トランス脂肪酸が多い食品ランキングTOP10
ここでは、農林水産省が公表しているデータをもとにトランス脂肪酸が多い食品をランキング形式で紹介していきます。
普段食べる加工食品を比較しやすいよう、マーガリンやショートニングなどの油脂類5品目を除き、残る22品目について測定された食品100g当たりのトランス脂肪酸含有量について、中央値が高い順に並べています。
なお、中央値とは、調査した商品の値を小さい順に並べたときの中央の値です。例えば、10商品を調査した場合は、5番目と6番目の数値の平均が中央値になります。
一部の商品が極端に高い値でも数値がばらつきにくいため、品目ごとの傾向を比較する目安になります。
ランキングでは、ウエハースとカレー・ハヤシ・シチューなどのルウが、ともに0.46g/100gで同率1位となりました。次いでマヨネーズ・マヨネーズタイプのドレッシングが0.39g、その他のドレッシングが0.38g、米菓が0.25gと続きます。
トランス脂肪酸は菓子類に多く含まれている印象があるかもしれませんが、ルウや調味料にも含まれています。
トランス脂肪酸が多い食品の特徴
トランス脂肪酸が多い食品には、「油脂を多く含む」「トランス脂肪酸を含む加工油脂が原材料に使われている」という共通点が見られます。
ここからは、トランス脂肪酸が多い食品の特徴について、それぞれ具体的に解説していきます。
油脂を多く含む食品
トランス脂肪酸が多い食品の特徴として、油脂を多く含んでいることが挙げられます。実際にランキング上位のウエハースやルウ、マヨネーズ・ドレッシング類、米菓には、製造過程で油脂が使われています。
トランス脂肪酸は脂肪酸の一種なので、油脂が多ければ、その油脂に由来するトランス脂肪酸が食品に入り込む余地も大きくなります。
例えば、ウエハースには生地の間に挟むクリームなどに油脂が使われることがあり、ルウはコクやとろみを出すために油脂が重要な原材料となります。米菓も、焼きせんべいから揚げ菓子まで製法が幅広く、油で揚げたり調味油を使ったりする製品では脂質の割合が増えます。
つまり、食品名だけでなく、製造時に油脂がどの部分に、どれくらい使われるかが、トランス脂肪酸の含有量を考えるうえで重要です。クリームの配合量や、揚げる・焼くといった製法の違いにも目を向けると、トランス脂肪酸が多く含まれているかの参考になります。
マーガリンやショートニングなどの加工油脂を使用した食品
マーガリンやショートニングなどの加工油脂を使用した食品は、トランス脂肪酸が多く含まれる傾向があります。
例えば、クロワッサンやパイ、クッキーなどには、生地を層状にしたり、サクサクした食感を作ったりするために、マーガリンやショートニングが使用されています。
これらの油脂にトランス脂肪酸が含まれる理由の一つは、製造時の加工方法です。特に、液体の油脂を固めるための「部分水素添加」という加工では、脂肪酸の一部がトランス型に変化することがあります。
実際に、農林水産省が2022~2023年度に市販品を調査したところ、マーガリンやショートニングなどには、以下の量のトランス脂肪酸が含まれていました。
たとえば、食パンの0.03g/100gと比べると、マーガリンが約22倍、ショートニングが約20倍に相当します。また、今回の食品ランキングで1位だったウエハースの0.46g/100gよりも高い値です。
このように、マーガリンやショートニングは、完成したパンやお菓子と比較しても、食品100g当たりのトランス脂肪酸含有量が比較的多い原材料です。
そのため、マーガリンやショートニングを多く使用する食品は、トランス脂肪酸の含有量が高くなる傾向があります。
普段の食事に取り入れられる食品にはトランス脂肪酸がどれだけ含まれる?
