トランス脂肪酸

日本ではまだ規制がありませんが、有害性が認められており消費者庁から情報開示に関する指針案も発表され、トランス脂肪酸に対する関心がますます高まっています。
弊社ではトランス脂肪酸を分析しておりますが、さらに詳細な分析をするためにGCMSでの分析の準備を進めています。
トランス脂肪酸と書くとそれが一つの物質の様に思われるかもしれませんが、脂質には多数の種類があるためにそのトランス体も多数存在します。
GCを使用する事により各々のトランス脂肪酸が感度よく個別に分析することが出来ます。

その検討の中でマーガリンとバターの何種類かのトランス脂肪酸を分析してみました
サンプルは某コンビニエスストアで購入。
結果は
マーガリン
trans-6-オクタデセン酸 100g中38mg
エライジン酸  100g中80mg
バクセン酸  100g中15mg
バター
trans-6-オクタデセン酸 100g中144mg
エライジン酸  100g中150mg
バクセン酸  100g中794mg
以上の様になりました。

予想に反してマーガリンの含有量が低い結果となりました。
一般的には水素添加をして作られるマーガリンの方が含有量は高そうなイメージでしたが、最近ではトランス脂肪酸低減に向けた対策を取っている食品会社も多い事から、そういった対策のとられたマーガリンだったのでしょうか。
(3種類のみの分析のため、これでトランス脂肪酸全てが少ないとは言い切れませんが。)
調べて見ると農林水産庁が公表しているトランス脂肪酸含有量の中のマーガリンの結果では20サンプルで100g中0.94~13%と含有量の差が大きいようです。
→農林水産省「食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量」へのリンク

更に購入したコンビニエンスストアチェーンではトランス脂肪酸の低減に力を入れているとの記事もあった事から含有量が低かった事の説明になりそうです。
現在はトランス脂肪酸の表示義務が無いことから含有量が少ない商品を選択的に買うことが難しいために、早く表示化になって欲しいと感じた今日この頃でした。
長くなってしまいましたのでバターについての解析はまた後日に。

赤城山の紅葉

赤城山の紅葉はすでに見頃を迎えているようです。
覚満淵の駐車場から歩き始めて、まず入り口で放射線量を測定。
道路上なので全く問題ないようです。

覚満淵は最後にとっておくとして、黒檜山、駒が岳の登山口で放射線量の測定。
特に問題なし。

紅葉の木立のなかを快適にのんびりと。

ちょいちょい休憩しながら1時間ほどで最初のピーク、駒が岳。
放射線量の値は少し高めの値ですが大丈夫でしょう。

稜線づたいに一度下って登り返すと1時間ほどで黒檜山大神の祠があります。
山頂と勘違いしやすいですが、本当の山頂はもう少し先にあります。
とりあえず放射線量測定。ここは放射性物質が堆積しなかったようです。

5分ほど進めば黒檜山の山頂。人がいっぱいいたので放射線量だけ測定して、来た道を戻ることにしました。駒ケ岳につづいて山頂は少し放射線量が高めのようでした。木立があったり雲がかかったりするからでしょうか?

覚満淵に帰ってきて放射線量を測定すると、ここもばらつきがありましたが比較的高めの値(平均0.2μSV/h)。淵底の粘土質に放射性物質が堆積しているのでしょう。

赤城山の放射能汚染については、少し騒がれていたようですが、特に心配する事もないようでした。山頂付近はすでに葉が散り始めていました。大沼湖畔から中腹はこれから見頃になるでしょう。(第二登山部から写真部にしようか悩んでいるイワザキ)

検便検査(ノロウイルス)

気温が下がり始めると、弊社でもお問い合わせやご依頼が多くなる検査に検便検査のノロウイルスがあります。
数年前に、集団食中毒などでマスコミをにぎわせてから、以前に比べてメジャーになった食中毒のひとつです。
ノロウイルスによる食中毒は、非常に厄介です。
ノロウイルスは感染力が強く、10~100個程度で感染発病させることが出来るといわれています。ノロウイルスは感染者の腸管内で増殖し糞便によって排出されますが、糞便1g中に1億個以上のウイルスの存在が確認されたデータもあります。糞便などによる汚染が極めて少量のものであったとしても、そこには大量のウイルスの存在が推測されるのです。
また、アルコールなどの消毒薬も効きづらく、対策もとりづらいのです。(比較的、塩素系の薬剤や加熱が効果的です。)
基本的な対策としては、十分な加熱調理、従業員さんの体調管理、手洗いの徹底となります。加えて定期的な検査によるチェックを導入するのも良いでしょう。

