「C型肝炎ってどうやって感染するの?」
性行為で血が出てしまったなどで他の人の血液に触れる機会があった時、感染症に対して不安になってしまう人もいることでしょう。
その中でもC型肝炎は、病名を聞いたことはあるけれど実はそこまで詳しく知らない人が多いです。
C型肝炎ウイルス(HCV)は、適切な知識があれば十分に予防できる感染症です。
感染経路などを正しく理解することで、過度に恐れることなく適切な予防策を講じることができるようになります。検査を受けるべきかどうかの判断材料にもなるでしょう。
この記事では、C型肝炎ウイルスの感染経路について詳しく解説していきます。
どのような場面で感染リスクがあるのか、どう予防すればよいのか、そして万が一感染の可能性がある場合にはどうすればよいのかなどの疑問に丁寧にお答えしていきます。
C型肝炎とは?
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓に感染することで引き起こされる病気です。
ウイルスが体内に入ると、肝臓の細胞に感染しそこで増殖を始めます。
ウイルスに感染した肝細胞を攻撃することで免疫システムが体を守ろうとしますが、この過程で肝臓に炎症が起こります。
この炎症が長期間続くことで、肝臓は徐々にダメージを蓄積していくことになります。
ただ、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、ダメージを受けてもなかなか症状が現れないという特徴があります。
そのため、C型肝炎ウイルスに感染していても、長い間気づかないまま過ごしてしまうケースが非常に多いのです。
C型肝炎が特に注意が必要なのは、感染した人の約70〜80%が慢性化してしまうという点です。
急性感染の段階で自然治癒する人もいますが、多くの場合、ウイルスは体内に留まり続け、慢性的な肝臓の炎症を引き起こします。
C型肝炎の何が怖い?進行するとどうなる?
C型肝炎の最も恐ろしい点は、放置すると確実に病状が進行していくことです。慢性的な炎症が続くことで、肝臓には段階的に深刻な変化が起こります。
まず、長期間の炎症によって肝臓の組織が硬くなっていきます。これが「肝線維化」と呼ばれる状態です。
柔らかいスポンジのような肝臓が、徐々に硬いゴムのように変わっていき、一度硬くなった肝臓を元の柔らかさに戻すことは非常に困難です。
そして、肝臓の機能低下を招き、「肝硬変」や「肝がん」にまで進行していきます。
肝硬変になる
肝線維化がさらに進むと「肝硬変」という状態になります。
肝硬変になると、肝臓の機能が著しく低下し、腹水(お腹に水が溜まる)、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、意識障害(肝性脳症)、食道静脈瘤の破裂による大量出血といった深刻な合併症が現れます。
さらに進行すると肝細胞がん(肝がん)が発症
そして、C型肝炎で最も警戒すべきなのが「肝細胞がん(肝がん)」の発症です。
「慢性C型肝炎から肝硬変に進行した人(※慢性C型肝炎全体での発がん率ではありません)」は、年間で約7〜8%の確率で肝がんを発症するというデータがあります。(参考:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/20140514001.pdf)
感染してから肝硬変や肝がんに至るまでの期間は、一般的に20〜30年程度と言われています。
しかし、早期に発見して適切な治療を受ければ、こうした深刻な事態は十分に防げます。
現在では非常に効果的な治療薬が開発されており、ウイルスを体内から完全に排除することも可能になっています。
だからこそ、感染経路を理解し、必要に応じて検査を受けることが大切なのです。
C型肝炎の感染経路・感染率
非常に重要なポイントですが「C型肝炎ウイルスは、主に血液を介して感染します。」
空気感染や飛沫感染はしませんし、握手やハグ、同じ食器を使うといった日常的な接触で感染することは基本的にありません。
「感染者の血液が、非感染者の血液に入り込む」という条件を満たすことで感染します。
輸血による感染
