残留農薬検査「料金」の秘密

弊社の残留農薬検査料金は現在、
一斉分析149項目を ¥31,500 からご提供しております。

この値段、高いと思います?安いと思います?

スーパーの特売記事を見て数十円単位の安さを求める主婦目線からいけば、
「3万円なんて高すぎる!!もっと安くならないの?」
という声が聞こえてきそうな気がしますが・・・
そもそも、この値段の内訳ってどうなっているのでしょう?
今回は残留農薬検査の価格についてご説明いたします。

農薬検査料金の内訳は簡単に以下の4つです

・ 検査に使う消耗品代
・ 分析機器の使用費
・ 人件費
・ 報告書などの諸経費+利益分

まず、検査に使う消耗品とは、例えばキャベツの農薬を計りたい場合、
もちろんそのままでは計ることができません。
「前処理」という操作が必要です。この前処理というのは、
固体のキャベツから農薬成分を抽出して、液体にして、
液体の中に入っている農薬以外の物質をできるだけ除いて、
分析機器に入れられる状態まですることです。
ここで大事なのは、「農薬以外の物質をできるだけ除く」という操作。
これを怠ると、分析機器が間違った結果を出したり、壊れたりしてしまいます。
この除去作業には、「固相カラム」というものを複数個、使い捨てで
使わねばならず、これが意外と高い消耗品になります。

続いて分析機器の使用費。
弊社の一斉分析149項目には、LC/MS/MS
(島津社製LC+AB sciex社製MS/MS )
という機器を使用しています。この一式の機器の値段が、
定価で約¥65,000,000と聞いています。
新築で家を建てても、おつりがくるくらいの値段ですね。
この高価な機器、細心の注意を払って使わねば、維持費も馬鹿になりません。
機器の異常でメンテナンスの人を呼ぶだけでも
数十万単位でお金がかかります。

後は、人件費。残留農薬検査にも公定法があるとはいえ、
誰にでもできる仕事ではありません
前処理にも機器の運用にも高度な技術・知識が必要な作業となります。
確かに、パートや派遣を使って人件費を減らし、
その分、低価格で出している競合他社もありますが、
どんな人物が担当で、本当に正確なデータが出ているのか、疑問です。
弊社でも香辛料や濃縮液の農薬分析等、
技術的に難しい局面があることは確かですが、
工学博士・環境計量士を筆頭に、分析に心得のある研究員が、
日々、知識・経験・情報の蓄積にて、正確なデータを出す努力をしております。

いかがでしょうか? 
値段の内訳を聞き、考えが変わった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

弊社研究員の一人としましても、新規分析法開発による作業の効率化など、
さらに価値あるサービスを提供する企業努力を続けていく次第でありますので、
残留農薬検査が必要でしたら、是非弊社へお問い合わせ下さい。

( Analyst 25 )

放射性物質分析 食品検査残留農薬残留抗生物質
株式会社 食環境衛生研究所

福島で放射能測定します

福島で放射能測定します

一昔前に数年間ですが福島県に住んでいたことがありました。
私がいたのは山間の小さな村で、お店もスーパーとコンビニが一軒ずつしかありませんでした。
住んでた家の目の前は田んぼで、夜は外灯が少ないせいで真っ暗でしたが星はとてもきれいに見えました。
やや盆地になっていたので夏は暑くて冬は寒かったのですが、いつの間にか同居していた猫2匹と一緒にのんびり過ごしていました。
近所のおじさんからわけてもらうトマトやりんごがとてもおいしかったです。福島は第2の故郷です。
福島を離れてからはあまり訪ねる機会もなく、今どうなっているのかもわかりませんが、福島原発からは60kmくらいの場所ですので、現地の事を考えると心が痛みます。
先日、福島県での放射能測定のお仕事を受けまして、現地で放射能測定をしてまいります。

現在年間20ミリシーベルト以上の放射線量の地域は避難区域となっています。1時間あたりの放射線量に換算すると、20ミリ÷365日÷24時間=0.0022ミリシーベルト/時間となります。
つまり1時間あたり2.2マイクロシーベルト以上の放射線量ということです。この数字は簡易放射線量計による放射能測定ではかなり高い数値となります。
およそ地面の土には1kg当たり数万ベクレルの放射性物質がないとこのくらいの数値にはなりません。

慣れ親しんだ土地は変わらずであってほしいです。
そのうちイスカンダルまで放射能除去装置を取りに行かなくてはならなくなる時がくるのかもしれません。

生食用食肉(牛肉)の規格基準について

富山県等で発生した腸管出血性大腸菌(O111)による食中毒事件では、肉を生で食べた方数名が亡くなられ、重症者も多数報告されています。
 生肉や加熱不十分な肉を食べることには、腸管出血性大腸菌による食中毒になるリスクがあります。若齢者、高齢者、抵抗力が弱い方は、生肉や加熱不十分な肉料理を食べないように特に注意しましょう。(厚生労働省の生食用食肉(牛肉)の規格基準より抜粋)

