ローカルな話で・・・

 ローカルな話で恐縮ですが、弊社の所在する群馬県で、今年の7月より公衆浴場におけるレジオネラ属菌対策に関する条例が施行されます。

 レジオネラ属菌とは、レジオネラ肺炎の原因とされる細菌で、死亡例も確認されており、非常に重要視しなければならない細菌のひとつです。
 
 土の中や、河川、湖沼などに自然に見られる細菌なのですが、水が滞留する場所やエアロゾルが発生する場所では、増殖や感染の危険性が高くなるという特徴があります。温泉施設などの公衆浴場が、その環境を備えているといえるでしょう。

 ただし、適切な清掃や消毒の方法などを導入している施設では、検出されない事が多く、いかに適切な管理がが出来るかどうかが、レジオネラ属菌の感染を防ぐポイントとなります。

 群馬県は全国的に見ても、非常に温泉施設が多く有名な県です。たとえ、1施設でもレジオネラの発症が出れば、その後の経済的損失は非常に大きいものとなるでしょう。日々の管理方法や検査をしてみたいという方は、ぜひ、弊社へお問い合わせください。

いよいよですが②

つづき→

 ここで注意が必要なのが個々に基準値があるもの、つまり「残留基準」および「暫定基準」(合わせて300位が多い)だけが検査項目として適用、と言うものではなく、まず799項目全てに一律基準値である0.01ppmを当てはめ、「残留基準」および「暫定基準」が定められた項目はそちらを適用する、となっております。つまり対象食品全てに799項目が適用されるのです。  

 また加工食品で「残留基準」および「暫定基準」がないものに関しては、それらが定められている原材料の段階で基準値をクリアしていれば問題なし、加工食品そのものを検査する場合は全項目に一律基準が適用となります。
 
 最後にポジティブリスト制度は、食品に残留する農薬等の分析を食品事業者等に義務づけるものではなく、したがって基準が設けられた物質すべての検査をしなければならないわけではありません。従来からの残留農薬等に対する取組みと同様、「信頼できる事業者と取引する」「使用される可能性のある農薬等の種類や方法、残留基準、違反事例の有無などを確認する」「必要に応じ残留状況について検査する」などの取組みが原材料の安全の確保のために必要になるのです。

 ・・・というわけで2回に分けて、大まかな制度の概要を述べました。但し、~農薬等の分析を食品事業者等に義務づけるものではなく・・・とありますが、実際に食品業界の反応は、そうもいかないようで、検査証明書を添付しなければ取引が出来ない状況が多いようです。

 現実的には、一つの食品について全ての農薬の残留を分析するのは、無理な話ですから、一番ベストな対応方法として、原材料の使用農薬を追跡調査し、それらの項目についての検査を行い、+αで一斉分析を行うということが挙げられます。農薬が適切に使用されているのかをチェックすると共に、使用農薬以外の付着などがないのかをチェックするわけです。

それでも、原材料の種類や購入先によっては、使用農薬の追跡を行うのが非常に困難な場合も多々見られます。その場合は、その作物で登録されている農薬の調査を行うのが、ベターでしょう。

 施行後の食品業界の動向はまだ、若干不透明ですが、弊社も検査会社としてお客様のご利用しやすさを追及していますので、ご興味をもたれた方は、ぜひ本サイトもご覧ください(左上の会社名をクリック!)。

いよいよですが

 平成18年5月29日(月)に「食品衛生法等の一部を改正する法律」により、いわゆる「ポジティブリスト制度」が施行されます。

 この制度は今まで残留基準の定められていなかった農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下「農薬等」)について新たに残留基準を設定 → 一定量を超えて農薬等が残留する食品の流通の禁止とするものです。

 食品衛生法によると「食品は農薬等が厚生労働大臣の定める量(一律基準:0.01ppm=1億分の1の濃度)を超えて残留するものであってはならない。ただし、別に食品の規格(残留基準)が定められている場合は、この限りでない。」 とあります。
 
