数年前に中国産ギョーザの農薬入り事件報道により、中国産食品の農薬分析依頼が相次いだ。一連の報道によって、中国産食品に対する不信感が招いた結果であると思われます。このように輸入食品に関しての問題は、報道がある度に関心が高まり、同時に消費者に対し不信感を募らせます。
しかし、どんなに不信感を抱いたところで、現状、わが国が中国を含めた諸外国に依存しないで食糧を賄うことは不可能です。農林水産省の調べでは、カロリーベースでわが国の食糧自給率は39%であり、群馬県の食糧自給率は34%と全国よりも下回っています。
つまり、食品の61%は輸入に頼っているわけで、どんなに輸入先の問題を取り上げたところで「もう明日から輸入しませんよ。」とは言えない事情にあります。また、輸入品食品の中でも落花生、ニンニク、キノコ類、蛤及びわかめ等はほとんどが中国産です。わが国に距離的に近く、資源が豊富な中国は当然ながらわが国にとっても依存度の高い国と言えます。
ここで一連の報道から情報を得ている消費者にとってはジレンマが生じるのでしょう。私が思うに、食品に対して国産信仰者の多いわが国では原材料に「国産○○」と表示されていると、それだけで安心に思う人が多いのではないでしょうか。
しかし、実際の国産原材料を使用した食材は数量的に非常に少ない。それにも関わらず、「安く入手したい」と思うのが消費者の更なる欲求でしょうが、食品全体からすると数量割合の少ない国産原材料は当然、価値が上がります。
そもそも、どんなに輸入品を敬遠しても消費者の安値を求めた結果が、労働賃金が日本よりも低い諸外国で加工し、輸入する結果になったといえます。逆に言えば、「安くて、国産○○だけを使用した食品」なんて都合のよい物は存在しないのです。そろそろ消費者も「水」や「医療」等で抱いている「安くて安心・安全」のようなわが国の印象を食品すべてに求めてはいけないのではないでしょうか?
今後の消費者の選択は、数少ない「国産○○」の食品を求めるならば、高い値で買えば良いし、安さを求めるならば、数量の多い輸入品を選べば良いのです。「安くて、数量の少ない国産○○のみ使用」のような無理な要求は、販売者を通してメーカーやその先の原材料供給者や農水産業者の経営をどんどん圧迫させてしまいます。これでは更に食糧自給率を減らす事を招き、消費者のジレンマは今以上に膨れ上がるのではないでしょうか?
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