病原性大腸菌O157について

1982年にアメリカで発見されたのが最初で、日本では1996年に発生し、ニュースにも取り上げられたので覚えている方も多いと思います。大腸菌は人や動物の腸内や土壌中など環境中に広く分布し、ほとんどは無害ですが中には人に対して病原性を持つものがあり、これを病原性大腸菌と呼んでいます。さらに病原性大腸菌の中でも出血を伴う腸炎を引き起こす毒素を産生する腸管出血性大腸菌があり、O157はこれに該当します。

O157の原因と特定あるいは推定されたものは国内では、井戸水、牛肉(牛レバー)、ハンバーグ、サラダ、キャベツ等、食品がほとんどですが、動物と接触した事により感染したり、ハエから検出された例もあります。2004年には厚生労働省によって腸管出血性大腸菌の総数で全国で夏場を中心に16件の報告がありました。

O157の恐ろしさは発症のしやすさと症状の重さにあります。O157は食品1g中約100個の菌量で発症すると言われ、吐き気、嘔吐、激しい下痢、血便、発熱等を引き起こし、乳幼児の場合死に至る事もあります。

このようにO157は恐ろしい食中毒菌ですが対策をしっかり行う事により充分予防可能です。予防方法として

①調理場に害虫を侵入させない。

②調理前後に調理器具、作業員の手指は充分に洗浄、消毒をする。

③調理用水は上水道水を使用する。井戸水を使用する場合、定期的に水質検査・塩素消毒をする。

④サラダ等生で食べる製品は専用の調理器具を使用する。食材そのものも充分に洗浄する。

⑤加熱は中心まで充分にする(特にハンバーグ等挽肉製品)。

⑥残った食材はすぐに冷蔵庫にしまい、少しでもあやしいと思ったら食べずに捨てる。

等があります。

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食中毒とその防止について

今回は食中毒とその予防法について説明します。皆さん「食中毒」と聞くとどんなことを思い浮かべますか?「ものを食べて体調を悪くする」といった答えが多いのではないでしょうか?じつはほぼ正解で、食中毒菌や食中毒菌が作った毒素、ウイルス、その他の有害、有毒なものを含む食べ物を食べると発生する症状のことを言います。

主な症状は胃腸炎(下痢、腹痛、吐き気など)ですが、発熱など風邪に似た症状の場合もあります。食中毒菌を含む食べ物を食べてもすぐに症状がでず、数時間後に症状が出る場合もあります。食中毒菌やウイルスが食べ物についていても、見た目やにおい、味で判別することはできません。

食中毒は大きく次のように分けられます。

一つ目は「細菌・ウイルスによるもの」で実に全食中毒の90%以上を占めます。さらに細菌・ウイルスの中でもサルモネラ・ノロウイルス・カンピロパクターの3つで2006年の患者数別食中毒の約80%を占めたそうです。他の代表的な食中毒を発生させる細菌・ウイルスには、黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌(O26、O157など)、腸炎ビブリオ、セレウス菌などがあります。

二つめは「自然毒によるもの」です。ふぐ・きのこなど有毒物質を誤って食べてしまうことで発生するもので、割合は少ないけれど死者がでる場合もあります。

三つ目は「化学物質によるもの」です。水銀、砒素などの有毒物質が付着している食物を食べることで発生します。

細菌やウイルスによる食中毒は、次の三つのことを守れば防ぐことができます。

一つ目は「つけない」です。代表的なものに、調理器具はしっかり洗浄・消毒する、冷蔵庫内では互いに汚染しないように肉・魚と野菜を分けて保管する、調理前には必ず手を洗うなどがあります。

二つ目は「増やさない」です。代表的なものに、食品は室温で放置せずに冷蔵庫で保存する。手早く調理し、早めに食べる、等があります。細菌が増えるための条件は「水分・温度・栄養」です。逆にいえばこの三つを遠ざければいい訳です。

