品質管理について

あるお客さんが

『最近の犯罪は強盗よりも、ひったくりが多くなってきているんだって!どうしてか分かる?』

『?』
『コミュニケーションの能力が落ちてきているからなんだって』
『なるほど!そういえば、学校でも、先生と生徒、また親との間でコミュニケーションができないことが問題になっていますよね』

そんな会話をしている間に思い浮かんだのが、品質管理者のことでした。

最近の品質管理者は、検査に追われ、またクレーム報告書に追われ、気難しい顔をし、少し疲れた表情を浮かべながらパソコンに向かっている人が多く見られます。会話をしても、『何でこんな小学生でも分かるようなクレームが起こるのだろうか?』『現場に入りたいけど、忙しくて入っている暇なんかないよ』というような話しか出てきません。そんな雰囲気だからか、性格なのかは分かりませんが、ますます従業員との隔たりが生じているようです。こんな状態で従業員とコミュニケーションを取ろうとしても取れるはずもありません。

そもそも品質管理者は、クレーム処理を行うためにいるのでしょうか?私は商品の品質を高めるために存在していると考えています。その品質を高めてくれるのは、誰でしょう?それは、従業員の方々です。一方、クレームを起こすのも従業員の方々です。つまり、従業員とのコミュニケーションを取り、内部の問題点を聞き出す・解決すること、従業員の方々が負荷なく作業できる環境作りが、クレーム低減の第一歩となります。

『でも、それは分かっているけど、今までの仕事が溜まっていて現場に入っている時間が取れないよ!』なんて嘆いてはいけません。今まで、従業員からの『作業が忙しすぎて、清掃する時間なんかないよ!』というクレームに対して、『段取りをしっかりすれば掃除の時間は作れるよ』と返答した方へ・・・今こそ、自分自身で実行してみましょう!

品質管理者は、会社の中心です。そのため、品質管理の雰囲気がそのまま会社全体の雰囲気につながります。元気を出して笑顔で現場に入り、従業員の方々と積極的にコミュニケーションを行いましょう。それが、品質管理者の役目であり、品質を高める近道であるからです。品質管理に悩んでいる方、当社にご連絡ください。一緒に従業員とコミュニケーションしていきましょう。
shokukanken S.G
食品検査 |残留農薬|栄養成分検査|賞味期限検査

豚サーコウイルス2型汚染検査におけるリアルタイムPCR法の有用性

2009年度の獣医学会(鳥取大学)にて発表しました。
【目的】豚サーコウイルス2型(PCV2)の感染は、ほとんどの農場でみられ、死亡率の増加や増体重の低下などをもたらす。PCV2検査は、PCR法、間接蛍光抗体法(IFA法)及びELISA法が用いられている。しかし、これらの検査では正確な汚染度を明らかにすることができないため、ウイルス量を定量できるリアルタイムPCR法(rPCR法)が推奨されている。そこで、農場の離乳後事故率(事故率)とrPCR法及びIFA法の結果を比較し、rPCR法の有用性を検討した。
【方法】関東地域にある事故率が5%、10%及び20%の各3農場で、平成20年に採材したPCV2ワクチン未接種の血清を用いた。検体数は各農場で母豚6頭、30、60、90、120及び150日齢の肥育豚3頭ずつを基本とした。rPCR法による血清1mL中のPCV2量及びIFA法による抗体価の測定を行い、その結果を比較した。
【結果】事故率5%群のPCV2量は6.0×102~7.6×103 copies/mLで、90日齢で最高値を示した。事故率10%群及び20%群では6.0×102~3.8×104 copies/mL及び3.1×103~2.4×105 copies/mLで、60日齢で最高値を示した。事故率5%群は20%群と比較して母豚、30日齢、60日齢、150日齢で有意に低かった。また10%群との比較では60日齢で有意に低かった。事故率10%群は20%群と比較して母豚、150日齢で有意に低かった。IFA抗体価は、いずれの日齢においても群間に有意差はみられなかった。
【総括】事故率5%群のPCV2量は全ての日齢において104 copies/mL以下であったことから、このレベルが事故率改善の一つの指標となることが示唆された。また、日齢ごとにPCV2量を測定することにより、PCV2の増殖時期が明らかとなるため、対策を講じる上で有用な情報となると考えられた。
shokukanken M.N
 PCR検査|残留農薬|畜産|鶏病気|牛病気|豚病気         
日本獣医学会(秋) M.N

