「キスだけで性病はうつる」か疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
性病は一般的に膣性行、口腔性交(オーラルセックス)、肛門性交(アナルセックス)などの性行為によりうつる可能性が高いですが、キスだけでも性病はうつる可能性があります。
キスだけでうつる性病には、梅毒、淋菌、クラミジア、ヘルペス、マイコプラズマ、ウレアプラズマがあげられ、その一方で、HIVは、キスだけでは通常うつらないとされています。
こちらのコラムでは、キスだけでうつる可能性がある性病の種類や感染した際の症状、性病にうつらないためのポイントについて解説していきます。
キスだけでも性病にうつる可能性はある
性病は膣交渉などの性行為だけでなく、キスだけでもうつる可能性があります。
軽いキス程度であれば感染リスクは低いとされていますが、ディープキスであれば感染リスクは高まります。
特に、口の中に口内炎等の傷がある場合は、傷口から感染しやすいヘルペスや梅毒への感染リスクが高まります。
梅毒、淋菌、クラミジア、ヘルペスはキスだけでうつる
キスだけでうつる可能性のある性病には、以下のようなものがあります。
- 梅毒
- 淋菌
- クラミジア
- ヘルペス
- マイコプラズマ
- ウレアプラズマ
【梅毒】確率は低いが、うつる可能性
梅毒はキスでうつる可能性がありますが、基本的には唾液を介しての感染リスクは低いとされています。
日本性感染症学会が発表する資料においても、「梅毒はキスでうつることもないとはいえない」と、感染リスクがゼロではないことが記載されています。
梅毒の初期には、口内に痛みのない潰瘍やしこりが現れることがあり、気づかずに感染を広げる可能性があります。
特に口内に症状がある場合は感染力が高く、キスや食器の共有にも注意が必要です。
自己判断せず医療機関で検査を受け、再発防止のためにも定期的な検査が重要です。
【淋菌、クラミジア】キスによりうつる咽頭(のど)感染症
咽頭への淋菌、クラミジア感染(咽頭淋菌・咽頭クラミジア)は、キスによりうつる可能性があります。
特にディープキスをした場合、より感染のリスクが高まるとされています。
咽頭感染症は、感染者の性器分泌物や唾液が喉の粘膜に触れることでうつり、風邪のような喉の痛みや腫れ、咳、発熱などの症状が出ることもありますが、多くは無症状で気づかれません。
治療には性器感染より時間がかかる場合もあり、無自覚のままパートナーにうつすリスクがあります。
また、咽頭から性器へ、逆に性器から咽頭への感染もあるため、ピンポン感染(性病がパートナー間で繰り返し感染する現象)を防ぐには、感染の可能性がある部位すべてを検査することが重要です。
【ヘルペス】軽いキスでもうつる可能性
ヘルペスは、口と口の接触でうつる可能性があります。
口に病原体がいたり、症状が出ている相手と軽いキスをする場合でも、感染のリスクがあります。
咽頭ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV-1またはHSV-2)が咽頭に感染して起こる疾患で、強い喉の痛みや嚥下困難、高熱、舌や唇のびらんなどが現れます。
口唇ヘルペスと原因は同じですが、感染部位が異なり、口唇ヘルペスは唇周囲に水ぶくれが生じます。
いずれも疲労や免疫低下時に再発しやすく、無症状でも唾液などから感染が広がることがあります。
キスやオーラルセックス、タオルやコップの共有などが感染経路となり得るため、発症時は接触を避け、日用品の共有も控えることが重要です。
感染時期は自覚症状がないことも多く、特定が困難です。
【マイコプラズマ、ウレアプラズマ】キスでもうつる可能性
マイコプラズマ・ウレアプラズマは、キスによりうつる可能性があります。
これらは感染者の体液が粘膜に接触することで感染するため、オーラルセックスを含む性行為やディープキスで感染することがあります。
性病の一種であるマイコプラズマは、よく耳にする「マイコプラズマ肺炎」とは異なります。
マイコプラズマ肺炎の原因菌はマイコプラズマ・ニューモニエとよばれる菌ですが、性病であるマイコプラズマの原因菌はマイコプラズマ・ホミニス、マイコプラズマ・ジェニタリウムとよばれる菌です。
そのため、マイコプラズマ肺炎への感染と、性病であるマイコプラズマへの感染は全く別ものとなります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマは感染すると、性器やデリケートゾーンのかゆみ、のどの痛みや違和感、尿道通などの症状が現れます。
クラミジアや淋病と症状が似ているため、クラミジア・淋病検査で陰性であっても注意が必要です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマを放置したままでいると、生殖機能への悪影響をおよぼし、男女ともに不妊症の原因となります。
オーラルセックスを含む性行為の際には、コンドームを使用することで感染リスクを減らすことができます。
HIVはキスだけでうつらない
口の中に傷があり出血がある場合、その血液を介してうつる可能性がありますが、HIVは通常、キスだけでうつることはありません。
これは、唾液中のHIV量が極めて少なく、感染に必要な量には到底及ばないためです。
涙や尿にも感染力はありません。
ただし、相手の口腔内に傷がある場合や、免疫力の低い赤ちゃんへの口移しは、念のため避けた方がよいとされています。
HIVは主に血液、精液、膣分泌液を通じて感染します。
正しい知識を持ち、コンドームを使用することで感染リスクを大きく減らすことができます。日常の接触では心配ありません。
キスでうつる性病の症状
キスによって性病がうつった場合、以下のような症状があらわれます。
- のどの痛みや違和感
- 唇やその周りへの水ぶくれ
- 発熱など風邪のような症状、全身の不調
- 性器やデリケートゾーンのかゆみ、のどの痛みや違和感、尿道通
キスによって性病にうつらないために
- 性病に感染している、感染の疑いがある人とのキスは避ける。また、日用品の共用も避ける。
- 不特定多数とのキスは避ける。
- 唇や口腔内に傷がある場合は、感染のリスクが高まる可能性があるため注意する。
- 少しでも気になる症状がでた場合は、医療機関の受診や検査キットでの検査をおこなう。
- オーラルセックスでもコンドームを正しく使用する。
まとめ
キスだけでも性病はうつる可能性があります。
軽いキス程度であれば感染リスクは低いとされていますが、ディープキスであれば感染リスクはさらに高まります。
キスだけでもうつる性病としては、梅毒、淋菌、クラミジア、ヘルペス、マイコプラズマ・ウレアプラズマがあげられます。
キスによって性病がうつった場合、のどの痛みや違和感、唇やその周辺への水ぶくれ、風邪のような症状や全身の不調、性器やデリケートゾーンのかゆみ、のどの痛みや違和感、尿道通などがあらわれます。
一方で、HIVは通常、キスだけでうつることはないとされていますが、口の中に傷があり出血がある場合、その血液を介してうつる可能性があります。
キスだけでは性病に感染しないと思わず、性病に感染している・感染の疑いがある人や不特定多数とのキスを避けるなど、注意をしましょう。
症状だけでは性病に感染しているかどうか判断することが困難なため、少しでも気になる症状がでた場合は、パートナーと一緒に医療機関の受診や検査キットでの検査をおこなうようにしましょう。


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