三つめは「殺す」です。加熱することでほとんどの食中毒菌は死にます。大切なのは、中心までしっかりと加熱することです。

以上三つの事をしっかり守って、食中毒が起こらないよう心掛けましょう。

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密かに進行中?-見直してみよう!コクシジウム感染症-

近年は飼料代金の高騰、ワクチン関係の充実、ポジティブリスト制度等の関係も有り、農場での薬剤の使用量が減少して来ています。又、薬剤を使用して絶大な効果があった以前とは異なり、病原性の強いウイルスや薬剤耐性を持った細菌群等による複合感染症の出現も、養豚現場での薬剤の効果を鈍らせて、薬剤に頼っていた養豚業界の再編を後押ししているものと思います。
安心、安全な豚肉を生産する上で、なるべく薬剤に頼らない養豚経営を目指す事は大変良い事なのですが、近頃は薬剤を使用する時は無造作且つ無神経に使用し、薬剤を中止する時には考えなしに行う農場が見られる事に、一抹の不安を感じています。

さて、この事も有り、私は各地の農場へ伺っていて思う事があります。
飼養母豚数の増加や畜舎設備の老朽化、管理者の高齢化、使用飼料の能力減、使用水の水質悪化、使用敷材の不衛生化等によるものなのかは明確でありませんが、今まではたいして何も気にもしなかった疾病群の感染が増加しているのでは?と感じています。

今回はその中の一部の事例を紹介しようと思います。

皆さんの農場で中々治癒出来ない、下痢症状、衰弱症状、関節炎症状、又はそれらが伴う死亡事故等の発生は無いでしょうか。もし当てはまる症状がある場合については、コクシジウム感染症の存在も疑って見て下さい。
このコクシジウム感染症には、アイメリア属(Eimeria)9種、イソスポラ属(Isospora)3種、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)2種が存在します。

Isospora suisは哺乳子豚に重篤な下痢を起こす病原体で、その発生は生後5~14日目(近年は3日目での発生報告もある)にほぼ限定されます。

Eimeriaは離乳直後の子豚に多く発生し、下痢症状やカタル性腸炎等が認められます。

Cryptosporidiumは、豚での発病はまれで、哺乳類に共通に感染する2種類によって下痢症状が発生することが発見され、人畜共通感染病として注目されています。

コクシジウムに感染、発症すると、体力.抵抗力が著しく失われ、他の疾病との混合感染を助長し、様々な合併症を引き起こしやすくなります。
最も相性が良いものとすれば、豚の下痢症や出荷遅延、腸廃棄等に関与するクロストリジウム感染症が知られています。

クロストリジウムは常在細菌の部類に入り、常に腸管にいてストレスや条件が重なる時に異常に増殖し、発病します。
どちらにしても昔はサルファ剤等の薬剤によるコクシジウム感染症の予防や治療がなされていましたが、今はほとんどの農場でこの手の薬剤の利用は見かけなくなっています。又、他にコクシジウムが増加した要因としては、長年に渡る敷地内(土壌中)での増殖、オガ屑等の敷材中への混在や繁殖、地下水への混入(汚染)も、農場でのコクシジウム感染症の発生を助長していると思います。

今までの常識や、事故が起こっている場所のみに囚われず、広い視野と知見で事故原因をさぐる努力をする事は、農場側や私たち指導する側の両方で必要になる事と思います。

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サーコワクチンの現状レポート、今後の課題について

昨年から販売が開始されたサーコウイルスワクチンですが、現状では不足気味であったワクチンも解消され、ワクチン自体が手に入らずに苦慮していた農場もなくなったと聞いています。
ただ、効果が現われている農場毎でもその成績改善率に格差があったり、効果の発現が少ない農場も存在したりしていますので、まだまだ検討が必要な様です。
今回はそうした状況もあり、これからの寒く厳しい季節を迎える前に、早い時期に接種を行う事が出来た農場の現状、問題点、将来の課題等を検案しながら、接種し始めの農場や、これから開始しようと考えている農場へ、少しでも役立てられるようなポイントを探って行きたいと思います。

サーコワクチンの接種効果として期待するもの。(順不同)
①事故率の軽減。
②ヒネ化率の軽減。(虚弱、衰弱、ひね発生の軽減)
③飼料要求率の改善。(無駄になっている飼料の改善)
④出荷日齢の短縮。
⑤1母豚当たりの生産成績の向上。(出荷枝肉重量としての増加)
ポジティブリスト制度、トレーサビリティー制度、HACCP(ハセップ)等を念頭に置いた薬剤の使用量や治療回数の軽減。
⑦ワクチンプログラムの簡素化。(将来的に)

