ミョウバンとは食品添加物にも使われる化合物の総称
ミョウバンは一つの物質名ではなく、一定の組み合わせをもつ硫酸塩の総称です。一般にミョウバンというと、硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)を指すことが多くあります。
食品添加物として使われる主なミョウバン類は、硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウムアンモニウムです。食品だけに使われるものではなく、染色や製紙、浄水、制汗・消臭などにも利用されています。
ミョウバンと焼きミョウバンの違い
焼きミョウバンは、硫酸アルミニウムカリウムの結晶を乾燥させ、結晶の中に含まれる水分を減らしたものです。そのため、ミョウバンとは別の種類の物質ではありません。
食品添加物公定書でも、結晶物は「ミョウバン」「カリミョウバン」、乾燥物は「焼ミョウバン」と区別されています。
そのため、食品添加物として販売されている焼きミョウバンは、漬物などの食品に使えます。ただし、市販のミョウバンには食品用途以外の製品もあるため、料理に使う場合は「食品添加物」と表示された製品かを確認してください。
ミョウバンは食品に何のために使われる?含まれる食品の例
食品でミョウバンが使われる主な目的は、膨張、色止め、形崩れ防止、食感の維持です。代表的な食品と用途を整理すると、次のようになります。
なお、同じ種類の食品でも、すべての商品にミョウバンが使われているわけではありません。製造方法や使う添加物は商品ごとに異なるため、「この食品なら必ずミョウバン入り」とは判断できません。
パン・菓子|ベーキングパウダーの酸剤として使われる
ミョウバン類は、一部のベーキングパウダーで「酸剤」として使われます。
ベーキングパウダーは、炭酸水素ナトリウム(重曹)と酸性の物質を組み合わせたものです。重曹から発生する炭酸ガスが生地を膨らませ、ミョウバン類などの酸剤はその反応を助けるとともに、重曹だけを加熱したときに残りやすいアルカリ性を調整します。
つまり、ミョウバンと重曹は同じものではありません。
また、パンなら何でもミョウバンが使われるわけでもありません。一般的な食パンなどは、パン酵母が発酵するときに生じる炭酸ガスで膨らませるため、膨張剤を使わないものが多くあります。ミョウバン類を含む膨張剤が使われる可能性があるのは、一部の菓子パン、焼菓子、揚げ菓子、蒸し菓子などです。
ナスなどの漬物|色落ちを防ぐ
ナスなどの漬物では、ミョウバンが色止め剤として使われることがあります。
ナスの紫色は「ナスニン」という色素によるものです。ミョウバンから生じるアルミニウムイオンがナスニンを安定させるため、漬物にしたときも紫色を保ちやすくなります。
なお、色の残り方は漬け液のpHや塩分、処理時間、ナスの品種や鮮度などにも左右されます。そのため、色が鮮やかだからといって「ミョウバンを多く使っている」と判断することはできません。
ウニ・くらげなど|形崩れを防ぐ
ウニやくらげなどでは、やわらかい組織の形を保ちやすくするためにミョウバンが使われることがあります。魚介類の甘露煮では、煮崩れを防ぐ目的でも使われます。
一方、ミョウバンにはやや渋い味と収れん性があり、使用条件によっては食品の風味に影響することがあります。
ただし、たとえばウニが苦い・渋いからといって、必ずミョウバンが原因とは限りません。ウニの種類や鮮度、保存状態などでも味は変わるため、味だけからミョウバンの使用量を判断することはできません。
栗きんとん・きんぴらごぼうなど|歯ごたえを保つ
栗きんとんやきんぴらごぼうなどの煮物では、煮込む前にミョウバン類で処理し、歯切れや歯ごたえを保ちやすくすることがあります。
加熱すると食品の組織はやわらかくなりますが、ミョウバン類で処理すると組織が締まり、やわらかくなりすぎるのを抑えやすくなります。
ただし、最終的な食感は原料の状態や加熱時間などでも変わります。ミョウバンを使えば、どの食品でも同じ硬さになるわけではありません。
ミョウバンが使われている食品は原材料表示で分かる?
