食品の異物混入について②

 これらの中には、必ずしも有害と言えないものも含まれますが、正常な食品と比較して異なるわけですから、その製造や保存の過程に何らかの問題点があることを示し、有害ではないから問題は無いだろうと言うことは出来ないのです。具体的な例を挙げると、ある食品に髪の毛が混入していた場合、混入後に加熱殺菌などがされている製品であれば、髪の毛を原因とする微生物の増殖は考えにくいですし、髪の毛を口にしたところで病気になることは、まずないでしょう。

 しかし、いくら病気にならないからといって、食品から髪の毛が出てくることに不快感を抱かない方は、いないのではないでしょうか?また、髪の毛の混入を許した生産ラインで、より危険性の高い異物混入が発生することは、大いに考えられることです。
 
 現在の食品業界は「安全・安心・おいしい」ということが大前提であると考えられています。異物混入に対しては、どの会社の品質管理部門も頭を悩ませていることかと思いますが、もしも自分が食べたときに・・・という消費者の側に立った考え方を、従業員に徹底し、一つでも異物混入を減らす努力をしなければならないのではないでしょうか。

食品の異物混入について①

 春先になるにつれ、弊社への依頼件数が多くなる検査の一つに、混入昆虫の鑑定というのがあります。実際的には、建造物の密閉性が高くなっていることや、餌となる食品などが豊富にある状況から、年間を通して昆虫混入の危険性は一定の水準を保っていると考えられますが、やはり気温が上昇してくる春先から夏、秋にかけて昆虫全般の出現率、混入の危険性は高いようです。
 
 昆虫の混入も含めて、一般的に業界で言う「異物」とは、生産、貯蔵、流通の過程での不都合な環境や取り扱いによって、食品中に侵入したあらゆる外来物を言います。ただし、外来物以外でも製造や保存過程において、内部に発生した固形物なども「異物」としての取り扱いを受けます。例えば、加熱の際にできる「こげ」やワイン中にできる「結晶」、そして、カビが増殖しコロニーを形成した状態で発見された場合などです。つまりは、正常な製品と比較して異なるものが混入しているように判断された場合に「食品の異物混入」となります。
さて、具体的に「食品異物」となりうるものには、どのようなものがあるのでしょうか。その具体的な分類を以下に示します。

①動物性異物;昆虫・クモ・ダニなど、動物・鳥類の体毛、動物由来の排泄物など
②植物性異物;種子、植物の断片(木片、わらくず、もみがら等)、繊維など
③鉱物性異物;小石・土砂など、ガラス・陶磁器・セメント・金属・プラスチック・ゴムなど

手洗いについて考える②

 そんなことを考えはじめた頃、東京都の小学校で教員を含め417名のノロウイルスによる集団胃腸炎が発生した。調査の結果、体育館のモップからノロウイルスが検出され、体育館の床がウイルスに汚染されていたことがわかった。朝会で床に座っている際に手に付着し感染したと考えられている。感染経路は、床→手→口=感染ということである。手が感染経路になってしまった例である。
 
 当社でも手指の拭き取り検査を実施している。手洗い前より手洗い後の結果が悪いことがよくある。手洗い順序はマニュアルどおり正確で、洗剤を使用しアルコールも噴霧している。いったい何が問題なのだろうか?それは手洗いにかける時間と洗うポイントにある。①洗う時間が少ない(数秒)ために雑菌が流されていない。②手の平と甲のみで指先や爪の間、指の間、親指の周り、手首、手のしわを注意して洗っていない。③アルコールを噴霧した後、手をばたばたさせ乾燥させるだけであり、アルコールの擦り込みが出来ていない、ことがいえる。
 
 以上のことから、人間は無意識の状態下ではもちろん、正しく理解していなければ意識していてもノロウイルスやO157などの感染力の強いウイルスや細菌を容易に拡散させてしまうということを理解する必要がある。食品従事者はそれらから身を守るためにも普段から意識し、しっかり時間をかけて手を洗いましょう。

手洗いについて考える①

 手洗いは、食中毒防止の基本となることは食品に携わっている人であれば誰もが理解していることある。みなさんは普段から手洗い出来ていますか?人の普段の無意識の手の行動について考えさせられた出来事があった。
 