豚の病性鑑定結果から得られた最近の疾病状況

APVSで発表しました
Major Pathogens Found in Sick Piglets
Introduction
We have been concerned with health consultation and diagnostic examination of pig farms in central and northern Japan. The purpose of this study is to elucidate relationship between the infectious diseases and piglet age by epidemiological survey of the causative pathogens from 2004 to 2008.

Materials and Methods
1094 samples in total, carcass and feces of diarrhea, were collected from 62 farms in Kanto, 71 in Tohoku and Hokkaido district of Japan. For detection of pathogens, cultural isolation and identification were employed for Actinobacillus pleuropneumoniae, Haemophilus parasuis, Pasteurella multocida, Clostridium perfringens, Escherichia coli, Salmonella sp. and Streptococcus sp.; PCR methods for PRRSV, PCV2, and Lawsonia intracellularis; latex agglutination method for Rotavirus; and microscopic examination for fecal parasites such as Coccidium and Trichuris suis.

ResultsThe incidence of detected pathogens at each growth stage of piglets. Additional pathogens detected in PRRSV positive samples (194 cases) and those in PCV2 positive samples (34 cases) . In 0 to 30-days old piglets, C. perfringens and Shiga toxin- producing E. coli (STEC) were found at high rates, 40.5 and 23.5%, respectively. STEC, H. parasuis, P. multocida, and C. perfringens were dominated in 30 to 60-days old animals (20.4, 14.8, 14.6, and 14.1%, respectively). Whereas, the major pathogens changed in the course of piglet growth. PRRSV, P.multocida, and A. pleuropneumoniae were found at high rates (24.9, 20.2, and 18.1%, respectively) in 60 to 90-days old ones; A. pleuropneumoniae, C. perfringens, and P. multocida were abundant in 90 to 120-days old ones (19.2, 17.4 and 15.6%, respectively). Accompanied pathogen to PRRSV was found as P. multocida at the highest rate (40.6%), followed by H. parasuis (24.5%) and A. pleuropneumoniae (19.6%). The mixed infection with PCV2 positive cases was attributed to H. parasuis (48.0%), P. multocida (44.0%), and A. pleuropneumoniae (16.0%).

DiscussionThe results indicate pathological relevance between the pathogens and the age of piglets. Namely, the pathogens causing digestive system diseases were dominant in the early stage of growth, while the agents causing digestive and respiratory system diseases were detected at a nearly same rate in 30 to 60-days old piglets. After 60 days, prevailing pathogens were almost limited to respiratory diseases. In any stage of animal growth, most of the detected pathogens were causative of chronic or opportunistic diseases, and it was suggested that they could develop into complex syndromes by mixed infection with PRRSV or PCV2.
shokukanken M.N
抗体検査|残留農薬 |畜産|鶏病気|豚病気|牛病気

衛生教育について

ブログの復活です
あまり更新はできませんが月1回程度の更新を心がけます。
なお、このブログと同一のものがhttp://www.shokukanken.com/column.htmlに取りまとめてありますのでご興味のある方は本サイトもご覧下さい。
衛生教育について
当社は、県内や近県の食品会社と衛生コンサルタント契約を結び、科学的手法(微生物学的検査機器分析)を用いながら従業員の「衛生教育」を行っています。
食品事故をなくし、品質の高い食品を作るには、作る現場での従業員の衛生意識の改善が最も重要です。

