PRRS、PCV2の陰で暗躍する疾病-グレーサー病- 2026年5月号
グレーサー病の原因菌「Haemophilus parasuis」は、現在「Glaesserella parasuis(グレーセレラ・パラスイス)」という新しい名称に再分類されています。この変更は、2019年から2020年にかけての分子系統解析に基づく分類見直しによるもので、より正確な分類体系に基づいて新属「Glaesserella」が設けられた結果です。
新属「Glaesserella」となったグレーサー病ですが、現場では依然として「Hps(Haemophilus parasuis)」という略称が使われることも多いので、ここは皆さんが馴染みやすい「Hps(Haemophilus parasuis)」でお話を進めていきたいと思います。
近年また増加傾向にあるグレーサー病ですが、養豚現場でしばしば問題となる感染症の一つになっています。特に子豚や若齢豚において発症しやすく、急性の多発性漿膜炎や関節炎、髄膜炎などを引き起こします。この菌は豚の上部気道に常在していることが多く、健康な豚でも保菌していることがあります。しかし、免疫の低下、ストレス等が加わることで病原性を発揮し、全身性の感染を引き起こすので注意が必要となります。又、病状がマイコプラズマ・ハイオライニスと似ていることもあり、その診断には病性鑑定検査の実施も必要となります。
主な症状
- 発熱(40℃以上)
- 元気消失、食欲不振
- 関節炎による跛行
- 髄膜炎による神経症状(ふらつき、けいれん)
- 呼吸困難や胸膜炎
- 腹膜炎や心膜炎
発症は急性で、特に離乳後1〜3週間の子豚に多く見られる。
近年は導入豚、母豚、雄豚、60日齢以降の子豚にも見られることが多い。
対応としては、市販ワクチンの使用、感受性薬剤の使用などがありますが、やはり、日和見的な発生が主な疾病でもあるので、日々の飼養管理の徹底と見直しが重要とも言えます。特に現場で感染や事故が起こりやすくなるきっかけと言われるPS、GPを含む導入豚からの感染や、種豚群への感染、母子感染(子豚への垂直感染)には注意が必要になります。繁殖舎側で発生が見られる場合は、導入豚舎や育成豚舎の管理状態の見直しを図るといいでしょう。子豚舎や肥育舎での発生が見られる場合は、風当りや隙間風、特に過換気側の空調管理にも注意して見てください。
(株)食環境衛生研究所 菊池雄一