性行為後に発熱があると「性病なのでは?」と不安になる方は少なくありません。
実際に、梅毒・クラミジア・淋病・HIV・性器ヘルペスなどの性病では発熱を伴うことがあり、近年はマイコプラズマ・ウレアプラズマ、トリコモナス、B型・C型肝炎も問題視されています。
ただし、性病に感染している場合、発熱以外にも症状が現れやすいです。どのような症状が現れるのかは性病によって異なり、発熱の目安もそれぞれで変わります。
あくまで目安にすぎませんが、性病ごとに感染が疑われる状況や放置した場合のリスクをまとめましたので参考にしてみてください。
性病名 | 感染が疑われる状況(発熱の目安つき) | 放置した場合のリスク |
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梅毒 | 37℃〜38℃前後の発熱+全身の赤い発疹(バラ疹)、リンパ節腫れ、性器や口の潰瘍 | 臓器障害や神経梅毒に進行 |
クラミジア | 37〜38℃の微熱が長引く+下腹部痛や不正出血(女性)、排尿痛や膿(男性) | 不妊症や骨盤内炎症 |
淋病 | 38℃以上の高熱+強い排尿痛や尿道からの膿(男性)、下腹部痛や骨盤内炎症(女性) | 卵管炎・精巣上体炎・不妊 |
HIV | 38〜39℃の高熱が1週間以上続く+リンパ節腫れや発疹、強い倦怠感 | エイズへ進行 |
性器ヘルペス | 38℃前後の発熱+性器や肛門周囲に水ぶくれ・潰瘍、リンパ節腫れ(初感染時) | 激しい痛みの再発を繰り返す |
マイコプラズマ・ウレアプラズマ | 37℃台の微熱が続く+排尿時の違和感やおりもの異常(他の性病検査では陰性) | 慢性炎症や不妊リスク |
トリコモナス | 37〜38℃の微熱+悪臭のある泡状おりもの、膣のかゆみ(女性)、軽い排尿痛(男性) | 妊娠合併症(早産・流産)の可能性 |
B型肝炎/C型肝炎 | 37〜38℃台の発熱+全身倦怠感、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色い) | 慢性肝炎や肝硬変、肝がん |
なお、風邪やインフルエンザとも症状が似ているため、発熱があるからといって必ず性病に感染しているとは限りません。とはいえ、性病は自然に治らず、放置すれば重症化やパートナーへの感染につながるリスクがあるため自己判断は危険です。
感染が疑われる場合、男性は泌尿器科、女性は婦人科で診療を受けるのが基本です。
また、民間の検査会社であれば、郵送型の検査キットを使用した性病検査に対応する会社もあります。弊社「食環境衛生研究所」では、自宅で検体を採取して送るだけで、簡単に性病検査ができる「性病検査キット」を用意していますので、性病感染が疑われる際には検討してみてください。
当記事では、発熱を伴う性病の特徴や風邪との違いなどについて、専門家の視点から詳しく解説していきます。
性病は発熱を引き起こすことがある
性病(性感染症)は、性交渉によって感染する細菌・ウイルス・原虫などが原因となる病気の総称です。多くの性病は「排尿時の痛み」や「分泌物の増加」など局所的な症状から始まりますが、進行すると全身に炎症や免疫反応が広がり、発熱を引き起こすことがあります。
発熱は、体温が平熱よりも高くなる状態で、免疫システムが感染源と戦っているサインとして多くの場合にみられます。風邪やインフルエンザでも起こる一般的な反応ですが、性病でも同じようにウイルスや細菌に対抗するために発熱を生じることがあるのです。
たとえば、梅毒やクラミジアなどでは感染が局所を超えて全身に広がった段階で高熱が出ることがありますし、HIVの急性期にはインフルエンザに似た強い発熱が見られることもあります。また、性器ヘルペスや淋菌感染症でも初期や重症化したケースで38度以上の熱が続く例があります。
ただし、重要なのは発熱がみられるからといって必ず性病であるわけではない点です。発熱はさまざまな病気で起こる一般的な症状であり、風邪や腸炎でも同じように見られます。
そのため、「熱があるから性病だ」と断定することはできません。しかし一方で、性病による発熱を放置すると不妊や流産、免疫不全など将来的に深刻なリスクを伴う可能性があります。
性病は自覚症状が少ないまま進行するケースが多く、発熱のような全身症状が出たときにはすでに感染が広がっているケースもあります。つまり、発熱を「ただの風邪」と思ってやり過ごすのではなく、性病の可能性も念頭に置いて検査を受けることが重要なのです。