トランス脂肪酸は、ランキング上位の食品だけでなく、普段食べている食パンや揚げ物、牛肉、牛乳などにも含まれています。
ここからは、農林水産省の調査結果をもとに、食品100g当たりの含有量と、実際に食べる量に換算した場合の摂取量を紹介します。
パンやお菓子に含まれるトランス脂肪酸の量
普段食べられやすいパンやお菓子にもトランス脂肪酸が含まれています。農林水産省が2022~2023年度に市販品を調査した結果は、次のとおりです。
上記の結果を実際に食べる量に換算すると、食パン1枚(60g)には約0.02g、クロワッサン1個(50g)には約0.10g、ウエハース30gには約0.14gのトランス脂肪酸が含まれる計算です
揚げ物に含まれるトランス脂肪酸の量
フライドポテトや鶏のから揚げ、コロッケなど、普段の食事で食べる揚げ物にもトランス脂肪酸が含まれています。
農林水産省が2016年度に市販の揚げ物を調査した結果は、次のとおりです。
実際に食べる量に換算すると、フライドポテト100gには約0.15g、鶏のから揚げ100gには約0.15g、コロッケ1個(80g)には約0.22gのトランス脂肪酸が含まれる計算です。
肉類や乳製品に含まれるトランス脂肪酸の量
牛肉や牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターなどにもトランス脂肪酸が含まれています。
牛などの反すう動物では、胃の中の微生物の働きによってトランス脂肪酸が自然に生成されるため、加工油脂を使用していない肉や乳製品にも含まれています。
農林水産省が2006~2007年度に実施した調査結果は、次のとおりです。
実際に食べる量に換算すると、牛乳コップ1杯(200g)には約0.18g、プロセスチーズ20gには約0.18g、バター10gには約0.19gのトランス脂肪酸が含まれる計算です。また、和牛モモ肉を100g食べた場合は約0.29g、和牛サーロインを100g食べた場合は約0.77gとなります。
トランス脂肪酸を摂りすぎるとどうなる?
トランス脂肪酸を長期間にわたって多く摂取すると、心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクが高まります。
トランス脂肪酸には、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らす作用があります。LDLコレステロールが増えると動脈硬化が進みやすくなり、心臓の血管が狭くなったり詰まったりすることで、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まります。
そのため、WHOは、トランス脂肪酸の摂取量をできるだけ少なくすることを推奨しています。特に注意したいのは、トランス脂肪酸を多く含む食品を日常的に食べ続け、継続的な摂取量が多くなることです。
トランス脂肪酸の1日の摂取目安
WHOは、トランス脂肪酸の摂取量を1日の総摂取エネルギーの1%未満に抑えることを推奨しています。たとえば、1日に2,000kcalを摂取する人であれば、トランス脂肪酸を約2.2gまでに抑えるのが目安です。
ただし、日本人の平均的な摂取量は、この目安を大きく下回っています。
実際に食品安全委員会による報告では、日本人の平均摂取量は1日約0.67gで、総摂取エネルギーの約0.3%でした。WHOが推奨する1%未満という目標の3分の1程度に収まっている数値です。
日本人の大多数がWHOの目標を下回っている結果から、食品安全委員会は通常の食生活であればトランス脂肪酸による健康への影響は小さいと評価しています。
そのため、トランス脂肪酸を含む食品を食べたからといって、必要以上に心配する必要はないとも言えます。ただし、脂質の多い食品に偏った食生活では摂取量が増える可能性があるため、日頃から食事全体のバランスを意識することが大切です。
トランス脂肪酸の摂取目安を守りやすいメニュー例
トランス脂肪酸を含むパンや揚げ物、お菓子を食べても、食品の組み合わせや食べる量によっては1日の摂取目安を下回ります。
農林水産省が公表している食品別のトランス脂肪酸含有量をもとに、1日の食事メニューを試算した結果は次のとおりです。
このメニューでは、食品から摂取するトランス脂肪酸は1日約0.64gとなり、1日2,000kcalを摂取する人の目安である約2.2g未満を大きく下回ります。
食パンや揚げ物、ウエハースなどを食べても、必ずしもトランス脂肪酸を摂りすぎるわけではありません。摂取量を考える際は、特定の食品を避けることだけでなく、1日を通して何をどのくらい食べるかが重要です。
トランス脂肪酸の摂取目安を超えやすいメニュー例
脂肪分の多い肉類や乳製品などを多く食べると、1日のトランス脂肪酸摂取量が目安を超える場合があります。
