以前書いたトランス脂肪酸の続きです。
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バターから一番多く検出されたのはバクセン酸であり、これは水素添加で作られた物では無く、反すう動物(胃で消化した物を口に戻して咀嚼する、という過程を繰り返す事で消化をする動物)の胃の中に寄生する微生物がシス-トランスイソメラーゼという特殊な酵素を有し,シス型の不飽和脂肪酸から,トランス型の不飽和脂肪酸を生成しているようです。
つまり、バターには天然のトランス脂肪酸が含まれていると言う事になります。
個々のトランス脂肪酸を区別してヒトの健康障害に与える影響を調べた科学的データはほとんどなく,バクセン酸単独の健康障害へのリスクについても調べられていないのが現状ですが、一部の報告では生体内に取り込まれたバクセン酸の一部は,生体内で共役リノール酸(特殊な構造から規制の対象外になっているトランス脂肪酸)の一種に変換するという報告もあり,実際の所まだ良く分かっていない部分が多い様です。
今回測定したのはバターのみですが、乳製品(バター、チーズ、生クリーム)にも天然のトランス脂肪酸が含まれており、実は天然物からの摂取の方が多いとの指摘もあります。
では、トランス脂肪酸の少ないマーガリンを使えば良いのかなとも思いますが、日本人は古くからサラダ油が体に良いという信仰からサラダ油を多く摂り過ぎてしまい、リノール酸というn6系脂肪酸は過多になっているためこれもなるべくなら避けたい所です。
やはり、健康に気を使うなら野菜を中心とした日本食が一番ですね。