発熱がみられる性病の例
発熱がみられる性病の例としては、下記が挙げられます。
性病名 | 感染が疑われる状況 |
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梅毒 | 発熱に加えて全身に赤い発疹(バラ疹)、リンパ節腫れ、性器や口の潰瘍が出ている |
クラミジア | 微熱が長引き、下腹部痛や不正出血(女性)、排尿痛や膿(男性)がある |
淋病 | 38℃以上の発熱に加え、強い排尿痛や尿道からの膿がある/女性では下腹部痛や骨盤内炎症 |
HIV | 38〜39℃の高熱が1週間以上続く+全身のリンパ節腫れや発疹、強い倦怠感がある |
性器ヘルペス | 発熱と同時に性器や肛門周囲に水ぶくれ・潰瘍、リンパ節腫れが出ている(初感染時) |
マイコプラズマ・ウレアプラズマ | 37℃台の微熱が続き、排尿時の違和感やおりもの異常がある/他の性病検査では陰性 |
トリコモナス | 微熱や下腹部痛+悪臭のある泡状のおりもの、膣のかゆみ(女性)/男性は軽度の排尿痛 |
B型肝炎/C型肝炎 | 発熱と全身の倦怠感、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色い)がある |
たとえば、梅毒の場合は37℃〜38℃前後の発熱に加えて、全身に赤い発疹(バラ疹)、リンパ節腫れ、性器や口の潰瘍がみられます。それぞれで発熱以外にも異なる症状がみられ、上記に該当する場合には感染が疑われるため、早期に検査を受けるようにしてください。
梅毒
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌によって起こる性感染症です。近年は感染者数が増加しており、発熱が症状のひとつとして現れることがあります。
とくに第二期梅毒では全身に感染が広がるため、発熱と同時に発疹や倦怠感などの症状が見られます。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | 細菌が全身に広がり、免疫反応として熱が出る |
潜伏期間 | 感染から3週間で初期症状、その後数か月以内に発熱が出やすい |
発熱の程度 | 37℃台の微熱〜38℃前後の発熱がみられることがある |
放置するリスク | 数年後に脳・心臓・神経へ障害を及ぼす可能性がある |
発熱以外の特徴的な症状 | 発疹(バラ疹)、リンパ節腫脹、倦怠感、頭痛 |
梅毒の発熱は「感染直後に出る」というより、進行した段階で表れるのが特徴です。発疹やリンパ節の腫れを伴う場合は特に注意が必要であり、近年は20〜40代を中心に患者数が急増しています。
妊娠中の感染は母子感染を引き起こす危険があり、胎児に深刻な影響を与えるため、感染が疑われる場合には発熱をただの風邪と考えず、早めに検査を受けることが大切です。
クラミジア
クラミジア感染症は、日本で多い性病のひとつで、「クラミジア・トラコマティス」という細菌が原因の性感染症です。感染しても自覚症状が乏しいため、男女ともに気づかないまま進行してしまうことが多いのが特徴です。
とくに女性は無症状で進行し、発熱が出る頃には骨盤内炎症性疾患(PID)などの合併症に進展しているケースが少なくありません。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | 感染が尿道や子宮頸部から奥へ広がり、骨盤内炎症や副睾丸炎を起こすことで免疫反応として発熱 |
潜伏期間 | 感染から1〜3週間で症状が出始めることがあるが、多くは無症状のまま進行 |
発熱の程度 | 37℃台の微熱が続くことが多く、進行すると38℃以上の高熱になる場合もある |
放置リスク | 女性:不妊・子宮外妊娠・流産リスク 男性:副睾丸炎や前立腺炎による不妊リスク |
特徴的な症状 | 男性:排尿痛、尿道からの分泌物、発熱/女性:おりものの異常、下腹部痛、不正出血、発熱 |
クラミジアの発熱は、感染が奥に広がった段階で現れることが多く、軽い微熱から始まるケースが目立ちます。
女性では「風邪のような微熱+下腹部痛」という形で気づくことが多く、骨盤内炎症性疾患に至ると高熱が出てしまいます。男性でも副睾丸炎や前立腺炎に進むと38℃以上の熱が出ることがあり、不妊の原因になる恐れがあります。
クラミジアは10〜20代の若年層で多く報告されており、発熱を「ただの風邪」と勘違いして放置する例が少なくありません。発熱に加え排尿時の違和感やおりものの異常がある場合は、早期に検査を受けることが重要です。
