家庭でできる食中毒予防②

 食中毒の原因菌は目に見えないものであるだけに、その対策には細心の注意は払わなければなりません。冷蔵庫の過信、材料の放置、賞味期限切れというようなことが病原菌を発症させるに十分な数まで増大させることになるのです。

 しかし同様に食中毒は、正しい知識と正しい処置があればそんなに恐れるほどのものではありません。いつも清潔にし、材料は新鮮なうちに調理し、出来上がったおかずはすぐに食する。不安なときには、食さない。このように誰もが知っている極当たり前の家庭にでも十分に対応できる知恵をもってすれば、少なくとも家庭内原因の食中毒はなくすることができるわけです。

家庭でできる食中毒予防

食中毒というと、レストランなどの飲食店での食事が原因だと思われがちですが、毎日の家庭でも発生する可能性は充分にあります。最悪の事態を未然に防ぐ為に、食中毒予防のポイントを一日の流れの中でみていきましょう。

① 食材の購入 肉、魚、野菜などの生鮮食料品は消費期限などを確認し新鮮なものを購入し、すぐに帰り冷蔵庫に保管する。

② 家庭での保存 常に冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は‐15℃以下の温度を維持する(多くの細菌は10℃で繁殖が緩やかになり、-15℃で増殖が止まる)。

③ 下準備 台所を見渡し、ゴミはすててあるか、タオルや布巾は清潔か、石鹸は用意してあるか、作業台は整理されているか、チェックする。生の肉や魚を切った後、他の食材を切る時はしっかり洗ってその後熱湯をかけてから使用する(できれば包丁やまな板は肉用、魚用、野菜用に別々に揃えたほうがいい)。冷凍食品を解凍する際は、冷蔵庫解凍か流水解凍にする(常温解凍はしない)。調理器具は使用後すぐに洗剤と流水で洗う(漂白剤に一晩漬け込むと、消毒効果がある)。

④ 調理 もう一度台所を見渡してみて、下準備で全体が汚れていないか、タオルや布巾は清潔か、をチェックし、手を洗う。加熱して調理する食品は充分加熱する(中心温度が75℃で1分以上が目安)。調理を途中でやめる場合はすぐに冷蔵庫に入れる。
 
⑤ 食事 食事前に手を洗う。清潔な器具を使い、清潔な食器に盛り付ける、なるべく早いうちに食べ、常温放置しないようにする。

⑥ 残った食品 清潔な器具、容器を使って保存する。保存容器は食品が早く冷えるように浅い容器を使い、小分けする。少しでも怪しいと思ったら、食べずに捨てる。

(続く)

腸内細菌検査②

ノロウイルス」、「サルモネラ」、「病原性大腸菌O157」などらは、その規模によっては、重篤な症状に至ったり、重大な被害、損失を及ぼしたりする危険性があります。「ノロウイルス」の検便検査に関しては、主に、先に挙げた「感染経路を調査するため」と言った検査意義を含みます。

調理者の便から「ノロウイルス」が検出されれば「食中毒」扱いとなり、発症者の便のみから検出された場合は、「感染症」扱いとなります。こういった場合においても「検便検査」が非常に重要な意味合いをもつのです。
 
また、「サルモネラ」や「病原性大腸菌O157」も含み大半の食中毒は、抵抗力の弱い乳児や学童、老人などにおいて特に感染の危険性が高く(少量の菌数で発生する可能性が高く)、感染後の症状も重いのです。もし、そういった事例が食品の製造や調理に携わった方のうちの健康保菌者を原因とする、二次感染であったならば、「検便検査」の定期的な実施によって、未然に防ぐことができたのではと考えられないでしょうか?これまでに、「検便検査」を怠ったばかりに「食中毒」が発症した事例も多々あると思われます。
 
上述の理由からも、今後「検便検査」を実施する機会がある方は、自分の体調が食中毒につながるということを意識して望んでみてはいかがでしょか?

腸内細菌検査①

 食品の製造や飲食業に携わっている方であれば、一度は「検便検査」を経験されたことがあると思います。食品の製造業であれば、最低でも年に1~2回、給食施設などに従事している方であれば、月2回の頻度でなされていることでしょう。では、なぜこのように食品業界で「検便検査」が行われているのでしょうか?
 
