性行為の後に、出血があった場合、「何か病気ではないか」「妊娠したのではないか」と、多くの方が不安を感じることでしょう。
性行為後の出血は、一時的なもので心配いらない場合もあれば、早期の受診が必要となるサインである可能性もあります。
考えられる原因は多岐にわたり、性行為による単なる膣や外陰部への摩擦や刺激から、病気や感染症、さらには妊娠などさまざまです。
大切なのは、過度な心配は避けつつ、ご自身の体の状態を正確に把握し、適切なタイミングで病院を受診することです。
こちらのコラムでは、性行為後の出血で考えられる原因から、病院を受診する目安まで詳しく解説します。

性行為後の出血の原因

- 膣や外陰部の外傷
性行為による摩擦や潤滑不足で、膣や外陰部の粘膜が傷つき、出血することがあります。この場合、出血量が軽度で、性行為後すぐに確認され、自然に止まるのが特徴です。
- 子宮腟部びらん
子宮膣部びらんとは、子宮の入り口である子宮膣部が赤くただれているようにみえる状態のことです。病気ではなく、必ずしも治療する必要はありませんが、子宮膣部びらんにより、わずかな刺激で出血しやすくなります。
- 子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープとは、子宮口付近にできる良性の腫瘍です。悪性腫瘍ではないため必ずしも除去する必要はありませんが、わずかな刺激で出血することがあります。
ポリープの切除が必要なのか、経過観察で良いのか、婦人科で診てもらうことが大切です。
- 子宮頸がん
子宮頸がんとは、子宮頸部にできるがんのことで、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で発生します。性行為時に出血することがあります。定期的な子宮頸がん健診が大切です。
- 性感染症(性病)
クラミジアや淋病、トリコモナスなどの性感染症への感染が原因で出血することがあります。不特定多数の人や、性病が疑われる人との性行為をしたなど、性感染症(性病)への感染に心あたりがある場合、早めに検査を受けましょう。
- 着床出血
受精卵が子宮内膜に着床した際に起こる少量の出血のことです。出血時期が次の生理予定日頃と重なることがあり、通常の生理と区別がつきにくい場合があります。
生理の予定日を過ぎても通常の生理が始まらない、あるいは少量の出血のみで終わった場合は、妊娠の可能性を考えて検査をおこないましょう。
- 子宮外妊娠
受精卵が子宮内膜ではない卵管などに着床する異所性妊娠のことです。妊娠検査薬では陽性が確認されるものの、子宮内に胎嚢(胎児を包む袋)が確認されない場合、子宮外妊娠が疑われます。
子宮外妊娠により、卵管が破裂し出血が起こることがあります。
出血の色で推測できること
出血の色は出血の原因を推測する一つの手がかりになります。鮮やかな赤色(鮮紅色)の出血は、比較的最近できた傷、つまり膣や外陰部の粘膜が性行為の摩擦で傷ついたことによる出血である可能性が高いです。
一方、色が茶色っぽい(褐色)場合は、古い出血や、生理の残り血、子宮の奥の方から時間をかけて出てきた出血である可能性が考えられます。
ただし、出血の色だけで自己判断せず、他の症状や状況と合わせて判断することが重要です。
生理前後の出血 「性行為で生理が早まる」は嘘?

女性の体は、排卵に向けて子宮内膜が厚くなり、受精卵が着床しない場合に子宮内膜が剥がれ落ちて血液とともに体外へ排出される、という月経周期を繰り返しています。
この周期の中で、生理が始まる数日前(生理前)や生理が終わりかけの数日間(生理後)に、出血が見られることがあります。
これは、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量が変動する過程で起こる、ごく少量の出血や生理の残り血のようなものです。性行為と出血がたまたま同じタイミングで起こることがありますが、この出血は性行為とは無関係に起こります。
また、「性行為によって生理が誘発される」という噂を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、性行為そのものが生理の開始を誘発したり、生理周期をずらしたりすることはありません。
病院を受診する目安

下記の目安を参考に、婦人科を受診しましょう。
緊急性が高く、すぐに受診を
- 出血が止まらない、量が多い、出血に加えて下腹部痛や発熱、吐き気がある
- 妊娠の可能性があり出血している(子宮外妊娠や流産の可能性も)
緊急性は高くないが、できる限り早めの受診を
- 性行為のたびに、または頻繁に出血がある
- 少量の出血であっても数日続く
- おりものに異常がある(色や匂)
様子を見ても良い場合
- 一度きりの少量の出血
- 他に痛みやおりものの異常などがない
上記の場合は、しばらくは性行為を控えて様子を見ましょう。
不安がある場合には、受診しても構いません。
性行為後の出血に関するQ&A
Q1.性行為後の出血はよくあることですか?
A. 性行為の刺激により膣や外陰部が傷つき、出血することは多くの女性によくみられることです。
しかし、子宮頸がんや性感染症など病気の可能性もあるため、心配な場合は一度受診することがおすすめです。
Q2.性行為後の出血は何科を受診?
A. 婦人科を受診してください。婦人科では多くの場合、診察室は個室になっており相談内容を他の人に聞かれる心配はありません。
Q3.性行為後に生理がきていれば、妊娠の可能性はない?
A. 通常の生理がくれば、その周期の妊娠の可能性は極めて低いです。
しかし、生理予定日頃に着床出血が起こることがあり、出血量が少ない・期間が短い場合でも、これを生理と勘違いしてしまうケースがあります。
妊娠に心あたりがあり、出血の様子が通常の生理と異なる場合は、妊娠検査薬を使用するか、婦人科を受診しましょう。
Q4.妊娠中に性行為後、出血があった場合はどうしたら良い?
A. 妊娠中に出血があった場合には、性行為後かどうかに関わらず受診をしましょう。流産や早産のサインである場合があります。
Q5.性行為後の出血を防ぐためには、どうしたら良い?
A. 出血の原因が性行為による膣や外陰部の外傷である場合、摩擦や潤滑不足であることが考えられます。
市販の潤滑ゼリー(ローション)を積極的に使用したり、無理な体位を避け、挿入時にはパートナーと痛みの有無を確認し合うことなどが大切です。
まとめ

性行為後の出血は不安を感じやすいデリケートな問題ですが、その原因は膣や外陰部の軽微な傷から、早期発見が重要な婦人科の疾患、性感染症まで多岐にわたります。
大切なのは、出血があったからといって過度に恐れるのではなく、まずは出血の頻度、量、下腹部痛など他の症状がないかを確認することです。一過性の少量出血であれば、性行為による外傷が原因である可能性が高く、経過観察で良い場合もあります。
しかし、出血が頻繁に続く、量が多い、または腹痛や吐き気がある場合は、子宮頸がんや性感染症、妊娠に関する問題など、何らかの治療が必要なサインかもしれません。
受診目安を参考にし、早めに婦人科で相談することが最も安心で確実な解決策となります。自身の体の状態を把握し、必要なケアを受けることが、健やかな生活を送るための第一歩です。



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