 現在対象となる農薬等の数は、人の健康を損なう恐れのないものと規定されている物質を除き799項目、基準値にはポジティブリスト施行前からあった「残留基準」、施行に伴い設定された「暫定基準」および前述の「一律基準」の3種類あり、このうち対象食品毎に個別に基準値があるものが「残留基準」および「暫定基準」、ないものが「一律基準」となります。そして「残留基準」および「暫定基準」が定められた食品は、農産食品・畜水産食品・加工食品等約280種類あります。

(続く;)

今年の春は

すごく短い感じがします。少しあったかくなってきたと思ったら、連日のジメジメとした天候。
もう、梅雨入り?ってかんじですよね。

この季節になって、気温が徐々に上がってくると、食品関係者の悩みのタネとなるのは、昆虫の混入ではないでしょうか。

弊社でも昆虫を含めた異物の同定検査などを行っていますが、やはりこの時期に検査依頼の件数が多いような気がします。

そこで、食品関係者の方へアドバイスを一つ。

①発生源を見つける。
②進入源を見つける。

すごく、初歩的なことで「そんなことかよ」と思われる方が居るかもしれませんが、
結構わかっていても出来ていないことが多いのです。
例えば、ゴミ置き場。キャパオーバーになってあふれていたり、周囲にゴミが散らかって不衛生な状態になっていませんか?
ゴミ置き場などは、昆虫にとってパラダイスです。そのような場所を発見し、衛生的な状態にするのがまず第一歩となります。

進入源についても同じことが言えます。建物内に入るときに、あまり注意をしないで入ったり、気づきにくいところに穴が開いていたり・・・。

ごくごく初歩的な事柄ですが、最近昆虫の混入が多いなぁなんて思っている方は、もう一度確認してみては、いかがでしょうか?

賞味期限って?

 毎週のように新聞に掲載される食品表示に関する謝罪広告。その多くが消費期限の間違いやアレルギー物質の未表示です。そもそも食品表示は何が書かれ、どういう意味があるのか?自分の勉強をかねて不定期に掲載して行こうと思います。で、今回は本日新聞に掲載された『○○運輸が賞味期限改ざん、農水省が厳重注意』にちなんで、賞味期限について書こうと思います。

 賞味期限の定義は、『定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を越えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。』それに対して 消費期限とは、『定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質に劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。』と難しく書いてありますが、実際は、消費期限は弁当や惣菜などすぐに腐ってしまうもので、おおむね5日以内で急速に品質が劣化するものです。それ以外は賞味期限になります。

 期限の設定は、微生物試験理化学試験、官能試験等含め、科学的、合理的に行う必要があります。また、各協会がガイドラインを作成しています。

 責任は、基本的に製造業者(輸入食品の場合は輸入業者)が負うことになります。なお、製造業者の合意のもと販売業者が期限表示を行う場合は、販売業者が責任を負うことになります。

 今回の新聞に掲載された問題は、“何の根拠もなく”、賞味期限の切れた商品を2年以上延ばし、なおかつ加工日も1年延ばし、さらに、農水省からの命令も無視して行ってしまったという『ダメ ダメ』状態だったようです。
 
 ここで“何の根拠もなく”と書けば、“根拠があったらいいの?”と考える人もいるかもしれません。一応行政に以下のようにして確認したところ、

 問1) 例えば、科学的、合理的なデータから2年以上の賞味期限が設定できるところを、販促(商品の回転を早めるため)のため1年間に設定した場合、途中で半年延ばしてもよいか?

答え1) 科学的、合理的な根拠があれば問題はないです。しかし、保存方法の変更もなく、賞味期限の変更するのであれば、社会通念上通用するかは別問題です。それに、そのような変更はどうか・・・。
 
 というように、行政としてはあまり問題ないとはいいたくないようです。根本的には、在庫管理をしっかりし、このようなことがないようにするのが先決ですね。

 というわけで、今回は賞味期限の話でした。 (コバ)