過去には、輸血がC型肝炎ウイルス感染の主要な経路の一つでした。
国立感染症研究所の報告によれば、日本国内のC型肝炎患者のうち、30〜50%程度の方に輸血歴があることが分かっています。
特に1992年以前に輸血を受けた方は、感染リスクが高いとされています。(参考:https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/hepatitis/030/hepatitis-c-intro.html)
C型肝炎ウイルスが発見されたのが1989年と比較的最近であり、それ以前は献血された血液にウイルスが含まれていても検出する方法がなかったためです。
しかし、現在の状況は大きく改善されています。
1992年以降、すべての献血血液に対してC型肝炎ウイルスの検査が実施されるようになり、さらに「核酸増幅検査(NAT)」という高感度な検査方法が導入されました。
その結果、国立感染症研究所の最新の報告では、現在の厳格なスクリーニング体制のもとでは、輸血による新規感染者の発生はほぼゼロに近づいているとされています。
注射針の使い回しによる感染
注射針や注射器の使い回しは、C型肝炎ウイルス感染の重要な経路です。
最も問題となるのが、違法薬物の注射使用者間での針の共用です。
注射針には、前に使用した人の微量な血液が残っており、目には見えないほどの量でも、ウイルスは十分に含まれている可能性があります。
また、過去の医療現場でも、注射針の再利用が感染拡大の一因となったことがあります。
現在では、医療機関で使用される注射針はすべて使い捨てとなっており、このルートでの新規感染はほぼなくなっています。
タトゥー(刺青)・ボディピアスによる感染
タトゥーやボディピアスの施術も、C型肝炎ウイルスの感染リスクがある行為です。
これらの施術では皮膚に針を刺すため、施術に使用する器具が適切に滅菌されていなければ、前の客の血液を介してウイルスが感染する可能性があります。
特に注意が必要なのは、衛生管理が不十分な個人経営施設での施術です。
使用する針が使い捨てであるか、または高圧蒸気滅菌器で適切に滅菌されているかを確認することが重要です。
「友人の家で」「格安で」といった安易な選択は、感染リスクを高めることになりかねません。
鍼治療・美容施術による感染
鍼治療も、針を皮膚に刺す行為である以上、理論的には感染リスクがあります。
しかし、現在の日本では、多くの鍼灸院では使い捨ての鍼を使用しているか、適切な滅菌処理を行っているため、リスクは非常に低いと考えられます。
美容目的の施術も同様で、施設の衛生管理体制を確認することが重要です。
母子感染(垂直感染)
母親がC型肝炎ウイルスに感染している場合、出産時に赤ちゃんに感染する可能性があります。
ただし、C型肝炎の母子感染率は、B型肝炎と比較して非常に低いことが特徴です。
研究によれば、C型肝炎ウイルス陽性の母親から生まれた赤ちゃんへの感染確率は約5〜10%程度とされています。
つまり、90%以上の赤ちゃんは感染しないということです。
感染は主に出産時に起こります。母乳を介した感染については、理論的な可能性は否定できませんが、実際の感染事例は極めて稀です。
そのため、現在の医学的ガイドラインでは、C型肝炎を理由に母乳育児を制限する必要はないとされています。
参考:https://www.jspghan.org/guide/doc/chv_guideline_20210127.pdf
性行為による感染
性行為によるC型肝炎ウイルスの感染リスクは、一般的に非常に低いとされています。
厚生労働省の研究班の報告では、C型肝炎ウイルス陽性者の配偶者やパートナーの感染率は、長期間の関係があっても数%程度とされています。
ただし、リスクがゼロというわけではありません。
特に以下のような状況では、感染リスクが高まる可能性があります。
- 性器や粘膜に傷がある場合
- 月経中の性行為
- 激しい性行為で出血を伴う場合
- 性感染症により粘膜に炎症がある場合
- 複数のパートナーとの性的接触がある場合。
血液透析による感染
慢性腎不全で血液透析を受けている患者さんも、かつてはC型肝炎ウイルス感染のハイリスク群でした。
