建物の内外装材としてよく使われるケイカル板(ケイ酸カルシウム板)は、過去2004年までアスベストを混在させた建材として製造されていたこともあり、現在も古い建物で使用が確認されています。
アスベスト入りケイカル板は耐火性、断熱性に優れ、それでいて軽量なので一般の住宅にも内装材として使われていました。
近年、アスベストに対する規制が強化されつつある中で、アスベストが使われている恐れのあるケイカル板についても慎重な調査と除去作業が必要となっています。
この記事では、アスベストが含まれるケイカル板を見分ける方法について詳しく解説します。
見分けるいくつかのポイントを知ってアスベスト入りケイカル板を適切に対処できるようにしましょう。
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ケイカル板はどんな建材?
ケイカル板は、正式には「ケイ酸カルシウム板」といい不燃性建材として、水廻りや湿気のある場所の断熱材などで使用されます。
石膏ボードが使用できない部分の代わりの建材として活躍し、軽量で加工もしやすく幅広い部位に使用されています。
1960年〜2004年までに製造されたケイカル板にはアスベストが混ぜられているものがあり、第1種、第2種にそれぞれ分類されアスベストレベルも異なります。
見た目上では、通常のケイカル板とアスベスト入りのケイカル板の判別は難しいので、分析調査に出す必要があります。
第1種と第2種に分類されるケイカル板
ケイカル板は第1種と第2種があり、それぞれ使用用途などに違いがあります。(アスベスト含有ケイカル板も同様に)
これらは「かさ比重」、簡単にいうと固体の密度(空隙率)によって種類が分かれています。

- ケイカル板第1種:比較的薄くて重く(厚4mm~10mm)、成形板、天井など、第2種に比べて密度が高く飛散しにくいためアスベストレベル3

- ケイカル板第2種:分厚くて軽く(厚12mm~70mm)、耐火被覆材、保湿材、第1種よりも密度が低く飛散しやすいためアスベストレベル2に分類
成分自体は変わりませんが、用途に合わせて成形されているため撤去作業の方法などもそれぞれ違ってきます。
アスベスト入りのケイカル板では、第2種の方がアスベストレベルが高く飛散しやすいとされていますので、封じ込め・囲い込み作業などを行って除去することとなります。
そのため、「特定粉じん排出等作業届書」の提出が必要となります。
アスベスト含有ケイカル板の製造・使用年代
アスベスト含有のケイカル板は第1種と第2種で製造期間が異なります。
- アスベスト含有のケイカル板第1種の製造期間は「1960年から2004年」
- アスベスト含有のケイカル板第2種の製造期間は「1963年から1990年」
ケイカル板第2種の方が製造期間が短く、使用されている期間も短いといえます。
まとめると、2004年以前の建築物に第1種、第2種どちらかのアスベスト入りケイカル板が使用されている可能性があると認識しておいて良さそうです。
2004年以降はケイカル板からアスベストは例外なく除かれているため、アスベストによるリスクはありません。
参考:石綿含有建材データベース「石綿(アスベスト)含有建材の特徴」石綿含有けい酸カルシウム板第1種|国土交通省
参考:石綿含有建材データベース「石綿(アスベスト)含有建材の特徴」石綿含有けい酸カルシウム板第2種|国土交通省
築何年の建物にアスベスト含有ケイカル板の使用が多い?
アスベスト含有ケイカル板が使用された建物の築年数はおおよそ築50年前後。この年数付近の建物は使用率が多いといえそうです。
まずアスベスト含有のケイカル板の製造自体は1960年から始まっていますが、製造されてすぐに普及するわけではなく、ある程度の年数経過が必要です。
また、当時のアスベスト輸入量でみると1974年(昭和49年)に最高値となる35万トン(その後年間約30万トン前後で推移)の輸入がされていたことから、その時期あたりが最もアスベスト建材が利用されていたと思われます。
ケイカル板の製造開始時期からも10数年経っているので、普及率も高まっていたはずです。
明確なデータはないため、あくまで予想ですが、このような理由からアスベスト含有のケイカル板の使用が多いのは築50年前後の建築物だと推測できます。
参考:アスベスト問題に関する政府の過去の対応の検証について|総務省公式HP
アスベスト含有ケイカル板の見分け方
アスベスト含有ケイカル板の見分け方でまず押さえておきたいこととして、多角的に判断することが大事だということです。
まず、アスベスト含有ケイカル板は外見で見分けることは難しいです。アスベスト非含有建材と若干の違いがあるかもしれませんが、それ以外の要素も合わせて総合的に見分けていくのがコツです。
アスベストを判定する方法を次の項目からいくつか解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】【画像有】アスベストの見分け方!見た目の特徴から見分ける方法
建材の製造年代を調べる
前の項目で解説しましたが、アスベスト含有ケイカル板は製造年代があり、2004年以降はアスベストが除かれた状態で流通しています。
つまり、建物の設計図や資材発注書などから建材の製造年代を調べれば、アスベスト含有の可能性がある年代のものなのか否かが判明します。