 HACCPの講習会に参加したときのことである。休憩の時間になると大抵の参加者はタバコを吸うか、トイレに行くかである。トイレに行き手を洗っていると、ある参加者が隣の水道の鏡の前に立ち、髪をセットしなおし、手を洗わずにそのまま出て行ってしまった。次の人は指先を少し濡らした程度で手を洗い終え行ってしまった。少し観察していたが実際に手をしっかり洗っていたのは、10人中2人だけだった。出席者はもちろん品質管理担当者、従業員を指導する立場の人である。他の講習会でも、やはり指先を少し洗って終える人が大半だった。自分も含めて、手洗いの重要性を指導していながら実際の生活では出来ていないと再認識させられた。

(続く)

キャンピロバクターについて②

それでは、「カンピロバクター」食中毒の予防対策には、どのような事柄が考えられるでしょうか?
 大まかに言えば、食品の加熱と2次汚染の防止の徹底という一言に尽きます。鶏を例に考えると農場レベルでの衛生管理の徹底、菌定着の阻止、処理場内、カット工場内での器具やヒトを介した交差汚染の防止などが対応策として考えられます。しかしながら、鶏の場合、糞便による体表汚染が生じやすいことや、腸管などの破損が起こりやすいこと、皮付きで処理されることなど、牛・豚と比較して汚染の可能性が高く、新たな概念の微生物防御法の開発が待たれている状況のようです。
 
 家庭・個人レベルの対策としては、基本的な衛生管理(十分加熱するなど)に注意し、生食などをなるべく避けるといった、対策が考えられます。冬の間は、比較的に発症件数は低いのですが、生肉などを取り扱う際には、十分意識して携わるように心がけましょう。

カンピロバクター食中毒について①

 「カンピロバクター」は、ヒトの食中毒の原因として代表的な細菌の一つであるといえます。今回、「カンピロバクター」の話題を取り上げるのは、代表的な食中毒菌の中でも、取り分け本属菌による食中毒発生件数が増加傾向にあるからです。
 
 代表的な食中毒菌としては、「サルモネラ属菌」「黄色ブドウ球菌」「腸炎ビブリオ」「病原性大腸菌」などが挙げられます。過去10年の国内における食中毒発生件数の推移を見ると、「カンピロバクター」の件数が増加傾向にあることがわかります。平成13年には、それまで最も多かった「サルモネラ属菌」を上回り、平成15年以降は常に第1位を占めています。
 
 「カンピロバクター」と聞くと、まずは、鶏肉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに鶏料理を介した感染が最も多く、次いで、その他肉料理、牛レバー刺しとなります。但し、本属菌は、家畜、家禽、野生動物の消化管などに生息しており、河川や下水などからも検出されています。ヒトへは、菌に汚染された食品や飲料水を介して感染するほか、保菌動物との接触によっても感染するようです。このようにカンピロバクターは、環境中に広く分布しており、このことが制御を困難にしている原因の一つとして考えられています。又、本邦においては、食肉を生や不完全加熱調理のまま食べる習慣があるために、リスクは、ことさら高くなることと考えられています。

サルモネラ②

(→続き)実際に、食中毒の原因菌になるのは、それ以外のサルモネラによるものであり、平成16年度の厚生労働省の調べでは、平成17年3月1日時点で、218施設(患者数3,575人)となり、発生施設数、患者数ともにノロウイルスに続いて2番目になります。

 食中毒の主な原因物質は、家畜から作り出された、肉、乳製品、卵などの加工品によるものであり、その他、乾燥イカ菓子を原因食品とする1,500名以上の患者を出した食中毒もありました。ネズミ、ゴキブリ、ハエなどを媒介としても広がるため、不衛生な状態そのものがサルモネラ汚染の原因及び拡大につながると考えてよいでしょう。

 サルモネラ食中毒は、主に、急性胃腸炎であり、潜伏期間は5~72時間で、水様性の下痢、腹痛、発熱(38℃以上)などでの症状を伴い、死亡率は0.1~0.2%になります。約50%の患者には、回復後2~4週間の排菌がみられ、また、10~20%の患者では排菌は数ヵ月に及ぶと国立感染症研究所で報告しています。このようなサルモネラ食中毒を起こさないためにも食品従事者は、①定期的な自主検便(保菌の確認)等による自身の健康管理、②手洗いの徹底、③不衛生な食材を扱わず、十分な加熱の実施、④作業場の清潔な環境作りが大切になります。