以前、私はトップに改善すべきポイントを伝え、トップダウンで現場に指示するやり方を行っていました。規模が小さかったり、組織がきちんと機能している会社ではこのやり方で通用しましたが、実際に担当していたほとんどの会社が中規模以上の会社であり、組織も未発達の会社が多く、指示・改善を提案しても途中で断線し、現場まで声が届かなかったり、現場からの声も私の耳まで届かなかったり、で上手くいきませんでした。
そこでメインにするやり方に切り替えました。このやり方は時間と労力はかかりますが、従業員たちと直接コミュニケーションをとりながら、継続的に「衛生教育」することで意識の高まりを強く感じました。
結局現場が物づくりの主体になるわけですから、当たり前といえば、当たり前な結果です。「会社は人なり」です。
良い会社は、良い人材に恵まれているわけではなく、良い人材に育成する会社だと思います。育成するといっても「従業員教育」に王道があるはずも無く、「対話をすること」と「実践をすること」を繰り返すことが重要であり、一方的に押し付けたり、言うだけで実践してみせない方法では育成になりません。育成する側にも試行錯誤が必要なわけです。バブル時代に大量雇用し、ふるいを掛ける手法をとった会社は、バブル時代のように余剰人員を抱えるほどの資金的余裕も無いのが現在であり、この先は少子化も進み、限られた人材資源を有効に活用する為に、ますます「従業員教育」が見直されるに違いありません。
shokukanken S.G
食品検査|食品分析|残留農薬|検便検査|消費期限検査

食環研ブログ担当者からのお知らせ

食環研のブログは休止中です。
これまでに投稿したものは、コラムとして
URL:http://www.shokukanken.comにまとめました。
ご興味のある方はご覧ください。
2009年11月より再開します。宜しくお願いします。

残留農薬農薬分析食品分析食品成分検査アレルギー
賞味期限検査消費期限検査食品保存試験食品成分分析
栄養成分分析アレルギー検査食品検査農薬検査検便
ノロウイルス検査レジオネラ検査検便検査アレルゲン検査
飼料分析肥料分析病気診断レジオネラ検査ノロウイルス

カビと食品衛生について

食品製造の現場においてカビ汚染を防ぐことやカビ毒に対する知識を習得することは、非常に重要な事柄の一つです。特に最近の食品業界を考えると、食品保存期間の延伸や低温流通などの普及に関連して、保存中のカビ発生による事故は増加しているようです。

カビは、低温でも良く生育し、細菌と比較して生育が遅いために上記のような傾向が見られます。また、輸入食品の増加に伴い、カビが作るカビ毒の問題がクローズアップされています。「カビ」というのは、細菌とは異なり、「酵母」や「きのこ」とともに「真菌類」と呼ばれる生物種に含まれます。また、カビというのは俗称であり、食品などで増殖して肉眼で確認される種類をカビと呼んでいます。

カビと聞くと、良いイメージをもたれる方は、あまり多くはいないでしょう。中には、コウジカビ、アオカビのように食品製造に利用される種類や医薬品製造に利用される種類もいますが、食品衛生上において考慮した場合、カビによる食品や工場内の汚染、それらを原因とする、食品事故(食品汚染クレームやカビ毒)の発生が大きな問題となります。

家庭でできる食中毒予防②

 食中毒の原因菌は目に見えないものであるだけに、その対策には細心の注意は払わなければなりません。冷蔵庫の過信、材料の放置、賞味期限切れというようなことが病原菌を発症させるに十分な数まで増大させることになるのです。

 しかし同様に食中毒は、正しい知識と正しい処置があればそんなに恐れるほどのものではありません。いつも清潔にし、材料は新鮮なうちに調理し、出来上がったおかずはすぐに食する。不安なときには、食さない。このように誰もが知っている極当たり前の家庭にでも十分に対応できる知恵をもってすれば、少なくとも家庭内原因の食中毒はなくすることができるわけです。

家庭でできる食中毒予防

食中毒というと、レストランなどの飲食店での食事が原因だと思われがちですが、毎日の家庭でも発生する可能性は充分にあります。最悪の事態を未然に防ぐ為に、食中毒予防のポイントを一日の流れの中でみていきましょう。

