性病検査キットの信頼性は、検査機器や検査技術の発達から高いものがほとんどです。
性病検査キットには、郵送型と自己診断型の2種類あります。
郵送型検査キット | 自己診断型検査キット | |
---|---|---|
検査場所 | 検査機関で検査 | 自宅で検査 |
検査方法 | 専用の検査機器で検査 | 簡易検査キットで検査 |
結果判定 | 検査機関で判定 | 自分で判定 |
信頼性が高い性病検査キットは、郵送型の性病検査キットです。
郵送型の性病検査キットは、専門の検査員が検査機関で検査、結果の判定まで行うため検査結果の信頼性が高い検査キットとなります。
とはいえ、多くある検査キットの中で、どの検査キットを選べばいいのか迷うのではないでしょうか。
性病検査キットを選ぶポイントは、以下の4つです。
- 登録衛生検査所で検査が行われていること
- 検査方法が記載されていること
- 匿名性が高いこと
- 検査結果の第三者評価を受けていること
登録衛生検査所とは、「臨床検査技師等に関する法律」で定められた施設基準を満たした認定施設のことです。
登録衛生検査所で検査されてる検査キットを選ぶことで信頼性の高い検査を受けることができます。
このコラムでは、上記で述べた信頼性の高い性病検査キットを選ぶ際のポイント、性病検査キットで用いられる検査方法などを解説します。


郵送型の性病検査キットの信頼性は高い
性病検査キットの信頼性は、検査機器や検査技術の発達から高いと言えます。
しかし、どの検査キットを選んでも同じ結果が出るとは一概には言えません。
性病検査キットは、大きく分けて2種類あります。
- 郵送型の性病検査キット
- 自己診断型の性病検査キット
どちらの検査キットを選ぶかで、検査の信頼性に関わる可能性があります。
郵送型性病検査キットと薬局などで売っている自己診断型性病検査キットの違い
郵送型検査キット | 自己診断型検査キット | |
---|---|---|
検査材料の採取場所 | 自宅で採取 | 自宅で採取 |
検査場所 | 検査機関で検査 | 自宅で検査 |
検査方法 | 専用の検査機器で検査 | 簡易検査キットで検査 |
結果判定 | 検査機関で判定 | 自分で判定 |
結果がわかるまで | 2~3日 | 15分ほど |
郵送型の検査キットと自己診断型の検査キットの大きな違いは、検査を検査機関が行うか、自分で行うかです。
それぞれの検査キットの違いについて解説します。
郵送型検査キットについて
郵送型の検査キットは、検査材料の採取後、郵送で専門の検査機関へ送り、検査が終わるとスマートフォンまたはPCで検査結果を確認することができます。
検査結果の判定については、専門知識のある検査スタッフが行うため、自分で判定する必要がありません。
検査材料を採取してから結果を受け取るまで2〜3日待つ必要があります。
精度の高い検査を受けたい方は、検査機関で検査する郵送型の性病検査キットをおすすめします。
自己診断型検査キットについて
自己診断型の検査キットは、検査材料を採取してから15分ほどで検査を行うことができますが、結果の判定は自分で行わなければなりません。
また、間違った方法で検査をしてしまうと正しい結果が得られないことがあるため、検査キットの性能や結果の解釈について理解する必要があります。
検査結果の判定を自分で行うのが不安な方は、郵送型の性病検査キットを選びましょう。
では、郵送型検査キットと自己診断型検査キットの検査方法には、どのような違いがあるのでしょうか。
郵送型性病検査キットと自己診断型検査キットの検査方法の違い
郵送型検査キット | 自己診断型検査キット | |
---|---|---|
淋病検査 | 核酸増幅法(PCR法、TMA法) | イムノクロマト法 |
クラミジア検査 | ||
梅毒検査 | 自動免疫測定法(CLEIA法、ECLIA法) | |
HIV検査 |
郵送型検査キットと自己診断型検査キットでは、検査方法が異なるため、検査の信頼性も変わってきます。
検査の信頼性が高い検査キットは、郵送型検査キットの方が高いと言えます。
それぞれの検査キットについて、4つの検査項目を例に解説させていただきます。
郵送型検査キットの検査方法
淋病検査、クラミジア検査で検査感度がいい検査方法は、核酸増幅法です。
核酸増幅法には次のものがあります。
-
- PCR法
- TMA法
などの遺伝子増幅検査