現状のワクチン接種プログラムの一例

ベーリンガー社(子豚用)のワクチンを使用している場合。
パターン①子豚群のみ接種。生後3週齢頃の毎回接種。

メリアル社(母豚用)のワクチンを使用している場合。
パターン①種豚群のみ接種。交配前 の未経産時期に1~2回接種。初回は分娩8~7週前、4~3週前の接種。その後は分娩3週前毎回接種。

インターベット社(子豚用)のワクチンを使用している場合。
パターン①子豚群のみ接種。生後3週齢頃 の毎回接種。

サーコウイルスワクチン接種のポイント

ベーリンガー社(子豚用)のワクチンを使用している場合。
ポイント
①子豚への接種時期。分娩舎で作業者が抱いて丁寧に接種する事が重要。ストレスが2回以上重なる時期の接種は避ける。(移動と離乳、去勢と他のワクチン等、ただし、単体の作業時はその時期に組み入れる事はOK、農場毎に相談は必要)
②接種時期の子豚の状態。早期のPRRS感染、下痢症状(大腸菌、クロストリジウム、コクシジウム等)等はワクチン効果を妨げるばかりか、逆影響にもなりかねない。
③接種時のリアクションは少ない。

メリアル社(母豚用)のワクチンを使用している場合。
ポイント
①未経産豚(交配前)の接種を忘れない事。 この時期に接種されることで、その後のワクチン効果が左右されるといっても過言ではない。
ただし、他のワクチンの接種状況もあるので、プログラムは良く話し合って決める。馴致の面や今までの経緯から見ても、鼻炎系ワクチンと同様に早い時期の接種が有効。
②移行抗体価で防御するワクチン。分娩舎の泌乳状況が悪い農場では要注意。
③オイルワクチンなので取り扱いには注意。
④PCV2の感染(被害)が肥育期に多い農場の場合、効果が出にくいので注意。

インターベット社(子豚用)のワクチンを使用している場合。
ポイント
①子豚への接種時期。分娩舎で作業者が抱いて丁寧に接種する事が重要。
ストレスが2回以上重なる時期の接種は避ける。(移動と離乳、去勢と他のワクチン等、ただし、単体の作業時はその時期に組み入れる事はOK、農場毎に相談は必要)
②接種時期の子豚の状態。早期のPRRS感染、下痢症状(大腸菌、クロストリジウム、コクシジウム等)等はワクチン効果を妨げるばかりか、逆影響にもなりかねない。
③接種時のリアクションが発現する可能性があるワクチン。
生後3週齢以内の分娩舎で接種される分にはさほどの心配はないが、生後5週齢以降での接種を余儀なくされる農場では接種時の工夫が必要。

ワクチン効果の発現で地域性があるのか?効果が現われにくい農場の現状は?
この様な質問はこの頃多く受けますが、地域による効果の発現状態に格差はないものと思います。
もしそれらが発生する可能性があるとしたら、扱う人間側の意識によるものと、環境差による効果発現の格差は存在していると思います。
ポイント

①飼養する環境差。(隣同士が密集している地域と、隣りが5~10キロメートルも離れている場所等での飼養条件差)

②飼養密度。(1豚房に飼養されている豚の数と接触回数)

③糞尿処理に対する意識と設備の格差。(糞処理と尿処理に余裕があるところは改善が早い傾向にあり、余裕が無いところは効果の発現後、新たな被害が再発生する危険性がある)

④使用飼料のレベルの格差。(今までの経営が影響していると思われる使用配合飼料の栄養性・吸収性の格差、様々な機能性サプリメント資材の利用格差等は、サーコウイルスワクチンでは解決出来ないヒネ・虚弱や疾病群(浮腫病、レンサ球菌感染症、グレーサー病、大腸菌感染症、ローソニア感染症、サルモネラ感染症、コクシジウム感染症、マルベリーハート等)の発生が見られる危険性がある)

⑤使用意識の問題。使用後半年から1年間は最低でも今現在の農場プログラム(ただし、ある程度間違いが無いプログラムだった場合)に追加する形でサーコウイルスワクチンを接種している農場と、使用直後から農場プログラムを変更する主体性の無い農場では効果の発現に格差が生じる危険性がある。

⑥サーコウイルスワクチン接種前の子豚の状態。(サーコウイルスワクチン接種前に子豚が何らかの疾病感染・発病をしていた場合は効果の発現に格差が生じる危険性がある)