 ひとつは、健康保菌者の確認のためとなります。健康保菌者とは、一見、健康に見えながらも体内に病原体を保有している人のことで、下痢や嘔吐といった症状がなくても、腸管内に食中毒の原因菌を保菌している可能性があります。第三者にその菌が移行した場合に感染してしまう可能性をはらんでいるのです。さらには、少し体調が優れないときなどの軟便や下痢なども、細菌由来であることも考えられます。
 
 また、食中毒の感染経路を調査するためにも、用いられます。食中毒が発生したときに、ヒトを介した二次感染によるものなのか、食品の汚染そのものが原因であるのかを探るための手段のひとつとなります。

続く

水って安全?②

 さらに、水自体が定期的に検査をして問題のない状態でも水の使い方によってさまざまな汚染の原因となります。水は、汚れを落とすとともに、汚れを落とした水や滞留した水によって他の物を再汚染させる危険性があります。
 
 例えば、よく食堂などでボウルをシンクの下に保管しているのをよく見かけます。シンク内で食器を洗えば、その食器はキレイになりますが、下に置いてあるボウルはシンクを伝わって落ちた水や床に落下し跳ね返りにより付着した水により汚染されます。つまり同じ水を通して洗浄と汚染が同時に行われています。水が汚染を拡散させるという観点から、学校調理場では以前のウエットシステムからドライシステムに変更してきています。
 
 水は、生命にとって欠かせないものであると同時に、生命を脅かす存在にもなります。食品事業者は再度水について確認してみましょう。

水って安全?①

 水は私たちの生活に欠かせないものです。食品関係の会社にとっても水は、飲用・食品への添加・洗浄とさまざまな用途に使用されています。水は、安全という認識はありませんか。水は取扱を誤ると多大な事故につながります。実際、水道事業者によって管理している水道でも、フェノール類や油などの化学物質の混入やクリプトスポリジウムや赤痢菌による集団食中毒を起こしています。最近でも猪苗代町で患者数71人となったカンピロバクターによる食中毒が起きました。この原因は、塩素投入口の詰まりにより、塩素消毒が十分でなかった可能性があったということでした。
 
 食品関係の多くの会社では、多量の水を使用するため水道水に加え、地下水を使用しているところもあります。そのため、地下水を使用している会社は自分自身で管理しなければならないため、専門の業者が管理している水道水よりも多くの危険性を含んでいます。

 その要因は、①浅い井戸のため地下水自体が汚染されている。②消毒装置は設置されているが、目詰まりなどにより消毒液が送られていない。③消毒装置は正常に作動しているが、消毒液の濃度が規定に達していない。④貯水槽自体が汚染されている。です。

 しかし、群馬県の条例で、①水質検査を年1回以上行う。②常に正常に作動しているかどうかを点検すること。③貯水槽は、定期的に清掃すること。と明確に記載されています。つまり管理者自体がその条例の内容を知らないため、検査・確認を怠り上記のような不具合が生じてしまいます。

「ふきん」や「ダスター」の管理②

 そこで「ふきん」「ダスター」の取り扱いに関して見直す必要性が大いにあると言えます。まず、「ふきん」「ダスター」の洗浄に関して言えば、単に洗剤がけで「ふきん」「ダスター」を洗っても細菌は残存します。洗浄・すすぎ・消毒・乾燥を行ったものでなければ、「ふきん」「ダスター」が細菌汚染源となるのです。

 また、一般に「ふきん」「ダスター」の寿命は約一ヶ月と言われています。古くなると吸水性が高くなっても、放水性が低下し、繊維の中で細菌が増殖しやすくなります。また、臭いも発しやすくなります。その状態で使用すると、場所によっては手の数千倍以上の細菌が存在し、どんなに手洗いしても汚染の連鎖をシャットアウトする事ができません。