どちらも病原体の遺伝子を検出する遺伝子増幅検査です。専用の検査機器を用いて、病原体の遺伝子を100万倍にも増幅させる検査方法のため、極少量の病原体でも検出することができる検査方法です。
梅毒検査、HIV検査は、自動免疫測定法が用いられます。
自動免疫測定法は、血液中の抗体または抗原を専用の検査機器で測定するため、信頼性の高い検査結果を出すことができます。
検査機器によって検査方法が異なりますが、自動免疫測定法には次のような方法があります。
-
- CLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)
- ECLIA法(電気化学発光免疫測定法)
などの自動免疫測定
この検査方法を使用した検査キットを選ぶことで信頼性の高い検査が行えます。
自己診断型検査キットの検査方法
簡易検査キットは、イムノクロマト法を検査原理とした検査キットです。
イムノクロマト法とは、妊娠検査薬と同様に検査キットに現れる線を目視で判定する方法です。
15分ほどで検査が行えるため、手軽に検査をすることができますが、検査の感度は郵送型の検査キットに劣ります。
簡易検査キットは、キットに現れる線を目視で判定するため、ある程度の病原体の量や抗体の量が必要となります。
病原体の量や抗体の量が少ないとキットの現れる線が薄かったり、出ないこともあります。
そのため、早期に発見することができない可能性があります。
【梅毒編】自動免疫測定法が推奨
梅毒の検査方法の1つである梅毒トレポネーマ抗原法(TP法)には、自動免疫測定法とイムノクロマト法などがあります。
検査方法 | 精度 | スピード | 価格 | おすすめ度 |
---|---|---|---|---|
自動免疫測定法 | ◎ | 〇 | 高 | ◎ |
イムノクロマト法 | △ | ◎ | 低 | △ |
自動免疫測定法
自動免疫測定法とは、血液中の抗体または抗原を専用の検査機器で測定する検査方法です。
専用検査機器を使用するためには、専用の施設や設備、機器のメンテナンスの必要がありますが、精度の高い検査結果を出すことができます。
自動免疫測定法には、ECLIA法、CLEIA法、比濁法などいくつかの種類があります。
イムノクロマト法
イムノクロマト法とは、妊娠検査薬と同様に検査キットに現れる線を目視で判定する簡易的な検査方法です。専用検査機器や設備などが不要で、簡易的に検査を行うことができますが、自動免疫測定法と異なり、検査結果を目視で判定するため、検査精度が落ちることがあります。
イムノクロマト法は、自己診断型の検査キットでよく使用されます。
推奨する検査方法は
梅毒検査で推奨する検査方法は、専用の検査機器を使用した自動免疫測定法です。
自動免疫測定法での検査は、イムノクロマト法での検査と比較して価格が高いですが、より正確な検査結果が得られます。
検査スピードは、イムノクロマト法は数分~数十分(検査キットによる)と迅速に結果がわかりますが、自動免疫測定法でも最短即日で結果を知ることが可能です。
これらのことからも、自動免疫測定法による検査を推奨します。
弊社では、イムノクロマト法ではなく自動免疫測定法による検査を行っており、非常に高感度で正確な測定が可能なECLIA法(電気化学発光免疫測定法)を採用しています。
また、弊社ではRoche Diagnostics「cobas e 411」という装置を使用し、精度の高い検査を行っております。
性病検査の即日検査キットとは
即日検査キットとは、多くの場合、イムノクロマト法を指します。
検査時間は15分ほどで行えるため、即日検査法と呼ぶこともあります。
しかし、イムノクロマト方法で検査する場合、以下の点に注意が必要です。
- 感染初期では偽陰性の可能性がある。
- 自分で確認する場合、検査結果の判定が難しい可能性がある。
上記で述べたように、感染初期は検出できる病原体が少なく、偽陰性の可能性があるため感染初期の検査には不向きとなっています。
また、検査結果の判定を自分で行う場合、正しく判断ができない可能性があります。
目視での判定になるため、医療機関で行う場合、結果は医師の判断になりますが、自分で確認する場合は、確認するタイミングや現れる線の位置など、気をつけなければならない点があることを心にとめておきましょう。
信頼性の高い郵送型性病検査キットを選ぶポイント
信頼性の性病検査キットを選ぶポイントは、以下の4つです。