サーコウイルスワクチンを組み入れた管理プログラムの考え方
サーコウイルスのワクチン接種を行う事により、今現在行っている管理プログラム(ワクチンプログラムを含む)の再編成を行う必要があります。あまり考えていない農場も多くありますが、結構悩んでいる農場も見受けられます。

ポイント
①全てのワクチンは副作用の発現を持ってる事を踏まえる。
②サーコウイルスとストレスの関係は密接。
③実際には、使用するサーコウイルスワクチンの特徴を良く理解した後、同時期や、近い日齢で接種されてしまう他のワクチンや抗生物質、その前後期間で行う作業管理等に至るまで良く話し合い、なるべく副作用(人間にも、豚にも)が発生しない様にプログラムを組み合わせる。

今後危惧される課題
①新たな疾病の発生。(元々感染はしていて発生もあったが、目立たなかった疾病や症状)
例:大腸菌関連疾病(浮腫病を含む)、レンサ球菌感染症、グレーサー病、パスツレラ感染症、コクシジウム感染症、サルモネラ感染症(特にコレラスイス )、クロストリジウム感染症、ローソニア感染症、コリネバクテリウム感染症、ヘモフィルス感染症、PRRS(PRDC)、マルベリーハート、関節炎症状、皮膚炎症状等。

糞尿処理の不具合。
例:豚の在庫の増加と飼料摂取量の増加による糞尿の増加と処理能力の悪化。地域環境と地域住民との関係悪化。

③人材の確保と作業能力の限界。
例:豚が死ななくなることによって、死亡していた時の搬出作業や、治療等の手間が無くなり、作業的には楽にはなりますが、今後は生きている子豚をちゃんと生産過程に乗っけていくための管理技術とそれに伴う人材や設備が必要になります。
人は仕事が忙しくなると1つ1つの仕事を丁寧には行わず、何%か手を抜き始めてしまいます。従来何気なく行ってきた”作業”ではなく、本当の意味での”管理技術”が求められる様になって行きます。

④使用飼料の変化、飲水設備の変化。
 例:事故率の改善とヒネ化率の改善で豚の在庫が増加すると、必然的に糞尿の処理量が多くなり、その処理能力が問われることになります。
糞処理設備や浄化槽設備の充実を図れば良いですが、そうは出来ない農場が多いのも現実です。そこで取られる方法として、使用する飼料を糞尿の発生量の少ない飼料へ変更することが多く見られますが、これは、各々の飼養条件や保有疾病等を良く考慮して工夫しないと、逆に成長が抑制されたり、疾病感染の助長を招いてしまう危険もあります。

⑤飼養密度の増加。
例:事故率の改善とヒネ化率の改善によって子豚舎、肥育舎の飼養頭数が増加すると、今までは発生が無かった(気が付かなかった)細かい疾病や症状が発生する様になります。一番気を付けたいのは肥育舎です。実際に今までこの業界を震撼させてきた疾病群の初期の感染源は肥育期になってる事が多いのです。(例えばオーエスキー)肥育舎の豚の飼養頭数が多くなればなるほど、初めは小さかった疾病感染の火種が気が付いたら大きな火事や震災にまで膨れあがってしまう危険性があります。今まで事故率が高かった農場は、逆に肥育舎での成績は良かったと言う農場が多く見られます。疾病は一群の飼養頭数×接触回数×空気密度×管理技術によって増幅して行きます。この事を良く踏まえて、肥育舎で新たな疾病の火種を作らないようにする意識が重要になると思います。

⑥管理技術の置き去り。 例:今まで何を行っても事故の改善が見えなかった農場が、サーコウイルスワクチンの接種を行っただけで、今まで死んでいた子豚が死ななくなったとしたら、完全に勘違いを起こしてしまう危険があります。
今までがんばって助言してきた周りの同業者、友人、業界関係者等との接点が途切れてしまい、極端な人は洗浄・消毒・乾燥といった基本の管理まで中止したり、給餌器や給水器の掃除や衛生も怠ったりしてしまっています。
マイコワクチンやヘモワクチン、薬剤や機能性資材(栄養剤、生菌剤、サプリメント等)に至る他の疾病対策の商品の使用もサーコウイルスワクチンの接種と同時に中止したりしてしまっています。
この手の農場は今さら何をいっても管理技術(お金の掛かる事、面倒な事等)には耳を貸さない傾向になってしまいます。

