米に湧く虫の種類
米に湧く代表的な虫は、黒い小型のコクゾウムシと、白っぽい幼虫や小さな蛾として見つかるノシメマダラメイガです。ほかにも、チャタテムシやコナナガシンクイムシなどの小さな虫が、米や米びつの周辺で見つかることがあります。
虫が米に湧いた際に注意したいのは、虫が発生する場所が米だけとは限らないことです。小麦粉・乾麺・菓子・ペットフードなどにも虫が湧く可能性はあるため、米びつで虫を見つけたら周囲の乾物も確認しましょう。
ここからは、米に湧く代表的な虫について、見た目の特徴とともに、健康への影響や米以外で発生する場所を紹介していきます。
コクゾウムシ|黒色・茶褐色の小さな虫
コクゾウムシは、米や麦などの穀物を食べる小さな甲虫です。米びつの中で黒い虫が動いているのを見て気づくことが多く、虫が増えると米粒に小さな穴が見つかる場合もあります。

□コクゾウムシの基本情報
米粒の内部に卵や幼虫がいると、外から見ただけでは気づきにくく、精米時の選別でも取り除けないことがあります。そのため、購入したときは虫が見えなくても、保存中に成虫が出てくる場合があります。
米粒に小さな穴があったり、虫が何匹も見つかったりする場合は、すでに米の内部まで食害が広がっている可能性があります。虫が見えなくなっても、卵や幼虫まで取り除けたとは限りません。
また、同じ穀物を食べる虫は、米以外の麦類などにも発生します。米びつで虫を見つけたら、棚に残った古い穀物やこぼれた米粒も確認し、発生源を残さないようにしましょう。
コクゾウムシによる健康被害はある?
農研機構によると、コクゾウムシなどの保存食品につく害虫から、誤って食べたときに短期間で毒性を示す物質は報告されておらず、健康被害はまれです。
ただし、アレルギーがある人や、米にカビ・異臭がある場合は別の問題が考えられます。虫が大量に発生している米も、無理に食べず処分しましょう。
ノシメマダラメイガ|白い幼虫や小さな蛾
ノシメマダラメイガは、米や小麦粉などの乾燥食品に発生する蛾の仲間です。米びつの白っぽい幼虫や、台所を飛んでいる小さな蛾として見つかることがあり、特に幼虫が食品を食べて被害を起こします。


出典(右):Plodia interpunctella adult FV.jpg/Fvukajlovic/CC BY 4.0(縮小)
□ノシメマダラメイガの基本情報
ノシメマダラメイガで特に注意したいのは、米が細い糸でつながったり、ぬかや食べかすが固まったりすることです。幼虫が出す糸によるもので、成虫の蛾だけを取り除いても、食品中に幼虫や異物が残る場合があります。
発生源は米に限らず、小麦粉・乾麺・菓子・ペットフードなどの乾燥食品にも及びます。米びつを掃除しても小さな蛾が飛び続ける場合は、近くの食品袋にも虫や穴がないか確認してください。
幼虫は成虫になる前に食品から離れ、棚の隅や容器の隙間に移動することもあります。米に虫が見えなくても、台所で蛾を見つけたときは、保存食品の周囲まで点検することが重要です。
糸や幼虫、抜け殻などが多く混入した米は、取り除き切ることが難しくなります。そのような場合は、虫を殺すことだけを考えるのではなく、米を処分する方が適切です。
ノシメマダラメイガによる健康被害はある?