- 登録衛生検査所で検査が行われていること
- 検査方法が記載されていること
- プライバシーに配慮されていること
- 検査結果の第三者評価を受けていること
各ポイントについて解説します。
登録衛生検査所で検査が行われていること
- 郵送型の検査キットを選ぶ際には、「登録衛生検査所」で検査が行われるか確認しましょう。
登録衛生検査所は、都道府県知事からの認定を受けた検査機関のことです。
ヒトの検査材料を検査するためには、「臨床検査技師等に関する法律」で定められている施設基準を満たしていることが必要です。
検査機関が記載されていない検査キットは気を付けましょう。
検査方法が記載されていること
- 検査方法が記載されている検査キットを選びましょう。
性病によって検査方法が様々です。
性病検査キットが、どのような検査方法で検査するのかわかる検査キットを選択しましょう。
匿名性が高いこと
- 性病検査を受けることを他人に知られない、匿名性が高い検査キットを選びましょう。
匿名性が高い検査キットの特徴
- 性病検査キットを受け取る際、性病検査キットだと見た目で分からない荷姿になっている
- 検査結果が陽性であった場合、第三者へ報告されないと謳っている
-
検査結果の第三者評価を受けていること
- 検査結果について、第三者機関からの評価を受けている施設の検査キットを選びましょう。
-
外部精度管理を実施している機関は、定期的に検査結果の精度を確認しているため信頼性が高いといえます。
外部精度管理の主催には、次の機関があります。- 日本臨床衛生検査技師会
- 各都道府県の検査技師会
外部の第三者機関から複数の施設へ同一検体を配布し、施設間で検査結果の差がないか評価するもの。
検査技術の正確さ、検査結果が他の検査機関と同等かを判断できる。医療機関で行う性病検査の精度について
医療機関の検査精度は、高いと言えます。医療機関で性病検査を受ける場合、その場で検査材料を採取を行います。
そのため検体の鮮度が良く、高い検査精度が期待できます。
しかし、医療機関で行うからどれも優れているというわけではなく、検査方法によっては精度が劣る可能性もあるため、検査を受ける際は注意しましょう。
医療機関の検査精度は高いですが、民間の検査会社での性病検査の精度が悪いわけではありません。
検査材料の鮮度は落ちますが、検査キットの説明書通りに採取、郵送を行うことで輸送時の検体の安定性は保証されるため、検査結果に大きな差はありません。郵送型性病検査キットと病院の違い
郵送型性病検査キット 医療機関 検査材料の採取 自分で採取 医師、看護師が採取 採取場所 自宅 医療機関 検査実施場所 登録衛生検査所 院内の検査室 結果の確認方法 郵送、スマートフォンで確認 医療機関 陽性時の対応 医療機関を探す必要がある 同一医療機関で治療可能 医療機関で性病検査を受ける場合、医師の指示のもと適切なタイミングで検査を受けることができますが、検査材料の採取、結果の確認は直接医療機関へ出向く必要があります。
陽性となった場合、同じ医療機関で治療をすることが可能なため、探す手間も省けます。
性病検査キットを使用する場合、検査材料の採取は自分で行うため、正しい方法、タイミングを自身で判断する必要があります。
しかし、時間や他人の目を気にせず検査材料を採取可能な点や、結果の確認も医療機関へ出向く必要がないため、気軽に性病検査を受けることができます。性病検査を実施するタイミング
検査項目 検査に適したタイミング 淋病検査 感染機会後2~10日以降 クラミジア検査 感染機会後2~10日以降 梅毒検査 感染機会後3ヶ月以降 HIV検査 感染機会後3ヶ月以降 性病によって検査に適したタイミングが異なります。
淋病、クラミジアは感染機会後、比較的早く検査可能ですが、梅毒、HIVは3ヶ月経過しなければ、検査を受けても偽陰性となる可能性があります。
感染機会後3カ月以内に梅毒、HIV検査を受けて陰性の場合、血液中の抗原や抗体が検出できない期間の可能性があります。
不安な方は、3ヶ月経過後に再び検査を受けることをおすすめします。3ヶ月以降に検査を受けて陰性の場合、陽性である可能性は低いと言えます。
正しいタイミングで検査を受けることで検査結果の信頼性が高くなります。
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