将来に向けた課題

サーコウイルスワクチンの接種によって効果が発現出来た農場では、その各々の農場で持っていた疾病感染レベルに必ず変化が生じて来ます。
ただし、その変化はかなり低いレベルから現われる事になりますので、『①発見出来ない農場』、『②発見しても無視してしまう農場』、『③発見後から対応を組む農場』、『④最初から発生の危惧を予期して、発生前から取り組みを行う農場』に分かれてしまう可能性があります。
サーコウイルスワクチンによって効果の発現があった農場の中でも、上記に分けた内の③、④(特に④)を行おうとしている農場は少ないのが現状だと思います。
出来れば読者の皆さんの農場では③、④の意識を持って貰えるとうれしいです。
サーコウイルスワクチンについては今後も徹底した調査が必要と感じています。今後サーコウイルスワクチン接種群が冬季の厳しい季節を迎えますので、これらの状況も良く見極めて、生産者に役立つアドバイスを今後も行っていきたいと思います。

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食中毒予防のポイント ~食中毒を如何に防ぐか~ つづき

2.食中毒を予防するには?家庭で食中毒が発生する場合の感染源は、主に食品に病原菌がいる場合と調理する人が病原菌を運んでくる場合の2通りがあります。いずれも、日頃からのちょっとした注意により食中毒は予防できると考えてよいでしょう。

1.夏場に注意! 病原菌のことから考えて、高温・多湿はもっとも繁殖しやすい環境です。また、食する者の立場から考えてみると、夏場は食品を加熱せずに口にする機会が多いと思われます。このことから、食中毒は季節と密接な関係がありますので、特に夏場には要注意して下さい。
2.生ものに注意!
細菌性食中毒の感染源となる食品の多くは、魚介類、肉類、卵等です。体の弱っているときや食品が新鮮でないときは生食を控え、きちんと加熱して食べるようにしましょう。
3.生鮮食品はできるだけ低温保存しましょう!
菌体増殖を防ぐには、低温冷蔵が基本となります。生鮮食品を購入した場合にはできるだけ早く食べるか、すぐに低温冷蔵するよう心がけましょう。
4.冷蔵庫の過信は禁物!
病原菌のほとんどが、10℃を越えると増殖しやすくなります。冷蔵庫に物を過剰に詰め込んでいたり、ドアを頻繁に開閉したりすると庫内の温度は上昇し、病原菌の増殖する環境になりますので注意しましょう。
5.傷のある手で調理をしない
傷口にいる黄色ブドウ球菌は食中毒の原因になります。手に傷のある場合にはできるだけ調理しないようにして下さい。
6.時間に注意!
細菌は驚くべき早さで短時間に増殖します。材料には発症するほどの菌の数がいない場合でも、調理途中に作業を中断して材料をそのままに放置したりすることによって増殖してしまいます。このようにどんなに新鮮な物を購入したからといっても短時間に調理し、その後もすぐに食しないことには発症は防げないことを念頭に置いて下さい。
7.手を洗いましょう
手は人間の部位の中で最も汚染されているものと考えて下さい。調理する前はもちろんのこと、生ものをさわった後にはこまめに石鹸で洗うことが大切です。食材を購入し、口にはいるまでの間にどれだけ手を洗っているかがポイントとなります。
8.調理器具類は清潔に
手と同様に食品に触れる物は常に清潔にしておくことが肝心です。まな板・包丁などは特に注意して下さい。生ものを扱った後でそのままにしておきますと、汚染を拡げる媒体にしかなりません。調理器具類は常に清潔にし、使い終わった後はきちんと消毒しておくことが重要です。

3.おわりに…
食中毒の原因菌は目に見えないものであるだけに、その対策には細心の注意を払わなければなりません。冷蔵庫の過信、材料の放置、賞味期限切れというようなことが、発症させるに十分な数まで病原菌を増大さてしまうことにつながるです。
しかし食中毒は、正しい知識と正しい処置があればそんなに恐れるほどのものではありません。いつも清潔にし、材料は新鮮なうちに調理し、出来上がったおかずはすぐに食する。不安なときには、食さないか、加熱するか、酢でしめたりというような工夫をする、というような誰もが知っていて家庭でも十分に対応できる極当たり前の知恵をもってすれば、少なくとも家庭内が原因の食中毒はなくすることができるわけです。
身のまわりのありとあらゆる所に細菌がいるわけですから、細菌と上手に付き合っていくにはどのようにすれば良いのかということが、食中毒の予防につながるのではないかと思います。そのことを踏まえて、もう一度御家族皆さんでよく考えてみてはいかがでしょうか。

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薬剤耐性の危険性を把握しよう!!

