梅毒検査と治療について

梅毒の検査と治療について

近年、梅毒の感染者数が増加傾向にあります。
かつては過去の病とされていた梅毒が、なぜ今再び広がりを見せているのでしょうか。
その背景には、性行動の多様化や、感染に対する意識の低下などが考えられます。
梅毒は、早期に発見し適切な治療を行えば完治する病気です。
しかし、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。
大切なのは、正しい知識を持ち、感染の不安があれば早期に検査を受けることです。

このコラムでは、梅毒の検査と治療についてを詳しく解説していきます。
梅毒は、決して他人事ではありません。
自分自身と大切な人を守るために、正しい知識を身につけ、適切な行動をとりましょう。

目次

梅毒の検査方法

梅毒の検査方法は対象者の採血をして、その血液の検査を行います。
梅毒に感染すると、リン脂質(カルジオライピン)に対する抗体(CL抗体)とトレポネーマ抗体(TP抗体)の二種類の抗体が体内で作られます。感染初期にリン脂質抗体が作られ、遅れてトレポネーマ抗体が作られます。二種類の抗体を検査することによって梅毒感染の有無や治療後の経過観察を行うことができます。

脂質抗原法と梅毒トレポネーマ抗原法の結果の解釈について

脂質抗原法 トレポネーマ抗原法 判定
陰性または感染初期
感染初期
※梅毒感染症以外の疾患でも陽性となる
感染または治療中
過去の感染または治療後

詳しくは以下のコラムをご確認下さい。
>>梅毒の検査方法と検査を実施するタイミングとは?

血清学的検査

血清学的検査は、血液中の抗体を測定する脂質抗原法と梅毒トレポネーマ抗原法の二つに分類されます。梅毒に感染するとリン脂質(カルジオライピン)に対する抗体(CL抗体)とトレポネーマ抗体(TP抗体)の二種類の抗体が体内で作られます。

脂質抗原法

脂質抗原法は、脂質抗体を測定する方法です。脂質抗体は、感染後2~4週間で陽性になることが多く、梅毒の初期診断や治療後の判定に用いられています。

梅毒トレポネーマ(TP)抗原法

トレポネーマ抗原法は、梅毒トレポネーマに対する抗体を測定する方法で特異度の高い検査方法です。トレポネーマ抗体は、感染後4〜6週間ほどで陽性となります。
梅毒のTP法の中にも、血液中の抗体または抗原を専用の検査機器で測定する「自動免疫測定法」と、妊娠検査薬と同様に検査キットに現れる線を目視で判定する簡易的な検査方法「イムノクロマト法」などがあります。

自動免疫測定法

自動免疫測定法とは、血液中の抗体または抗原を専用の検査機器で測定する検査方法です。
専用検査機器を使用するためには、専用の施設や設備、機器のメンテナンスの必要がありますが、精度の高い検査結果を出すことができます。
自動免疫測定法には、ECLIA法、CLEIA法、比濁法などいくつかの種類があります。

イムノクロマト法

イムノクロマト法とは、妊娠検査薬と同様に検査キットに現れる線を目視で判定する簡易的な検査方法です。専用検査機器や設備などが不要で、簡易的に検査を行うことができますが、自動免疫測定法と異なり、検査結果を目視で判定するため、検査精度が落ちることがあります。
イムノクロマト法は、自己診断型の検査キットでよく使用されます。

PCR検査

PCR検査は、特定の生物・ウイルスの特徴的な遺伝子配列を増幅することで、生物の分類や病原体の検出につなげることができる検査方法です。病変部位の滲出液や脳脊髄液などのサンプルから梅毒トレポネーマの遺伝子を検出することができます。

病理組織検査

暗視野顕微鏡を使用し、皮膚や粘膜の病変部から梅毒トレポネーマを直接観察する方法です。本検査では、病変部から採取したサンプルを暗視野顕微鏡で観察し、梅毒トレポネーマの特徴的な螺旋形状を確認します。

食環境衛生研究所の梅毒検査方法

梅毒検査方法
食環境衛生研究所では、自動免疫測定法での検査を実施しています。
自動免疫測定法での検査は、イムノクロマト法での検査と比較して価格が高いですが、より正確な検査結果が得られます。
検査スピードは、イムノクロマト法は数分〜数十分(検査キットによる)と迅速に結果がわかりますが、自動免疫測定法でも最短即日で結果を知ることが可能です。

これらのことからも、自動免疫測定法による検査を推奨します。
弊社では、イムノクロマト法ではなく自動免疫測定法による検査を行っており、非常に高感度で正確な測定が可能なECLIA法(電気化学発光免疫測定法)を採用しています。

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梅毒の治療方法は薬物療法が中心

梅毒は自然治癒しないため、感染していることが判明したら、必ず医者にかかる必要があります。梅毒の治療方法としては、抗菌薬による薬物療法が中心です。ペニシリン系の投与が主となりますが、ペニシリン系に対するアレルギーがある場合等、セフェム系、テトラサイクリン系、マクロライド系も使用される場合があります。
早期に治療を開始すれば、後遺症は少なく、比較的短期間で治癒が可能です。その他、投与時に抗菌薬投与時に副作用とは別に、発熱などをともなったJarisch-Herxheimer反応(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応)という症状がでる人もいますので、ご注意ください。

まとめ

梅毒は、早期発見・早期治療が非常に重要です。感染の可能性がある場合は、ためらわずに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。また、感染予防のために、コンドームの使用など、安全な性行為を心がけましょう。

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この記事を書いた人

臨床検査技師
所属学会
・日本臨床衛生検査技師会
・日本性感染症学会

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