淋病
淋病(淋菌感染症)は、「ナイセリア・ゴノレエ」という細菌によって引き起こされる性感染症です。男女ともに感染しますが、男性では強い症状が出やすく、女性は無症状で進行することが多いとされています。
尿道炎や子宮頸管炎など局所症状が中心ですが、感染が進むと発熱を伴う全身症状に発展するケースもあります。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | 細菌が尿道や子宮頸管だけでなく、骨盤内や血液中に広がり炎症反応を引き起こすため |
潜伏期間 | 感染から2〜7日程度で尿道炎・膿などの初期症状が出ることが多い |
発熱の程度 | 初期は微熱(37℃台)、骨盤内炎症や全身感染に至ると38〜39℃の高熱になることもある |
放置リスク | 女性:骨盤内炎症性疾患、不妊、子宮外妊娠のリスク 男性:副睾丸炎、不妊リスク、まれに全身に広がり敗血症を起こすこともある |
特徴的な症状 | 男性:排尿痛、尿道から膿、発熱 女性:おりものの異常、下腹部痛、発熱、性交時痛 |
淋病の特徴は症状が強く出やすいことです。
男性では感染から数日で排尿時の強い痛みや膿が現れ、発熱を伴う場合もあります。女性は自覚症状が乏しいケースが多いですが、感染が子宮や卵管に広がると38℃を超える高熱と下腹部痛を引き起こし、骨盤内炎症性疾患(PID)へと進行します。
さらに、まれに「播種性淋菌感染症(DGI)」と呼ばれる状態になり、関節炎や皮疹、敗血症を起こすことがあります。この場合は39℃近い高熱を伴うことが多く、命に関わることもあります。
淋病はクラミジアに次いで多い性感染症として報告されています。発熱と同時に尿道からの膿や強い排尿痛がある場合は、風邪ではなく淋病の可能性を疑い、早期に検査・治療を受けることが重要です。
HIV
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、体の免疫機能を破壊していくウイルスです。感染するとすぐに発熱が出るわけではありませんが、急性期(感染から2〜4週間後)にはインフルエンザに似た症状が現れることが多く、その代表的なサインの1つが発熱です。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | ウイルスが急速に増殖し、体が強い免疫反応を起こすため |
潜伏期間 | 感染から2〜4週間後に「急性HIV感染症」として発症することが多い |
発熱の程度 | 38℃前後〜39℃の高熱になることが多い |
放置リスク | 急性期を過ぎてもウイルスは体内で増殖を続け、数年〜10年以上かけてエイズ発症へ進行する可能性 |
特徴的な症状 | 発熱、喉の痛み、全身のリンパ節腫脹、発疹、倦怠感、下痢など |
HIVの発熱は、感染してすぐではなく「急性期」に集中して見られるのが特徴です。
38〜39℃の高熱が数日から1週間以上続くことがあり、同時に全身のリンパ節腫れや発疹が現れるケースも少なくありません。インフルエンザや単なる風邪に似ているため、見過ごされやすい点が大きなリスクです。
急性期を過ぎると症状は一旦落ち着きますが、これは「治った」のではなく、ウイルスが体内に潜伏して静かに免疫細胞を破壊し続けている状態です。放置すると数年〜10年かけて免疫不全が進み、エイズ(後天性免疫不全症候群)を発症する危険があります。
厚生労働省や各自治体は、HIV検査を匿名・無料で提供しています。「風邪のような症状が長引いていて性行為の心当たりがある」という場合には、検査を受けることが勧められます。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型または2型によって感染する性感染症です。再発を繰り返す特徴がありますが、特に初感染時には強い症状が出やすく、その1つが発熱です。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | 初めて感染したとき、体がウイルスに対抗するために強い免疫反応を起こす |
潜伏期間 | 感染から2〜10日で症状が現れることが多い |
発熱の程度 | 38℃前後の高熱になるケースが多く、再発時は発熱が出ないことも多い |
放置リスク | 症状が治まってもウイルスは体内に潜伏し、疲労・ストレス・免疫低下で再発を繰り返す |