近頃サーコワクチンの使用等によって全体的な事故率の軽減が見込めるようになってきましたが、その一方で、レンサ球菌、大腸菌、コリネ、レプトスピラ、サルモネラ等の細菌性の疾病の増加が問題になって来ています。
豚の体力が回復し、関与する疾病の複雑性が少なくなってきたこともあり、現場サイドでの薬剤の効果がはっきり見えるようになっている傾向もあります。
しかし、このことがあってか以前よりも薬剤の使用量や使用薬剤の種類が増加してきています。
今後新たな疾病群の発生、強い細菌群の育成、事故率の増加、食品事故の発生等を起こさないようにするためにも、生産現場での薬剤の有効的な利用方法について考えていきたいと思います。

薬剤の有効的な利用とその考え方。
①薬剤プログラムの選定。必要な薬剤と不必要な薬剤の選定。
②農場の状況によっては、未経産豚、種豚(♂♀)への対応が重要。ここの対応が以外に行われていない。
③担当者は副作用の存在も知る事が重要。
 薬品の種類によっては、嘔吐、震え、貧血(造血作用低下)、流産、腎・肝機能低下等が起こる事がある。
 投薬量が多い場合や多薬剤の組合せにも注意。相乗効果だけではなく拮抗作用も強い。
④担当者は必ず目的を持って利用する。
 使用理由を曖昧にはしない事。
⑤薬剤の血中濃度は期待ほど持続しない。
 投薬終了後の消失は早い。遅れた治療や早めの予防投薬等は無駄になってしまう事が多い。
⑥薬剤効果は諸条件によって上下する。
 健康状態、投薬方法(飼料、飲水、強制経口、腹腔内、皮下、筋肉)、投薬期間(連続、間歇、トップドレス)、投薬濃度、接種針、保管方法、丁寧さと雑さ。
⑦薬剤毎に耐性菌出現が容易なものと耐性菌が出現しにくいものがある。低濃度投薬、規定濃度以上の高濃度投薬、長期間の投薬等は耐性菌出現の温床になる。 
⑧薬剤の不用意な組合せはしない。
 多薬剤としての使用は、相乗効果だけではなく拮抗作用も起こる危険性がある。

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食中毒予防のポイント ~食中毒を如何に防ぐか~

1.主な病原菌による食中毒食中毒の原因となる細菌は、とても多種類が存在します。はじめに、その主なものについて説明します。

>Ⅰ サルモネラ
現在日本でもっとも頻度が高く発生する食中毒のうちの1つです。
最近では、卵や牛乳が感染源と疑われるSE(サルモネラ・エンテリティディス;Salmonella enteritidis)という種のサルモネラによる食中毒が発生しています。
SEは卵を例にしますと、卵の殻に付着している場合(On egg )と卵の中に含まれる場合( In egg )があります。通常、In egg の場合で卵中のサルモネラの数は2~3個位と言われています。一般に、人間のサルモネラ感染による発症(食中毒)はその人の健康状態にもよりますが、サルモネラを1.0×105個(つまり、10,000個)以上体内に取り込んだときに起こります。
2~3個のサルモネラが発症する数にまで増えることがあるのは、卵の保存・取り扱いに問題があるからだと言えるでしょう。それはSEに限らず、サルモネラ全体において、もしくは食中毒全体において言えることなのかもしれません。
サルモネラは自然界で広範囲に分布しており、その伝播や侵入経路も多様です。そのことからも最近、急激に増大しているサルモネラ食中毒を防止するには、感染源として疑われる食品の保存・取り扱いに十分気を配る事が必要と言えます。
( 感 染 源 ) 肉類、卵、乳製品等
(潜伏期間 ) 4~48時間
( 症 状 ) 急な発熱、吐き気、嘔吐、腹痛、激しい下痢
( 予 防 法 ) 十分に加熱して調理する、卵などの低温保存、ネズミ・ゴキブリなどの駆除

