ハルヒル榛名神社コース参戦記
―1時間切り達成。でも心の監督は納得していない―
どうも。スキーに2025-2026シーズン2回しか行かなかったスキー部N川です。スキー部というのは、スキーに行きたいという気概がある人達の集まりです。来シーズンこそみなでもっと行きましょう。
走ったのは榛名神社コースです。結果から申し上げますと、タイムは1時間切りでした。
まず、これは素直にうれしいです。
初心者寄りの立場で、しかも練習量を考えれば、よく頑張ったと言ってよい結果だと思います。
ただし、問題はここからです。
タイムとしては目標達成。
しかし、本人の心の中ではなぜか表彰式ではなく、反省会が始まっておりました。
「もっと粘れたのではないか」
「あそこでもう一段踏めたのではないか」
「途中で心が榛名の山中に置き去りになっていなかったか」
そんなわけで今回は、1時間切りという結果を残しながら、なぜか少し不甲斐なさを抱えて帰ってきた男のハルヒル記録です。
そして、朝からなかなか濃い事件も起きました。
そうです。左右違うグローブ事件です。

朝の会場。すでに空気が速い
朝、会場に着いた瞬間に思いました。
「あ、これはちゃんとしたイベントだ」
いや、当たり前なのですが、実際に会場に行くと空気が違います。
自転車、自転車、自転車。
右を見てもロードバイク、左を見てもロードバイク。
もはや自転車の展示会なのか、修行僧の集会なのか分かりません。
しかも皆さま、見た目からして速そうです。
ふくらはぎが明らかに山を知っている人。
ホイールが「私、空気抵抗を許しません」と言っている人。
ジャージ姿だけで、こちらの心拍を少し上げてくる人。
一方こちらは、気持ちとしては完全に「今日は無事に帰宅したい」です。
もちろん1時間切りは目指しています。
目指してはいますが、それとは別に、人間には生存本能というものがあります。
会場に並ぶ自転車を見ながら、少しずつレースの実感が湧いてきました。
ここまではまだ元気です。
というより、スタート前は誰でもだいたい元気です。
問題は、坂が始まってからです。

機材は準備万端。人間側はやや不安
自転車を確認し、ボトルを確認し、装備を確認します。
ヘルメットよし。
シューズよし。
補給もたぶんよし。
気持ちは……まあ、よしということにします。
自転車というのは不思議なもので、走る前に見ると本当に頼もしく見えます。
「今日はこいつと一緒に榛名を登るんだな」と思うと、少しだけ自分も強くなったような気がします。
ただし、その自転車を動かすエンジンは自分です。
ここが一番の不確定要素です。
機材はカーボンでも、心はわりと豆腐です。
そして、この時点ではまだ気づいていませんでした。
すでにひとつ、レース前から小さな事故が起きていたことに。

寝ぼけた結果、左右違うグローブで出走する男
こちらをご覧ください。
左右でグローブが違います。
おしゃれではありません。
コーディネートでもありません。
「あえて外してます」みたいな高度なファッションでもありません。
ただただ、寝ぼけて左右違うグローブを持ってきました。
朝の自分、何を考えていたのでしょうか。
いや、たぶん何も考えていなかったのでしょう。
右手用と左手用をそろえるという、競技以前の基本動作でつまずいております。
しかし、ここで慌ててはいけません。
ヒルクライムとは、自分との戦いです。
そして私は、スタート前からすでに自分に負けかけています。
とはいえ、グローブとしての機能はあります。
右と左で色が違うだけです。
たぶん空気抵抗もそこまで変わりません。
変わるとしたら、主に精神的ダメージです。
でも、こういうアクシデントは後から振り返ると良い味になります。
結果がどうであれ、「いや、そもそも左右違うグローブで出てましたからね」と言える。
これは強いです。
言い訳としては弱いですが、ブログのネタとしてはかなり強いです。