これを一つのヒントとして、アスベスト建材の対処を決めることができます。
ただし、まれに情報が不足して読み取れないこともあるため、そういった場合は別の情報からアスベスト含有の可能性を推測していきます。
建材を指でこすって繊維状物質の有無を確認する
建材を少量採取して指で擦ってみるのも、アスベスト含有を見分ける一つの手段です。
アスベストは繊維状の天然鉱物なので、指で擦っても砕けずに繊維が残りやすいです。この繊維がアスベストか否かを見分けるヒントになります。
ただし、指で擦る際にはほんの少量で飛散をなるべくさせないよう、そして吸い込まないよう細心の注意を払っておこなうことが大事です。
建材を少量採取し酢に入れてみる
アスベストは酸に強い特性があるため、お酢などに浸しても溶けずに残ります。
このことから、建材を採取して同じようにお酢に浸し、溶けるかどうかを見てみるのもアスベスト含有の判定方法として知られています。
透明なコップなどの容器を使うとわかりやすいです。
また、勢いよくかき混ぜたりすると水の中で粉砕されて、溶解反応なのかどうかが判断できなくなることもあるので、静かに反応を見守りましょう。
アスベストマークがないか確認する
アスベスト含有の建材は、法律により一定時期以降の製品に「アスベスト含有を示すのaマーク」が表示されていることがあります。
なので、アスベスト含有が疑われるケイカル板の製品にaマークがないかを確認してみるとアスベストの有無が判明するかもしれません。
ただし、古い建材の場合はaマークがないことも多いため、aマークがないからといってアスベストが含まれていないと断定するのは危険です。
ケイカル板と石膏ボードの違いと見分け方
アスベスト含有の成形建材で有名なケイカル板と石膏ボードですが、これらの不燃建材は見た目が似ているなどで見分けることが難しい建材でもあります。
アスベスト含有製品かどうかを見分ける前に、ケイカル板かどうかを知る必要もあるため石膏ボードとの違いなどを把握しておくことも大切です。
まず大きな違いとしては、水に対する強度です。
石膏ボードは水に弱く、濡れると簡単に損傷しますが、ケイカル板が耐水性があり湿った環境でも比較的形状を保つことができます。
そのため、水に濡らして反応を見るとこの2つの建材どちらなのかを特定しやすいです。
その他にも見分け方があります。
以下、主な見分け方をまとめましたので、これらを参考にしてみると良いでしょう。
ケイカル板と石膏ボードの違いと見分け方 |
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表面の質感 | ・ケイカル板は比較的滑らかで硬い。 ・石膏ボードは紙で覆われており、触ると少し柔らかい。 |
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重量感 | ・ケイカル板は同じサイズならやや重い。 ・石膏ボードは軽量で取り扱いやすい。 |
切断面の確認 | ・ケイカル板は硬く、切断面が鋭くなることが多い。 ・石膏ボードは柔らかい粉状の断面が見え |
ケイカル板とスレートの違いと見分け方
アスベスト含有の成形建材ではスレートも代表的な建材です。
まず、スレートはセメントを主成分とし、屋根材や外壁材として使用されることが多いです。一方、ケイカル板は内装材として使われることが多いです。
スレートは重量があり加工などがしにくい建材です。そういった状況ではケイカル板が使われることがあります。
そのため両者の違いは結構あり、分かりやすいといえます。
両者の違いは以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
ケイカル板と石膏ボードの違いと見分け方 |
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用途 | ・ケイカル板:主に内装材や断熱用途。 ・スレート:屋根や外壁材として使用。 |
---|---|
色と質感 | ・ケイカル板は白っぽい色が多い。 ・スレートは黒や濃い灰色で、ザラザラした表面が特徴。 |
音の違い | ・ケイカル板を叩くと軽い音がします。 ・スレートは叩くと低く鈍い音がします。 |
重量と厚み | ・ケイカル板はスレートに比べて軽い。 ・スレートは厚くて重い場合が多い。 |
アスベスト含有ケイカル板の除去方法
アスベスト(石綿)はその繊維が極めて細かく、吸い込むと健康被害を与えるため、除去作業には厳格な手順と法的規制が適用されます。
アスベスト含有のケイカル板(ケイ酸カルシウム板)は成形材なので、吹付剤などと比べたら飛散リスクは低いですが、除去作業には同レベルの飛散防止対策が必要となる場合があります。
この項目ではアスベスト含有ケイカル板の除去方法について、解説していきます。
事前調査と分析調査でアスベスト含有確認をする
建材にアスベストが含有されているかを調査することは、最初におこなう重要なステップです。
ケイカル板第1種はアスベストレベル3となりますが、他の建材よりも飛散性が高いとされています。そのため、第1種第2種に関わらず事前調査が必要です。
項目 | 大防法条項 | 石綿則条項 | けい酸カルシウム板第1種 | その他の石綿含有成形板等 |