そこで新たに生食用食肉(牛肉)の規格基準について「腸内細菌科菌群が陰性でなければならない」という成分規格が設けられました。「腸内細菌科菌群」は、腸管出血性大腸菌サルモネラ菌属を含む衛生指標菌として設定されました。

もちろん食環研でも「腸内細菌科菌群」について試薬、培地などを準備して検査を行える体制を整えました。

また、腸管出血性大腸菌(O157)による食中毒事故も毎年報告されています。この7年間では死者は出ていないようですが、発症者は毎年100~1000名と、とても安心といえる状況ではありません。食品加工に携わる業者の方、飲食店の方、特に家庭の食事にも注意が必要と思います。いっそ細菌が見えればいいのにとも思いますがそれは漫画の世界ですね。しかし、衛生管理をしていくとだんだんこの辺に細菌がいるなとか、こうゆう環境では菌が増殖するなとかだんだん見えてくるような気がしてくるのは気のせい?(イワザキ)

残留農薬の話 「その1」

一時期、世間を騒がせた食品の残留農薬汚染。
最近のニュースにおいては放射性物質の話題に押され、
残留農薬の基準値違反について触れることも少なくなりました。
農家、食品輸入業者、食品メーカーからしてみれば、
この不景気なご時世、残留農薬検査を行うにもお金がかかる、
仮に検査に出したとして、ほとんどが「不検出」(農薬がほぼ含まれない)
という結果が出ることに、「残留農薬検査は本当に意味があるのか?」
と疑問に思ってしまうことと思います。

確かに、弊社でも残留農薬依頼検体の7~9割は「不検出」となります。
「作物の9割から農薬が出ない」ということは、
食品の生産現場を知らない消費者にとって、
「最近は無農薬で作物を栽培している所が多いからなのでは?」
と受け取れるかもしれません。

しかし現実は、食品のほぼ9割以上
(直接・間接含めて)農薬を使用しております。
野菜、果物、穀物類における残留農薬はもちろん規制対象となっていますし、
食肉にしても、エサの飼料、また、ハエ等の防除に使う殺虫剤や抗菌剤にも、
農薬と同じ成分が使用され、農薬規制の対象となっています。

正直な所、農薬汚染のリスクが0な食品はありません。
強いて言うならば、医療品、サプリメントなど、
プラントで生産される形式の化学物質くらいでしょう。

では、農薬を使用しているのに残留農薬が検出されない理由は何か?

それは長くなってしまうので次回にお話しします。

( Analyst 24 )

放射性物質分析食品検査残留農薬残留抗生物質
株式会社 食環境衛生研究所

殺ウイルス試験

最近、清潔と安全に対する消費者の意識が高まり、「抗菌」をうたった商品が日常生活の中に溢れていませんか?
抗菌・・・殺菌・・・除菌・・・・・・・・・?
私もあまり理解しているわけではありませんが、ちょくちょく試験依頼が舞い込んできます。誰もが理解しているようで完全に理解していないようです。

                 レジオネラ試験
ウィキペディアによれば、
抗菌とは、本来、細菌の増殖を抑制したり殺したりすることだそうです。しかし、その定義は曖昧で殺菌剤、抗生物質、防カビ剤といった広い範囲での微生物を制御する物質を含んでいう場合もあります。

                 抗カビ試験
また、殺菌とは、病原性や有害性を有する糸状菌、細菌、ウイルスなどの微生物を死滅させることです。
両者の違いが分かりますか。抗菌は、細菌の増殖を抑制(必ずしも殺す必要もなく増殖を抑えれば)効果があり、殺菌では死滅(完全に微生物を「ゼロ」にする)する必要があるようです。
 また、似たような言葉で除菌があります。除菌とは対象物質から増殖可能な細菌数を有効量減少させることだそうで、抗菌と同義語?でしょうか? でも、抗菌では細菌の増殖抑制だけでなく殺したり(殺菌)も含まれますのです。

                 殺ウイルス試験(発育鶏卵試験)
では、抗菌をうたうためにはどうしたらよいでしょうか?
食環研は、農林水産省からGLPGCP、および学術研究機関の適合施設として認定され、また、群馬県より衛生検査所、環境計量事業所として登録を受けている検査・分析機関です。
 当研究所では、これらの通常の抗菌試験に加えて、さまざまなご要望にお応えすべく、特殊な菌を取りそろえて抗菌試験殺菌試験に対応しております。

