景色が色鮮やかです。

それでは前回に引き続き
今回はカビ毒の種類とその特徴について、
ということで「アフラトキシン」というカビ毒ついて
紹介します。

1. アフラトキシン類 
アフラトキシンは熱帯から亜熱帯地域にかけて
生息するアスペルギウス属等が生産するカビ毒です。
主な汚染食品は、トウモロコシ、落花生、豆類、香辛料、木の実類です。

食品から検出される主要なものに4種類(B1, B2, G1, G2)があり、
動物の体内に入った場合、B1及びB2が代謝されM1, M2となり、
乳中に含まれることが確認されています。

アフラトキシンを人が摂取した場合、
肝臓に発がん性があるとされ、
特にアフラトキシンB1が最も発がん性が高いとされています。
また動物が飼料中に含まれるアフラトキシンを摂取することで
肝障害を引き起すことがあります。

アフラトキシンの特徴は非常に熱に強く、
一旦作られると、通常の加工調理過程では
ほとんど分解はされず除去が難しい点です。

食品衛生法では
総アフラトキシン(アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和)を
10 μg/kgを基準値とし、
基準値を超過する食品は取り扱いできないことになっています。
最近の輸入食品等の違反事例として、
先月にアメリカ合衆国産の生鮮アーモンドから
13 μg/kgが検出されています。

次回も、その他カビ毒をご紹介します。

研究検査部 山田