特徴的な症状 | 性器や肛門周囲の痛みを伴う水ぶくれ・潰瘍、発熱、リンパ節腫脹 |
性器ヘルペスは初感染時に強い発熱(38℃前後)を伴いやすく、同時に性器や肛門周囲に痛みを伴う小さな水ぶくれや潰瘍が多数現れます。さらに、そけい部のリンパ節が腫れて全身の倦怠感を伴うケースも少なくありません。
一方で、再発時には症状が軽く、発熱が見られない場合が多いです。ただし、ウイルスは体内に潜伏し続けるため、再発を完全に防ぐことはできません。免疫力が低下した際に症状が再燃するのが性器ヘルペスの特徴です。
妊娠中に初感染した場合、出産時に新生児へ感染するリスクがあり、新生児ヘルペスは重篤な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、発熱や性器周囲の異常を感じたら「ただの疲れや風邪」と思わずに、医療機関や検査を利用することが大切です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ
マイコプラズマ属やウレアプラズマ属の細菌は、比較的新しい性感染症の原因として注目されています。クラミジアや淋菌に比べるとあまり知られていませんが、尿道炎や膣炎の原因となり、場合によっては発熱を伴う合併症を引き起こすことがあります。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | 感染が尿道や子宮頸管にとどまらず、前立腺や骨盤内に炎症が広がることで発熱 |
潜伏期間 | 感染から1〜3週間程度で症状が出ることがあるが、多くは無症状で進行 |
発熱の程度 | 37℃台の微熱が多いが、炎症が強い場合は38℃以上の熱になることもある |
放置リスク | 男性:前立腺炎、副睾丸炎による不妊リスク 女性:骨盤内炎症性疾患、不妊や妊娠合併症のリスク |
特徴的な症状 | 男性:排尿痛、尿道からの分泌物、微熱 女性:おりもの異常、下腹部痛、性交痛、発熱 |
マイコプラズマやウレアプラズマは、クラミジアや淋菌と同じく尿道炎や子宮頸管炎の原因菌となります。症状が軽いため見過ごされやすいのですが、感染が進行すると骨盤内炎症性疾患(PID)や前立腺炎を起こし、発熱や強い下腹部痛を伴うことがあります。
欧米ではこれらの細菌による性感染症が徐々に注目され、日本でも徐々に検査項目として取り入れられつつあります。
「37℃台の微熱が続き、排尿時に違和感がある」といった場合、クラミジアや淋菌の検査だけでは陰性になるケースもあるため、マイコプラズマやウレアプラズマを含めた検査を受けることが望ましいです。
トリコモナス
トリコモナスは、「トリコモナス・ワジナリス」という原虫によって起こる性感染症です。
細菌やウイルスではなく「原虫」が原因である点が特徴で、男性よりも女性で症状が出やすいとされています。典型的には膣炎や尿道炎として発症し、発熱を伴うこともあります。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | 炎症が強くなり膣や尿道から骨盤内へ波及することで免疫反応として発熱 |
潜伏期間 | 感染から4日〜4週間で発症することが多い |
発熱の程度 | 軽度の微熱(37℃台)が多いが、骨盤内炎症に進展すると38℃以上の高熱となる場合もある |
放置リスク | 女性:膣炎から子宮・卵管へ炎症が広がり、不妊や流産リスクにつながる 男性:尿道炎や前立腺炎を起こし、不妊の原因になることがある |
特徴的な症状 | 女性:悪臭のある泡状のおりもの、かゆみ、発熱 男性:軽度の排尿痛や分泌物、まれに発熱 |
トリコモナスは女性の膣炎として有名で、悪臭のある泡状のおりものや強いかゆみが典型的な症状です。
発熱は必ず出るわけではありませんが、感染が子宮や卵管に広がると高熱や下腹部痛を伴うことがあります。男性は無症状のことが多いですが、尿道炎や前立腺炎に進むと発熱が見られるケースがあります。
世界的にも感染者数が多い性感染症のひとつで、日本では他の性病に比べて認知度が低いですが、感染しても症状が軽いため気づきにくいという問題があります。「おりものの異常と微熱がある」といった症状がある場合は、検査を受けることが重要です。
B型肝炎/C型肝炎
B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)は、血液や体液を介して感染するウイルスで、性的接触によってもうつることがあります。いずれも肝臓に炎症を起こす性感染症であり、感染の初期には発熱を伴うことがあります。
