【新常識】HIVとエイズは違う病気?!あなたが知らない「HIVの今」を徹底解説

HIVエイズ

HIV/エイズについて、「聞いたことはあるけれど、詳しいことはよく分からない」「自分には関係ない話だと思っている」――そう感じる方も多いのではないでしょうか。
正しい知識を持つことは、自分自身と大切な人を守る上で非常に重要です。
このコラムでは、HIVとエイズの違いやHIVの感染初期にみられる症状、感染経路、感染後の経過、検査について、治療・予防法などHIV/エイズに関する基本的な知識を解説します。

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目次

HIV/エイズとは?HIVとエイズの違いは?

HIV(Human Immunodeficiency Virus)とは、ヒト免疫不全ウイルスのことで頭文字をとってHIVと呼ばれています。
HIVはヒトの免疫細胞に感染して、何年もかけて免疫力を低下させるウイルスです。
誤解されがちですが、エイズ(AIDS)とはHIVに感染した状態のことではなく、HIV感染によって免疫力が低下し、特定の疾患を発症した状態のことをいいます。
この病気の状態をエイズ(後天性免疫不全症候群)といいます。

HIV:ヒト免疫不全ウイルス

エイズ:後天性免疫不全症候群

HIV感染~エイズ発症まで│HIVの感染経路は?

感染経路

HIVは血液や膣分泌液、精液、母乳などに多く存在しています。
唾液や涙などにも含まれていますが、微量なためほとんど感染には至りません。
次の3つが主なHIVの感染経路です。

性行為

感染経路のなかで最も多いのが性行為です。
HIVに感染すると、HIVは血液や精液・膣分泌液などに多く分泌されます。
性行為によってHIVが相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口から体内に侵入することで感染します。
特に、男性同士の性行為では膣や口腔よりも薄い腸管粘膜からHIVが侵入するため異性間よりも感染しやすいです。

血液

HIVが混入した血液によっても感染します。
注射器や注射針の使い回しや麻薬や覚せい剤などの違法薬物の回し打ち、医療現場における針刺し事故など、HIV感染者の血液が他の人の血液中に侵入することで感染することがあります。

母子感染

母親がHIVに感染していると、妊娠中や出産時に子供に感染するケース、また、母乳中にもHIVが存在するため授乳により感染するケースがあります。

HIV感染からの経過

HIVに感染してから、すぐにエイズを発症するわけではありません。
HIV感染後の経過は、急性期、無症候期、エイズ発症期の3つに分けられます。

急性期(感染初期)

感染初期には、HIVは体内で急激に増殖を始めます。
そのためHIV感染から2~4週間ほどで発熱やのどの痛み、頭痛、下痢、リンパ節の腫れ、筋肉痛などインフルエンザのような症状が出ます。症状は、数週間程度で自然と治まります。

無症候期

急性期を過ぎると、無症候期に入ります。
何も症状が出ない期間で、無症候期は数年~10年以上続くことがあります。
無症候期の期間は個人差があり、10年以上続くこともありますが、2~5年以内などの短期間でエイズを発症するケースもあります。
症状の出ない期間であっても、HIVは体内で増殖し続け、免疫力は徐々に低下していきます。
自覚症状がないため、自分でHIV検査を受けないかぎりはHIVに感染していることに気づくことができません。

エイズ発症期

無症候期の間、治療をしないでいると免疫力が低下し、免疫不全状態になり、普段ならかかることのない病気にかかりやすくなります。
厚生労働省は、エイズの診断基準として23の疾患を指定しており、23の疾患のうち、どれか1つでも発症した時点でエイズと診断されます。

エイズの診断基準となる23種の疾患とは何か?

厚生労働省は、以下の23の疾患をエイズの診断基準として指定しています。

◎真菌症
1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺)
2.クリプトコッカス症(肺以外)
3.コクシジオイデス症
(1)全身に播種したもの
(2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
4.ヒストプラズマ症
(1)全身に播種したもの
(2)肺、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
5.ニューモシスティス肺炎
【注】P. cariniiの分類名がP. jiroveciに変更になった

◎原虫症
6.トキソプラズマ脳症(生後1か月以後)
7.クリプトスポリジウム症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)
8.イソスポラ症(1か月以上続く下痢を伴ったもの)

◎細菌感染症
9.化膿性細菌感染症(13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に、2つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの)
(1)敗血症
(2)肺炎
(3)髄膜炎
(4)骨関節炎
(5)中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍
10.サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11.活動性結核(肺結核又は肺外結核)
※活動性結核のうち肺結核及びE19浸潤性子宮頚癌については、HIVによる免疫不全を示唆する所見がみられる者に限る。
12.非結核性抗酸菌症
(1)全身に播種したもの
(2)肺、皮膚、頚部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの

◎ウイルス感染症
13.サイトメガロウイルス感染症(生後1か月以後で、肝、脾、リンパ節以外)
14.単純ヘルペスウイルス感染症
(1)1か月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの
(2)生後1か月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの
15.進行性多巣性白質脳症

◎腫瘍
16.カポジ肉腫
17.原発性脳リンパ腫
18.非ホジキンリンパ腫
19.浸潤性子宮頚癌(※)

◎その他
20.反復性肺炎
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満)
22.HIV脳症(認知症又は亜急性脳炎)
23.HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)
(※)11.活動性結核のうち肺結核および、19.浸潤性子宮頚癌については、HIVによる免疫不全を示唆する所見がみられる者にかぎる。

参考:厚生労働省ホームページ

HIV感染に気づくきっかけは?