副所長

東北営業所

10月より東北営業所へ移動し、少し落ち着きました。

新幹線のドアに挟まれてしまう所長と、
食べ歩きの好きな副所長とともに、
がんばっていきますので、よろしくお願い致します[#IMAGE|S40#]

お近くにいらした際は是非お立ち寄りください。

宮城県黒川郡富谷町成田2丁目3-3 成田ビル105
TEL:022-342-9614
FAX:022-342-9615

移転に際しまして、お祝いをいただきました[#IMAGE|S67#]

B社様より胡蝶蘭              副所長お母様より観葉植物

ありがとうございました。

なお、先日、所長の車のドアに指を挟んだまま閉めてしまい、
3日間出血が止まらず、1週間たってようやく少し腫れがひいてきました[#IMAGE|S42#]

みなさん、ケガには気をつけてください。

<東北より>

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株式会社食環境衛生研究所

CCF in 桐生 2011

今年もクラシックカーフェスティバルin桐生が開催されるようです。早いもので今年で第6回になります。ちょうど私がJHCCに入会した翌年から始まり毎年群馬大学工学部のキャンパス内で開催されてきました。
大学のキャンパス内でこのようなノスタルジックな町おこしイベントが出来るのは非常にめずらしいようです。ひとえに桐生もしくは群馬を旧車で盛り上げたいとする関係者、参加者の皆さんの気持ちで成り立ってきた様なイベントです。
毎年晴天に恵まれてきましたが、なにしろ1日限りですので、今年も是非あしを運んでみてください。もちろん見学入場無料です。朝早くラリーイベントの参加車(意外とこっちのほうが・・)が出発してしまいますので駐車場が混みあう前に早めに行かれた方が良いでしょう。
個人的な事情では昨年末に私の車は事故に遭ってしまい、今季の活動は絶望的な状況ですが、なんとか来年には復帰したいものです。86年製のセロー(2LN)じゃだめかな?(イワザキ)

保存試験

ご存知のように食品の賞味期限を設定する際には、保存試験を行います。試験項目は特に決められたものはありませんが、厚生労働省と農林水産省から示されたガイドラインによると、「理化学試験」、「微生物試験」、「官能検査」の代表的な試験から項目を定め、その項目で経時もしくは経日的に保存試験を行い、期限を決定します。保存試験を行う際に多い質問が、項目に関する件です。一般的に法律上で製造に関する規格基準が定められているものはその規格基準を項目として設定すれば良いのですが、それ以外に商品表示している内容(例:ビタミン○○配合等)は保存試験中、表示通りでなければならない(期限内に保障されものでなければならない)ので、項目に設定する必要があります。また、この度通知された「生食用食肉の取り扱い」にあるように、新たに腸内細菌科菌群といった項目が加われば、その項目を設定する必要性があります。何れにせよ、法律上で定められた規格基準(衛生規範も含む)に加え、表示でPRしている内容とその食品の特性等が保存試験中に保つことが出来れば、その期間に1未満の係数を乗じて得た値が賞味期限となります。

福島で放射能測定します

福島で放射能測定します

一昔前に数年間ですが福島県に住んでいたことがありました。
私がいたのは山間の小さな村で、お店もスーパーとコンビニが一軒ずつしかありませんでした。
住んでた家の目の前は田んぼで、夜は外灯が少ないせいで真っ暗でしたが星はとてもきれいに見えました。
やや盆地になっていたので夏は暑くて冬は寒かったのですが、いつの間にか同居していた猫2匹と一緒にのんびり過ごしていました。
近所のおじさんからわけてもらうトマトやりんごがとてもおいしかったです。福島は第2の故郷です。
福島を離れてからはあまり訪ねる機会もなく、今どうなっているのかもわかりませんが、福島原発からは60kmくらいの場所ですので、現地の事を考えると心が痛みます。
先日、福島県での放射能測定のお仕事を受けまして、現地で放射能測定をしてまいります。