内容 | |
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発熱が起こる理由 | 肝臓にウイルスが侵入し、免疫反応によって炎症と発熱が起こる |
潜伏期間 | B型肝炎:1〜6か月/C型肝炎:2か月〜半年程度 |
発熱の程度 | 37℃台の微熱〜38℃台の発熱が出ることがあるが、症状が軽いケースも多い |
放置リスク | B型肝炎:慢性肝炎、肝硬変、肝がんへ進行する可能性/C型肝炎:高率で慢性化し、長期的に肝がんのリスクが上昇 |
特徴的な症状 | 発熱、全身倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる) |
B型肝炎やC型肝炎では、感染初期に微熱や38℃前後の発熱が出る場合があります。
とくにB型肝炎は急性肝炎として一時的に高熱や黄疸を伴い、全身が強い倦怠感に襲われることもあります。C型肝炎は初期症状が軽く、発熱に気づかないケースも少なくありません。
いずれも発熱が一時的に収まっても、体内にウイルスが残って慢性肝炎へ移行する可能性があります。慢性化した場合は、長期的に肝硬変や肝がんへと進行するリスクが高まるため注意が必要です。
「性行為後に発熱と倦怠感、黄疸がみられる」といった症状がある場合は、ただの風邪とは考えず、必ず検査を受けるようにしましょう。
男性・女性別の発熱がある場合に疑われる性病
性病による発熱は、男性と女性で症状の現れ方や進行に違いがあります。発熱だけでは性病かどうかを判断できませんが、発熱に加えてどのような症状が出ているかを見ることで、感染の可能性を推測する手がかりになります。
男性と女性別に発熱がある場合に疑われる性病と、発熱以外にみられやすい症状をまとめました。
性別 | 発熱と併せて出やすい症状 | 疑われる性病の例 |
---|---|---|
男性 |
・強い排尿痛 ・尿道からの膿 ・精巣や副睾丸の腫れ・痛み ・リンパ節の腫れ |
淋病、クラミジア、副睾丸炎を伴う感染、梅毒、HIV急性期、性器ヘルペス(初感染)など |
女性 |
・下腹部痛 ・帯下(おりもの)の異常(悪臭・量の増加・色の変化) ・不正出血 ・性交時の痛み |
クラミジア(骨盤内炎症性疾患)、淋病、トリコモナス、梅毒、HIV急性期、B型肝炎/C型肝炎など |
男性では「排尿痛+発熱」の組み合わせが疑わしいサインになりやすく、女性では「下腹部痛+発熱」が特徴的です。いずれも放置すると不妊や重度の感染症などに進むリスクがあるため、自己判断せず早めに検査を受けることが大切です。
性病による発熱と風邪・インフルエンザの違いは?
発熱は風邪やインフルエンザでもよく見られる症状です。そのため、「熱がある=性病」とは限りません。
しかし、発熱に伴う症状の出方や発熱がどれだけ続くかには違いがあり、ここを理解しておくことで「ただの風邪」と「性病による発熱」を区別するヒントになります。
項目 | 性病による発熱 | 風邪・インフルエンザ |
---|---|---|
発熱の出方 | 微熱が長く続く。38℃以上の高熱が出る場合もある | 発症後すぐに高熱(インフルエンザは38〜40℃) |
同時に出る症状 | 排尿痛、膿、おりもの異常、下腹部痛、発疹、リンパ節腫れなど | 喉の痛み、鼻水、咳、頭痛、筋肉痛など呼吸器系の症状 |
熱の持続期間 | 数日〜数週間続くこともあり、抗菌薬や抗ウイルス薬でなければ治まらない | 風邪は数日〜1週間程度で解熱。インフルは1週間前後で回復することが多い |
リスク | 放置すると不妊・流産・免疫低下・肝炎の慢性化など重大な合併症 | 通常は自然に回復するが、インフルは合併症(肺炎など)の可能性 |
性病による発熱の大きな特徴は、「泌尿器・生殖器系の症状とセットになっている」点です。たとえば、発熱に加えて「排尿痛」「おりもの異常」「発疹」などが見られた場合は、風邪やインフルエンザよりも性病の可能性を考えるべきです。
また、風邪やインフルエンザは数日〜1週間程度で回復することが多いのに対し、性病による発熱は長引く傾向があり、解熱剤を飲んでも根本的な解決にはなりません。症状が続いている場合は「ただの風邪だろう」と自己判断せず、性病検査を受けることが大切です。
性病が疑われる場合のセルフチェック
