農場ごとのウィークポイントの把握と生産成績向上に役立つ飼料分析 2025年11月号

その原因は本当に疾病ですか?疾病以外に原因はありませんか?生産現場では疾病が原因と思いこむことで初動対応が遅れ、本当の敵(主原因)を見逃すことがあります。この初動対応の遅れと、間違った方向の対応は、問題が解決しないばかりでなく、無駄な経費の増加や無駄な労力の増加を促し、対応を追加・・追加・・するばかりの足し算管理となってしまいます。まさに負の連鎖を迎えてしまいます。

弊社では養豚業のあらゆる悩みや痒い所を網羅したいため、疾病検査とは別に、環境的要因や栄養的要因の側面からアプローチできる検査も行っています。その中でも、ここ最近でさらに依頼が増えている検査として、『飼料分析』があります。弊社で始めたこの飼料分析は、農場ごとのウィークポイントの把握と生産成績向上に役立つ検査となっていて農場様からも好評をいただいています。

 

せっかく多産系品種を使っているのに・・、設備も新しくしたのに・・、多く生まれても中々離乳頭数が上がらない・・、産子数は多いのに死産が目立っている・・、生まれた子豚の活力が弱い・・、離乳体重や活力がイマイチ・・、育ちがイマイチで枝重量が伸びない・・、バイヤーからのクレーム回数が多い・・、出荷豚の骨が脆いと言われた・・、母豚の損耗事故が例年より多くなった・・等々、思い当たることはないでしょうか。これら農場で聞かれるトラブルはそう珍しくない頻度で多々存在していると思います。

 

母豚群は確かに多産傾向になっていますが、それに伴って飼料中のカルシウムとリンのバランス、アミノ酸類のバランスがとても重要となっています。これら栄養成分がバランスを崩し、過不足になると、様々な弊害が発生しやすくなります。リジンレベルの確認と強化は勿論として、特にカルシムとリンの量とバランスは、母豚の健康維持や様々なトラブルの回避に大きく役立ちます。また近頃は塩分に関する質問ももちらほら相談があり、豚に与える塩分濃度を調整した農場では目的のトラブルが改善した事例もあります。

下記は弊社でお薦めしている飼料分析の概要です。この飼料分析では、弊社スタッフが丁寧に説明し、農場で役立つグラフ解析報告書となっています。どこのステージに過不足があるか否かも解るようになっています。

 

飼料分析

この検査自体は以前から行っていたのですが、検査結果の見やすさ(見える化)、その後の対応のしやすさ(不足分、過剰分の素早い判断)を改良させていただきました。実際に、多産系品種採用農場、自家配合飼料を使用している農場、バイオフィードを使用している農場など、その農場ごとの悩みを抱えていた生産者様から好評をいただけています。例えば、今までは疾病が優先と思っていた成績不振(PRRSが関与)についても、改善傾向に向かうなど、疾病検査以外のアプローチでとても役立つ検査となります。実際に豚の効率的な成長や高能力母豚の能力を十分に発揮させるためには、ステージに合ったアミノ酸やリン・カルシウムなどのバランスが良好な飼料を給与することが重要となり、不足成分の添加や過剰成分の削減など、より良い飼料設計に役立ちます。

 

弊社の飼料分析の評価基準には、PIC推奨値、ハイポー推奨値、日本飼養標準推奨値の3つを用いています。これにより、今日本で飼養されているすべての品種で対応が可能となっています。農場様で飼養されている品種ごとに見合った評価基準を用いることにより、農場の方々の飼料評価にご活用いただけます。

 

飼料設計や組み立てにお悩みの方、思うような成績がでないと感じている方、母豚の損耗事故や死産に悩んでいる方、虚弱子豚が多いことに悩んでいる方、発育が思わしくないと悩んでいる方、以前よりもワクチンの効きが悪いと感じている等々、少しでもお役に立てればと思い開発した検査となります。是非お気軽にご相談ください。

 

下記の参考評価事例はPIC推奨、ハイポー推奨の2つです。日本飼養標準の参考事例もありますのでお気軽にお尋ねください。

 

豚用飼料評価例 (PIC推奨値)

評価表 検査飼料結果 PIC推奨値
育成(35~50kg)
実測値1)

含量(%)3)

有効アミノ酸2)

含量(%)3)

対PIC推奨値(%)4) 有効アミノ酸

含量(%)3)

リジン 0.92 0.78 74 1.06
メチオニン+シスチン 0.56 0.48 79 0.61
スレオニン 0.62 0.53 77 0.69
トリプトファン 0.15 0.13 68 0.19
バリン 0.75 0.64 89 0.72
イソロイシン 0.56 0.48 81 0.59
カルシウム 0.55 – – –
リン 0.46 – – –
カルシウム/リン比率 1.20 Ca/P – 80~96 1.25~1.50

1)実証値:飼料に含まれる各成分の総含有量

2)有効アミノ酸:飼料に含まれるアミノ酸のうち実際に豚に消化されるアミノ酸(消化率85%として算出)

3)含量(%):1.00%=1.00g/100g=1000mg/100g

4)対PIC推奨値:検査飼料結果(有効アミノ酸)+PIC推奨値×100

 

豚用飼料評価 (PIC推奨値) のチャート例

検査飼料のアミノ酸の『対PIC推奨値%』をチャートで表します

アミノ酸バランスを可視化することで、不足している成分や過剰な成分がわかりやすくなります

 

豚用飼料評価例 (ハイポー推奨値)

評価表 検査飼料結果 PIC推奨値
育成(35~50kg)
実測値1)

含量(%)3)

有効アミノ酸2)

含量(%)3)

対ハイポー推奨値(%)4) 有効アミノ酸

含量(%)3)

リジン 0.92 0.78 87 0.90
メチオニン+シスチン 0.56 0.48 102 0.47
スレオニン 0.62 0.53 91 0.58
トリプトファン 0.15 0.13 65 0.20
バリン 0.75 0.64 89 0.72
イソロイシン 0.56 0.48 92 0.52
全カルシウム 0.55 – – 0.92
全リン 0.46 – – 0.80
カルシウム/リン比率 1.20 Ca/P – – –

1)実証値:飼料に含まれる各成分の総含有量

2)有効アミノ酸:飼料に含まれるアミノ酸のうち実際に豚に消化されるアミノ酸(消化率85%として算出)

3)含量(%):1.00%=1.00g/100g=1000mg/100g

4)対ハイポー推奨値:検査飼料結果(有効アミノ酸)+PIC推奨値×100

 

豚の成長によって飼料の要求量は変動します

給与する豚のステージに対応する飼料成分推奨値をどの程度満たしているかを『対ハイポー推奨値%』で評価することが出来ます

 

豚用飼料評価 (ハイポー推奨値) のチャート例

検査飼料のアミノ酸の『対ハイポー推奨値%』をチャートで表します

アミノ酸バランスを可視化することで、不足している成分や過剰な成分がわかりやすくなります

 

㈱食環境衛生研究所 菊池雄一

 

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