スタート前、周りが全員強そうに見える現象
スタート地点へ向かう道中、参加者の数がどんどん増えていきます。
そして不思議なことに、周りの人が全員強そうに見えます。
これは大会あるあるだと思います。
普段なら普通に見える人でも、ゼッケンをつけてヘルメットをかぶっているだけで急に強そうになります。
さらにロードバイクにまたがっていると、もう完全に戦士です。
こちらも一応、同じようにヘルメットをかぶり、ロードバイクを持ち、レース会場にいるわけです。
しかし心の中では、
「この中で自分だけ町内会の自転車散歩に紛れ込んでいないだろうか」
という不安がありました。
周りから聞こえてくる会話も、なかなか本格的です。
「今日は抑えて入ります」
「後半上げたいですね」
「去年より調子はいいです」
かっこいい。
私も言ってみたい。
ただ、私の本音はこれです。
「今日はなるべく途中で魂を置いてこないようにします」
スタート。序盤はまだ楽しい
いよいよスタートです。
序盤はまだ楽しいです。
風景はきれいで、天気もよく、イベントの雰囲気も最高。
周りにたくさんの参加者がいて、集団で進んでいく感覚もあります。
この時点では、まだ心の中に余裕があります。
「お、意外といけるのでは」
「脚も回っている気がする」
「今日は調子いいのでは」
ヒルクライムにおけるこの感覚は、少し危険です。
序盤の元気は、あくまで序盤の元気です。
まだ榛名山が本気を出していないだけです。
山は最初から怒鳴ってきません。
最初は優しく迎えてくれます。
そして途中から、静かにこう聞いてきます。
「ところで君、ちゃんと練習してきた?」
していません。
すみません。
大鳥居、青空、ハルヒルの旗。景色は最高です
榛名神社方面へ進んでいくと、赤い大鳥居が見えてきます。
青空に映える鳥居。
黄色いハルヒルの旗。
周囲の緑。
写真で見ると、本当に爽やかです。
「初夏の榛名を自転車で楽しむ素敵な一日」という感じがします。
ただし、写真に写らないものがあります。
心拍です。
写真では青空が広がっていますが、本人の体内では心臓がかなり賑やかに営業中です。
外から見ると爽やかなサイクリスト。
中身はだいぶ必死な人間です。
「きれいだなあ」と思う余裕はあります。
ありますが、その直後に「でも坂、長くないですか」と思います。

榛名神社コース、観光なら最高。レースだと修行
榛名神社コースは、とても雰囲気のある道です。
木々に囲まれ、道の表情もあり、神社へ向かう独特の空気があります。
観光なら最高です。
散策ならとても気持ちいいでしょう。
写真を撮りながら歩けば、かなり良い時間になるはずです。
ただし、レースとして登ると話が変わります。
景色が美しい。
でも坂はきつい。
空気は澄んでいる。
でも呼吸は荒い。
風情はある。
でも脚はない。
こうして人間は、風景と現実の間で揺れ動きます。
途中、何度か思いました。
「榛名神社って、こんなに遠かったでしたっけ」
「さっきも登っていませんでしたっけ」
「この坂、もしかして増えていませんか」
もちろん坂は増えていません。
こちらの余裕が減っているだけです。
1時間切りは達成。でも、心のゴールテープは切れていない
そして結果は、榛名神社コースで1時間切り。
これは本当にうれしいです。
目標としていた区切りをクリアできたことは、素直に良かったと思います。
ただ、走り終わった瞬間に「やった!」だけで終われなかったのも事実です。
もっと落ち着いて走れたのではないか。
もっと苦しいところで踏めたのではないか。
あの場面で気持ちが守りに入っていなかったか。
終盤、もう少しだけ粘れたのではないか。
タイムとしては目標達成。
しかし内容としては、個人的に不甲斐ない形で終わった感覚が残りました。
これがまた、なんとも言えない気持ちです。
人から見れば「1時間切ったならいいじゃないですか」と言われるかもしれません。
それはその通りです。
私も別の人が同じ結果なら、「すごいじゃないですか」と言います。
でも、自分のことになると急に厳しい監督が出てきます。
「結果は悪くない。ただ、内容がな」
うるさいです。
でも分かります。
たぶん、この悔しさがあるから次も頑張りたくなるのだと思います。
きれいに満足して終わるより、「もう少しやれたはず」が残るほうが、次につながるのかもしれません。
ゴール後、人は急に優しくなる
走り終わった後の会場には、独特の空気があります。
さっきまで各自が自分の限界と戦っていたのに、終わった瞬間、場の空気が少し柔らかくなります。
自転車を置く人。
水分を取る人。
仲間と笑う人。
無言で遠くを見る人。
たぶん、それぞれの中に小さな物語があるのだと思います。
「思ったより走れた」
「もっといけた」
「来年こそ」
「とりあえず何か食べたい」
最後の気持ちはかなり強いです。
少なくとも私は、ゴール後かなり早い段階で食事のことを考え始めていました。
反省はします。
悔しさもあります。
でも、それはそれとしてお腹は空きます。
人間は複雑なようで、かなり単純です。