 家庭とは異なり、その使用回数もかなりの数となりますので、サイズは大き目、用途別に色分けし、枚数を決めてサイクル使用する事が重要となります。「ふきん」「ダスター」は取り扱いに注意しないと手同様に移動する汚染源になりかねないので、管理の徹底が工場・厨房の衛生を左右します。よって、工場や厨房の工場や厨房では従事者の手洗い教育と同時に「ふきん」「ダスター」の管理についても見直す必要があると思います。

「ふきん」や「ダスター」の管理①

 食中毒の原因は、大きく分けると食材由来、従事者由来、設備・施設由来が挙げられます。設備がきちんと完備され、施設が最新で、清掃が良くても食中毒を起こしてしまいます。それは従事者の意識に問題があるからです。
 
 従事者が「なぜそれをしないといけないか?」「それをしなければどうなるのか?」がきちんと理解していることが重要となります。そこで従事者に対する衛生教育がポイントとなります。一般的に家庭での食品衛生も工場の食品衛生も基本は一緒なので、実施するに当たって難しい事が要求されることはありません。しかし、家庭ではきちんと実施されているのに、工場や厨房で実施されていない一例として、「ふきん」「ダスター」の取り扱いが挙げられます。

 誰が想像しても「ふきん」「ダスター」は、拭いたり、擦ったりすることでその対象をきれいにするために使用するものです。ところが工場や厨房の「ふきん」や「ダスター」の取り扱いは、家庭で言えば「雑巾」に当たります。この状況ではどの工場や厨房も力を入れて行っている「手洗い」も、「ふきん」「ダスター」に触れた瞬間に雑菌だらけとなり、行為そのものが無意味なものになってしまいます。

食品の異物混入について②

 これらの中には、必ずしも有害と言えないものも含まれますが、正常な食品と比較して異なるわけですから、その製造や保存の過程に何らかの問題点があることを示し、有害ではないから問題は無いだろうと言うことは出来ないのです。具体的な例を挙げると、ある食品に髪の毛が混入していた場合、混入後に加熱殺菌などがされている製品であれば、髪の毛を原因とする微生物の増殖は考えにくいですし、髪の毛を口にしたところで病気になることは、まずないでしょう。

 しかし、いくら病気にならないからといって、食品から髪の毛が出てくることに不快感を抱かない方は、いないのではないでしょうか?また、髪の毛の混入を許した生産ラインで、より危険性の高い異物混入が発生することは、大いに考えられることです。
 
 現在の食品業界は「安全・安心・おいしい」ということが大前提であると考えられています。異物混入に対しては、どの会社の品質管理部門も頭を悩ませていることかと思いますが、もしも自分が食べたときに・・・という消費者の側に立った考え方を、従業員に徹底し、一つでも異物混入を減らす努力をしなければならないのではないでしょうか。

食品の異物混入について①

 春先になるにつれ、弊社への依頼件数が多くなる検査の一つに、混入昆虫の鑑定というのがあります。実際的には、建造物の密閉性が高くなっていることや、餌となる食品などが豊富にある状況から、年間を通して昆虫混入の危険性は一定の水準を保っていると考えられますが、やはり気温が上昇してくる春先から夏、秋にかけて昆虫全般の出現率、混入の危険性は高いようです。
 
 昆虫の混入も含めて、一般的に業界で言う「異物」とは、生産、貯蔵、流通の過程での不都合な環境や取り扱いによって、食品中に侵入したあらゆる外来物を言います。ただし、外来物以外でも製造や保存過程において、内部に発生した固形物なども「異物」としての取り扱いを受けます。例えば、加熱の際にできる「こげ」やワイン中にできる「結晶」、そして、カビが増殖しコロニーを形成した状態で発見された場合などです。つまりは、正常な製品と比較して異なるものが混入しているように判断された場合に「食品の異物混入」となります。
さて、具体的に「食品異物」となりうるものには、どのようなものがあるのでしょうか。その具体的な分類を以下に示します。

①動物性異物;昆虫・クモ・ダニなど、動物・鳥類の体毛、動物由来の排泄物など
②植物性異物;種子、植物の断片(木片、わらくず、もみがら等)、繊維など
③鉱物性異物;小石・土砂など、ガラス・陶磁器・セメント・金属・プラスチック・ゴムなど