しかし、現在では透析施設における感染対策が大幅に強化されてるので安心です。
日本透析医学会の統計によれば、新規の血液透析患者におけるC型肝炎ウイルス感染率は年率約2%と、かなり低い水準まで低下しています。
その他の日常生活での感染リスク
カミソリ、歯ブラシ、爪切りなど、血液が付着する可能性のある日用品を共用することは、理論的には感染リスクがあります。
特にカミソリは、使用中に微小な傷ができやすく、そこに血液が付着する可能性が高いため注意が必要です。
ただし、これらの物品を介した感染例は実際にはほとんど報告されていません。
一方、食器の共用、トイレの共用、お風呂の共用、握手やハグといった通常の日常接触で感染することはありません。
前述しましたが、C型肝炎ウイルスは、空気や唾液、汗、涙を介しては感染しません。
感染経路が不明なケース
現在でも、C型肝炎患者の約20〜30%は「感染経路不明」とされています。
これは、本人が覚えていない、または認識していない小さな医療行為や、予期しない血液接触があったと考えられます。
例えば、幼少期の予防接種(注射針の使い回しがあった時代)、忘れてしまった小さな怪我の治療、昔受けた歯科治療など。
C型肝炎ウイルスは「水平感染」
C型肝炎ウイルスの感染様式を理解するうえで、「水平感染」という概念が重要です。
水平感染とは、同世代の人から人へと横に広がっていく感染を指します。
C型肝炎ウイルスは、基本的にこの水平感染が主体です。
母子感染も起こりますが、その確率は10%程度と比較的低く、ほとんどの感染は成人してからの血液接触によって起こります。
具体的には、輸血、薬物注射での針の共用、タトゥーやピアス施術時、医療現場での針刺し事故、性行為などでの感染が水平感染に該当します。
これらはすべて、人生のどこかの時点で起きた「出来事」がきっかけとなっています。
C型肝炎が水平感染であることには、いくつかの重要な意味があります。
第一に、予防が可能だということです。
適切な知識を持ち、リスクのある行動を避けることで、感染を防ぐことができます。
第二に、感染時期が特定できる可能性があるということ。
第三に、感染力が比較的弱いということです。日常的な接触では感染しにくいことを意味します。
ただし、C型肝炎の難しい点は、成人で感染しても70〜80%が慢性化してしまうことです。
これはB型肝炎(成人感染では約10%が慢性化)と比較すると、かなり高い慢性化率です。
つまり、「感染力は弱いが、一度感染すると慢性化しやすい」というのがC型肝炎ウイルスの特徴ということです。
C型肝炎の診断・検査方法
C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを知るには、血液検査を受ける必要があります。
C型肝炎の診断には段階があり、まず「感染したことがあるか」を調べ、次に「現在も感染しているか」を確認し、最後に「どの程度肝臓がダメージを受けているか」を評価します。
検査を受けるべきタイミングとしては、以下などが挙げられます。
- 1992年以前に輸血を受けたことがある人
- 長期の血液透析を受けている人
- 薬物注射の経験がある人
- タトゥーやボディピアスを衛生管理が不明確な環境で入れた経験がある人
- 健康診断で肝機能異常を指摘された人
また、40歳以上の方は、一度はC型肝炎ウイルス検査を受けることが推奨されています。
抗体検査の結果で判断する
C型肝炎ウイルスの検査の第一歩は「HCV抗体検査」です。
抗体とは、私たちの免疫システムが外敵(ウイルスや細菌など)と戦うために作り出すタンパク質です。
一度作られた抗体は、たとえウイルスが体内からいなくなった後でも、長期間血液中に残り続けます。
HCV抗体検査は、血液中にC型肝炎ウイルスに対する抗体があるかどうかを調べる検査です。
この検査で陽性となった場合、それは「過去のどこかの時点で、C型肝炎ウイルスが体内に入ったことがある」ことを意味します。
ここで重要なのは、抗体陽性=現在感染している、とは限らないということです。
抗体は過去の感染の「痕跡」なので、すでにウイルスが体内から排除されていても、抗体だけは残っている可能性があります。