例えば、和牛サーロインやバター、チーズなどを組み合わせた場合、農林水産省の調査値をもとにした摂取量は次のようになります。
このメニューでは、食品だけでトランス脂肪酸の摂取量が約2.63gとなり、1日2,000kcalを摂取する人の目安である約2.2gを上回ります。
特に和牛サーロイン200gには、調査値から計算すると約1.54gのトランス脂肪酸が含まれます。さらにバター20gで約0.38g、プロセスチーズ40gで約0.36gが加わるため、1日の摂取量が多くなります。
このように、トランス脂肪酸はパンやお菓子だけでなく、肉類や乳製品からも摂取します。脂肪分の多い食品を多く食べる日には、ほかの食事で使用する油脂や食品の種類にも気を配るとよいでしょう。
トランス脂肪酸の摂取を減らす方法
トランス脂肪酸の摂取量を減らすには、含有量の多い食品を食べる量・回数を見直すほか、食品の種類や調理方法を変えることが効果的です。
ここからは、トランス脂肪酸の摂取を減らすために、毎日の食事で取り入れやすい方法を3つ紹介していきます。
ウエハースや菓子パイなどを食べる量・回数を減らす
ウエハースや菓子パイ、クッキーなどを頻繁に食べている場合は、一度に食べる量や回数を減らすことで、トランス脂肪酸の摂取量を抑えられます。
例えば、毎日食べているウエハースを40gから20gに減らすと、トランス脂肪酸の摂取量は1日約0.18gから約0.09gに減少します。
毎日食べているお菓子を週に数回にする、一度に食べる量を決めて小分けにするなど、普段よく食べる食品から見直してみましょう。
朝食や間食を油脂の少ない食品に置き換える
普段食べるパンやお菓子を、トランス脂肪酸の含有量が比較的少ない食品に置き換えることも有効です。
例えば、農林水産省の調査では、クロワッサンのトランス脂肪酸含有量は中央値0.20g/100gでしたが、食パンは0.03g/100gでした。この数値を使うと、朝食のクロワッサン1個(50g)を食パン1枚(60g)に替えることで、トランス脂肪酸の摂取量は約0.10gから約0.02gに減る計算です。
また、間食ではウエハースや菓子パイの代わりに、果物や油を使わずに調理した焼き芋などを選ぶ方法もあります。
揚げ物を減らし、蒸す・ゆでる料理に置き換える
揚げ物を食べる機会が多い場合は、蒸す・ゆでるといった調理方法に変えることで、揚げ油に由来するトランス脂肪酸の摂取量を減らせます。
揚げ物は調理中に油を吸収するため、使用した油にトランス脂肪酸が含まれていれば、その油で調理した食品にも取り込まれます。
例えば、鶏のから揚げを蒸し鶏に、フライドポテトをゆでたじゃがいもに変更すれば、揚げ油を使わずに調理できます。
このように、同じ食材でも調理方法を変えることで、揚げ油から取り込むトランス脂肪酸を減らすことができます。
トランス脂肪酸を含まないお菓子はありますか?
油脂を含まない食品であれば、トランス脂肪酸も含まれません。
例えば、油脂を使わないようかんや団子などは、クリーム入り洋菓子に比べてトランス脂肪酸を抑えやすい選択肢です。ただし、同じ和菓子でも油脂や乳製品を使う商品はあるため、「和菓子なら必ずゼロ」とは限りません。
サラダ油や米油にもトランス脂肪酸は含まれますか?
サラダ油や米油にもトランス脂肪酸が含まれる場合もあります。植物油を製造するとき、においを取り除く高温の精製工程でトランス脂肪酸が生じることがあるためです。
含有量は油の種類や精製方法によって異なるため、「サラダ油だから多い」「米油ならゼロ」とは判断できません。
「トランス脂肪酸0g」と表示された食品は完全にゼロですか?
トランス脂肪酸0gと表示されていても、完全にゼロとは限りません。
消費者庁の指針では、食品100g当たりのトランス脂肪酸が0.3g未満の場合は「0g」と表示できます。そのため、0gと表示されていても、ごく少量のトランス脂肪酸が含まれている場合もあります。
まとめ
トランス脂肪酸が多い加工食品として、ウエハースやカレー・シチューなどのルウ、ドレッシング類などが挙げられます。とくにマーガリンやショートニングといった加工油脂を使った食品にはトランス脂肪酸が多く含まれます。
トランス脂肪酸を長期間にわたって摂りすぎると、心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクが高まります。食品安全委員会の評価では、日本人の平均摂取量はWHOの推奨目標を下回っており、通常の食生活で過度に心配する必要はないとされています。
とはいえ、トランス脂肪酸の多い食品を頻繁に食べている場合は、摂取量が目安を超える可能性があるため注意が必要です。
トランス脂肪酸の摂取を抑えるには、特定の食品を避けるのではなく、普段食べるパンやお菓子の種類・量・頻度を見直すことが大切です。揚げ物を蒸し料理やゆで料理に置き換えるなど、日々の食生活で無理なく取り組める方法から始めましょう。