ミョウバンが使われているかは、原材料表示から確認できる場合がありますが、表示に「ミョウバン」と書かれていないからといって、必ず不使用とは限りません。
色止め剤、形状安定剤、品質安定剤などとして使われた場合は、「硫酸アルミニウムカリウム」「ミョウバン」「カリミョウバン」「硫酸アルミニウムアンモニウム」「アンモニウムミョウバン」などと表示されます。このような名称があれば、ミョウバン類が使われていることを確認できます。
一方、膨張剤として使われた場合は、「膨脹剤」「膨張剤」「ベーキングパウダー」「ふくらし粉」とまとめて表示できます。この表示だけでは、ミョウバン類を含む膨張剤なのか、アルミニウムを含まない膨張剤なのかまでは分かりません。
ミョウバンに毒性はある?
食品添加物として適切に使われたミョウバンを、通常の食生活で摂る範囲であれば、一概に「危険」と考える必要はありません。ただし、どれだけ摂っても問題ないわけではなく、含まれるアルミニウムの摂取量を基に安全性を考える必要があります。
ミョウバンの毒性が気にされるのは、硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウムにアルミニウムが含まれているためです。そこで、安全性を見るときは「ミョウバンを食べたかどうか」ではなく、食品などからアルミニウムをどの程度摂取しているかを解説していきます。
ミョウバンのアルミニウムはどのくらいまで摂取してよい?
食品安全委員会は、アルミニウムの耐容週間摂取量(TWI)を2.1mg/kg体重/週としています。TWIとは、一生涯にわたって毎週摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される、1週間当たりの摂取量です。
体重ごとの目安に換算すると、次のようになります。
この量はミョウバンそのものの重さではなく、食品などから摂取するアルミニウム全体の量です。また、TWIは「一度でも超えたら中毒になる量」ではありません。長期間にわたる摂取量を評価するための目安です。
なお、令和2~3年度の国内調査では、加工食品由来のアルミニウム推定週間摂取量は、1~6歳で平均TWIの10%、摂取量が多い側にあたる99パーセンタイルでも28%でした。20歳以上では平均6.1%、99パーセンタイル17%です。
この調査の範囲では、平均的な人だけでなく、摂取量が多い人を想定した場合でもTWIを下回っています。これらを踏まえれば、現在の加工食品からの摂取状況だけを見て、ミョウバンを含む食品を一律に危険と考える必要はないといえます。
- ミョウバンに発がん性はある?
食品安全委員会の評価では、硫酸アルミニウムカリウムなどについて、発がん性は認められないと判断されています。
ただし、「発がん性が認められていない」ことは「どれだけ摂取しても安全」という意味ではありません。アルミニウムの安全性は、発がん性だけでなく、ほかの健康影響も含めて評価され、TWIが設定されています。
- 焼きミョウバンは食べても大丈夫?
食品添加物として販売されている焼きミョウバンは、漬物などの食品に使用できます。
ただし、ミョウバンには食品用途以外の製品もあります。料理に使う場合は、商品に「食品添加物」など食品に使用できることが分かる表示があるか確認してください。
まとめ
ミョウバンは食品の色や形、食感などを保つために使われる食品添加物で、アルミニウムを含みます。
ただし、ミョウバンが使われているというだけで、その食品を危険と判断することはできません。安全性は、食品などから摂取するアルミニウムの量をTWIなどの基準と比べて考える必要があります。
現在の国内調査では、加工食品由来のアルミニウム摂取量は、摂取量が多い人を想定した場合でもTWIを下回っています。そのため、通常の食生活でミョウバンを含む食品を食べること自体を過度に避ける必要はありません。
ミョウバンが使われているかを知りたい場合は、まず原材料表示を確認してみてください。場合によっては「膨張剤」などの表示がされておりミョウバン類を含むか分からない場合があるため、メーカーの商品情報を確認するとよいでしょう。家庭で使用する場合は、「食品添加物」と表示された製品を選んでみてください。