神戸大学、河川由来細菌によるPFAS低減を報告 環境浄化技術への可能性

神戸大学は2026年7月15日、PFASで汚染された河川の底質から単離した細菌について、PFAS濃度を低減する能力を確認したと発表しました。神戸大学バイオシグナル総合研究センターの乾秀之准教授らの研究グループによる成果で、原著論文は2026年6月19日に国際学術誌「Journal of Water Process Engineering」にオンライン掲載されています。

PFASとは

PFASは、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称です。撥水性、撥油性、耐熱性、耐薬品性などの特性から幅広い用途で使われてきました。一方、炭素とフッ素の結合が強く環境中で分解されにくいため、長く残留しやすい物質群として「永遠の化学物質」と呼ばれることがあります。

河川底質から7菌株を単離

研究グループは、大阪府内のPFAS汚染河川から採取した底質を、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)を含む培地で培養しました。16S rRNA遺伝子の解析により、Rhodococcus属、Priestia属、Paenibacillus属、Xanthobacter属に属する7菌株を単離しています。
PFOSとPFOAを対象に除去能力を評価したところ、Xanthobacter sp. XaP株はPFOSを最大17.8%、Priestia sp. PmB株はPFOAを最大14.1%低減しました。PFOSでは直鎖型と分岐型の両方で濃度低減が確認されています。研究グループは、PFASの低減には細菌表面への吸着が重要な役割を持つ可能性を示しました。

浸出水を用いた試験でも濃度低減を確認

研究室内の培地での評価に加え、産業廃棄物最終処分場から採取した浸出水を用いた試験も行われました。XaP株はPFOS、PFOAを含む複数のPFAS濃度を低減し、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)では最大97%の低減が確認されました。これは、実際の浸出水のように成分が複雑な条件でも、細菌の利用可能性を検討できることを示す結果です。

実用化に向けた今後の課題

今回の成果は、細菌を利用するバイオレメディエーション(生物の働きを利用した環境浄化)技術につながる可能性を示す研究成果です。ただし、PFAS濃度の低減が分解によるものか、別のPFASへの変換や細菌表面への吸着によるものかについては、追加の解析が必要とされています。今後は代謝産物、関与する遺伝子や酵素、長期培養での安定性、吸着したPFASが再放出される可能性などを評価し、実用化を目指すとしています。現時点では研究段階であり、PFASを完全に除去できる技術として実用化されたものではありません。

食環研のPFAS検査について

食環研では、飲料水・河川水などの水質、血液・血漿・血清、農畜水産物、消火剤を対象としたPFAS検査・分析を行っています。対象試料や分析項目の詳細は、上記のPFAS検査(有機フッ素系化合物)のページをご確認ください。

参考

神戸大学の研究発表および原著論文を参考に作成しました。

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