実際、急性C型肝炎に感染した人の約20〜30%は、自分の免疫力でウイルスを排除できます。
また、HCV抗体検査には、「ウィンドウ期」と呼ばれる重要な注意点があります。C型肝炎ウイルスに感染しても、すぐに抗体ができるわけではありません。
ウイルスが体内に入ってから、検査で検出できるレベルまで抗体が増えるには、通常8〜12週間(約2〜3ヶ月)かかります。
したがって、感染リスクのある行為があった場合は、その直後の検査で陰性であっても安心せず、3ヶ月後に再度検査を受けることが推奨されます。
HCV抗体検査とHCV-RNA検査で調べる
HCV抗体検査で陽性となった場合、次に必要なのがHCV-RNA検査です。
この検査によって、現在もウイルスが体内に存在し、活動しているかどうかが分かります。
HCV-RNA検査は、血液中にC型肝炎ウイルスの遺伝子(RNA)が存在するかどうかを直接検出する検査です。
抗体検査が「過去の感染の痕跡」を見る検査だとすれば、HCV-RNA検査は「現在のウイルスの存在」を確認する検査と言えます。
HCV抗体検査とHCV-RNA検査の組み合わせによって、感染状態を正確に把握できます。
- 抗体陰性、HCV-RNA陰性:C型肝炎ウイルスに感染していない状態
- 抗体陽性、HCV-RNA陰性:過去に感染したが、現在はウイルスが排除されている状態(既往感染)
- 抗体陽性、HCV-RNA陽性:現在もC型肝炎ウイルスに感染している状態(慢性C型肝炎)
HCV-RNA検査では、ウイルスの量(ウイルス量)も測定します。
ウイルス量が多い場合は肝臓への負担が大きく、病気の進行が早い可能性があります。
また、ウイルスの型(ジェノタイプ)も調べます。日本では1型と2型が主流で、治療法の選択に重要な情報となります。
HCV-RNA検査で陽性と判明した場合、次は肝臓の状態を評価する検査に進みます。
血液検査(肝機能)、画像検査(エコー、CT、MRI)、線維化マーカー、肝臓の硬さ測定などで、肝臓のダメージの程度を評価し、治療方針を決定します。
C型肝炎の予防方法
C型肝炎ウイルスの感染を防ぐことは、決して難しいことではありません。
C型肝炎には現時点でワクチンが存在しないため、日常生活での注意が唯一かつ最も効果的な予防法となります。
予防の基本原則は、「他者の血液との接触を避ける」ことに尽きます。
血液感染なので他者の血液が付着しそうなモノを使用しない
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染するため、他者の血液が付着する可能性のある物品を共用しないことが最も基本的で重要な予防策です。
絶対に他人と共用してはいけない物としては、以下が挙げられます。
- カミソリ
- 髭剃り
- 歯ブラシ
- 爪切り
- 耳かき
- 鼻毛カッター
- ピンセット・毛抜きなど
これらは使用中に微小な傷をつけ、そこに血液が付着する可能性が高いためです。
家族間であっても、これらは必ず個人専用のものを使用しましょう。
また、タトゥー・ピアス施術を受ける際は、施設の衛生管理を必ず確認してください。
使用する針が使い捨てか、または高圧蒸気滅菌器で適切に滅菌されているかを確認しましょう。
また、鍼灸院、ネイルサロン、理容室・美容室なども同様に、衛生管理がしっかりした信頼できる施設を選ぶことが重要です。
過度な心配は不要ですが、「血液が付着する可能性のある個人用品は共用しない」という基本原則を守ることが大切です。
日常的な接触(握手、ハグ、同じテーブルで食事、トイレやお風呂の共用など)では感染しません。
性行為では避妊具(コンドーム)を着用する
C型肝炎ウイルスの性行為による感染リスクは非常に低いですが、リスクがゼロではありません。
性器の粘膜に傷がある場合、月経中の性行為、激しい性行為で出血を伴う場合、性感染症により粘膜に炎症がある場合などでは、感染リスクが高まる可能性があります。
コンドームは、これらの感染経路を物理的に遮断することで、感染リスクを大幅に減少させます。