ノシメマダラメイガ自体に、人が食べて短期間で毒性を示す物質は報告されておらず、誤食による健康被害はまれとされています。
ただし、虫や食品の腐敗、アレルギーの可能性には注意が必要です。特に虫が大量に混入している場合は食べないようにしましょう。
その他の小さな虫|チャタテムシ・コナナガシンクイなど
米や米びつの周辺では、チャタテムシやコナナガシンクイムシなども見つかります。いずれも小さな虫ですが、チャタテムシは湿気やカビのある場所でも増える一方、コナナガシンクイムシは米・麦などの粒を食べるため、注意する場所が異なります。


出典(右):Rhyzopertha dominica Fabricius, 1792.jpg/Udo Schmidt/CC BY-SA 2.0(縮小)
□チャタテムシ・コナナガシンクイムシの基本情報
チャタテムシが米びつの周囲で増えている場合、原因が米そのものとは限りません。食品棚の粉や菓子くず、カビや湿気が残っていると再発するため、米の交換だけでなく周辺の掃除と湿気対策が必要です。
この2種類は発生を防ぐポイントも異なります。チャタテムシが増えている場合は、乾物の点検に加えて棚の湿気やカビ対策が重要です。コナナガシンクイムシの場合は、米や麦などの穀物、こぼれた米粒を中心に確認しましょう。
これらの虫による健康被害はある?
ヒラタチャタテは誤って食べても健康への影響は極めて低いと考えられており、コナナガシンクイムシなどの食品害虫でも急性の毒性は報告されていません。
ただし、ヒラタチャタテは喘息の原因となるアレルゲンとして報告されており、毒性がないこととアレルギーの心配がないことは別だと考えておきましょう。
米に虫が湧く原因
米に虫が湧く主な原因は、「購入前からの混入」「保存中の侵入」「入り込んだ虫が増えやすい環境」の3つです。
米に湧く虫を見つけた際には発生した場所を一つに決めつけるのではなく、購入から発見までの期間、袋の状態、保存温度などを併せて考えましょう。
購入前から虫や卵が混入している場合がある
米は収穫後、玄米の貯蔵庫や精米所などを経て家庭に届きます。こうした過程で虫が混入する可能性があり、特にコクゾウムシの卵や小さな幼虫は米粒の内部にいるため、外から見えにくいのが特徴です。
精米時には、色や形の異なる米粒や異物を選別機で取り除きますが、米粒内部に虫がいる場合は取り除けないことがあります。このため、買ったときには虫が見えなくても、保存中に成虫が現れる場合があります。
保存中に外から虫が侵入する場合がある
保存中は、米袋の開口部や容器の隙間などから虫が侵入することがあります。ノシメマダラメイガの幼虫などは薄い包装材を傷つけることがあり、米を袋に入れたままだから安心とは限りません。
虫の発生源は米以外の食品である場合もあります。小麦粉、乾麺、菓子、ペットフードなどに虫が増えていれば、そこから米びつへ移動する可能性があるため、米と一緒に周辺の食品棚も点検してください。
高温で長期間保存すると虫が増えやすくなる
保存中の害虫は、気温が高い時期に活動や繁殖が活発になりやすく、長期間保管した米ほど虫が目立つ場合があります。多くの食品害虫は15℃以下で発育や繁殖が抑えられるため、冷蔵庫での低温保存が予防に役立ちます。
なお、ここでいう15℃以下は、虫を増やしにくくする目安であって、虫をすべて殺す温度ではありません。すでに卵や虫が混入している可能性もあるため、低温保存だけでなく密閉や清掃も組み合わせましょう。
虫が湧いた米は食べられる?
