ペニスに痛みのないしこりを見つけてしまったら、誰でも不安になるものです。もしかして性病?それとももっと深刻な病気?と、さまざまな可能性が頭をよぎるでしょう。しかし、結論から言うと、そのしこりの多くは、性病ではない良性のできものであることがほとんどです。
ただし、ごく稀に性病や、その他の病気が原因となっている場合もあります。
このコラムでは、ペニスにできる痛くないしこりの原因を詳しく解説し、ご自身で確認できるポイントや、病院に行くべきタイミング、そして具体的な治療法についてご紹介します。正しい知識を持つことで、不必要な不安を解消し、適切な対処法を見つけましょう。
男性器の発疹=「性病」とは限らない
男性器に発疹や赤み、ブツブツが出ると、多くの方が「性病に感染したのでは」と不安になります。実際、性病の初期症状として発疹が現れることは少なくありません。しかし、必ずしも性病だけが原因とは限りません。
皮膚トラブルや生活習慣の影響で似た症状が出ることもあります。
男性器に発疹があらわれやすい主な性病について
ペニスの痛くないしこりの原因として、まず疑われるのが性病です。代表的なものに尖圭コンジローマと梅毒があります。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で、性器やその周辺に鶏冠状(鶏のトサカのような形)やカリフラワー状のイボができるのが特徴です。痛みはなく、かゆみもほとんどないため、発見が遅れることがあります。
一方、梅毒は初期硬結(しょきこうけつ)や硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれる、硬く触るとコリコリしたしこりや潰瘍を形成します。これも痛みがなく、自然に消えることもあるため放置されがちですが、放置すると全身に症状が広がり、最終的には心臓や脳に深刻な合併症を引き起こす可能性があります。性病の可能性がある場合は、早急な検査と治療が必要です。
梅毒(ペニスのしこり・赤い発疹に注意)
梅毒は感染から3週間前後で硬いしこり(初期硬結)や赤い発疹が性器周囲に出ることがあります。かゆみはほとんどなく、自然に消える場合もありますが、その後病状は全身に広がるため要注意です。原因は「梅毒トレポネーマ」という細菌で、感染部位にはコリコリとした小さな赤い隆起ができ、やがて潰瘍(かいよう)になります。股の付け根のリンパ節が腫れることもあり、これらは3~12週間ほどで自然に消えることが多いですが、放置すると数か月〜数年後に全身へと広がります。皮膚や筋肉、骨、中枢神経、大動脈にまで影響を及ぼし、重症化することがあるため、早期発見・早期治療が欠かせない病気です。
性器ヘルペス(赤い発疹や水ぶくれが現れる)
単純ヘルペスウイルスによる感染で、赤い発疹や水ぶくれが現れ、かゆみや強い痛みを伴うのが特徴です。ストレスや疲労、免疫力の低下で再発しやすく、一度感染すると体内に潜伏し続けます。また、感染者に症状がなくても分泌液にウイルスが含まれているため、性交渉によって感染が広がるリスクがあります。
尖圭コンジローマ(先が尖ったイボ状の発疹)
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で、イボ状の発疹がペニスや陰嚢、肛門周囲にできます。発疹は先の尖った乳頭状の形で現れることが多く、かゆみや痛みは軽度です。
潜伏期間が数週間から数か月と長いため、気づかないうちにパートナーへ感染させてしまうこともあります。自然治癒はしにくく、広がることがあるため、早期の治療が望ましいです。
淋病・性器クラミジア(痛みは少なくても発疹が出ることも)
典型的には排尿痛や膿が主症状ですが、炎症が強い場合には赤みや発疹が陰部に現れることもあります。発疹単独では診断が難しいため、検査での確認が必要です。
性病以外の可能性も考えられます
発疹が出ても必ずしも性病とは限りません。以下のような皮膚トラブルや生活習慣によっても似た症状が出ます。
かぶれ・湿疹
洗浄剤や下着の刺激、汗によるかぶれ
真菌感染(カンジダ)
赤い発疹やかゆみ、白いカス状の付着
毛嚢炎
毛穴に細菌が入り込んでできるニキビのような発疹
乾燥や摩擦
性交や運動による皮膚のダメージや蕁麻疹や白癬菌によるかゆみや炎症
接触皮膚炎
肌着やボディソープが体質に合わず炎症を起こすケース
特に肌着や洗浄料が合わない場合は、刺激の少ないものに変えることで改善することがあります。