                  殺ウイルス試験(細胞培養)
迷ったら、食環研へ !!
ご一報をお持ちしております。

お茶系ダイエット飲料の効果って・・・?「その2」

前回に引き続き・・
今回は「黒○龍茶」について考察したいと思います。

こちらの商品、前回の「脂肪を燃焼させる」と謳う商品とは異なり、
「脂肪を吸収しにくくする」ことを効能として掲げています。
原理としては「ウーロン茶重合ポリフェノール(OTPP)」が
脂肪を分解する膵リパーゼの作用を阻害し、
腸管からの脂肪吸収を阻害することを原理としています。

OTPPの効能については、意外と論文がそろっていて、
上記効果により血清トリグリセリド(TG)値が低下するという
結果は明らからしいです。TG値というのは、
簡単に、腸管から吸収された、血液中の
中性脂肪の量と考えていただいて大丈夫だと思います。

ただ、「吸収しにくくする」という点には落とし穴があります。

一つは、人体に有効な成分まで吸収しにくくしている可能性があること、
言わずもがな、過剰の中性脂肪は肥満の原因ですが、
適量の中性脂肪は人体を維持するために必要不可欠です。
また、こういった中性脂肪になじみやすい物質(親油性の栄養素)についても、
腸内で中性脂肪が分解されないために、吸収されにくい状態で維持され
少なからず排出されてしまっているのでは?と推測しています。

もう一つは、直接食べた中性脂肪分にのみ多少有効ということなので
炭水化物の食べ過ぎにより、体内合成される中性脂肪については、
原理的に効果の対象外です。

少し話がそれますが、吸収されないで腸管を通過した脂肪分が
他の食物繊維等の割合に比べ大量であった場合、
下痢の原因になります。
吸収されなかった油分はそのまま液体として排出されるからです。

前回と同様のまとめとなってしまいますが、
健康食品を過信してはいけません。
これさえ飲めば、いくら食べても大丈夫!
・・それは確実に「幻想」です。

製品の特性を理解した上で、今日は中性脂肪の多い食品を摂る予定だから、
少しでも吸収を抑制するために、この商品を一緒に飲もうという発想。
・・・結構です。
健康的な食事がしたいという考えに違いはありません。
ただ、その方向性として、
通常の食事に、少し高いけど高機能を謳う
「健康食品」をプラスする生活か、
肉、お酒を少し減らして、その分、少し高いけど
食物繊維豊富で満腹作用のある「野菜」をプラスする生活か・・

「適切な食事をとる」という事を視点に、
皆さんのライフスタイルにあわせた感覚で
自己判断していただけたらと思います。

( Analyst 23 )

放射性物質分析 食品検査食品分析残留農薬残留抗生物質
株式会社 食環境衛生研究所

森林の放射能の影響は?

積算線量計を買ってもらったのでせっかくの会社のブログなのでいろいろ測定してみようと思います。
放射能の汚染状況調査も兼ねて林道探索ということで。

林道に入って沢を渡るたびに、魚の居そうなポイントを探してしまいますが放射能の影響は?
渓流魚は川の水が留まっていないので比較的大丈夫なようです。池や沼、湖などの魚はすこし注意したほうがよいでしょう。渓流魚でも養殖の放流が多いですが(私に釣れるのは><)そこは漁協で管理しているようなので大丈夫でしょう。渓流の女王ヤマメ(春頃なので放流したてサイズ)

あまり見かけない花も。放射能による変異株なども出現してくるのでしょうか?
ただ名前を知らないだけ?

6万円くらいの線量計では細かい影響はよくわかりませんが、健康に影響がでる線量レベルならしっかり感知できるようです。
結局、送付された検体を測ってみてびっくりの検査室が一番危険な気がする・・(第二登山部)

お茶系ダイエット飲料の効果って・・・?「その1」

「体脂肪が気になる方に」「脂肪を吸収しにくくする」

こんなキャッチコピーで売られている「お茶系ダイエット飲料」、
皆さんも一度は飲んだことがあるのでは?

有名どころは「ヘ○シア緑茶」と「黒○龍茶」でしょうか?
高橋教授の講義でそういったお茶の話題が出ていたので、
私も独自に調べてみました。

今回は「ヘ○シア緑茶」について、
この商品は「高濃度茶カテキン」により「体脂肪を燃焼させる」ことを
売りにしています。商品説明については某企業のWebサイトをご覧下さい。
その中Webサイトの中の情報に、
科学者として少し気になるデータがあります。

それは、効果の根拠となるデータにおける被験者の「人数」と「対象」。
つまり、効果があるかどうかを調べるために、実際に試験飲用してみた
「人数」と「どんな人を対象」に臨床試験を行ったかということです。

食事の脂肪燃焼効果に関するデータの「被験者(=N)」は「12人」
私も医学系の臨床試験に詳しいわけではないので何とも言えないのですが、
「上記の12人には効果がありました。なので、
日本国民1億人以上にも同様の効果があります。」
というのは乱暴すぎではないでしょうか?