特に、パートナーがC型肝炎ウイルスキャリアの場合、複数のパートナーとの性的関係がある場合や月経中の性行為、他の性感染症に罹患している場合などでは、コンドームの使用が推奨されます。
コンドームは最初から最後まで装着し、適切なサイズを選び、一度だけ使用することが重要です。また、パートナーとのオープンなコミュニケーションも大切です。
他者のケガを応急処置する際は素手で直接触れない
日常生活の中で、家族や友人がケガをした場面に遭遇することがあります。
こうした時、他者の血液に直接触れないよう注意する必要があります。
ケガをした人を助ける際は、使い捨てのゴム手袋やビニール手袋を着用することが理想的です。
これらがない場合は、ビニール袋を手にかぶせる、ハンカチやタオルを何枚か重ねて使う、レジ袋を手にかぶせるなどで代用できます。
止血処置は、出血部位を清潔なガーゼやタオルで覆い、その上から圧迫して行います。
直接血液に触れないよう、必ずガーゼやタオルを介して行いましょう。
処置後は、使用したガーゼや手袋などはビニール袋に入れて密封してから廃棄し、流水と石鹸で手をよく洗います。
万が一、他者の血液に直接触れてしまった場合は、すぐに流水と石鹸でよく洗い流し、特に自分の手に傷があった場合や、相手が感染症を持っている可能性がある場合は、医療機関に相談しましょう。
定期的な検査を受ける
万が一感染していた場合に「早期発見」することで、深刻な病状への進行を防ぐという意味での予防も重要です。
C型肝炎は、感染しても長期間無症状で経過します。早期に発見して治療を受ければ、95%以上の確率でウイルスを完全に排除できます。
1992年以前に輸血を受けた方、長期間血液透析を受けている方、薬物注射の経験がある方、タトゥーやボディピアスを入れた経験がある方、40歳以上の方などは、ぜひ一度検査を受けることをお勧めします。
多くの保健所では無料または低額でC型肝炎検査を実施していますし、医療機関、職場の健康診断、自治体の健診などでも検査を受けられます。
検査を受けることは、自分の健康を守るために大切です。
C型肝炎の治療方法
C型肝炎の治療の目的は、ウイルスを体から排除し、肝臓の病気が進んで肝硬変や肝がんに進行するのを防ぐことです。
治療の中心になるのは「抗ウイルス療法」です。
ただし、何らかの理由で抗ウイルス療法が難しい場合には、肝臓の炎症を抑えて進行を遅らせる「肝庇護療法」を行います。
抗ウイルス療法(ウイルスを排除する治療)
抗ウイルス療法には、主に3種類の薬が使われます。
- インターフェロン製剤(注射)・・・体の免疫を強めてウイルスを排除する注射薬です。週1回など、一定期間の投与が必要です。
- 経口抗ウイルス薬(飲み薬)・・・インターフェロンやDAAと組み合わせて使うことで、治療効果を高める薬です。
- 直接作用型抗ウイルス薬(DAA:飲み薬)・・・ウイルスが体の中で増える仕組みを直接ブロックする薬です。飲み薬だけで治療できるタイプもあり、現在の主流です。
治療法は大きく次の3つに分かれます。
①インターフェロン単独、またはインターフェロン+経口抗ウイルス薬の併用
②インターフェロン+経口抗ウイルス薬+DAAの3剤併用
③DAAを中心とした飲み薬のみの治療(複数種類のDAAやDAA+経口抗ウイルス薬の併用)
肝庇護療法(肝臓を守る治療)
抗ウイルス療法ができない場合や、ウイルスが排除しきれなかった場合に行う治療です。
目的は肝臓の炎症をしずめ、病気の進行を遅らせること です。
主な方法は以下の通りです。
- 肝機能を改善する薬の内服
- 肝機能改善薬の点滴や静脈注射
- 鉄を減らすための「瀉血(しゃけつ)療法」
これらの治療は、ウイルスそのものを取り除くものではありませんが、肝臓への負担を減らすことで症状の悪化を防ぎ、肝硬変や肝がんへの進行リスクを下げることが目的です。
抗ウイルス療法が難しい場合でも、肝臓の状態を安定させるために重要な役割を果たします。
定期的な検査・診察と組み合わせて行うことで、より効果的に肝臓を守ることができます。
参考:https://kohnodai.jihs.go.jp/subject/070/338/syoukai_02.html
C型肝炎の感染についてよくある質問
C型肝炎のワクチン予防はある?