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事前調査の実施 | 18条の15第1項(規則16条の5) | 3条 | 要 | 要 |
作業計画の作成 | 18条の14(規則16条の4第一号) | 4条 | 要 | 要 |
作業計画の届出 | ― | ― | 届出対象外 | 届出対象外 |
事前調査結果の報告 | 18条の15第6項(規則16条の11) | 4条の2 | 要 | 要 |
事前調査結果掲示 | 18条の15第5項(規則16条の9、10) | 3条 | 要 | 要 |
参考:石綿含有成形板等の解体等工事における大防法・石綿則・廃棄物処理法の規制|環境省
設計図書などの書面調査、現地調査、分析調査をおこない、アスベスト含有を明確に確認してから除去作業に移ります。
分析調査に関しては、アスベスト専門機関への分析調査が必要となります。
当社食環境衛生研究所では、石綿分析技術評価事業認定技術者並びに、一般建築物石綿含有建材調査者の資格を保有する者が分析・調査を行っており、お客様からのアスベストに関する不安や質問に対応すべく、準備を整えております。
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除去前に飛散防止の養生をおこなう
アスベスト繊維は肉眼では見えず、極めて軽いため、飛散すると室内外に広がりやすいです。
そのため、作業エリア全体を密閉し、飛散を防ぐ養生作業を行います。
飛散防止対策について |
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エリアの気密化 | 防塵シートを使い、床・壁・天井を完全に密閉します。出入り口は二重扉(エアロック)を設置するのが望ましいです。 |
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負圧環境の維持 | 専用の集塵機(HEPAフィルター付き)を設置し、作業エリア内を負圧状態に保つことで、粉じんが外部に漏れるのを防ぎます。 |
作業員の装備 | 防護服(使い捨てタイプ)とP3規格の防塵マスク、ゴーグルを着用し、作業後は安全に廃棄する必要があります。 |
崩さないようケイカル板の除去をおこなう
アスベスト繊維は、材料が破砕された際に大量に放出されるため、ケイカル板を崩さず慎重に取り扱うことが最も重要です。
また、第1種ケイカル板に関しては湿潤化と隔離養生が必須となります。
石綿含有成形板等のうち、けい酸カルシウム板第1種については、他の成形板等に比べ破砕時の石綿繊維の
飛散性が高いことが確認されていることから、切断等を伴う作業においては作業前及び作業中の湿潤化に加えて
隔離養生(負圧不要)が求められる。
ケイカル板の除去工法 |
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ウォータージェット除去工法(湿潤化) | 高圧水を噴射して、ケイカル板を湿潤状態にしながら除去します。湿潤作業は粉じんの飛散を最小限に抑えるため、アスベスト除去では最も推奨される手法です。 |
---|---|
封じ込め工法(隔離養生) | ケイカル板の表面を特殊なコーティング材で覆い、繊維を封じ込めた状態で除去します。この方法は特に飛散性が高い材料で有効です。 |
作業後に発生した廃材や粉じんは、「特別管理産業廃棄物」として認定処分施設に送る必要があります。
ケイカル板はみなし判定できる?
ケイカル板はみなし判定が可能です。
アスベスト含有のケイカル板は、製造年代やメーカー、アスベストマークなどの情報が少なくないためある程度アスベストの有無が予測できます。
そのため、もし事前調査の段階でアスベスト含有がされている可能性が高いことが分かれば、分析調査に出さずにみなし判定で除去工事を進めるのも手段の一つといえます。
アスベスト含有が認められない場合は産業廃棄物として安価に処理できるので、必ずしも分析調査を行わなければならないというわけではありません。
ただし、アスベスト含有の有無が判断できない場合は分析調査に出したほうが確実ですので、状況に応じて判断しましょう。
関連記事:アスベストレベル3のみなし判定と事前調査結果の報告・届出の要否について解説!
ケイカル板のアスベスト含有調査・分析は当社までご相談ください
ケイカル板は一般的な住宅にも使用される身近な建材です。
築年数が古い住宅や建物でもしかしたら、アスベストが含まれるケイカル板が使用されているかもしれないので、もし少しでも疑わしい場合は設計図書などの書面をはじめ多角的にアスベスト含有の調査を行う必要があります。
ケイカル板のような成形材は見た目だけでアスベストが含まれているのか否かは見分けることが難しいです。
成形材なので除去に関してはそこまで難易度の高いものではありませんが、飛散性の高い状態に劣化していることも稀にあるので、どんな状況でも徹底した飛散防止対策をしたうえで除去作業をおこないましょう。
建材の情報が著しく少ないなどで、ケイカル板のアスベスト含有が判断できない場合は専門機関に分析調査に出すことを検討しましょう。
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