① 食材の購入 肉、魚、野菜などの生鮮食料品は消費期限などを確認し新鮮なものを購入し、すぐに帰り冷蔵庫に保管する。

② 家庭での保存 常に冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は‐15℃以下の温度を維持する(多くの細菌は10℃で繁殖が緩やかになり、-15℃で増殖が止まる)。

③ 下準備 台所を見渡し、ゴミはすててあるか、タオルや布巾は清潔か、石鹸は用意してあるか、作業台は整理されているか、チェックする。生の肉や魚を切った後、他の食材を切る時はしっかり洗ってその後熱湯をかけてから使用する(できれば包丁やまな板は肉用、魚用、野菜用に別々に揃えたほうがいい)。冷凍食品を解凍する際は、冷蔵庫解凍か流水解凍にする(常温解凍はしない)。調理器具は使用後すぐに洗剤と流水で洗う(漂白剤に一晩漬け込むと、消毒効果がある)。

④ 調理 もう一度台所を見渡してみて、下準備で全体が汚れていないか、タオルや布巾は清潔か、をチェックし、手を洗う。加熱して調理する食品は充分加熱する(中心温度が75℃で1分以上が目安)。調理を途中でやめる場合はすぐに冷蔵庫に入れる。
 
⑤ 食事 食事前に手を洗う。清潔な器具を使い、清潔な食器に盛り付ける、なるべく早いうちに食べ、常温放置しないようにする。

⑥ 残った食品 清潔な器具、容器を使って保存する。保存容器は食品が早く冷えるように浅い容器を使い、小分けする。少しでも怪しいと思ったら、食べずに捨てる。

(続く)

腸内細菌検査②

ノロウイルス」、「サルモネラ」、「病原性大腸菌O157」などらは、その規模によっては、重篤な症状に至ったり、重大な被害、損失を及ぼしたりする危険性があります。「ノロウイルス」の検便検査に関しては、主に、先に挙げた「感染経路を調査するため」と言った検査意義を含みます。

調理者の便から「ノロウイルス」が検出されれば「食中毒」扱いとなり、発症者の便のみから検出された場合は、「感染症」扱いとなります。こういった場合においても「検便検査」が非常に重要な意味合いをもつのです。
 
また、「サルモネラ」や「病原性大腸菌O157」も含み大半の食中毒は、抵抗力の弱い乳児や学童、老人などにおいて特に感染の危険性が高く(少量の菌数で発生する可能性が高く)、感染後の症状も重いのです。もし、そういった事例が食品の製造や調理に携わった方のうちの健康保菌者を原因とする、二次感染であったならば、「検便検査」の定期的な実施によって、未然に防ぐことができたのではと考えられないでしょうか?これまでに、「検便検査」を怠ったばかりに「食中毒」が発症した事例も多々あると思われます。
 
上述の理由からも、今後「検便検査」を実施する機会がある方は、自分の体調が食中毒につながるということを意識して望んでみてはいかがでしょか?

腸内細菌検査①

 食品の製造や飲食業に携わっている方であれば、一度は「検便検査」を経験されたことがあると思います。食品の製造業であれば、最低でも年に1~2回、給食施設などに従事している方であれば、月2回の頻度でなされていることでしょう。では、なぜこのように食品業界で「検便検査」が行われているのでしょうか?
 
 ひとつは、健康保菌者の確認のためとなります。健康保菌者とは、一見、健康に見えながらも体内に病原体を保有している人のことで、下痢や嘔吐といった症状がなくても、腸管内に食中毒の原因菌を保菌している可能性があります。第三者にその菌が移行した場合に感染してしまう可能性をはらんでいるのです。さらには、少し体調が優れないときなどの軟便や下痢なども、細菌由来であることも考えられます。
 
 また、食中毒の感染経路を調査するためにも、用いられます。食中毒が発生したときに、ヒトを介した二次感染によるものなのか、食品の汚染そのものが原因であるのかを探るための手段のひとつとなります。

続く