発疹・しこりを放置する危険性
ペニスに発疹やしこりを見つけても、「そのうち治るだろう」と自己判断で放置するのは大変危険です。見た目だけで原因を特定するのは非常に難しく、性病も他の皮膚疾患も似たような症状を呈することが多いため、医師の診断なしには区別できません。
特に、梅毒のような性病を放置すると、病気が進行して全身に症状が広がり、最終的には心臓、血管、神経、脳などに深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、淋菌やクラミジアに感染したまま放置すると、不妊症になるリスクも高まります。
さらに、たとえ症状が軽度に見えても、ウイルスや細菌が存在していれば、性行為を通じてパートナーに感染させてしまうリスクがあります。自分自身だけでなく、大切なパートナーを守るためにも、少しでも不安を感じたら性交渉を控え、早めに医療機関を受診することが非常に重要です。
発疹が出たときの対応
体に発疹が出た場合、自己判断で原因を特定するのは難しく、誤った対応は症状の悪化や他者への感染拡大につながることがあります。特に、性感染症の疑いがある場合は、以下の3つの対応を心がけましょう。
まず、発疹を掻いたり潰したりしないことが重要です。患部を刺激することで、症状が悪化したり、周囲の皮膚に感染が広がったりする可能性があります。また、性感染症である場合は、パートナーへの感染を防ぐためにも、性交渉を控えてください。症状が軽微であっても、感染源となる可能性があります。
そして最も重要なのは、早期に検査・受診することです。淋病のように強い痛みを伴う性病もあれば、クラミジアや梅毒のように自覚症状がほとんどないまま進行する性病もあります。放置すると重篤な合併症を引き起こすリスクがあるため、自己判断せず、速やかに医療機関を受診しましょう。皮膚科や泌尿器科、性病科などで適切な診断と治療を受けることが、早期の完治につながります。
もし性病が気になったら
不安なときは早めに検査を受けるのが安心です。しかし、人目が気になる方も多くいらっしゃると思います。そんなときには、郵送型の性病検査キットがおすすめです。郵送型の性病検査キットの特徴は、スマートフォンから検査の申し込み・結果受け取りができるため、周囲に知られることなく性病検査を受けることができます。
また、代表的な検査キットには以下があります。


予防のためにできること
- 性交渉の際は必ずコンドームを使用する
- 複数のパートナーがいる場合は定期的に性病検査を受ける
- 疲労やストレスを溜めない(免疫力低下で発症しやすくなる)
- 清潔を保つが、石けんの使いすぎや強い洗浄は避ける
ペニスのしこりを完全に防ぐことは難しいですが、性感染症やその他の皮膚疾患のリスクを減らすことで、発生する可能性を低くすることができます。
最も重要なのは、性感染症の予防です。不特定多数との性行為は避け、新しいパートナーと性行為を行う際には、最初から最後までコンドームを正しく使用しましょう。コンドームは、梅毒や尖圭コンジローマといった、しこりの原因となる性感染症の感染リスクを大幅に下げてくれます。
次に、陰部を清潔に保つことも非常に大切です。特に、包茎の方は、包皮の内側に恥垢(ちこう)と呼ばれる分泌物や汚れが溜まりやすく、これが細菌の温床となって皮膚トラブルを引き起こすことがあります。毎日入浴時に包皮をめくって丁寧に洗い、清潔な状態を保ちましょう。
また、過度な自慰行為やマスターベーションは、摩擦によって皮膚に炎症や小さな傷を引き起こし、それがしこりの原因となる場合もあります。無理な刺激を与えないように注意することも、予防の一環となります。
もし、少しでも異常を感じたり、不自然な変化に気づいたりした場合は、自己判断で放置せず、すぐに泌尿器科や皮膚科を受診することが、早期発見と早期治療につながる最も確実な予防法です。
まとめ
男性器に発疹が現れたとき、それが性病によるものかどうかは見た目だけでは判断できません。梅毒やヘルペス、尖圭コンジローマなど性病が原因のこともあれば、単なる皮膚トラブルの可能性もあります。
いずれにしても放置は危険であり、検査と適切な治療が必要です。不安な症状があるときは、恥ずかしがらずに医療機関や性病検査キットを利用し、自分とパートナーの健康を守りましょう。


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