打ち上げ。反省より先に天ぷらが来る
そして、打ち上げです。
写真をご覧ください。
天ぷらです。
しかも、しっかりした天ぷらです。
海老天、野菜天、きのこ系らしきもの。
見た瞬間に分かりました。
「今日はこれを食べてよい日だ」
ダイエット的に見れば、天ぷらは当然ながら警戒対象です。
油、衣、揚げ物。
普段なら「ちょっと待て」と言われるやつです。
しかし、この日は違います。
榛名神社コースを走った後です。
心拍を上げ、脚を削り、途中で精神を山のどこかに置いてきた後です。
この日の天ぷらは、ただの揚げ物ではありません。
努力の衣をまとった回復食です。
海老天を見た瞬間、身体が言いました。
「これは必要経費です」
なす天も言いました。
「今日は許されます」
きのこ天は特に何も言いませんでしたが、存在感だけでこちらを納得させてきました。
こうして、反省会は一時中断されます。
人間、天ぷらの前ではそんなに厳しくなれません。


ざるそば、最高。反省もつゆに溶ける
そして、ざるそばです。
レース後のざるそばは本当に良いです。
重すぎず、でも満足感があり、疲れた身体にすっと入っていきます。
天ぷらで少し浮かれ、ざるそばで落ち着く。
この流れは非常に良いです。
「今日は不甲斐なかったな」
「もっと走れたよな」
そんなことを思いながらも、箸は止まりません。
不思議なものです。
悔しさはあるのに、そばは美味しい。
反省はあるのに、天ぷらも美味しい。
つまり、人生は複雑です。
そして、打ち上げは大事です。
今回のまとめ。1時間切りは達成、でも宿題も残りました
今回のハルヒル榛名神社コースは、結果として1時間切りを達成できました。
これは素直に嬉しいです。
天気にも恵まれ、景色もよく、大会の雰囲気も最高でした。
スタート前の緊張感、走っている最中の苦しさ、鳥居のある風景、ゴール後の安堵、そして打ち上げの天ぷらとざるそば。
全部ひっくるめて、良い一日だったと思います。
ただし、走りの内容には満足しきれていません。
もっと粘れた。
もっと整えられた。
もっと納得できる走り方ができたはず。
そんな宿題が残りました。
でも、たぶんそれで良いのだと思います。
完全に満足してしまったら、そこで終わってしまうかもしれません。
「次はもっと」と思えるから、また走りたくなるのだと思います。
そして次回に向けて、まず改善すべき点もはっきりしました。
ペース配分。
体重管理。
練習量。
補給。
メンタル。
そして何より、
左右同じグローブを持ってくること。
ここです。
まずはここからです。
榛名山は厳しかったですが、楽しかったです。
悔しさも含めて、また挑みたいと思える一日でした。
次回はもう少し落ち着いて、もう少し強くなって、そしてできれば左右そろったグローブで、また榛名に戻ってきたいと思います。
ハルヒル、お疲れさまでした。
