デリケートゾーンにかゆみがあると「性病になってしまったのではないか」と不安になってしまう人は少なくありません。
結論からいうと、デリケートゾーンがかゆいからと言って、必ずしも性病が原因だとは限りません。
下着による締め付けや、生理用ナプキンとの摩擦や、デリケートゾーンの蒸れなどによる「かぶれ」が原因であることもあります。
ただし、夜も眠れないほどに強いかゆみを感じる場合は、何らかの病気のサインの可能性もゼロではありません。
その場合は、速やかに医師に相談して、原因を特定してもらい、場合によっては適切な治療を受けるのがおすすめです。
このコラムでは、デリケートゾーンのかゆみの原因や、性病であるかどうかのチェック方法、対策などを解説します。
デリケートゾーン(陰部)のかゆみの原因
デリケートゾーンのかゆみの原因は性病だけでなく、下着の締め付けや生理用ナプキンの摩擦、デリケートゾーンの蒸れなどによる「かぶれ」が引き起こしている場合もあります。
感じ方は人それぞれですが、「あまりにもかゆみが強い」「かゆみがおさまらない」「かゆくて夜眠れない」というような場合や、かゆみの症状に加えて、デリケートゾーンに痛みや腫れ、できものがあったり、精液やおりものの色やニオイの様子が通常と異なったりする場合は性病の疑いがあるかもしれません。
1%でも以前の性行為に心当たりがある場合は、自宅で自ら採取した検体を検査機関へ郵送して検査をしてもらう郵送検査サービスなどを利用して、性病検査をしてみるのがおすすめです。
デリケートゾーン(陰部)にかゆみを感じさせる可能性のある性病9種
デリケートゾーンにかゆみを感じさせる可能性のある性病は、主に以下の9種類です。
- 梅毒
- クラミジア
- 淋菌
- トリコモナス
- 性器ヘルペス
- マイコプラズマ(性病)
- ウレアプラズマ
- 毛じらみ
- いんきんたむし
それぞれの性病について解説します。
梅毒
「梅毒トレポネーマ」という細菌が引き起こす性病です。
感染してしまうと、デリケートゾーンがかゆくなったり、デリケートゾーンにしこりのようなものを感じる人が多い性病。
症状が進むと、「バラ疹」と呼ばれる特有の赤い発疹が現れることがほとんどです。
症状の出方には個人差がありますが、ほとんどの場合感染後約3週間程度で発症し、治療をしない限り治ることはありません。
適切な治療を受ければ、治すことができる病気なので、できるだけ早い段階で医師に相談することが大切です。

クラミジア
「クラミジア・トラコマチス」という細菌が引き起こす性病です。
男女ともに、自覚症状を感じにくい性病であるために、発見が遅れやすいと言われています。
しかし、亀頭や大陰唇等が腫れてかゆみを感じる人も多いようです。
淋病
「淋菌」という細菌が引き起こす性病です。
症状はクラミジアと非常に似ているため、自分で見分けることは難しいと言われています。
男性はクラミジアと比べて自覚症状として、尿道からの膿や排尿時の違和感を感じやすいのですが、女性はクラミジアと同じく、ほぼ自覚症状を感じない人がほとんどです。
クラミジアと同じく、亀頭や大陰唇等が腫れてかゆみを感じる人が多いと言われています。
クラミジアと淋病は併発することも多いので、心配な場合は以下のような性病検査キットを利用して検査をしてみるのがおすすめです。



トリコモナス
「膣トリコモナス」という原虫が膣や膀胱などに感染することで引き起こされる性病です。
性交渉による感染が最も多いと言われているのですが、下着やタオル、便座、浴槽などを共有することでも感染してしまう感染力が比較的高い病気。
男性は、ほとんどの場合が無症状なのですが、女性の場合は膣や外陰部に強いかゆみや痛みを感じたり、おりものが悪臭を伴った泡状のものになってしまうという症状が現れることもあります。
(※症状の現れ方には個人差があります。)
性器ヘルペス
「単純ヘルペスウイルス(HSV)」が原因で発症する性病です。
個人差がありますが、性器にかゆみをはじめとして、痛みや腫れ、1〜2mm程度の水ぶくれなどの症状が現れます。
放置すると、全身に症状が広がり、強い痛みのために排尿が困難になったり、高熱が出てしまうこともある病気です。
マイコプラズマ(性病)
「マイコプラズマ・ジェニタリウム」「マイコプラズマ・ホミニス」という細菌が原因の性病。
個人差はありますが、特に男性の場合は性器周りにかゆみを感じたり、膿や排尿時の痛みなどの症状が出る恐れがあります。
女性はほとんどの場合、無症状なのですが、おりものが増えたり、子宮頸部に炎症が現れたりする恐れもあるといわれています。
ウレアプラズマ
「ウレアプラズマ」という細菌が原因で発症する性病。
個人差はありますが、男性は尿道や性器周辺のかゆみを感じることが多く、同時に排尿痛や膿が出ることもあります。
女性の場合も、外陰部にかゆみを感じたり、おりものが増えたり…という症状を感じる人もいるのですが、それ以上に無症状の人が多い性病。
そのため、感染したことに気が付かない女性が非常に多いといわれています。
毛じらみ
「毛じらみ」という寄生虫が原因。
性交渉のほか、タオルやベッドなどの共有でも感染リスクがある性病で、家庭内での感染も多いといわれています。
赤みや発疹は出ませんが、感染した部分にかゆみを感じることがほとんどです。
いんきんたむし
水虫の原因菌である「白癬菌」が股間で増えることによって引き起こされる性病。
性行為のほか、浴槽やタオルなどの共有でも感染リスクがあり、共同浴場に行った後に感染したという人もいるようです。
個人差はありますが、いんきんたむしに感染すると、性器付近に強いかゆみを感じる上、赤い発疹や水ぶくれなどの症状が徐々に広がってしまうことがほとんどです。
デリケートゾーン(陰部)がかゆい場合によくある質問
デリケートゾーンがかゆい場合によくある以下の8つの質問について詳しく解説します。
- デリケートゾーンのかゆみにステロイドを塗っても大丈夫?