米に湧きやすいコクゾウムシは、卵や幼虫だと米粒の中にいるため、目に見える虫を取り除いても残る場合があります。また、保存状態によっては米が傷んだりカビが増殖したりするほか、虫の混入によるアレルギーにも注意が必要です。
【弊社からのワンポイント】
米などにつく虫を誤って食べても、健康被害はまれです。しかし、虫そのものによる健康被害が少ないことと、虫が湧いた米を安全に食べられることは別の問題です。
食品検査では、虫などの異物を確認する検査と、細菌・カビなどの微生物やカビ毒を調べる検査は、目的が異なります。つまり、目に見える虫を取り除いても、保存中の米の衛生状態まで確認できたことにはならないのです。
家庭でこうした状態を十分に判断することが難しいため、弊社の立場で言えば虫が湧いた米を食べることは推奨できません。
米に虫が湧いたときの駆除・対処方法
米に湧く虫を見つけた際には、下記の方法で駆除・対処を進めてみてください。
- 米にカビや異臭などの異常がないか確認する
- 処分しない場合は目に見える虫を取り除く
- 炊く分を洗米する
- 米びつと周囲の食品を点検する
虫の大量発生や米の腐敗が疑われる場合は、虫を取り除く作業を続けず、米を処分する判断を優先しましょう。
米を広げて目に見える虫を取り除く
まず米を清潔な紙や浅いトレーに薄く広げ、動いている成虫や目に見える幼虫を取り除きます。かたまりになった米や糸・抜け殻なども確認し、異物が多く残る場合は食用にしない方がよいでしょう。
農林水産省は、ベランダなどの日光が当たる場所で米を広げる方法を紹介しています。作業する場合は衛生的な場所を選び、取り除いた虫が室内へ戻らないように処分してください。
なお、米を広げる目的は、あくまで虫を見つけやすくして取り除くことです。長時間の天日干しは米を乾燥させて品質を損なうおそれがあるため、日光に当て続ければ安全になると考えないでください。
洗米して小さな虫や異物を取り除く
目に見える虫を除いたら、炊く分の米を水で洗い、浮いてくる小さな虫やごみを取り除きます。水を替えながら確認し、幼虫や糸状の異物が繰り返し見つかる場合は、無理に食用にしない方がよいでしょう。
洗米は米の表面や隙間にある異物を取り除くための方法であり、米粒の内部にいる卵や幼虫をすべて除去することはできません。炊飯で虫が死んだとしても、虫の一部や死骸は残るため、「洗って炊けば確実に元どおりになる」とは考えないでください。
冷凍や殺虫剤で駆除する場合は注意が必要
冷凍は、虫の発生が少ない食品に対して殺虫の手段となる場合があります。ただし、冷凍して虫が死んでも、米の中に死骸・卵・幼虫などは残るため、食べる場合にはそれらを取り除く必要があります。
農研機構は、少量で発生が少ない食品なら冷凍殺虫が可能とする一方、小さな卵や幼虫まで完全に取り除くのは難しいと説明しています。低温で増殖を抑える「冷蔵保存」と、発生した虫を殺す「冷凍処理」は、目的も結果も異なります。
また、米に家庭用の一般的な殺虫スプレーを直接噴霧することは避けてください。殺虫剤は食品の虫を除去するための洗浄剤ではなく、薬剤が付着した米を食用にできるとは限りません。
食品棚の周辺に虫が出ている場合は、食品を保護したうえで製品の使用場所・対象害虫の表示に従う必要があります。米用の防虫剤についても、すでに大量発生した虫をすべて駆除できるものとは考えず、予防目的と区別しましょう。
米びつや周辺の保存場所を掃除する
米を取り出したら、米びつの底・ふたの溝・計量カップの周辺に残った米粒やぬかを除去してください。容器が洗える素材なら洗浄し、十分に乾かしてから新しい米を入れます。
湿ったまま密閉すると、虫の問題とは別にカビなどの発生につながるおそれがあります。古い米を残したまま新しい米を継ぎ足さず、容器を空にして掃除する習慣をつけましょう。
また、食品棚の小麦粉・乾麺・菓子・ペットフードなども開封状態や虫の有無を確認しましょう。棚や隙間で虫が歩いていたり蛾が飛んでいたりする場合は、掃除機で吸い取り、集めたごみを速やかに密閉して処分すると再発を抑えやすくなります。
米だけ入れ替えても虫が続けて出てくるなら、周囲の食品に発生源が残っていないかを再確認してください。
米に虫が湧くのを防ぐための保存方法
米の虫を防ぐ基本は、密閉して侵入を減らし、低温で増殖を抑え、長期間ため込まず、保存容器を清潔に保つことです。それぞれ役割が異なるため、唐辛子や米用防虫剤だけに頼るよりも、複数の対策を組み合わせた方が確実です。