お腹の脂肪が落ちたという根拠のデータについては、
被験者が全員「軽度肥満者」という・・・。
まぁ、肥満でお腹の面積が広い人なら、
少しの努力でもわかりやすい結果が出るのでしょうが、
実際に購買をしているのは20代女性の
さほど肥満体質でない人が多いことを見ると、
一般的な体型の人にはどれだけの効果が期待できるのか疑問です。

ここからはあくまで個人的な考察ですが、
このお茶のダイエット効果の原理はその「味」にあると考えます。
飲んだことがある方はおわかりのよう、この商品、
意外と濃いめで苦みが残るような味となっています。
舌で感じる苦みというのは実は「毒劇物」のシグナルで
動物は本能的に苦い物は食べられないものとして認識しているそうです。
(「苦みを愉しむことができるのは人間だけ」という言葉もあります)
この苦みによる食欲減退と、水分による満腹感により、
一定のダイエット効果を得ているのではと推測しています。

ここまで言っておいて逆説のようですが、
私はこの商品は効果が無いから飲むなと言いたいわけではありません。
たとえ12人でも臨床試験で効果があったことは事実。
人によっては絶大な効果がある製品かもしれません。
ここで販売する会社を責めるのはお門違いです。
ただ、企業が謳う販売文句をそのまま鵜呑みにして過大評価し、
これさえ飲めばどんなに食べても、運動なしでも
健康的な生活ができるぞと、勘違いしてしまう、
消費者にも責任があるということこそ言いたい。

消費者がこういった科学的な目線から、自分の口に入れる物を
自己判断できるような知識・経験の蓄積が大事なのではと思います。

消費者のシビアな目線と、その期待に応えようとする企業努力こそが、
将来の優良商品の開発、日本の技術力向上につながるのでは・・
と、私は信じています。

( Analyst 22 )

放射性物質分析 食品検査食品分析残留農薬残留抗生物質
株式会社 食環境衛生研究所

「フードファディズムとは?」

お久しぶりです、Analystです。
試験勉強のためしばしお休みを頂いておりましたが、
(色々な意味で)終わりましたので、
また、不定期に記事を書かせていただきます。

もう少し前になってしまいますが、
群馬大学の高橋久仁子教授という、
私の尊敬する先生の授業を受講できる機会があり、
とても良い話を聞くことができました。
今回は、先生の持論である「フードファディズム」という考えについて
簡単ではありますが、説明させていただきたいと思います。

「フードファディズム」とは、食品が健康や病気に与える影響を
誇大に評価したり、信奉することであり、
これを食べたら健康になるとか、これは体に悪いから食べてはいけない
というような、科学的根拠に乏しい情報に振り回され、
食品に関する、間違った情報の流布、口コミ、爆発的なブームが蔓延する・・・
そういった風潮は最悪の場合、健康被害に転じる可能性もあります。
「適切に食べる」という健康維持に最も大事な事を
見失ってしまうような状態に、警鐘を鳴らすのか先生の考えです。

ちょっと難しい考えですが、視点を変えて考えてみると、
近年あった○○食ブームってどれくらい思い浮かびます?
納豆、バナナ、にがり、ココア、トウガラシ、杜仲茶・・・
過去には紅茶キノコなんてのも流行したらしいですね。
今考えると、上記の物って本当に
健康増進やダイエットに効果があったのでしょうか?
現在も続けている人がいない所見ると、
情報に踊らされていたのでは?という考えが自然です。

私も先生のように、科学的根拠に基づいた論理展開で
間違った食品情報を「これはこういう理由で嘘だ」と
断言できるような化学者になりたいです。
まだまだ未熟ではありますが、食品に関する疑問質問等ありましたら、
一所懸命に調査し、何らかの考察を発表したいと思いますので、
お気軽にAnalystまでご連絡下さい。

( Analyst 21 )

放射性物質分析 食品検査食品分析残留農薬残留抗生物質
食環境衛生研究所

中国高速鉄道事故に押されて?

7月24日(日)の日本テレビ、「真相報道バンキシャ」にて、当社の放射能検査の様子が放送されました。先日取材に来たのですが、もう編集して放送とは!
中国の列車事故のニュースに押されてか、農家の方々のインタビューに押されてか、映っていたのはあっという間でしたが、確かに当社がバーンと映っていました。

なぜか?私も実名報道されていました。いつの間に名前を?
恐るべし、バンキシャ!(イワザキ)