- デリケートゾーンかゆみにオロナインを塗っても大丈夫?
- デリケートゾーンのかゆみにワセリンを塗っても大丈夫?
- 夜だけデリケートゾーンがかゆいのですが、原因はなんですか?
- デリケートゾーンがかゆくてもおりものに以上がないから大丈夫?
- 妊娠中にデリケートゾーンがかゆくなる原因は?
- デリケートゾーンがかゆくなるのは更年期が原因?
- 性行為をしてなくても性病になる?
デリケートゾーンのかゆみに対しての不安や疑問がある方はぜひ参考にしてみてください。
デリケートゾーンのかゆみにステロイドを塗っても大丈夫?
デリケートゾーンはステロイド成分の吸収率が他の部位よりも高いといわれています。
そのため、デリケートゾーンのかゆみに対してはステロイドが入っていない塗り薬が推奨されています。
必ずしも、「ステロイド薬が絶対にNG!」というわけではありませんが、リスクも多いため、使用を検討している場合は、必ず医師に相談するようにしましょう。
デリケートゾーンかゆみにオロナインを塗っても大丈夫?
オロナインはあかぎれ・しもやけ・ひび・ニキビ・水虫・軽いやけど、擦り傷、切り傷などに効果があるとされている外用薬ですが、湿疹(ただれやかぶれ)への使用はしないように注意事項が出ています。
そのため、デリケートゾーンへの使用は推奨できません。
デリケートゾーンのかゆみにワセリンを塗っても大丈夫?
ワセリンは肌の乾燥を防いでくれる効果が期待できます。
そのため、ワセリンをかゆみを感じている部位に塗ることで、十分に保湿され、肌の乾燥によるかゆみは抑えられるかもしれません。
ただし、最もデリケートな粘膜部分への塗布は控えましょう。
また、保湿をしてもかゆみがおさまらない場合は、乾燥・かぶれ以外が原因である可能性が高まるので、一度医療機関で相談することをおすすめします。
夜だけデリケートゾーンがかゆいのですが、原因はなんですか?
個人差はありますが、夜にデリケートゾーンがかゆくなる原因として考えられている理由は以下の3つです。
- 入浴時にデリケートゾーンを洗いすぎている
- 熱い温度のお風呂に入っている
- 布団に入って体温が上がっている
身体の洗いすぎや、熱すぎる温度のお湯の使用は、皮膚に必要な皮脂まで洗い落としてしまい、乾燥の原因に。
その乾燥が、かゆみにつながってしまいます。
また、布団に入って体温が上がると、皮膚が乾燥して、かゆみを強く感じる人も。
また、夜に限りませんが、ストレスなどが原因で自律神経が乱れてしまうと、かゆみの原因を作る「ヒスタミン」という物質が多く分泌されて、かゆみを強く感じてしまう可能性が高くなります。
デリケートゾーンがかゆくてもおりものに異常がないから大丈夫?
おりものに異常がなくても、必ずしも大丈夫とは言い切れません。
女性の場合は症状を自覚しにくい性病も多くあるため、かゆみの原因に1%でも心当たりがある場合は、性病の検査をしたり、医療機関で相談したりするのが安心でしょう。
妊娠中にデリケートゾーンがかゆくなる原因は?
個人差はありますが、妊娠中の女性は「膣カンジダ」を発症しやすいと言われています。
そのため、妊娠中にデリケートゾーンがかゆくなった時はすぐに医師に相談しましょう。
なお、妊娠中にデリケートゾーンがかゆくなったからといって、原因が全て「膣カンジダ」であるとは限りません。
かゆみを感じたとしても、落ち着いて主治医に相談するようにしましょう。
デリケートゾーンがかゆくなるのは更年期が原因?
女性が更年期を迎えると、女性ホルモンの減少が原因で、おりものなども減少し、デリケートゾーンが乾燥しがちになります。
そのため、更年期になると、デリケートゾーンの慢性的なかゆみに悩まされる方が増えてきます。
このような場合は、婦人科の医師に相談して、ホルモン補充療法をはじめとした治療を検討してみても良いでしょう。
性行為をしてなくても性病になる?
ほとんどの性病は性行為の際に粘膜同士が触れ合うことで感染するため、コンドームを使用することで、感染のリスクを大きく低下させることができます。
ただし、毛じらみやいんきんたむしはタオルやベッド、浴槽の共有などでも感染してしまう可能性があります。
そのため、心当たりがなかったとしても、デリケートゾーンに異常なかゆみを感じたときは速やかに医療機関に相談することをおすすめします。
まとめ
デリケートゾーンのかゆみの原因は大きく分けて「性病」と「かぶれ」の2つです。
下着による締め付けや、生理用ナプキンとの摩擦や、デリケートゾーンの蒸れなどによる「かぶれ」が原因である場合は、保湿などのケアを行うことで、かゆみを軽減させられる可能性があがりますが、性病であった場合は速やかに治療を始めることが重要です。
かゆみの強さが異常だったり、少しでも過去の性行為に心当たりがあったりした場合は、すぐに性病検査を受けることをおすすめします。
病院に行く時間がなかったり、病院に行くことに抵抗を感じる場合は、自分で検体を採取して検査機関に送ることで検査をしてもらえる「郵送検査サービス」を利用することもできます。
デリケートゾーンにかゆみを感じた場合は、まずは原因を突き止めて、適切な対応を行うようにしましょう。
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