残念ながら、現時点でC型肝炎を予防するワクチンは存在しません。
B型肝炎にはワクチンがありますが、C型肝炎ウイルスは遺伝子の変異が激しく、多数の型が存在するため、有効なワクチンの開発が非常に困難とされています。
世界中で研究が続けられていますが、実用化にはまだ時間がかかる見込みです。
そのため、日常生活での予防対策が唯一かつ最も重要な予防法となります。
C型肝炎は何年で進行しますか?
C型肝炎の進行速度は個人差が大きく、一概には言えません。
一般的には、感染してから肝硬変や肝がんに至るまでの期間は20〜30年程度と言われています。
ただし、これは平均的な数字であり、実際には10年程度で肝硬変に進行する方もいれば、40年以上経っても軽度の肝炎のままの方もいます。
進行速度に影響する要因としては、年齢(高齢で感染した方が進行が早い)、飲酒習慣(アルコールは肝臓へのダメージを加速させる)、肥満や糖尿病の有無、他の肝炎ウイルスとの重複感染などがあります。
定期的な検査で肝臓の状態を把握し、必要に応じて早期に治療を受けることが重要です。
C型肝炎はお風呂で感染しますか?
C型肝炎ウイルスは、お風呂で感染することはありません。
ウイルスは血液を介してのみ感染し、お湯や水を通じて感染することはないためです。
家族にC型肝炎ウイルスキャリアがいても、一緒にお風呂に入ることは問題ありません。
銭湯や温泉などの公共浴場の利用も、感染のリスクはありません。
ただし、カミソリなどの個人用品の共用は避ける必要があります。お風呂場に置いてあるカミソリを家族で共用しないよう注意しましょう。
C型肝炎は、同じ箸で感染しますか?
C型肝炎ウイルスは、同じ箸を使っても感染しません。ウイルスは血液を介して感染するものであり、唾液を通じて感染することはないためです。
家族と同じ食器や箸を使うこと、鍋料理を囲むこと、回し飲みをすることなど、通常の食事での感染リスクはありません。
C型肝炎ウイルスキャリアの方も、食事の場面で特別な配慮は不要です。
ただし、口の中に傷や出血がある場合は、念のため個別の箸を使用するなどの配慮をすることが望ましいでしょう。
日常的な食事の場面では、過度に心配する必要はありません。
まとめ
C型肝炎ウイルスは、血液を介して感染することがほとんどです。
主に輸血(1992年以前)、注射針の使い回し、タトゥー・ピアス施術、鍼治療、医療現場での針刺し事故、母子感染、性行為、血液透析などが主な経路です。
一方、握手や食事の共有など、日常生活の接触では感染しません。
感染すると約7〜8割が慢性化し、放置すると20〜30年かけて肝硬変や肝がんに進行する可能性があります。しかし、現在は治療効果が大幅に向上し、95%以上の確率でウイルスを排除できる時代です。
そのためまずは、感染を防ぐことに注力し、血液との接触を避けることが大切です。
日常ではカミソリや歯ブラシを共用しない、施術は衛生管理の整った施設を選ぶなどの対策が有効です。
また、過去1992年以前に輸血歴がある方や40歳以上の方は、念のため検査を受けることをおすすめします。
感染経路を正しく理解し、まず予防。そしてC型肝炎の疑いがある場合は早期発見につなげるために検査をすることが大切です。


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