性病は発熱だけでは判断できませんが、発熱と併せて出やすいサインをチェックすることで、感染の可能性を推測するヒントになります。
ただし、セルフチェックはあくまで目安にすぎません。チェック項目に該当しない場合でも性病に感染している可能性は否定できないため、少しでも感染が疑われる場合には必ず検査が必要です。
チェック項目 | 疑われる性病の例 |
---|---|
発熱に加えて、排尿痛や尿道から膿がある | 淋病、クラミジア、副睾丸炎 |
発熱+下腹部痛や不正出血、おりもの異常がある | クラミジア、淋病、トリコモナス |
発熱+全身に赤い発疹やリンパ節の腫れがある | 梅毒、HIV急性期 |
発熱+性器や肛門周囲に水ぶくれや潰瘍がある | 性器ヘルペス |
発熱+強い倦怠感、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色い) | B型肝炎、C型肝炎 |
このように、発熱に加えて「泌尿器系」「生殖器系」「全身の異常」などの症状がセットになっている場合は、性病の疑いが高まります。セルフチェックで複数当てはまる場合は、早めに検査を受けることが最も確実な対応です。
性病が疑われる場合は発熱が治ったとしても検査を受けるべき
性病による発熱は、一時的に解熱して症状が落ち着くことがあります。
しかし、これは「治った」わけではありません。体内には依然として病原体が潜伏している可能性が高く、症状が再び出たり、知らないうちにパートナーへ感染させたりしてしまうリスクがあります。
たとえば梅毒では、第二期に発熱や発疹が出ても数週間で自然に消えてしまいますが、細菌は体内に残り、数年後に心臓や脳に重い障害をもたらす「晩期梅毒」へ進行する恐れがあります。
クラミジアや淋病でも、熱が下がったからといって感染がなくなったわけではなく、不妊や骨盤内炎症へと静かに進行するケースがあります。
また、HIVやB型肝炎・C型肝炎では、発熱などの初期症状が治まっても慢性の感染症として進行していきます。とくにHIVは急性期を過ぎると長い無症候期に入り、本人は健康に見えてもウイルスは体内で増殖を続けています。結果として免疫不全が進み、数年後にエイズを発症してしまいます。
このように、性病の発熱は感染が進んでいるサインである場合が多く、熱が下がったからといって油断は禁物です。
性病検査は医療機関だけでなく、民間の検査会社が用意する郵送検査キットでも手軽に受けられるため、発熱が治まったあとでも必ず検査を受けることが、自分自身や大切なパートナーを守ることにつながります。
性病による発熱を予防するための方法
性病による発熱を防ぐためには、感染そのものを予防することが最も重要です。性病は感染してから治療するより、感染しないようにするほうが、身体的・精神的な負担を大きく減らせます。
以下のような対策を心がけることで、感染リスクを大幅に下げることができます。
予防方法 | 具体的な内容 |
---|---|
コンドームの正しい使用 | 性行為の際は必ず使用すること。梅毒やクラミジア、淋病、HIVなど多くの性病を予防可能。ただし性器周囲にできるヘルペスやHPVなどは完全に防げない場合がある |
定期的な性病検査 | 自覚症状がなくても感染しているケースが多いため、定期的な検査が早期発見につながる。郵送検査キットを活用すれば自宅でも簡単に確認できる |
ワクチン接種 | B型肝炎やHPV(子宮頸がん予防ワクチン)などはワクチンで予防可能。若年層やリスクの高い人は積極的な接種が推奨される |
パートナーとの信頼関係 | 複数のパートナーとの無防備な性交渉は感染リスクを高める。相互に検査を受けるなど、予防意識を共有することが大切 |
体調管理と免疫力維持 | 性器ヘルペスなどは免疫力が下がったときに再発しやすい。睡眠不足やストレスを避け、バランスの良い食事を心がけることも予防につながる |
性病は「自分には関係ない」と思っていても、誰にでも感染のリスクがあります。特に無症状のまま進行するクラミジアやHIVは、気づかないうちに重症化したりパートナーへ感染させてしまう危険があります。
コンドームの使用と定期的な検査は、誰にとっても有効な予防策です。
また、性病の中にはワクチンで防げるものもあるため、予防接種も積極的に活用しましょう。発熱という形で体からのサインが出る前に、まずは感染自体を防ぐことが重要です。
性病による発熱に関するよくある質問
発熱があるときはどの診療科を受診すればいいですか?