密閉容器に移して虫の侵入を防ぐ
購入した米は、清潔で乾いた食品用の密閉容器に入れ、ふたを確実に閉めて保存しましょう。販売時の米袋には破裂防止のための小さな穴がある場合があり、袋のままでは湿気や周囲のにおいが移りやすいです。
密閉容器は外からの侵入を防ぐのに役立ちますが、購入前から米粒内部に卵があった場合、それだけで発生を止められるとは限りません。開封時に虫や異物がないか確認し、次の低温保存と組み合わせることが大切です。
冷蔵庫などの低温環境で保存する
米は高温・直射日光・湿気を避け、温度変化の少ない場所で保存しましょう。家庭では密閉容器や厚手の食品用保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に置くと、虫が増えにくい温度を保ちやすくなります。
コクゾウムシなどの米に湧きやすい虫は15℃以下になると活動が鈍り増殖できなくなります。しかし、15℃以下で虫が死滅するわけではありません。
すでに虫がいる米を冷蔵しても、虫や卵が消えるわけではないため、冷蔵は主に発生を抑える予防策と理解しておきましょう。
野菜室は湿度が高い場合もあるため、袋や容器の口をしっかり閉じ、米を湿らせないようにしましょう。冷蔵庫から取り出した容器を暖かい場所で開ける際には結露にも注意し、必要量を手早く取り出してください。
米を長期間保存せず、米びつを清潔に保つ
米を長く保存するほど、虫の侵入や増殖に気づくまでの期間も長くなりがちです。農林水産省は、精米後の風味や品質を保つ観点から約1か月で食べきれる量の購入を勧めていますが、1か月を過ぎた瞬間に危険になるという意味ではありません。
新しい米を入れる前には、古い米を使い切り、容器の隅に残る米粒やぬかを取り除いてください。古い米が残ったまま継ぎ足すと、虫や食品くずを次の米へ持ち越す可能性があります。
冷蔵スペースが限られる場合は、米を少量ずつ密閉容器に分け、使う分から開封すると管理しやすくなります。
未開封の米にも虫が湧くことはありますか?
未開封でも、包装前から米粒の内部に卵や幼虫がいた場合や、保存中に包装の隙間・損傷箇所から侵入した場合などには虫が見つかることがあります。
購入直後に見つかった場合は、米や袋の状態が分かる写真、購入日、保存状況などを記録し、販売店や精米元に相談しましょう。捨てる前に相談する場合も、虫がほかの食品に広がらないよう袋を密閉して扱ってください。
無洗米にも虫が湧くことはありますか?
無洗米は通常の精米より表面の肌ぬかを取り除き、炊飯前の洗米の手間を少なくした米ですが、虫の侵入や卵の孵化を防ぐための加工ではありません。
そのため、無洗米でも保存環境によっては虫が発生します。
普通の精米と同じように、開封後は密閉して低温で保存し、長期間置かずに食べ切りましょう。虫を発見した場合の食用可否の判断も、無洗米だから特別に安全ということはありません。
唐辛子や市販の米用防虫剤で虫を防げますか?
米用の防虫剤は、製品によって対象害虫や使い方が異なり、虫を寄せ付けにくくする補助として使えます。しかし、すでに米の中にある卵や幼虫まで必ず除去できるわけではなく、密閉・低温保存・清掃の代わりにはなりません。
唐辛子は昔から米の虫よけとして使われますが、入れておけば虫が絶対に発生しないというものではありません。農研機構は、ノシメマダラメイガが香辛料を含む食品でも問題になることを紹介しており、効果を過信しないことが大切です。
市販の米用防虫剤を使う場合は、対象食品・使用量・設置方法・有効期間などの表示を確認してください。食品に直接使えない一般的な殺虫剤を米へ噴霧することは避けましょう。
まとめ
米に虫が湧くのは、購入前に入り込んだ卵や虫が成長したり、保存中に外から侵入したりするためです。主にはコクゾウムシやノシメマダラメイガといった虫が挙げられます。
一般的には虫を取り除いて食べられる場合もありますが、弊社では食用を推奨しません。虫が大量発生している場合や、異物が取り切れない場合、カビや異臭がある場合は、食べずに処分しましょう。
再発防止には、密閉容器への移し替え、15℃以下を目安とした低温保存、早めの消費、米びつと周辺の乾物の清掃を組み合わせることが重要です。虫の種類を写真で確認するときも、色だけで決めず、姿や米粒に残った痕跡を併せて判断してください。