サルモネラ①

 今回は、ノロウイルスに次ぐ食中毒の発生件数及び発症者数を記録するサルモネラについて報告させていただきます。
 サルモネラは、2,000種以上の血清型があり、そのなかで、人に病原性を起こすのは1,300種あり、ウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜の腸管内には常在菌として保菌しています。また、カメなど爬虫類や身近なところでは、ペットの糞便からも検出されています。
 実際に、大分県衛生環境衛生研究センターが、1992-93年にかけて動物病院受診犬と捕獲犬185頭を対象に調べた結果、2.2%の確率で検出されたことが報告されています。このように自然界のあらゆる場所にサルモネラは生息しています。
 サルモネラは、腸チフス(Salmonella Typhi)やパラチフス(S. Paratyphi A)のように、人から人への感染力が強いため感染症法の2類感染症(コレラ、細菌性赤痢と同類)に指定されている菌とそれ以外の菌に分けられます。それ以外のサルモネラも感染症に指定されていないからといって安心することは出来ません。(続く)

最近のラーメン屋

群馬ってラーメン屋多いですよね。
私は九州出身ですのでもともとラーメン屋の多いところにすんでいたのですが
群馬も結構多いのでちょっと驚きました。
よく前橋のラーメン屋をめぐっていたのですが最近のラーメン屋って店の中がきれいですよね。
少し前までは「きたないところがうまい!?」なんて言っていた頃もあったような・・・。
特に小さなお店は目も当てられないようなところもありました。
でも最近は新しいラーメン屋が増えたせいか小さなお店でもそこそこ掃除がいきとどいていた
りして昔のラーメン屋のイメージとは変わってきた気がします。
私のいきつけのラーメン屋もカウンター6席でちょっと無精ひげのオヤジがやっている
小さなお店なのですがトイレが洋式でよく磨かれていたり(笑)そして結構おいしいんですよ!
きれいでおいしかったらいうことなしですよね。SATYの近くの17号沿いのお店です。

でもたまに昔なつかしのちょっと汚い店にも
行ってみたかったりして・・・(笑)。

kankisen

製造所固有記号

先月末、こんにゃく入り食品に製造所固有記号の表示のない商品が出荷されたため、製品回収を行うとのお知らせが新聞に掲載されていました。そもそも製造所固有記号って何だか分かりますか?自分もよく分からなかったので、調べてみました。
 
食品衛生法に基づく表示基準は、原則として「製造所の所在地」及び「製造者の氏名(法人にあっては、その名称。」の表示を義務付けています。『食品衛生法第21条第10項』。
しかし、次の(1)、(2)のような必要がある場合などには、例外的に、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た(書類に必要事項を書いて提出するだけです。ちなみに登録料金はかかりません。)製造所固有記号をもって表示できるようにした制度が、製造所固有記号制度です。
(1)本社とは異なる所在地の自社工場で製造した食品に本社の名称、所在地を表示したい場合
→製造所固有記号の表示により、自社工場の所在地に代えて、本社の所在地を表示できます。
(2)製造を他社工場(製造所)に委託している販売者が、自社の名称、所在地を表示したい場合
→製造所固有記号の表示により、委託先他社工場の名称、所在地に代えて、販売者の名称、所在地を表示できます。ただし、その際に表示する販売者の名称、所在地は本社とします。

ただし、乳・乳製品等については、(2)(他社工場の名称、所在地に代えて、販売者の名称、所在地を表示する場合)の製造所固有記号の表示は、認められていません。

実際には、販売者『株式会社 ○○食品 SHO』のSHOの部分で、製造所固有記号は、製造した場所を特定するためのものです。

今回の自主回収は、食品衛生法第19条 『厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第一項の規定により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。
② 前項の規定により表示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。』
 による対応でした。

今回、回収した製品(内容物)自体には問題はないということでした。しかし、表示の固有記号の欠落というだけでの製品回収。表示の厳しさを再認識する謝罪広告でした。

コバ