一時期、世間を騒がせた食品の残留農薬汚染。
最近のニュースにおいては放射性物質の話題に押され、
残留農薬の基準値違反について触れることも少なくなりました。
農家、食品輸入業者、食品メーカーからしてみれば、
この不景気なご時世、残留農薬検査を行うにもお金がかかる、
仮に検査に出したとして、ほとんどが「不検出」(農薬がほぼ含まれない)
という結果が出ることに、「残留農薬検査は本当に意味があるのか?」
と疑問に思ってしまうことと思います。
確かに、弊社でも残留農薬依頼検体の7~9割は「不検出」となります。
「作物の9割から農薬が出ない」ということは、
食品の生産現場を知らない消費者にとって、
「最近は無農薬で作物を栽培している所が多いからなのでは?」
と受け取れるかもしれません。
しかし現実は、食品のほぼ9割以上が
(直接・間接含めて)農薬を使用しております。
野菜、果物、穀物類における残留農薬はもちろん規制対象となっていますし、
食肉にしても、エサの飼料、また、ハエ等の防除に使う殺虫剤や抗菌剤にも、
農薬と同じ成分が使用され、農薬規制の対象となっています。
正直な所、農薬汚染のリスクが0な食品はありません。
強いて言うならば、医療品、サプリメントなど、
プラントで生産される形式の化学物質くらいでしょう。
では、農薬を使用しているのに残留農薬が検出されない理由は何か?
それは長くなってしまうので次回にお話しします。
( Analyst 24 )