男性は泌尿器科、女性は婦人科が基本です。
また、性病科や内科でも対応可能な場合があります。迷ったときはまず内科を受診して紹介してもらう形でも問題ありません。
なお、民間の検査機関には、キットを用いて性病検査が可能な機関もあります。弊社「食環境衛生研究所」では郵送型の性病検査キットを用意しており、自宅で検体を採取して送るだけで簡単に性病検査が可能です。
「性病が疑われるけど病院に行くのが恥ずかしい」「病院に行く時間がつくれない」といった場合には、検査キットを使用して性病検査を受けることも検討してみてください。
性病による発熱は市販薬で抑えられますか?
解熱剤で一時的に下げることはできますが、感染自体は治りません。根本原因となる細菌やウイルスを治療しない限り再び発熱するため、必ず検査と医療機関での治療が必要です。
病院に行くのが恥ずかしいです。発熱だけで性病と判断できますか?
発熱だけで性病と断定することはできません。風邪や他の感染症でも同様に発熱は起こります。
ただし、発熱+排尿痛・膿・発疹・おりもの異常などがある場合は性病の可能性が高まるため、検査を受けるのが確実です。
性病の発熱はどのくらい続きますか?
病気の種類や進行度によって異なります。HIV急性期では1〜2週間の高熱が続くことがあり、クラミジアや淋病では微熱が長引くこともあります。風邪のように数日で自然に治ることは少ないため注意が必要です。
パートナーにも同じように発熱の症状は出ますか?
同じ感染でも、パートナーに必ず発熱が出るとは限りません。特にクラミジアやトリコモナスは無症状のまま進行することが多いため、自分に発熱などの症状があれば、パートナーも一緒に検査を受けることが推奨されます。
まとめ
性病による発熱は、体が「感染が進んでいるサイン」を出している可能性があります。
梅毒やクラミジア、淋病、HIV、性器ヘルペスなど多くの性病で、感染が広がると発熱を伴うことがあります。発熱の程度も微熱から39℃前後の高熱まで幅広く、風邪やインフルエンザと間違いやすい点が大きな特徴です。
ただし、性病の発熱は単独で出ることは少なく、多くの場合は排尿痛・膿・おりもの異常・発疹・リンパ節の腫れなどの症状とセットで現れます。これらの症状が一つでも当てはまる場合、自己判断せずに性病検査を受けることが非常に重要です。
また、発熱が一時的に治まっても、感染そのものは体内に残っていることが多く、将来的に不妊・流産・免疫低下・肝疾患など深刻なリスクへとつながる可能性があります。
症状が軽くても放置せず、早期に検査・治療を行うことが自分自身と大切なパートナーを守ることにつながります。
性病は誰にでも感染する可能性があります。「自分は大丈夫」と思わず、発熱など体からのサインを見逃さないようにしましょう。
検査は医療機関はもちろん、匿名で利用できる郵送検査キットもあり、気軽に確認できます。少しでも不安があれば、ぜひ一度検査を受けて安心を得ることをおすすめします。
弊社「食環境衛生研究所」が用意する性病検査キット
弊社「食環境衛生研究所」では、自宅で検体を採取して弊社に送付するだけで性病検査が可能な「性病検査キット」を用意しています。
秘密厳守で検査を行うため、「誰にも相談できないけど検査をしたい」「病院に行くのが恥ずかしい」といった場合には、弊社の検査キットの使用を検討してみてください。
検査キット | 検査材料 | 費用 | 詳細ページ |
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梅毒検査キット | 血液 | 3,410 円(税込)~ | https://www.shokukanken.com/sti/syphilis/ |
クラミジア検査キット | 尿 | 5,500 円(税込)~ | https://www.shokukanken.com/sti/chlamydia/ |
エイズ/HIV検査キット | 血液 | 3,520 円(税込)~ | https://www.shokukanken.com/sti/hiv/ |
淋病検査キット | 尿 | 5,500 円(税込)~ | https://www.shokukanken.com/sti/gonorrhea/ |
カンジダ検査キット | 皮膚擦過物 | 3,124 円(税込)~ | https://www.shokukanken.com/sti/candida/ |
トリコモナス検査キット | 尿 | 4,510 円(税込)~ | https://www.shokukanken.com/sti/trichomonas/ |
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