取材を受けました。

先週の金曜日、(株)食経様の取材をうけました。
残留農薬分析について、検査会社の視点から見た現状についての取材です。

担当記者さんと情報交換をすることで、新制度の施行がせまり、食品に携わる方々は、その対応に日々追われていることを再認識しました。

ポジティブリスト制度に関しては、対応策や業界の動向など、まとめてHPに掲載しようかと思っているので、お楽しみに。

掲載記事の詳しい内容は、乞うご期待です。

ノロウイルスによる集団食中毒

先にこのブログで話題に出した「ノロウイルス」ですが、県内のホテルで、ノロウイルスが原因とみられる集団食中毒が発生しました。

罹患者のみなさんは、全員快方に向かっているとのこと。不幸中の幸いです。

ホテルは3日間の営業停止だそうですが、停止の期間の長短よりも、長年の努力で維持獲得してきたお客様の信頼を回復するのが大変だと思います。

県内や近県での食中毒発生では特にそうなのですが、当社のお客様が食材納入などで直接・間接に係わっていることがなかったか、営業上の影響をうけることにならないか。。。気になるところです。食品・環境衛生営業部のスタッフ達が確認にあたっています。

いな

混入じゃないでしょぉ!

BSE問題にからみ、「アメリカからの輸入牛肉より、脊椎の混入が発見され・・」とニュースが流れた。「混入」と聞いて、非常に微細な、それこそ爪の先ほどの脊椎の破片が入っていたのを、きっと最新の分析技術で検出したのだろうな、と思ったのが、はじめの感想。

ところが。後日公開された実物の画面をみてびっくり。素人が一目みただけで「背骨」と解る大きなものが、どーーんと、パック表面に見えてるじゃないですか!

車を運転しながら聞いていたニュース番組の中で、インタビューに答えた某(牛肉使用系)外食チェーンの方が、「当社では、アメリカの食肉処理場各所を独自に視察調査した結果、安全性を担保できる状況にないと判断したため、輸入解禁後も、購入・使用をみあわせていた」と話していた。

おいおい、民間が、身銭を切って、採算よりも安全性(と、それに伴う信頼性の維持)のためにこれだけのことをやってるんだぞ。輸入再開の判断もきわめて解りやすく「政治決着」だったけど、閣議決定問題もからめ、今回の問題を国内の政争材料に使ってるだけのおじ様方!  与党も野党もひっくるめて、せめてみんな恥ずかしく思ってねぇ!!

いな

ノロウイルス②

 第一の理由として挙げられるのは、ウイルスの感染力が強いということです。10~100個程度で感染発病させることが出来るといわれています。ノロウイルスは感染者の腸内で増殖し糞便によって排出されますが、糞便1g中に1億個以上のウイルスの存在が確認されたデータもあります。つまりは、糞便などによる汚染が極めて少量のものであったとしても、そこには大量のウイルスの存在が推測されるのです。

 第二の理由としては、熱や消毒薬による殺滅が容易ではないということです。ウイルスの不活化には、85℃、1分間以上の加熱が必要とされていますし、食品製造現場において良く使用されている消毒用のアルコールや次亜塩素酸ナトリウムに対する耐性も高いのです。
さらには、感染者の症状消失後もウイルスを輩出することも理由の一つとなります。症状が消失後1週間から1ヶ月程度ウイルスの排出が続くといわれていますので、特に食品を取り扱っている方は、ノロウイルスの症状消失後であっても、直接食品に手を触れないなどの対策が必要です。

これらの理由によって、対策が難しく、多発性が高いノロウイルス感染を防ぐには、どのようにすれば良いのでしょうか?

それは、特殊なことではなく、加熱と洗浄がポイントとなります。具体的には、調理器具や食材などで加熱可能なものは85℃、1分間以上加熱し、手指の洗浄などはブラシなどを使用して、より丁寧にウイルスを洗い流すといったことです。このようなことは、食品調理や加工に従事している方は、当たり前と思っているかもしれません。しかし最後に、もう一つ理由を挙げるならば、食品を扱っている方々の当たり前のことが出来ているか否かということかも知れません。

ノロウイルス①

この時期に、“食中毒 ニュース”といったキーワードでネット検索をすると必ず「ノロウイルス」「集団感染」といった単語が目に映ることと思います。ここ数年、特に一昨年の暮れには、高齢者福祉施設の連続集団発生が起こり、マスコミを賑わせたこともあって、多くの方がこのウイルスに関して目や耳にする機会が増えたことでしょう。では、なぜ、ノロウイルスによる食中毒事件、感染症が多発するのでしょうか?(続く)