大型書店の本屋の棚に、帯や説明書きがない、バーコードもない、表紙に「Calling The Sea」とだけ書かれた本がありました。
中身は海の写真集でした。
海をピクセル化して、細部の美しい部分だけをつなぎ合わせたような不思議な写真の数々でした。
この本を見ていると、サケの鱗のピクセル単位の美しさを感じさせるようでした。
サケは海で数年間暮らした後、漁師やクマなど様々な困難を乗り越えて、生まれ育った川の上流部に帰ってくる。
その距離1万6000キロです。
まだ水が湧き出たばかりの上流部は天敵が少ないが、川中の栄養分も少ない。
親サケたちはそこで産卵を終えた後、自らの死と引き換えにたくさんのプランクトンをもたらします。
生まれてくる子供のために。
地球を半周近く泳いだあと、力尽き、川の一部に戻り、新たな生命が新たな川の一部を成していく。サケの生き方の、この緻密さは、神の芸術品のようです。
大海原で深い海色に染まり、延々と照り付ける日差しで太陽の色と混ざり合い、汽水域から川を上るまでに新涼の野山に溶け込んだサケ達の鱗…
その鱗の細部の輝きは、実に美しい。
ということでお買い上げ~♪
フィス長 マツヲ