麻雀部員のみが知る秘密の待ち合わせ場所「アグリ」でいつものメンツと合流し、闘牌会場へ向かおうとしたその時、一人の男が現れた。
(こいつ、なぜこの場所を…どこから情報が漏れた…?!)
「…名前は?」
「K・Kとでも呼んでくれ。」
「俺たちが今からどこへ向かうか知っているのか…?」
「ああ、知っている。連れて行ってくれ。」
そう言うと、髪を短く切りラフな格好をした恰幅の良い男は車に乗り込んだ。
「Y部長、K・Kと名乗る男が一戦交えたいそうですがどうしますか?」
「ふっ…。俺が出るまでもないだろう。お前らが相手してやれ。」
朝日を浴びながら対局が静かに始まった。K・Kは定石を無視した打ち回しで尋常ではない速さでテンパイし、不敵な笑みを浮かべながら謎リーチを繰り返して場を荒らした。麻雀部員たちは為す術もなく、混乱の渦に巻き込まれた。
完全にペースを乱され、いきなり「南」を3連続で打牌してしまった前回敗者のN氏。もう笑うしかなく、精神崩壊寸前といった様子。
混乱の中、午前中の戦いが終わった。K・Kの圧勝かと思われたが、蓋を開けてみればK・Kは惨敗。そう、彼の点棒の動きは寸進尺退、小さく上がって大きく振り込むお手本のような負け方だったのである。
「最後に言い残すことはあるか…?」
「むしゃくしゃしてやった。振り込むのは誰でも良かった。反省は…していない。」
そう言い残し、颯爽と闘牌会場を去り、どこかに遊びに行ってしまったK・K。
彼が恐るべき強運の持ち主であるのは間違いない。新入部員として迎い入れ、今後の成長を見守っていきたいと思ったのは私だけではないはず。K・Kよ、また会おう!