現在年間20ミリシーベルト以上の放射線量の地域は避難区域となっています。1時間あたりの放射線量に換算すると、20ミリ÷365日÷24時間=0.0022ミリシーベルト/時間となります。
つまり1時間あたり2.2マイクロシーベルト以上の放射線量ということです。この数字は簡易放射線量計による放射能測定ではかなり高い数値となります。
およそ地面の土には1kg当たり数万ベクレルの放射性物質がないとこのくらいの数値にはなりません。

慣れ親しんだ土地は変わらずであってほしいです。
そのうちイスカンダルまで放射能除去装置を取りに行かなくてはならなくなる時がくるのかもしれません。

紅葉

秋を求めて志賀高原までちょっと。 ~放射能調査も兼ねて~
志賀高原には、一沼、琵琶池、丸池、蓮池など、数多くの池が散在しています。

              一沼
ちょっと紅葉には早い気がしましたが、行ってみると一沼当たりの紅葉が真っ盛りで、道は渋滞、俄かカメラマンが、夢中でファインダーを覗いていました。
天気も良く、眺めが良さそうだったので、横手山のロープウエイに乗って山頂までいってみると、辺りの樹木には夜露でできた氷が葉に付着し、光に当たって、キラキラ輝き雪のようでした。

              横手山

放射能汚染のことなど忘れさせられた一時でした。

生食用食肉(牛肉)の規格基準について

富山県等で発生した腸管出血性大腸菌(O111)による食中毒事件では、肉を生で食べた方数名が亡くなられ、重症者も多数報告されています。
 生肉や加熱不十分な肉を食べることには、腸管出血性大腸菌による食中毒になるリスクがあります。若齢者、高齢者、抵抗力が弱い方は、生肉や加熱不十分な肉料理を食べないように特に注意しましょう。(厚生労働省の生食用食肉(牛肉)の規格基準より抜粋)

そこで新たに生食用食肉(牛肉)の規格基準について「腸内細菌科菌群が陰性でなければならない」という成分規格が設けられました。「腸内細菌科菌群」は、腸管出血性大腸菌サルモネラ菌属を含む衛生指標菌として設定されました。

もちろん食環研でも「腸内細菌科菌群」について試薬、培地などを準備して検査を行える体制を整えました。

また、腸管出血性大腸菌(O157)による食中毒事故も毎年報告されています。この7年間では死者は出ていないようですが、発症者は毎年100~1000名と、とても安心といえる状況ではありません。食品加工に携わる業者の方、飲食店の方、特に家庭の食事にも注意が必要と思います。いっそ細菌が見えればいいのにとも思いますがそれは漫画の世界ですね。しかし、衛生管理をしていくとだんだんこの辺に細菌がいるなとか、こうゆう環境では菌が増殖するなとかだんだん見えてくるような気がしてくるのは気のせい?(イワザキ)

残留農薬の話 「その1」

一時期、世間を騒がせた食品の残留農薬汚染。
最近のニュースにおいては放射性物質の話題に押され、
残留農薬の基準値違反について触れることも少なくなりました。
農家、食品輸入業者、食品メーカーからしてみれば、
この不景気なご時世、残留農薬検査を行うにもお金がかかる、
仮に検査に出したとして、ほとんどが「不検出」(農薬がほぼ含まれない)
という結果が出ることに、「残留農薬検査は本当に意味があるのか?」
と疑問に思ってしまうことと思います。

確かに、弊社でも残留農薬依頼検体の7~9割は「不検出」となります。
「作物の9割から農薬が出ない」ということは、
食品の生産現場を知らない消費者にとって、
「最近は無農薬で作物を栽培している所が多いからなのでは?」
と受け取れるかもしれません。

しかし現実は、食品のほぼ9割以上
(直接・間接含めて)農薬を使用しております。
野菜、果物、穀物類における残留農薬はもちろん規制対象となっていますし、
食肉にしても、エサの飼料、また、ハエ等の防除に使う殺虫剤や抗菌剤にも、
農薬と同じ成分が使用され、農薬規制の対象となっています。

正直な所、農薬汚染のリスクが0な食品はありません。
強いて言うならば、医療品、サプリメントなど、
プラントで生産される形式の化学物質くらいでしょう。

では、農薬を使用しているのに残留農薬が検出されない理由は何か?

それは長くなってしまうので次回にお話しします。

( Analyst 24 )

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株式会社 食環境衛生研究所