>Ⅱ 病原大腸菌O157 (腸管出血性大腸菌O157
平成8年5月に岡山県で発生した例を皮切りに、病原大腸菌O157による食中毒は日本中でますます広がりを見せ、世間の注目を集めています。
O157という名称は、O抗原と呼ばれる「菌体抗原を持つ大腸菌の体の部分」のうちの157番目という意味を持っています(ちなみに、O-157と表記されることもありますが、学術的にはO157の方が一般的です)。法定伝染病である赤痢に近い感染力を持っています。
通常の細菌性食中毒は細菌を100万個単位で摂取しないと感染しませんが、O157は約100個の菌量で症状が出るといわれています。
( 感 染 源 ) 肉類、乳製品等
(潜伏期間 ) 2~72時間
( 症 状 ) 腹痛、水様性の下痢、血便、固形物のない血性下痢(典型的な症状)、 
吐き気、嘔吐、発熱を伴うこともある
( 予 防 法 ) 食品は衛生的な取り扱いをする、十分に加熱して調理する、手を十分に洗う、
調理器具類は十分に消毒をする、感染者との混浴はしない、感染者の糞便に注意する

>Ⅲ 腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオによる食中毒は、菌に汚染された魚介類を生で食べることによって起こります。
( 感 染 源 ) 生の魚介類
(潜伏期間 ) 6~24時間
( 症 状 ) 発熱、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢
( 予 防 法 ) 原因菌は真水に弱いので十分に水洗いする、食品の低温保存、十分に加熱して調理する

>Ⅳ 黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、切り傷・擦り傷にごく普通に繁殖します。調理する人の手などの傷口から、それが食品に入ることによって起こります。産出する毒は熱に強く、加熱してもなかなか失活(活動出来なくなること)しません。
( 感 染 源 ) 調理人の手指の化膿性炎症等
(潜伏期間 ) 3時間前後
( 症 状 ) 吐き気、嘔吐、下痢、短期間の発熱
( 予 防 法 ) 調理人の手指に化膿性炎症がある場合には直接食品に触れない、食品の低温保存

>Ⅴ ボツリヌス菌
頻度は少ないのですが、菌が猛毒を産出するため、細菌性食中毒の中でもっとも恐ろしいといわれています。
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、大型の偏性嫌気性桿菌です。菌体の一端近くに卵円形の芽胞を形成します。産生する毒素タンパク質の免疫学的な違いによって、A~Gの7型に分類されています。A型およびB型ボツリヌス菌は、発芽の型で世界各地の土壌に分布しているます。海底や湖沼にはE型菌が棲息し、魚からも高い確率でE型菌が検出されます。

( 感 染 源 ) いずし、ハム、ソーセージ、辛子レンコン、真空パックの食品等
(潜伏期間 ) 4~36時間
( 症 状 ) 嘔吐、めまい、複視、呼吸困難、運動麻痺
( 予 防 法 ) 十分な手洗い、食品の低温保存、十分な加熱

>Ⅵ ウェルシュ菌
ウェルシュ菌による食中毒は、大量調理施設を中心に、大規模な発生を引き起こす場合があります。
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は、健康な人の大便の100%近くで検出されるありふれた菌です。家畜、家禽や魚の腸管内にも常在し、土壌、下水などの自然界にも分布しています。ウェルシュ菌は、人の腸管内で食中毒の原因物質であるエンテロトキシンという毒素を産生します。ウェルシュ菌が食品内で1.0×106個(つまり、100,000個)以上に増殖し、それを人が摂取してしまうと食中毒となります。

( 感 染 源 ) スープ、カレー、シチュー、煮物、真空パックの食品等
(潜伏期間 ) 4~12時間
( 症 状 ) 腹痛、下痢
( 予 防 法 ) 調理後早めに食べること、食品の低温保存と再加熱

