いつもとは異なるおりものの状態に「妊娠した?」「もしかして病気?」さまざまな不安を感じる方も多いかと思います。
おりものは女性の健康状態を示す大切なバロメーターです。
茶色いおりものは必ずしも病気のサインではなく、体の正常な変化であることも多いです。
一方で、時には注意が必要なサインともなり得ます。
このコラムでは、茶色いおりものが正常であるケースと病気のサインであるケース、そしてどのような時に病院を受診すべきか、病院での検査内容についてご紹介します。


目次
茶色いおりものが「正常な変化」である5つのケース
茶色いおりものが出ても、過度に心配する必要がないケースは意外と多いです。これは、出血してから体外に排出されるまでに時間が経ち、酸化が進んだ古い血液が少量混じることで、茶色くなることがあるためです。
以下5つのケースでは、茶色いおりものが出ていても、心配する必要はありません。
1.生理の前後(終わりかけ・始まりかけ)
生理が始まる前や終わった後に、古い経血が少量ずつ排出されることで茶色いおりものとして出ることがあります。これは生理前に子宮内膜が少しずつ剥がれ始めるためや、生理後に体内に残っていた血液が酸化して色が変化するためで、よくある生理現象の一つであり、特に心配はいりません。
2.排卵期出血
排卵期(生理と生理のあいだの期間)に少量の出血が見られ、この出血が茶色いおりものとして出ることがあります。卵胞ホルモン(エストロゲン)の一時的な減少により、子宮内膜の一部が剥がれることで起こるとされています。
個人差はありますが、通常は2~3日程度でおさまり、おりものくらいの量や下着に付く程度の少量であることが多いです。
3.妊娠初期の「着床出血」
妊娠が成立する際、受精卵が子宮内膜に着床する時に、子宮内膜の血管が傷つき出血することがあります。これを着床出血とよび、生理予定日頃に茶色いおりものやピンク色の出血としてあらわれることがあります。
排卵期出血と同様、個人差がありますが、通常は2~3日程度でおさまり、おりものくらいの量や下着に付く程度の少量であることが多いです。
4.ホルモンバランスの乱れ
ストレス、過労、無理なダイエット、体調不良などが原因でホルモンバランスが一時的に乱れ、不正出血があり茶色いおりものとして出ることがあります。5.性交後の軽微な出血
性交時の摩擦などによって、デリケートな部分が一時的に傷つき、ごく少量の出血があり、これがおりものと混ざって茶色く見えることがあります。通常は一時的なもので、すぐに治まります。
【要注意】茶色いおりものが「病気のサイン」である5つのケース
子宮頸管ポリープ

子宮の入り口(子宮頚管)にできる良性のできものです。
性交時や軽い刺激で出血しやすく、茶色いおりものや少量の不正出血としてあらわれることがあります。
性感染症(STI)
クラミジア感染症や淋病
感染することで、子宮頸管炎を引き起こします。炎症がおこると、子宮頚管の粘膜が弱くなり血管が傷つきやすくなるため、性交時やわずかな刺激でも出血しやすくなり、その血液が茶色いおりものとしてあらわれることがあります。
これらの性病に感染していると、排尿痛やおりものの増加がみられる場合があります。
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トリコモナス症
トリコモナス症の最も特徴的な症状は、泡状、強い臭いの伴うおりものですが、子宮頚管や膣に炎症が起き、微量の出血が生じることがあり、その血液が茶色いおりものとしてあらわれることがあります。これらの性病に感染していると、おりものの増加や排尿痛、性交時の痛みがみられる場合があります。
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「性病」が心配な場合は?
性病への感染に心あたりがある場合や、心配な場合には医療機関の受診や性病検査キットを利用して検査を受けましょう。早期発見と適切な治療は、自身の健康を守るだけでなく、パートナーへの感染を防ぐためにも非常に重要です。
性病検査キットであれば、自宅で手軽に検査が可能です。


※トリコモナス検査も、4,510円(税別)で検査が可能です。
細菌性腟症
腟内の細菌バランスが崩れて起こる炎症です。通常は灰白色で魚のような臭いを伴うことが多いですが、炎症が強い場合は少量の出血が混じり、茶色のおりものとして出ることがあります。
子宮筋腫・子宮内膜症
子宮筋腫
子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。筋腫からの出血、子宮内膜が不安定になることや過多月経・過長月経による出血により、茶色いおりものとして出ることがあります。
特に粘膜下筋腫(子宮の一番内側を覆う子宮内膜の下にできる子宮筋腫)があると、茶色いおりものが出ることが多いです。
子宮内膜症
子宮内膜症は、通常月経で剥がれ落ちるはずの子宮の内膜組織が、子宮の内側以外の場所(異所性)に入り込み、発育する病気です。この子宮外の場所で出血した血液は、体外にスムーズに排出されにくいため、時間が経って酸化し、茶色いおりものとして出ることがあります。
また、子宮内膜症が原因でホルモンバランスが乱れ、不正出血につながる場合もあります。
子宮頸がん・子宮体がん
子宮に発生する悪性腫瘍です。進行すると不正出血や、血液が混じった茶色や膿のようなおりものが出ることがあります。
どちらのがんも早期発見が重要となります。心配な方は医療機関を受診しましょう。
こんな「茶色いおりもの」はすぐに病院へ
早期に医療機関を受診しましょう。
婦人科での検査内容は?
問診
おりものの状態(色、量、臭い、期間など)、他の症状、最終月経、性経験の有無、既往歴などを確認します。内診
医師が視診・触診で、子宮や卵巣の状態、おりものの様子などを直接確認します。おりもの検査
膣や子宮頸部からおりものを採取し、細菌感染(性病含む)や炎症の有無などを調べます。超音波検査(エコー検査)
子宮や卵巣の状態(筋腫、嚢胞、内膜の厚さなど)を超音波で確認します。子宮頸がん・子宮体がん検診
必要に応じて、子宮頸部や子宮体部(子宮内膜)の細胞を採取し、がん細胞の有無を調べます。これらの検査は、おりものの異常の原因を特定し、適切な診断と治療を行うために不可欠です。
不安な症状がある場合はこれらの検査を通じて原因を明らかにし、早期に適切な対処を始めることが大切です。
まとめ
茶色いおりものは、生理現象の一つで心配ないこともあれば、体の不調や病気のサインである可能性もあります。ご自身の体の変化に気づくことは大切ですが、それが一時的なものなのか、それとも医療機関を受診すべき症状なのかを自己判断するのは難しいでしょう。
もし少しでも気になる症状があれば、「もしかして…」と不安を抱え続けるのではなく、早めに婦人科を受診して相談をしましょう。
早期の診断と治療は、あなたの心身の健康を守るうえで非常に重要です。


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