無症候期に入ると自覚症状がないため、HIV感染に気づくことは難しくなります。
それ以前の急性期(感染から2~4週間ほど)では、無症状であることもありますが、何らかの症状が出ることが多いため、HIV感染に気づくきっかけとなり得ます。
発熱やのどの痛み、頭痛、下痢、リンパ節の腫れ、筋肉痛などインフルエンザのような症状が出たり、HIVへの感染に少しでも心あたりがある場合には、躊躇せずに検査を受けるようにしましょう。

HIV検査はどこで受けられる?│「感染したかも」と思ったら

HIVに「感染したかも」と思ったら、早期に検査を受けるようにしましょう。
治療の遅れは、命に関わる問題となります。
全国の保健所では、多くの場合、無料・匿名で検査を受けることができます。
また、有料や非匿名にはなりますが、医療機関で検査が可能な場合もあります。
そのほか、自宅で手軽に検査をしたい場合には、性感染症の検査キットを使用して検査することができます。

HIVの治療法は?|HIVは治る?

HIVの治療には、抗HIV薬が使用されます。
今のところ、治療をおこなっても体内のHIVを完全に排除し、完治をさせることはできません。
しかし、治療によりウイルスの増殖を抑え、エイズの発症を防ぐことができます。
治療を続けることで、感染前とほとんど変化ない生活を送ることができます。
HIVの治療は感染発覚後、早めに治療することが重要です。
少しでも早く治療を開始できるよう、定期的な検査を心がけましょう。

HIVの予防方法は?

HIVは血液や膣分泌液、精液、母乳などに多く含まれるため、それらが粘膜や傷ついた皮膚に触れないようにすることが重要です。

また、HIVの主な感染経路である性行為、血液感染、母子感染に対する予防を行いましょう。
感染経路のなかで最も多いのが性行為です。
性行為の際は必ずコンドームの使用をするとともに、不特定多数の人との性行為は避けましょう。
また、オーラルセックスの場合でも、口腔粘膜から感染する可能性があります。
オーラルセックスの場合でもコンドームを使用するようにしましょう。

また、血液が皮膚や衣服などについたときは、水でよく洗い流し、他の人の血液中が傷口に付かないように気を付けましょう。
母子感染を防ぐためには、妊娠前や妊娠中であってもできるだけ早い時期にHIV感染に気づき、適切な治療を受けることが重要です。
ただし、妊娠中のHIVのスクリーニング検査は、稀に偽陽性になる可能性がありますので、郵送型の検査キットや自己診断型の検査キットを使用する場合に念頭に置く必要があります。

HIVノイローゼについて

HIVに感染したかもしれないという過度な不安や恐怖から、体調を崩したり精神的に不安定な状態になることを「HIV(エイズ)ノイローゼ」などと呼ぶことがあります。
インターネット上には多くの情報が溢れており、自分で調べることでさらに不安が強くなることも考えられます。
HIVに感染しているかどうかは検査をしてみなければ判明しません。
過度に心配するのではなく、不安な場合は検査を受けたり、医師に相談するようにしましょう。
血液中で抗体が検出されるまでに、HIV感染から4週間から8週間ほど要する場合があるため、HIV検査は感染機会から3か月経過後に受けるようにしましょう。
感染機会から3か月経過していなくとも、感染が不安な場合には医師に相談をするようにしましょう。

まとめ

HIVとはヒト免疫不全ウイルスのことで、HIV感染によって免疫力が低下し、特定の疾患を発症した状態のことをエイズ(後天性免疫不全症候群)のといいます。
HIVは性行為で感染することが最も多く、その他に血液感染や母子感染が多いです。
HIV感染後、すぐにエイズを発症するわけではなく、感染後は「急性期」「無症候期」「エイズ発症期」の3つの期を経ます。
急性期には発熱やのどの痛み、頭痛、下痢、リンパ節の腫れ、筋肉痛などインフルエンザのような症状が出ますが、無症候期に入ると自覚症状がないためHIV感染に気づくことは難しくなります。

HIV検査は保健所や医療機関で受けられるほか、自宅で性感染症の検査キットを使用して検査することができます。
HIVに感染した場合、抗HIV薬による治療が行われます。
治療は感染後、なるべく早期に行われることが望ましく、早期治療により感染前とほとんど変わらない生活を送ることができます。
HIV感染を防ぐためには、性交時のコンドーム使用が効果的であるほか、注射器のまわし打ちを避けることや、女性であれば母子感染を防ぐために妊娠前や妊娠初期での早期治療が重要となります。
HIVに感染したかもと思った際には過度に心配するのではなく、検査を受けたり、医師に相談するようにしましょう。

 

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この記事を書いた人

臨床検査技師
所属学会
・日本臨床衛生検査技師会
・日本性感染症学会

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