>Ⅶ セレウス菌
セレウス菌(Bacillus cereus)は土壌細菌の一種で、人の生活環境をはじめ、塵埃・汚水・河川などの自然界に広く分布し、各種食品からも多数分離されます。食物を汚染して腐敗・変敗を起こすことが古くから知られていましたが、1950年代以降、食中毒細菌とされるようになりました。
セレウス菌食中毒は下痢型と嘔吐型が認められています。セレウス菌食中毒の原因食品は、下痢型では調理肉・ソーセージなどの肉類加工食品や、各種スープ・バニラソースなどで、一方の嘔吐型では米飯や焼飯等の米飯類によるものが最も多いです。
セレウス菌の増殖を阻止するには、その性状・特性を十分把握しておくことが必要です。セレウス菌は芽胞を形成し、その芽胞は、1~59℃、pH4.35~9.30、水分活性(Aw)0.99以上で発芽し、熱抵抗性はD100値(100℃で菌数が1/10になる時間)1.2~8.0分で、缶詰食品中でも残存します。また、5~50℃、pH4.35~9.35、Aw0.912~0.95の範囲で発育し、ソルビン酸(0.2%濃度、pH6.6)で発芽は阻止され、次亜塩素酸ナトリウム(150µg/ml)で芽胞の90%は不活化されることも知られています。
次回は食中毒を防止するにはを予定

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最近の食品問題で感じること

「水と安全がタダではなくなった我が国では、ただの食べる事さえも命がけになってしまうのでしょうか?」

すごくオーバーな言い方です。しかしながら、最近の食品関連の報道を見ていると、近い将来近所のスーパーで買う食材、レストランでの食事など、今まで何の疑問も抱かずに口にしてきた食品を、果たして『?』なしで食べることが出来るのだろうか?と思うことがあります。

非常に残念なことですが、最近「食品」というキーワードに一番相性が良いのは、「偽装」でしょうか。それとも「改竄」?ただし、これらの事項については全ての『原因』が製造者側にあるとは、言えない事柄もあるのではと感じます。

結果的に、法律を守らなかった製造者が法的な制裁を受けるのは当然のことで、『責任』を負うのは製造者です。しかし、その経緯を考えると行政の指導や対応、消費者の要求などの中に『原因』となる事柄が少なからずあったのではないかとも思えるのです。
こんなことを記載すると「社会のせいだ」と言って罪を認めない犯罪者の肩を持つような考えを感じさせてしまう可能性もありますが、決してそういう事ではありません。
『責任』も『原因』も全て製造者にあるような見解がなされていることが多いと感じるのです。現在の状況を具体的に「改善」するには、製造者の努力だけではなく、行政の指導やその方法自体の見直し、そして消費者が正しい知識を持った上で、要求を出すということもポイントであり、『原因』にスポットを当てることが重要であると思います。

全く違う業界の少し古い話になるのですが、「パソコンを使っている息子がコンピューターウイルスに感染しないか心配だ」といったクレームが、実際にあったようです。今では笑い話ですが、これに近い内容(知らないことから起こる不安)の事柄を食品関連のクレームでも耳にすることが少なくありません。不安を少しでも解消するには、どうしたら良いのだろうと考えるだけでも、より良い「食の安全・安心」に近づくと思います。

製造者・消費者・行政機関各々がより良い「食の安全・安心」に意識を持って取り組めるような状況を徐々にでも形成していくことに少しでも尽力が出来ればと、特に最近は感じるのです。

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レジオネラ菌検査ノロウイルス検査食品アレルギー・アレルゲン検査

化学物質の数

CAS登録されている化合物(化学物質)の数は約3000万種だといわれています。
これだけの数の物質を人間はコントロールできるのかな

毎日のように農薬とか薬物とか様々な食べ物や環境から見つかってますね
メタミドホスって覚えてますか?どんな薬でしたっけ?
こんなニュースが見あ日流れてくると、次第に麻痺してきますね
また何か出たみたいだけどあんまり関係ないかな・・・みたいな

普段食べてる砂糖や塩だって、摂り過ぎれば毒にもなるし、摂らなければ生きていけない
こんな心配してるの人間だけですね~
本当に必要な情報ってどこに行けば手に入るんでしょうね

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有機質肥料(牛糞)にクロピラリドが混入

今朝の新聞で農薬のクロピラリドが牧草から検出されたとの記事を読みました。なんでも、この牧草を食べた牛の糞を有機質肥料として野菜農家が施用したところ野菜が萎縮したりした奇形が多くみつかったとのことです。
国の研究機関が因果関係を調べたところ農薬→牧草→牛→糞→野菜といった図式が分かったとのことでした。
私たちが有機農薬だから多少の形が悪いのはしょうがないかな?と思って、購入していた有機野菜がもし、農薬漬けだったとしたら・・・・・? 何を信じたらいいのやら?
牛に与える牧草は、ほとんどが輸入に頼っているらしいので、水際対策をしっかりしてもらいたいものです。

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