HACCP義務化!

最近、「HACCP義務化」の報道をよく目にします。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に伴う食料品の輸出強化や政府が2013年に提示した日本再興戦略(JAPAN is BACK)に記されている「2020年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円(現状4,500億円)とする」に従いますと、食品衛生管理の国際標準化は避けられない大きな課題と言えます。その課題をクリアするため、「HACCP義務化」に向けた取り組みが行政で動いているようです。世界的に「HACCP義務化」をしている国は増えており、アメリカやEUをはじめ、カナダやオーストラリアや台湾及び韓国等が条件付きで段階的に義務化を行っています。国内では、1996年の「総合衛生管理製造過程の承認(現在約1,200施設承認)以降、さまざまな形で普及させようと取り組んできましたが、「義務化」に向けた方向転換は最近のことです。私個人の意見として、HACCPは「義務化」よりも「一般的衛生管理」の取り組みを徹底させ、「普及」を目指した方が良いと思っているのが本音です。(世界情勢の流れによる「HACCP義務化」の流れは避けられない状況にあるのでしょう。)
 HACCPは食品衛生の管理手法としては高度であり、義務化を目指すにしても、その前提条件となる「一般的衛生管理」がきちんと取り組まれていることが必要となります。それ故、「HACCP義務化」は大変な取り組みとなるのです。現時点で中小企業の食品関連施設でHACCPを導入している企業は約3割程度(農林水産省のデータ)です。零細企業に関してはそれ以下となりますので食品関連企業全体の大半がHACCPの未導入ということになります。未導入の企業は、一般的衛生管理(食品衛生法での管理運営基準)に関しても、きちんと取り組まれていない状況にあると思われます。
現状「HACCP導入」には多額な資金が必要となる誤解があります。恐らく、HACCPは年商100億円以上の企業は9割程度(農林水産省のデータ)が導入しており、その大企業が豊富な資金を用いて導入した情報や施設・設備の導入及び改築が必要という情報が誤解の根源にあると思われます。実際には、管理運営基準に危害分析を加えた内容で導入出来る(現状、選択基準として管理運営基準にはHACCP導入型基準が策定されている)ので、弊社が認証機関として認定している「群馬県食品自主衛生管理認証制度」の認証施設は、導入に対して資金が必要ではないことが理解できると思います。また、認証制度の内容に危害分析プラスαで、「HACCP導入」となることから「一般的衛生管理」の重要性も理解して頂けると思います。現状、「群馬県食品自主衛生管理認証制度」の認証施設は30施設程度です。認証施設の経営者や管理者は、認証取得後に「従業員の衛生意識の変化」や「取引先からの評価の高まり」等のメリットを上げています。輸出以外に関してもメリットはありますので、早めに取り組むことをお勧めします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です